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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 その16~ロンドン2 <女王陛下のロンドン 前編>

2012年8月10日 初出

昨日入った雨のロンドン。今日もまた天気が悪い…。こんな天気だからどうも動きも鈍くなる。寒いし…。テレビのオリンピックの中継を見てるとダウン・ジャケットを着てるレポーターがいるもんね。今、8月だぜ?! そんなんだもん、6月なんて寒いに決まってる…と言いたいところだけど、この時、1週間前まではメッチャ暑かったんだから!

時間もモッタイないので、とにかく重い腰を上げて市内をブラつくことにしよう。例の公園を通ってトッテナム・ヘイル駅へ向かう。

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この日まず訪れたのはテムズ川の南、ブリクストン(Brixton)という街。
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ここには有名なコンサート会場があって、それの取材で訪れたのだが、ここも黒人比率が大変に高い。
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住居エリアではあるが、住民の24%がアフリカン、カリビアンの人々で、ストリート・マーケットや小売店が立ち並ぶマルチ・エスニック・コミュニティだ。
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GREGGSを発見!

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美しい塔が立つ建物はタウン・ホール。

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他のロンドンの街同様に美しい建造物が立ち並ぶ。ところが、このブリクストンという街、ギャングの巣窟なのだそうだ。

…などということはツユ知らず街をブラついてみる。海外での「知らぬが仏」は下手をするとホンモノの「仏」にならないとも限らないので注意が必要だ。

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すると、こんな素敵な映画館に出くわした。1911年にオープンし、幾度となく名前を変え、現在は「Ritzy Cinema」と呼ばれている。750キャパの純粋な映画館だが、最近はライブも催されている。

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横の塀には往年のハリウッドのスターのポートレイトが飾ってある。シドニー・ポワチエの顔が見えるのは黒人比率の高い街だからか?ポワチエは黒人ではじめてアカデミー主演男優賞を獲った人。『野のユリ』だったかな?この人(写真右から3番目)、『手錠のままの脱獄』だとか『招かれざる客』だとか『夜の大捜査線』とか、黒人ということをフィーチュアしたジャンルが大きく異なる名作にたくさん出演しているんだよね。

中学生の時、何の予備知識もなく、今はなきテアトル銀座にフラッと入って観た『ケープタウン』っていう映画がヤケクソに面白くて、子供ながらに実に得した気分になったっけ!

もうひとつシドニー・ポワチエで思い出すのは『夜の大捜査線』。ヴァージル・ティップスっていう刑事役。殺人事件の捜査で南部にやって来て人種差別を受けながらも、捜査を進めるうちに地元のイジワル警官と友情が芽生えるみたいな話し。音楽はクインシー・ジョーンズ。主題歌を歌ったのはレイ・チャールズ。

で、あるアメリカのアコギ・メーカーの人と映画の話しになって、シドニー・ポワチエの話しになった。『夜の大捜査線』の話しをしたいんだけど、何しろ原題がわからない。内容を説明すると、相手もそれがポワチエの何かを即座に分かってくれたのだが、相手もタイトルを忘れてる。

本当に邦題ってのは迷惑だな~…と思ったね。その晩、家に帰ってから何かの拍子に思い出したこの作品の原題は、『In the Heat of the Night』という。これのどこが『夜の大捜査線』なのよ!「夜」だけじゃん、正確に訳されてんの!

翌朝、このおばさんと会って、指を差し合いながら目を合わせた瞬間に出た私と彼女のセリフは…「In the heat of the night!」だった。

ブリクストンは『イギリス・ロック名所めぐり』で後日再度取り上げる。
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その足でキルバーン(Kilburn)というところに来たよ。ここにも有名なコンサート会場がありましてね…。

急に晴れてきた。

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晴れりゃこんなにきれいなのにナァ~。

いつも通り低予算の旅でござんして、豪華な食事などは望めない。今回は特に切り詰めなきゃいけないんだけど、ま、少しならたまには食べたいものを食べてもいいでしょう?…というのは目の前においしそうな焼き餃子の看板が現れちゃったのですよ。これにビール…ク~、ガマンできん!

写真を撮ればよかったんだけど、雨が降ったりやんだりだったので面倒でスキップ。その看板には「Fast Noodleナントカ」って書いてあって、おいしそうなタンメンのようなものが見える。もーガマンできん!

餃子とワンタンメンとビールを頼む。まず餃子が出てきた。フム、優秀、優秀。ちょっと皮が厚手だか餃子飢饉の舌には十分すぎるぐらい「餃子」。酢は黒酢。ハフハフいいながらビールで流し込んで…と。

さあ、ワンタンメンが来るぞ~! ♪ワンタンメン!ワンタンメン!キタ~!

(間)

(さらに間)

何じゃコレは?麺がヤケに角ばってるじゃねーか?打ちたて信州そばってか?ま、ツベコベ言ってないで食べてみよう。

ドワ~!いくら「ファスト・ナントカ」だってこれはないだろう?オマエ、これカップヌードルの麺じゃねーかよー!コシのコの字もありゃしねぇ!フカフカじゃねーか!

