sources~『一刀両断』&『つむぐ』リリース記念ライブ<後編>
綾太郎くんのエア撮影会が終わったところでショウは中盤に入る。
曲は「Othello」。
何やら不穏な雰囲気がカッコいいぞ!
コレはまさにイアーゴーの奸計を表現しているのか?
シェイクスピアの作品って登場人物の名前がカッコいいんだよね。
『オセロー』では奥さんの「デズデモーナ」とか、そのオヤジの「ブラバンショー」とかね。
この曲、私には中間部のキメがホンの少しラロの「スペイン交響曲」を想起させてくれてオモシロイ。中盤に入ってますますノリノリのsourcesの3人。
加賀谷綾太郎野津永恒
日高隼人
アルバム『一刀両断』の曲順通りに続けて「BITE」を演奏。
コレも妖しげで、ヘヴィなワルツ。
何でも「吸血鬼」の舞台の音楽に採用されたとか…なるほど、そういうイメージだわコリャ。オルガンにピアノに大活躍の'のっつ'。
激情にかられたメロディをヴァイオリンの2人が奏でる。
終盤の転調してからの展開がまた何ともドラマチック!「ありがとうございます。2曲続けて聴いて頂きました。
ココで『景清洞』と『雪の降るこの町で…』という『つむぐ』に入っているバラードをお届けしたいと思います。
両方とも情景をイメージした曲で、『景清洞』というのは3人で行った鍾乳洞の印象。
『雪降るこの町で…』っていうのは、雪が降る町に住んでる人々やそういった景色をイメージした曲です」消え入るような儚い’のっつ’のピアノからスタートする「景清洞(かげきよどう)」。
そのピアノに重なる美しいヴァイオリンの音色。
景清洞は綾太郎くんがMCで説明した通り山口県美祢市にある鍾乳洞のこと。
ステージのスクリーンにはsourceの3人が見たであろう景清洞の様子が映写されてとてもいい雰囲気を演出していた。前曲同様に「雪の降るこの町で…」も’のっつ’のセンシティブなピアノからスタートする。
今度は綾太郎くんをフィーチュアして深遠なる白銀の世界を描写する。
綾太郎くんのヴァイオリンの音色で雪をガンガン降らせちゃったよ。
ちなみに…「雪の降る町」ということで…こんな本はご存知?
天保8年(1937年)、江戸時代の大ベストセラー。この本にナニが書いてあるのかというと、新潟県の十日町を中心とした冬の雪国の暮らしが綴られている。
昔は情報量が乏しかったので、豪雪地帯の冬の日常生活の様子など知る機会もなく、雪が降らないエリアの人たちがこぞってこの本を買い、読んではヒックリ帰って驚いていたらしい。
昔は今よりズット雪の量も多かったでしょうからね。
江戸時代の本とはいえ、原文のままでも割合読みやすくて私も時々拾い読みをするんだけど、吹雪で道に迷った旅人が穴倉でクマとひと晩過ごした話とか、なかなかにオモシロい。
十日町に行くと、この本の著者である「鈴木牧之(すずきぼくし)」の記念館があって、当時の雪国暮らしグッズなどが展示されている。
「雪の降るこの町で…2」を作る時には、事前に見学されると良いでしょう。
昔の雪国暮らしの過酷さに驚いて、ものスゴいハードなロックが出来上がったりして!「ありがとうございます!2曲続けてお送りしました。
『雪の降るこの町で…』は、情景が頭に浮かびやすいように今回色々とアレンジをしてみました」 「そうですね。
さて、ココからは最後まで盛り上がって皆様に楽しんで頂けたらと思います。
まず1曲目に演奏するのは、チョット変わった曲名なんですけれども、『中東の砂嵐』ですね。
砂塵の嵐…中東で吹く砂塵の嵐のことを『シャマール』って言うんですけれども、コレもいわゆる情景曲です。
砂漠で吹く砂嵐をイメージして書いた曲です」そう、「シャマール」はアラビア語の「شمال」ね…あ、コレは右から読んでくださいよ。
「シャマール」か…なんとなく「マーシャル」の親戚のような感じがしないでもないな。
1976年にフランスのGONGというプログレッシブ・ロックのバンドが『Shamal』というアルバムをリリースしている。
「フランス」ということになると、デディエ・ロックウッドという名ロック・ヴァイオリニストがいましてね。
多数のソロ・アルバムをリリースしているだけでなく、MagmaとかZaoとか、数々の人気グループで名演を残しているんよ。当然こう来るでしょ!…イヤ、こう来なくっちゃ!というサウンド炸裂の「シャマール~砂塵の嵐」。
ヴァイオリンの入ったロックや民族音楽が大好きな私にはゴキゲンなサウンドなのです。
ヴァイオリンの2人はトリック・プレイも披露!
