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2014年8月

2014年8月23日 (土)

池田綾子~pianote vol.3

自分も長年ギターを弾いてきたもんだから、やっぱりギタリストが一番シックリくる。ベーシストも同様。
撮影の話しね…。
ま、生意気を言わせてもらえばギタリストの「今、撮って!」っという声が聴こえてくるような…と言いたいところだが、多くの場合、聞き逃しちゃってる?
最近は仕事柄ドラムの写真を撮ることも多くなった。
ドラムの撮影は条件が厳しく大変難しい。でも、それだけに面白い。

案外好きなのは管楽器。やっぱりジャズが好きだからね。管楽器の人を撮る時はいつもBlue NoteやPrestigeの好きなレコード・ジャケットを頭に思い浮かべながらシャッターを切る。

ヴァイオリンも好きな楽器だけにいつも夢中になってしまう。この楽器はナリは小さいく音色も繊細だが、ファインダー通して見ていると、弦をこする弓の動きというものは想像以上に大きく、かつ激しく、弓のポジションによって写真の表情がダイナミックに変わってくるのでかなり考えてシャッターを切る。そこが面白い。
世の中、一体どれだけ楽器の種類があるのかは寡聞にして見当もつかないが、楽器本来のサイズと、演奏時のサイズの隔たりがこれほど大きい楽器はヴァイオリンとトロンボーンぐらいではなかろうか?

さて、では一番撮影がムズカシイ楽器は何か? 私の場合は鍵盤楽器だ。
激しくアクションを決めるプレイヤーならまだしも、弾き語りスタイルの鍵盤奏者の撮影は大変難しい。
まず、通常楽器が大きいため主人公が隠れてしまう。
次にどうしてもアクションが小さいのでバリエーションが少なくなってしまいやすい。
したがって雰囲気が異なる写真を撮りたい時はコチラが動かなければならない。
さらに現場がメッチャ静かなもんだからシャッター音が気になる…等々、奏でられる音楽とは裏腹に撮影する側にとっては激務なのである。
それだけにチャレンジし甲斐のある仕事なのだ!

で、今日のお仕事はそのピアノの弾き語り。

10_2テーマでもあるロウソクとのコラボレーションを標榜した幻想的なステージ。これがまた滅法暗い!
でも幽玄でとてもいい雰囲気だ。

20v出演は池田綾子。
「自然派」なんて表現が当たるのかどうかはわからないが、美しい声でやさしく愛らしい音楽を奏でるシンガーソングライターだ。

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会場は超満員!それだけに撮影場所が限られてしまうのよ~。でもコレは覚悟のうえ!

30_2ショウがスタートした。

50v静か~!
シャッターを切るのがコワイ。

60いつもは綾子さんはバンド形態で歌っており、実はこのピアノの弾き語りというのはご自身にとってのひとつのチャレンジなのだそうだ。

私はといえば、女性シンガーのピアノの弾き語りを聴いたりすることは普段まずない。ちょっとローラ・ニーロを聴くぐらいか?それでも何年に一度あるかないかのことだ。

A_img_0196それがこうして仕事とはいえドップリ音楽と対峙していると…コレが実にいいのだ!
ナニがいいって、まず綾子さんの声!
何て愛らしくて、澄んだ声なんだろう。鈴を鳴らす声とはまさにこのこと。
音楽の主役は何といっても歌だ。
そして、歌は魅力的な声を得てはじめていい音楽となる。こうしたシンプルなフォーマットとなると当然のことながら「歌」と「声」の関係はますます濃密になる。

70歌詞は綾子さんのペンによるもので、これまたフェミニンでやさしいこと極まりない。
何しろ一度しか聴いていないので、曲ごとの解説ができないのが残念だが、出てくる曲、出てくる曲、すべてが最高にチャーミングなのだ。
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加えて魅力的なのがメロディ。
「え、そっちへ行く?」みたいな意外なメロディの展開があって存外にスリリングなのだ。それらは決して奇を衒ったものではなく、歌詞と緊密にからみ合うことによって一層輝きを増す。

そして、ピアノ!
ヴォイシングだけでなく、よく聴いていると内声の動きなど実に凝ったアレンジが施されていて、綾子さんの曲に信じられないぐらいの厚みと深さを与えていく。
やはりキチンと楽器を勉強した人のやることは一味違う。
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「よっしゃ!」演奏がバッチリとキマってひとポーズ。
MCで何度も「ピアノの弾き語りは自信がない」みたいなことを言っていたが、ゼ~ンゼン心配ない。