それになんだ、このスープは?味ねーよ!味がしないっつってんの!「究極の湯麺」ってか?オイオイ、まさかお湯に麺を入れただけが湯麺だと思ってたら許さねーゾ!でも、ワンタンはエビが入っててウマいな。

上に乗ってんのはキャベツかと思ったら白菜だよ。ま、いいか。おい、チョット待て!食ってみたらコレ漬物じゃねーか!すっぺーよ!どこにラーメンに白菜漬け乗っけるヤツがいるよ?! 残してやったゼイ。

トホホ…損した。マックにしとけばよかった…。

店を出たら出たでまた雨が降って来やがった…。弱り目にたたり目だ。旅前半のウマイもの特集はどこへ行った?
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惜しかったね~!なでしこジャパン!普段はスポーツの試合なんか見ないけど、さすがに応援しちゃった!(というか朝目が覚めちゃうだけなんだけど…)

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ここが試合会場となったWenbley Arena。

「フットボールの聖地」としてテレビでさんざん解説していたので詳しい説明はここでは割愛する。ちょっとだけ記すと、さすがに90,000人もの観客を収容できる大スタジアムとだけあって、周辺にはジュビリー線とメトロポリタン線の「Wembley Park」、ベイカールー線と国鉄の「Wembley Central」と4つもの駅がある。水道橋よりよっぽど人のハケがよさそうだけど、あのなでしこの試合後に会場から出てくる観客の数を見てるとそうもいかなさそうだ。

下の写真は「Wembley Park」駅側からスタジアムを見たところ。

初めてウェンブリーに来たのはずいぶんと前のこと。「London Guitar Show」というフェアがあってそれに参加した時だ。あの時は楽しかったナ…。

それでもマーシャルの連中からはウェンブリーはあまり治安が良くないので気をつけて!なんて言われたのを覚えている。

ところで、突然クイズ!

毎年この時期に開催されるイギリスの大型ロックフェスのひとつ、グラストンベリーが今年は開催しないことになりました。2年前から始まったロンドンの「High Voltage Festival」も今年は開催せず。な~んでだ?

答えはね、オリンピックで使いすぎて、移動式トイレが足りなくなっちゃったからなんだって!ビックリだ~!
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右に見えるのは20,000人収容の「Wembley Arena」。バドミントンの会場になったところだ…というよりもシゲブログの読者の皆さんには9月22日に『マーシャル50周年記念コンサート』が開かれるところと言った方がシックリいくかもしれない。
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さて、ウェンブリーを後にしてブラついたのはセントラル線の「Queensway」から「Lancaster Gate」にかけて…。さっそくおもしろいものを発見!それはこの写真の茶色い建物。
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こんなプラークかかかっていた。「1940-1945年、チェコスロバキアの亡命政府はこの建物に設置された。1942年3月27日にプラハで実行されたナチスのリーダー、ラインハルト・ハイドリッヒの暗殺計画「アンスロポイド作戦、類人猿作戦(Operation Anthropoid)」は1941年10月、ここで立案された」とある。

このハイドリッヒというのはナチスでも相当な実力者で、ヒトラーの後任とまで言われていたらしい。とても残忍な性格で、ユダヤ人虐殺の首謀者のひとりでもあり、あだ名が「金髪の獣」とか「絞首刑人」というのだからおだやかではない。

しかも、占領したチェコスロバキアでは反体制派の中産階級のインテリはジャンジャン抹殺るす一方、労働者階級を手厚く保護しちゃうという「アメとムチ」政策をとったもんだから、チェコから反対分子がいなくなっちゃった。

これじゃマズイってんでチェコの亡命政府がイギリスと手を組んでこのハイドリッヒを暗殺しちゃったという話し。

ハイドリッヒは地元住民に対する自身の印象をよくしようとボディガードをあまりつけなかった。「みんなの友達よ~」と親しみやすい雰囲気を演出したのがマズかった。手りゅう弾を車に放り込まれて一巻のおわり。

ヒトラーはこの報復として1万3000人のチェコスロバキア人を虐殺した。これに起こったウィンストン・チャーチルは「ナチスが破壊したチェコの村ひとつにつき、ドイツの村を3つ破壊する」と提案したそうだ。

結果的にはこの作戦はナチスの要人暗殺計画で唯一成功したものとなった。

このビルでそんなことを計画したとはネェ。

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このあたりも素晴らしく豪奢な建物が並んでいる。
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何もこんなに大げさな標識を置かなくたってよさそうなもんだけど…。
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感じのよさそうなパブだ。しかし「Swan」って名前のパブって多いような気がするな…。

また雨が降ってきた!

そういえば、今回まったくロンドンの中心街へ行っていないことに気づき、「Diamond Jubilee」期間中、どうなっているか気になり出した。「ま、どうせいつもと同じだろう」と思っていたら…
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行ってみて驚いた!
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ここはOxford Circus。

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いつも人通りが多いところだけど、普段とは比べものにならないぐらいの人出だ~!

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それにこのユニオン・ジャックのオンパレード!スゴイ!
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街の売店もたくさんの人手を当て込んで飲み物をたっぷりと冷やしたんだけど、寒いからちっとも売れん!

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オックスフォード・ストリート。
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ちょっと大通りから小道に入るとこの通り。そこら中にテーブルを出してイッパイやってる!期間中、こうした場所が中心部に9,000か所設置されたらしい。
どっかで見たことあると思ったら、なんのことはない、三社祭と同じじゃん!

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ここはカラオケ大会みたいになって大盛り上がり!このおじさん、メチャクチャうたうまかった!
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ま、こうして全然静かなエリアもあるけどね…。
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つづく