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2023年6月28日 (水)

『真夜中の怪鳥』をホンの少しだけ余計に楽しむ <後編>

 
厚顔不遜、頼まれもしないのに勝手に加藤広文さんの『真夜中の怪鳥』の補足説明をする2本立ての<後編>。
本当はサラっと終わるつもりだったんだけど、書き出したら色々と出て来てしまい、あまりにも長くなってしまったので2本立てとさせて頂いた。
その<後編>をどうぞ~!
0r4a0176  
「ロイヤル・アスコット」

「ロイヤル・アスコット」に招待された加藤さん。
「アスコット競馬」という名前はご存知だったので「よし!万馬券を取ってやるぞ!」と息巻いたものの、周囲の人にそれがただの競馬ではなく上流階級の社交の場であることを聞かされる。
私は映画『マイフェアレディ』を通じて中学1年生の時に「ロイヤル・アスコット」というモノがあることを知った。
英王室お抱えの写真家セシル・ビートンがデザインして「アカデミー衣装デザイン賞」獲得した世にも美しい衣装に身を包んだイライザ・ドゥーリトル、すなわちオードリー・ヘップバーンが、そこに集まった上流階級の人たちを相手に「The rain in Spain stays mainly in the plain(スペインでは雨は主に広野に降る)」とやってヒギンズ教授に仕込まれた「にわかレディ」ぶりを披露するが、つい自分が賭けた馬を大声で応援して地金をムキ出しにしてしまう爆笑シーン。
あそこで使われている曲は「Ascot Gavotte(アスコット・ガヴォット)」。
歌い出しがスゴイ…「Every duke and earl and peer is here(あらゆる公爵、伯爵、貴族のみなさんがココにお揃いです)」。
加藤さんは「ロイヤル・アスコット」がそんなところだとはご存知なく、万馬券を当てにロイヤル・アスコットに行こうとしていたワケ。
私が誘われたらかなりビビってしまうだろうな。
それはナゼかというと…90v自分の見た目です。
幸か不幸か、これまでホンの数回しか正装で臨む海外の会合に出席したことはないが、着飾った白人の間に混ざるとマジで自信を失くすよ。
かなりの自信家であらせらるる数学者、藤原正彦先生(新田次郎と藤原てうの次男坊、お茶の水女子大教授)でさえ、「あれだけは連中に敵わない」とアッサリ負けを認めていらっしゃる。
かつてウチの家内は着物でそうした場を見事に乗り切った。
「キモ~ノ、キモ~ノ」と言ってみんな寄ってきちゃう。
スウェーデンの人なんか「キモノってテレビのノーベル賞の授賞式の中でしか見たことがなかった!コレがホンモノのキモーノなのね?!」と、かなり興奮して家内に話しかけていた。
翻って、男の場合は「紋付き袴」というワケにはなかなかいかないもんね~。
サマにならん。
ま、背広なんてのはコーカソイド(白色人種)の身体の形に合わせてデザインされたものだからして、連中が似合うのは当たり前なんだけど、それに比べてスーツ姿のモンゴロイド(黄色人種)のみすぼらしさよ!
私は子供の頃にズッと水泳をやっていたので、肩幅と胸板には自信がある方なのだが全くダメだね。
向こうの連中は普段どんなにショボいヤツでもキチっとした格好をするとおっそろしくバリっとしちゃう。
手足の長さや頭蓋骨のサイズについては言うに及ばず、アレはやはり胸の形と胴体についている首の角度に秘密があるのではなかろうか?
実際、白人って肩こりはしないし、腰痛持ちの人も少ないと聞く。
加えて圧倒されてしまうのが女性陣の華やかさ。
背がスラ~っと高く、イブニング・ドレスがいいように映えてそれはそれは美しい。
それと、加藤さんも文章の中で触れていらっしゃるが帽子がまたスゴイ。
20年前、Marshallの40周年の記念パーティで同席したフランスのディストリビューターの社長の奥さんの帽子は素晴らしかった。
さっきまでパリのファッションショーで使われていたのではないか?と見紛うばかりの壮麗な帽子で、日本人が被ったら間違いなくナニかのコスプレかハロウィンになってしまうところだが、連中の場合はそれがちっともおかしくないワケよ。
4年前に久しぶりにその社長にお会いしてその時のことを「アノ時はオードリー・ヘップバーンをお連れになられたのかと思いましたよ!」と言うと、うれしそうに「当然だろ!」という顔をされていた。
向こうの人は自分の奥さんの悪口は絶対に言わないからね。Ra  
「ハギス」
加藤さんがエジンバラへ赴いた時にハギスを召し上がった…という一文がある。
エジンバラ、ヨカッタなぁ。
ズ~っと雨だったけど。160いつか家内を連れて世界遺産の「Forth Bridge」を見に再訪したいと思っている。
 