80ゲストも登場。
ヴァイオリニストの下岡千香。
石井竜也の他、ストリングス関連の演奏やアレンジの仕事で引っ張りダコの売れっ子ヴァイオリニストだ。もっと簡単に言うと私の大切な友人だ。
100v
千香ちゃんも最高の音楽教育を受けたプロ中のプロだ。
さすが!綾子さんの曲をヴァイオリン一丁でドラマチックに彩っていく。
実はこの日、お客さんに誕生日の人がいて、サプライズで「♪Happy birthday」を歌ったんだけど、この誰もが知っている曲に千香ちゃんが与えた副旋律のカッコよさといったら!あんなの初めて聴いた。

ちょっと話は反れます。この「♪Happy birthday」の曲は完全に世界の共通歌になっていることは間違いないでしょう。
で、「♪Happy birthday to you, happy birthday to you」のパートは絶対にこの文句でうたうでしょ?英語が極端に不得意な日本人だって「♪たんじょーびーおめでとー」なんて歌わない。
ところが、ここを自国の言葉で歌って祝うお誕生パーティってのに出くわして驚いたことがある。
あれはヘブライ語かなんかだったのかな~?
すんごい変だよ。
ロンドンのホテルに併設されたレストランでのこと。アレね、一瞬、何の歌かゼンゼンわからなくなるの。少なくともあんまりめでたくあい感じがしたな…。
脱線終り。

90すごく印象に残った曲があった。それは自分が大好きだったピアノにさよならを言う歌。
ああいう視点は男性には絶対ないものだ。
綾子さんの美しい声でその物語を編まれると感動もひとしおなのだ。


無事に本編を終了~!

140鳴り止まない拍手の嵐!

150激しいアンコールを謙虚に受け止めてて数曲演奏してくれた。

A_img_0220_2 花束が贈呈され、歓声に応える綾子さん。
実は、ホッとしたって感じ?

160終演後にもファンの要望に丁寧に応えてお買い上げ頂いたCDにニコニコとサインをする綾子さん。アララ、ギッチョなのね!私と同じ!ま、私は食べる時だけですけど。

170当日販売されたアイテムのひとつがコレ。
NHK BSプレミアムで放送していた火野正平さんの旅番組。

火野さんにはものすごく強烈な印象がひとつあるんだよね。それは小学校の時に見た『飛び出せ!青春』。火野さんが転校生を演じた一編があって、コレがまた破天荒にイヤなヤツの役だったの。子供ながらに観ていてものすごくムカついた。
その転校生の名前は忘れもしない「兵頭」。
私の中では火野さんのお名前はいまだに「兵頭」なのである。
相手が子供とはいえ、それほど強烈な印象を植え付けてしまうスゴイ演技と脚本だったのだろうね。

綾子さんはこの番組の音楽の作詞と歌を担当している。
これはそのサウンドトラックCD。
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そして、そのソングブックも併売され、我先に求めんとお客さんが長蛇の列を作った。
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『この時の中で』と題されたコンサートの開催も決定している。
日時は2013年11月23日(土・祝)。会場は日本橋三井ホール。
やさしい歌声に包まれて幸せな気分になりたい方はゼヒ!

池田綾子の詳しい情報はコチラ⇒Ikeda Ayako Official Website

180v(一部敬称略 2014年7月7日 目黒Blues Alley Japanにて撮影)

2014年8月18日 (月)

SUMMER SONIC 2014~QUEENを観たよ…の巻

昨日(8月17日)、サマソニへ行ってきた。
10_2Megadeth、Mogwai、Crossfaith等々、もちろん今年もMarshallのバンドやアーティストが大勢登場した。
でもダメ。もう昼間は行かれない…暑すぎちゃって。

何しろ去年はスゴかった。マジで身の危険を感じたからね。50年生きて来て一番暑かったわ。

おととしはおととしで、昼間トンカツでイッパイやって、炎天下に海の方のステージまで歩いて行ったら、本当にゲロ吐きそうになったからね。

年取って体力が落ちるのが早いか、環境破壊で温暖化が早いか…いずれにしてもコリャいつまでもできそうにないわい。

20_2…ということで今年は涼しくなってから出向いてみた…QUEENを観るために。30_2昼間気が狂ったように照りつけた太陽も姿を消し、風があったこともあって夕方にもなると大分楽になった。

40人の動きもユッタリしてコレっくらいの時が一番いいんでねーの?