今度は中近東からイベリア半島へ。
曲は『つむぐ』収録の「Spanish Love」。ファンキーにキメるのは『一刀両断』から「Honey Trap」。
まさか誰かが「Honey Trap」に引っかかった経験で作った曲じゃあるまいな?
「シャマール」とこの曲、それぞれ『つむぐ』と『一刀両断』の2曲目なの。
意識して連続させたのか、はたまた偶然か…。’のっつ’のピアノでつなげる次の曲は…
「ありがとうございます!
『Honey Trap』の次は『Neon Beat』という曲をお届けします。
あと2曲で終了になりますけれども、本日はスタンディングもOKでございます!
もしよろしければ立ってお楽しみくださいね。
そして、この『Neon beat』という曲、お好きに踊って頂いて大丈夫です。
あ、無理に立たなくてもいいですよ。
皆様が好きに楽しんで頂ければと思います!」 …と言われて立たないワケがない。
ご起立頂いたお客さんのご期待に応えるエキサイティングなパフォーマンス!
3人の間で回されるスリリングなソロが大きな聴きどころ!
そして本編を締めくくったのが「Stand Up!」。
3人が一丸となった…
熱気あふれるプレイ!
「今日は声を出すのを控えて頂きます。
右手を上げて心の中で『Stand up!』と叫んでください!」
声は聞こえなくても、右手を上げたお客さんの勢いは声以上の熱気を発していた! クライマックスに向かってヒートアップ!
こうして猛烈な盛り上がりの中、本編を終了させた。
そして、アンコール。
3人とも白い衣装にお召し替えだ。
「アンコールありがとうございます!
もう少しお届けしたいと思います」そして3人、めいめいにお客さんに感謝の言葉を口にした。
「自分たちもこうやってリリース記念ライブが行えてうれしいですし、皆さんにお会い出来て本当にうれしかったです。
皆さんに元気になってもらおうと思ってお送りしたんですけど、反対に皆さんからパワーをもらっちゃいました。
そして、配信をご覧の皆さんもどうもありがとうございました!」普段はヤッチンのステージの時に「曾我さん〇〇周年おめでとうございます!」ぐらいしかしゃべる時間がない3人だけに、sourcesがこんなにトーク上手だったとは思わなんだ。
「最後は『レクイエム~安息への祈り』という曲をお届けしたいと思います。
この曲は新型コロナウィルスが流行してしまって、全てがストップしてしまった、あの何とも言えない時間が止まったような苦しい時期に早く元通りの生活に戻れたらいいな…という一途な気持ちで書いた曲です。
本日は、いつかマスクを外して握手もできるし、叫べるし…そんな日々が戻って来ることを祈りながらお送りしたいと思います」そんな気持ち込めた3人の演奏。
そのsourcesの気持ちが会場に集まった皆さんや配信をご覧になっていた方々にシッカリと届いたに違いない。
美しい照明が演奏をより一層感動的なモノに仕上げた。
今回のレポートではいちいち「『一刀両断』収録の」とか、「『つむぐ』の何曲目」なんて書いてしまったけど、このライブで演奏した曲はすべて新しいアルバムからのチョイスだったのです。
つまりそれだけの自信作を2枚放ったということ。
アッパレsources! 「ありがとうございました!」
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(一部敬称略 2022年6月11日 神田明神ホールにて撮影)