エジンバラの滞在記はコチラ⇒イギリス紀行2012 その7~エジンバラ

Fb さて、「ハギス」とはナンぞや。
コレもMarshall Blogで何度か取り上げているけど、ハギスはスコットランドの郷土料理で、茹でた羊の内臓のミンチ、オート麦、タマネギ、ハーブを刻んで、それを牛脂とともに羊の胃袋に詰め込んで茹でるか蒸すかしたモノ。
絶対に「食事の冒険」をしない私はそれを聞いただけでパス。
もちろんエジンバラに行った時も考えることすらしなかった。
ハギスがイギリスの「3大マズイもの」の常連だ。
それを加藤さんは召し上がって「エジンバラで食べたハギスはおいしかった」とおっしゃる。1_hgsそれと同じぐらい、あるいはそれ以上にムリっぽいのは「Jellied Eel(うなぎのゼリーよせ)」。
コレはロンドンの「コックニーの食べ物」とされていて、ブツ切りにしたウナギを煮込んでから冷やし、ゼリー状に固めたもの。
要するにウナギのニコゴリ。
もちろん私は近づきもしないが、ヤケクソにナマ臭いらしい。
コレも「イギリスの3大まずいモノ」の一角。
先日、久しぶりに会ったイギリス人にコレの話をしたところ「臭いどころではない!」と厳重に注意された。
ウナギは蒲焼が一番にキマってら!120_2「3大まずいモノ」には「マーマイト」もよくチャートインしているけど、コレは確かにマズイ。
イースト菌のカタマリ

ね。
でも、昨今では「マーマイト」やオーストラリアの「ベジマイト」は日本でもメジャーな存在か?

