Foujitaを観てきた!
久しぶりに美術館に行って来た。
没後50周年記念展示ということで前から楽しみにしていた『藤田嗣治展』。
イヤ~、かなりジックリ観入ってしまった。
場所は上野の東京都美術館。
平日にもかかわらず開場前からこの行列。
『おべんとう展』なんてのもやっていて、そっちも人気があったようだけど、ほとんどが『藤田』。
ウワ~!
こっちもすごい行列だ!
もう一度書きますが、平日の朝ですからね、コレは。
こっちはシャンシャンの行列。
空いていれば帰りに見て行ってもいいかと思ったけど60分待ちだっていうからヤメた。
美術館に戻ってくると、ホンの1、2分の間に行列がアホほど伸びてる!
コレじゃ中がキューキューになっちゃうぞ!(←「列」を意味するイギリス英語「queue(キュー)」のシャレです)
前からこの人の絵を観たいと思っていたのね。
それで下の評伝を読んで尚更その気持ちが高まっていたところにこのタイムリーな企画。
スゴイんですよ、藤田さんは。
まず家が金持ち。
お父さんはお医者さまで、森鴎外の後任で軍医のトップまで上り詰めた人。
何しろ家柄がよろしい。
やっぱりね、絵でも音楽でも芸術は金持ちじゃなきゃ無理よ。
例えモノスゴイ才能があっても貧乏人はその才能を開花させるチャンスがない。
「運も才能のうち」かもしれないが「裕福さも才能のうち」なのね。違うか、裕福な家に生まれること自体が「運」だもんね。
1913年(大正2年)にパリに渡ったのも家に金がなきゃできないよ。
モンパルナスに住んでモジリアニと仲良しだったっていうからスゴイ。
ストラヴィンスキーの「春の祭典」の初演は1913年のシャンゼリゼ劇場。
藤田はニジンスキーが踊っていたのを観たらしい。
晩年は戦争画を手掛けたことによって政治的な苦労をしてしまうが、最後はパリに戻ってキリスト教に帰依し、尊敬するダ・ヴィンチにちなんだ「レオナール」という洗礼名を受けて生涯現役のままを人生の幕を降ろした。
当然展示品は撮影禁止なのでココに貼り付ける内部の写真はなし。
それでも携帯で絵の写真を撮っているバカがいるんだよ。ジジイ。みっともない。
ま~、わかっちゃいるけど日本は相変わらずのヒドイ美術館事情だな。
ギッチギチに混んでいて、壁に掛かっている絵と距離をとることが一切できない。
係員は「トットと移動しろ」と急き立てる。
そして有名な作品にばかり人が群がって、「ハイ観ました。終わり」とばかりに足早に会場内を移動するパーマ頭のオバサン。
「ルーベンス」がどうのとか言ってたけど、ネロじゃあるまいし、どうなの?
ああいう人たちは一体どこから湧き出て来るんだろう?…ものスゴイ美術通だったりして。
そこへ行くとロンドンでもニューヨークでも、たとえそれが特別展であっても、ギューギューな感じにはならないんだよね。
好きな絵を、好きな方法で、好きなだけ観ていられる。
それでも2時間以上は観ていたかな?
会場の外に出て来てビックリ!
行ったのは10月4日。10月8日までの開催とあってか、すさまじい混雑ぶり!
イヤ、コレ20分待って入ったところで、中はパンパンで絵なんか見れないよ。
これこそが日本流美術鑑賞法なのだから仕方ないけど。
また書きますけど、コレは平日ですからね。
土日って一体どんなザマだったんだろう?
それでもまだガンガン人が入ってくる。
さっきの「20分待ち」の「20」が「50」になるのも、それこそ「時間の問題」だろう。
せっかくなので藤田さんと記念撮影。
何しろパリで経済的に苦労したのは2年だけだったっていうんだよね。
日本人としては、ダントツで世界的に有名な画家なのよ。
そのココロは何か…やっぱり「オリジナリティ」なんだよね。
それでも初期の作品はキュビズムに影響されたピカソのコピーまがいやモジリアニのパクリなんかやってるんだよね。日本ではこういうのは「トリビュート」っていうのかな?
しかし、「芸術の都」という本場に乗り込んで、誰もやらないことを考えて、和の手法を自分のスタイルに取り入れた。
コレが成功の秘訣だった述懐している。
でも、その仕上がりが決して「和」一辺倒でないところがパリの紳士淑女にもウケたんだろうな。
藤田さんはそれをすぐに察知したんだろう。
外人って「ジャパン、ジャパン」って騒いだって結局ドンズバは苦手なんだよ。「サシミが好きです」って言ったってサーモンしか食べやしないのさ。
私は芸術家では全くないけれど、やっぱり人と同じことをやってちゃダメなんだな~…と痛感したよ。
その点、Marshall Blogはどうなんだろう?図録も買った。
¥2,400也…一度しか聴かないCDを買うより格段に価値がある。
私も絵を観るのは結構好きで、こうして興味がある展示があると観に出かけるんだけど、これほどホンモノと印刷の差がハッキリ出る絵もあんまりないのではないか?と思った。
ゼンゼン違うのですよ。
今回、観てみたかった作品に一連の「戦争画」があったのね。
イヤ~、ホンモノはスゴかった。呆然としちゃうね。
それと藤田と言えば必ず出て来る「乳白色の肌」。西洋美術ではタブーとされている「白」を「色」として使ったとか…。
いつでも常識とされていることの逆を考えたっていうんだよね。
でも、この乳白色の顔料を作る時は絶対に誰もアトリエに入れなかったし、製造法は門外不出だったらしい。
あと、構図がスゴイ。
特にタテ組みの作品。
大胆なだけど、すごく計算されている感じ?