50_2さて、QUEEN。
私が中学生の時、QUEENって女の子にものすごく人気があってね。今でいうSMAPみたいで、「ワタシはフレディ」、「ワタシはロジャー」ってな感じで完全にアイドル的存在だった。
何しろ毎日のように「ぎんざNOW」でフィルムが流れていたからね。また、その「ぎんざNOW」を見るために中学生や高校生が5時15分までに家に帰っていたんだから!
生来ヘソ曲りの私はQUEENを故意に遠ざけていた。「QUEENなんて女が聴くもんだ」って。

したがって何回か実物を見るチャンスがあった来日公演にも行くことがなかった。本当に後悔している。ナマのFreddie見ておけばよかった。

そんな私も年を取れば丸くなってくるもので、自然とQUEENを聴くようになった…恥ずかしながら。イヤ、本当は子供のころから「Keep Youeself Alive」なんかメッチャかっこいいと思ってたんよ、正直。知ってたのQUEENがいいことは。でもなんかミーハーっぽくてイヤだった。

ということで、何年か前にロンドンに行った時に素直にトッテナム・コート・ロードのドミニオン劇場で『We Will Rock You』を観た。
Img_0334
この時、ちょうど上演200回記念かなんかでホンモノのBrian Mayが出て来て「Bohemian Rhapsody」のソロを弾いてくれたの。うれしかった。
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これは2012年にイギリスに行った時のもの。日本でいうところの『めざましテレビ』、いや、『朝チャン』にしよう…のようなBBCの朝のワイドショウ、『Breakfast』に出演した時のBrian May。
「動物保護活動家」としての出演で、肩書にはQUEENの「Q」の字もない。こうして案外普通にテレビにでちゃってるのには驚いた。

60さて、幕張に話題を戻す。

そんなだから別に「Freddie MercuryじゃないQUEENはQUEENじゃない」なんて言うつもりもまったくなかった。いいのいいの、ゼンゼン構わないの。
ただ、どんな状態であろうと「QUEEN」と名乗っているロック・バンドを人生で一度見ておきたかったのだ。

先に出演したAvril Lavigneが終演すると多くのお客が場外に出てしまい、やっぱりQUEENは古いか…と心配したが、ナンノナンノ、開演時にはアリーナ、スタンドともに満席となった。

70v_2紗幕にQUEENのロゴが投射されて始まったオープニングは「Now I'm Here」。
やっぱ興奮するね~。血が騒いだよ。
驚いたのは2曲目。何と「Stone Cold Crazy」。大好き。

しっかし好事魔多し。
このボーカルさん、Adam Lambertっての?Brianらから絶賛されたとか言ってたけど…チョットな~。
だってゼンゼンFreddieと違うんだもん。声が高けりゃいいってもんじゃないでしょう。
これならPaul Gilbertと組んでたFreddie Nelsonの方がずっと良かったのに…。Freddieもリハーサルで「Play the Game」とか歌ってたけど、Freddie Mercuryにソックリだったよ。
でも、ま、Adamも一生懸命やってるから、ヨシとするか。

80セット・リストはこんな感じ。
言っておきますが私は熱心なQUEENファンではまったくないですからね。でも、これぐらいは知ってる。

Now I'm Here
Stone Cold Crazy
Another One bites the Dust
Fat Bottomed Girl
???
Seven Seas of Rhye~Killer Queen
I Want It All
Teo Toriatte
BraianでLove of Life
Rogerの歌
Under Pressure
I was Born to Love You
Radio Gaga
Crazy Little Thing Called Love
Bohemian Rhapsody
~ENCORE~
We Will Rock You
We Are the Champions

私も人の子、やっぱり「Bohemian Rhapsody」には涙してしまったよ。
この曲は「Waterloo Sunset」や「Hey Jude」と並んで私の「ブリティッシュ・ロックの名曲ベスト10」に堂々と入れるつもり。後の7曲は楽しみながらジックリ決めている。

個人的には「I was Born~」だの「Gaga」だのどうでもいい。それより「Brighton Rock」やら「Keep Yourself Alive」とか「Let me Entertain You」とか「Tie Your Mother Down」とか演って欲しかったな~。

それにしても今のロックと比べると、どこをどうしても曲のクォリティが桁も格も違うね。雲泥の差だ。
もうこんなバンドは出てこないだろうなァ。
そして、こんな音楽を作り出したイギリス人っていったい…。やっぱりブリティッシュ・ロックが好きだ。

90_2 今年訪れたロンドンのFreddie Mercuryの家。聴いていてココを思い出してしまった。
この時のレポートはコチラ⇒【イギリス - ロック名所めぐり】アールズ・コートの見どころ

Img_0174さぁ、チャッチャと急いで駅に行かないと混じゃって電車座れなくなっちゃう!

100v(2014年8月17日幕張メッセにて)