140s_2最近知ってヒックリ返ったのがコレ。
「Stargazy Pie(スターゲイジー・パイ)」というらしい。
コレは子供のイタズラにしか見えんな~。
イギリスの最西南端のコーンウォールの郷土料理で、パイから顔を出しているのはイワシだそうだ。
パイは卵とジャガイモからできている。
「gaze」というのは「見る」という意味だけど、同じ「見る」にしても星を見る時には「see」でも「watch」でもなく「gaze」を使うのが普通。
Rainbowにも「Stargazer」という曲があるでしょ?「Starwatcher」とは普通言わない。
で、このイワシたちは星を見上げているところなんだって。
だから「Stargazy Pie」。
実際には見たこともないけど、かなりの確率でウマくないのではなかろうか?130vそれと、茹で卵を挽肉で包んで揚げたスコッチエッグ。
名前の通り、コレもスコットランドの料理なんだけど私がコレがとてもニガテなんだよね。
それは味でも見た目でもなくて、トラウマがあるんです。
高校生の時、学校の食堂のメニューがしょっちゅうスコッチエッグで、仕方なしに何度も食べさせられた。
それが新鮮な卵と挽肉を使って作った揚げたてのスコッチエッグであればいいですよ。
300円ぐらいの定食だから肉は古くて臭いわ、作り置きしているので冷たいわ…ウマいワケがない。
そのうち「スコッチエッグ=マズいモノ」として脳ミソにインプットされてしまったんですわ。
気の毒なスコッチエッグ…。150s_3
「日本食ブーム」
1999年の時点で加藤さんは「ロンドンは日本食ブーム」とおっしゃっている。
ソーホーに行くと日本料理の店がいくつもあって、昔はよく入ったものだが、マァ高いばっかりでね。
ニンジンもジャガイモも生かと思うぐらいガリガリのカツカレーが1,600円とかね…今はもっともっと高いと思う。
それもバカバカしいので、ある時から「郷に行ったら郷に従え」とばかりに個人で海外に行った時には一切日本の料理店に行かないことに決めた。
麺とダシがどうしても恋しくなったら中華かベトナム。
時々ならインドもOK。ハズレなければロンドンのインド料理屋のカレーはすこぶるウマい。
そうでなければ、どんなに日本の食べ物が恋しくなってもファストフードで済ますか食事を抜くかしてガマンする。
下は4年前に4年ぶりに行ったロンドンの写真だけど、街中にたくさんのラーメン屋がオープンしていてビックリした。
それもナゼかみんな豚骨なの。Img_9781この「SHORYU(昇龍)」という店が人気のようで、マンチェスターでも大規模な店舗を見かけた。
デカい餃子で有名な「昇龍」が上野にもあるけどね、アレとはゼンゼン別。
私は「昔ながらのアッサリ醤油派」なので、日本にいても豚骨ラーメンを食べない。
だからロンドンに行ってまで食することは絶対にないが、値段を聞くと「醤油派」でヨカッタといつも思う。
最近の為替レートで値段を調べてみると、ラーメン+餃子+ウーロン茶で5,000円ぐらい。
だいたい日本の4倍ぐらいか?
しかし、日本でも1,000円のラーメンが全く珍しくなくなった。
アノね、昔は「ラーメン」というモノはお金がない時のメニューの代表選手だったんだよ。
  お母さん 「ゴメンね…お父さんの給料日前だからお金がないの…ラーメンでガマンしてね」
  子供   「エエエエ!またラーメンかよ!ヤダよ~!」 
ウチは父が職人だったので幸いこういうやり取りを母としたことはないが、世間ではこういうことが当たり前だったようだ。
それが今ではミシュランだもんね。
私の一番古い記憶では…小学校2年生の時だから1970年ぐらいか…ラーメン1杯が80円だった。
駅前の立ち食いそばが50円だったかナァ?
 
そもそも最近はどこでラーメンを食べてもスープが塩っ辛くてね~。
加齢によるせいもあるようだけど、フト思ったのが「アミノ酸」のこと。
ウチは何年も「調味料(アミノ酸等)」が添加されている食品を摂らないように努めている。
海外では有毒化学食品扱いされている「MSG」という「人工うまみ調味料」ね。
コレを長年摂取していないおかげで味覚が敏感になっているのかな?と。
でもラーメンは大好きなのでMSGが入っていることを承知の上で食べに行くんだけど、その際には「味は薄めでおねがいします!」とオーダーするようにしている。
MSGはガマンできても塩味はガマンできないからね。
気の利いた店員なんかだと「ハイよ!コチラの社長さん血圧高め~!」なんて言ってくれます。
でも、それは血圧のせいではありませんから、シオ!塩のせいです。Img_9784 
「レンガ造りが消える」

ロンドンに限ったことではないが、ヨーロッパは石の文化なので、100年前の建物なんてのはゼンゼン珍しくない。
だから100年前の写真を見ても馬車が車に変わったぐらいで街のようすがほとんど変わっていない…と言いたいところだけど、加藤さんが嘆くように古い建物がドンドン味気のない近代的なビルディングに建て替わっている。
0r4a0095ココはチャリング・クロス・ロードという通り。
ロンドンの神保町。
この場所にはかつて「Astoria」という1920年代に建てられた古い立派な劇場があった。
今は跡形もない。
加藤さんのご指摘通り、こうして「再開発」という名の破壊活動でドンドン街の風情が失われているのだ。
イギリス人は伝統や古いモノをとても大切にするので、こんなことをするのは日本人だけかと思っていたんだけどネェ…残念だ。0r4a0242下の2枚の写真は2015年にタワー・ブリッジの上から撮ったモノ。Img_0754私が初めてロンドンを訪れたのは2002年のことだったんだけど、その時には上の写真のダンゴ虫のような建物(市庁舎)や街に不釣り合いな高層ビルは全くなかった…ような気がする。
私がたかだか20年間定点観測をしているだけでもこんなに変化が大きいんだもん、加藤さんが「ロンドン見物は早い方がいいかもしれませんよ」とおっしゃっているお気持ちはよ~く理解できる。
その定点観測については私も『変わりゆくロンドン』と題してMarshall Blogにジックリ書き記しておいた。
 
コチラ(7本立ての1回目)⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.50~変わりゆくロンドン 

Img_0755 
「インサイドアウト」

加藤さんが書いていらっしゃるのは海苔とシャリが反対になった「巻き物寿司」のこと。
いわゆる「裏巻き」ってヤツ。
アレが海外で「Inside Out」と呼ばれているとは知らなんだ。Io ワタシなんか「Inside Out」なんて聞くと即座にブレッカー・ブラザーズのブルースを思い出す。
不思議なことがひとつあって、「裏返し」が「inside out」、「上下さかさま」が「upside down」なのに対して「後ろ前」は「back- to- fronts」…って言うらしい。
「らしい」というのは、私の回りの英語人たちは「後ろ前」のことを「wrong way around」って言っているからだ。
「inside out」や「upside down」と比べると、コレだけなんかスッキリしない感じ。
どうでもいいんだけどね。
いつかこのことを書いてみたかっただけ。100cd 
「冬の花火」
「1605年11月、カトリック教徒たちが議事堂爆破を企てました」…と、加藤さんは実にシレっと書いていらっしゃる。
コレも紙幅の制限が関係しているのであろう。
ところがこの出来事は「火薬陰謀事件(Gunpowder Plot)」といって、イギリスではひとつの文化の元になった。
我々日本人にも変な形で一部が伝わっているのだ。
コレがどんな事件だったかというと…
ヘンリー8世が最初の奥さん「キャサリン・オブ・アラゴン」と離婚したいがためにローマ法王と袂を分かってカトリックと決別し、自らが首長となってイングランド国教会を設立したことはMarshall Blogでもやった
するとカトリックの皆さんはプロテスタントの皆さんにイジめられるようになってしまう。
そして、長年にわたる迫害の末「コリャたまらん!」とカトリック教徒12人が1605年11月5日、議会ごと爆破してプロテスタントの保護政策を採っていた時の国王、ジェームス1世の暗殺を企てた。
議会の地下に大量の火薬を持ち込んでイザ決行という段になったが失敗!
当局に密告したヤツがいたのだ。
そういえば、私の友人のお父さんが東条英機を暗殺しようとしていた…なんてことをココに書いたことがあったけど、アレはマジで驚いたわ。
さてロンドン、その時地下にいたガイ・フォークス(Guy Fawkes)という一味のウチの1人が逮捕された。
下がガイ・フォークス。
なかなかのハンサム・ガイ…この「ガイ(guy)」という言葉ね、「ハイ、ガイズ!」なんて向こうの人はよくやるけど、この「ガイ」は「Guy Fawkes」の「Guy」なんだよ。Gfフォークスは捕らえられて2日間に渡って凄絶な拷問を受けるが完全黙秘を通す。
「フーム、おぬし…見上げた根性よのう」とジェイムス1世をも感心させたという。
いずれにしても死刑は死刑。
捕らえられた仲間が首吊り、内臓えぐり、四つ裂き等の刑に処せられるのを見て、フォークスは自ら死刑台から飛び降り、首の骨を折って絶命した。
そして、以降11月5日は「ジェイムス1世が暗殺されず、イギリス国教会が守られた日」ということになって毎年祭りが開かれるようになった。
それが「Guy Fawkes Night(ガイ・フォークス・ナイト)」で、盛大に花火を上げて祝う。
子供たちはガイ・フォークスの人形の首にヒモをくくり付けて街中を引きずり回し、「A penny for the Guy!」と大人たちにねだる。
まるっきりハロウィンの「Trick or treat!」。
ハロウィンの子供たちの習慣の歴史は1950年からと歴史が浅いので、ガイ・フォークス・ナイトがオリジナルと言えるようだ。
そして、その引きずり回してボロボロになったガイ人形を焚火にくべるのだそうだ。
残酷だナァ。
いつもMarshall Blogに書いている通り、向こうは「水に流す」ことを良しとしない文化なので、いつまでたっても怒りを解くことをしない。
一部の地方の反マーガレット・サッチャーがいい例だ。
でも、数年前にイギリスの人にこの祭りのことを尋ねると、子供たちによるガイ人形の「市中引き回し」はもうやっていないそうだ。
ハロウィンに取って替わっっちゃったのかな?1_gfnさて、下のお面。
コレが銀行や宝石店を襲撃する連中のマスト・アイテムであることは皆さんご存知の通り。
「ガイ・フォークス・マスク」という。
細おもてに「イングリッシュ・マスタッシュ」と呼ばれる口ヒゲ…なるほど上の肖像画のガイ・フォークスのエキスが取り込まれているような気もするが、本人の方が全然ステキだ。
「火薬陰謀事件」から大分時間が経って18世紀にデザインされたらしいが、「悪事を企んだ者」として悪意を持って醜くデザインされたそうだ。
みんなまだ怒ってるから。
このことから察せられる通り、「guy」という言葉は、元々「醜いヤツ」という意味で使われていたらしい。Gf 
「ラウンド」
「割り勘にする」ことを英語で「Go Dutch(ゴー・ダッチ)」という。
ナンで「オランダ」なのか?
17世紀のイギリス人の商人が、当時ケチとされていたオランダ人をバカにしてそういう風に言い出したらしい。
で、加藤さんが解説している通り「ラウンド」というのはイギリス流の割り勘の方法。
例えばアナタと私がパブに行って、最初の1杯は私が代表してカウンターに行ってすべて支払う。
1パイントぐらいすぐに飲んじゃう。
イギリスのビールは本当においしいからネェ。
すると2杯目はアナタがカウンターに行って私のビールの分もまとめて支払って頂く。
どこで終わるかということはあるにせよ、盃が重なれば基本的に支払いはと割り勘になる…というワケ。
コレはパブでの支払い方法がキャッシュ・オン・デリバリーなので、最後に全てまとめて支払うということができないことから自然に生まれたシステムなんだと思う。
私もMarshallの連中と飲みに行くとコレに加わる…というか、加わらざるを得ない。
2人の時は簡単なんだけど、大人数でやると大きな不公平が生じるケースがあるワケ。
自分が支払う番が来る前にみんなの腹がタプンタプンになって「お開き」になることがあるのだ。
この場合はタダ飲み。ちっとも割り勘ではない。
フランクフルトの駅前で飲んだ時はまさにコレだった。
こういう時はどうするかと言うと、「いいよいいよ、また次の機会に頼むわ!」となるんだけど、私のような海外からの参加者には幸いにしてまず「次の機会」はやって来ない。
結果「飲み逃げ」である。
下はロンドンのブルームズベリー地区にあるパブ。
夕方になるとロンドンの街はそこらじゅうがこうなっちゃう。
間違いなくみんな「ラウンド」をやっているハズ。Img_9482 コチラはThe City(ロンドンのビジネス街)のレドンホール・マーケット(Leadenhall Market)のパブ。
上のブルームズベリーと客層が全く違う!
考えてみるとこの「ラウンド」というシステムはカウンターの混雑を緩和させる目的もあるのかも知れないな。
こんなに立派なサラリーマンもラウンドで飲んでいるハズ。
さっき書いた通り、こんな場所でも結構気後れするよ…紳士も淑女もみんな背が高くてバリっとしていてカッコいいから。Img_0909 オモシロかったのはマンチェスターへ行って下のパブに入った時のこと。
私が「ひとりラウンド」でエールを味わっていると男女混成の7人ぐらいの若いグループが隣の席にやって来た。
すぐに「最初はオレが払うよ!」となる。
「お、やってるやってる」と思って様子を窺っていると、3回目ぐらいになると女性がお代わりを断り出した。
それでも男性だけでラウンドをやっていたんだけど、明らかに迷惑な顔をしているヤツが出て来た。
そのウチ飲むヤツがひとりになっちゃって、私と同じ「ひとりラウンド」でになってしまい、つまらなそうに飲んでいた。
ラウンドを繰り返すたびに盛り上がっていく過程がとてもオモシロかった。
考えてみるとその人を誘って2人ラウンドすればヨカッタか…イヤイヤ、それほどは飲めません!330_2 
「規格品になるな」

イギリス人は洗剤で食器を洗った後は濯(すす)がない。
つまり洗剤を水で流し落とさない、ということに加藤さんはギョっとしたという。
コレは本当の話。
実際にイギリス人に確認して私もビックリした。
それだけ「人体に無害な洗剤を使っている」ということが言えるんだけど、加藤さんによれば次回同じ皿を使った時に、残留している洗剤で料理の味が変わってしまうことをイヤがる人もいるそうだ。
そこかよ!?…感覚の違いを感じるナァ。
そもそも、向こうの人はあんまり料理をしないからね。
知り合いのイギリス人曰く、冷凍食品を温めてそのまま食べて、終わったら容器ごとポイと捨てるので食器を洗う機会も少ない…のだそうだ。
家内が「毎食素材から作っている」と言うと、「エエエ!ホントに毎回作ってるの?」と真剣にビックリして、ご主人に「アナタも作ってもらいたい?」と訊いていた。
ご主人は「イ、イヤ、別に…」みたいな感じだった。Dish「流さない」と言えば、映画なんかを見ていると、向こうの人って風呂に入る時にアワアワの湯船から出てそのまますぐにバスローブを着るでしょ?
我々の感覚だと「流し湯をしないの?」と思うけど、アレでおしまいなんだって。
というのは、西洋の水道水は硬水で、そのままにしておくと含有している強い石灰分で肌がカサカサになってしまうのだそうだ。
そこでそうなる前に湯船に保湿成分を含んだ石鹸を入れておく。
それがあのアワアワ。
だから最後にあのアワアワを洗い流してしまうとせっかくの保湿効果が期待できなくなってしまうのだ。
私なんか海外出張すると、備え付けの石鹸でガンガン洗ってほったらかしているけど何ともないよ。
ただ、硬水だと石鹸が泡立たないのでムカっとくる。Ab …と、加藤さんの著書をお借りして、しばらくイギリスから遠ざかっているウサを晴らすようにゴチャゴチャと書いてしまったけど、<前編>の冒頭に書いたようにこの本を読んで頂く時の付帯知識として楽しんで頂けていればうれしいことこの上ありません。
  
私はもう年齢的に「海外で生活したい!」なんて思わなくなった。
食餌の違いにもう全く耐えられないのだ。
それでも半年ぐらいドップリ腰を落ち着けてイギリス国中を回り、加藤さんのように随筆を書いてみたいナァ…とは思うのです。
自分がこれまで蓄えて来た愚にもつかないウンチクを交えて濃い文章を書く自信はあるんですけどね…。
誰かやらせて頂けませんでしょうか…ムリか…Marshall Blogできなくなっちゃうもんな。
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