イギリス紀行2012 その17~ロンドン3 <女王陛下のロンドン 後編>
2012年8月20日 初出
オリンピックは終わっちゃったけど、シゲブログはまだまだロンドン!
何でもオリンピック開催前にロンドンの行政サイドから「期間中市内が混みまくるから、ロンドンに来ないでチョーダイね~」とあんまり呼びかけたものだから、市内はまったく予想に反してスキスキだったとか…。それに引き換え…。
今日は「Diamond Jubilee Weekend」で盛り上がるSohoから。夕方になるとパブから道路まで人があふれ出すこのエリアだが、さすがに今日は一段と人が多い!
ここは有名なMarqueeの2代目の店があった通り。何の人だかりかと思ったら…
この通り!マッチョマンのコンテストで大いに盛り上がっている!
パブの2階をステージに見立てている店も多い。まったく大したパフォーマンスでもないのだが、大勢の人が集まって盛り上がらざるを得ない雰囲気なのだ!
隣のビルのオッサン見て!そこからは撮れないだろうに?! 夢中になって落っこちやしないかと期待していたが、チッ、無事だった!
ここはヤケにダークなムードだな…。ね~、ガッチリとジャンパーを着ているヤツがいるかと思うと半ソデのヤツもいる。実際はかなり寒い。
また晴れて来た。
それにしてもこのユニオン・ジャックのトンネルは圧巻だ。東京で同じことを日の丸でやったら絶対に異様なムードになる。これが戦勝国との差なのか?
しかし、カッコいいよね、ユニオン・ジャック。ウェールズの人たちには気の毒だけど…。それにしてもロンドンでなくても最近のユニオン・ジャックの流行りはスゴイ!どこを見ても街中ユニオン・ジャックだよね。jこれが日の丸だったらただの赤い水玉になっちゃうゼェ。
ピカデリー・サーカスなんかさぞかしスゴイことになっているだろうと期待して行ってみたが、意外にもいつもとまったく変わらなかった。
さて、悪天候に悩まされ続けた「Diamond Jubilee Weekend」もあと2日。今晩はバッキンガム宮殿の前でコンサートが催される。明日の最終日はパレードだ。
60年に1回の大イベント、何かしらに参加した方がいいのはわかっているんだけど、こう人出が多いと億劫になってしまう。今日のコンサートは雨の心配もなさそうというので、チョコッと様子を見てみようかな…。もちろんチケットなんかとっくの昔にソールドアウトになってるから、バッキンガム宮殿の近くまで行って立ち聞きしようという魂胆だ。
バッキンガム宮殿って案外すぐ近くに地下鉄の駅がないんだよね。「二重橋前」みたいに。もう歩きたくないけど、ピカデリーを歩いて、グリーン・パークを横切ってバッキンガム宮殿に向かおう。
「ニューキャッスル」の回でも触れたけど、ちょくちょく見かけるアーケードを覗くのは実に楽しい。オリンピックのマラソン・コースにも含まれていたアレだ。
どこも格調高く、ポッシュな雰囲気が自分にはピッタリだ(ウソばっか!)
これは有名なBurlington Arcade(バーリントン・アーケード)。中に入ってみる。
オ!カッコいい靴!シャレっ構わない私ではあるけど、なんかイイなぁ。何やら女王に靴を献呈しているお店のようだ。高いんだろうナァ。欲しいナァ。でも、すぐにボロボロにしちゃうからナァ、オレ…。
Ritzも女王陛下の在位60周年を祝っている。
この辺りからもうスゴイ人出で前に進むのも難儀になってくる。みんなバッキンガム宮殿に向かおうとしているのだ。そして、宮殿はRitzのとなりのGreen Parlを横切ればよいのだが、ナントGreen Parkが完全に立ち入り禁止になっている!入口という入り口、塀沿いにもたくさんの警備の警官が立っていて猫の子一匹入れないありさまだ。
それもあって辺りがゴッタ返しているのだ。クッソ~、それじゃ少し戻ってSt James Streetを通って宮殿方面に南下するか…もう足が痛くて痛くて一歩たりとも余分に歩きたくなのに!
途中でカッコいい玄関を発見!
ブルー・プラークが付いているゾ…ナニナニ…「ロバート・ウォルポールとその息子ホレス・ウォルポールここに住む」か…。
オヤジの方のロバートはイギリスの最初の総理大臣。その息子のホレスは鑑定家、にしてMan of Letters。コレ、郵便局でもやってたのかと思ったら、「Man of Letters」というのは「知識人」を意味するらしい。日本語の感覚で言うと「インテリ」みたいな感じか…。
素敵な靴屋さん!ロンドンで見かける古いカバン屋、バッグ屋、文房具屋、傘屋の類は本当に素敵だ。
やっぱり宮内庁…じゃない王室御用達!左の紋章はエジンバラ公の、右はウェールズ王子の、それぞれのブーツを作ることを任命されているというもの。
こちらは由緒正しい帽子屋さん。実は帰国後偶然にこのお店のドキュメンタリーをNHKで見た。昔ながらの製法で帽子をひとつひとつ手作りしている。ちょっと名前は忘れたが、典型的なイギリス紳士がかぶる黒い帽子は、お客さんの頭の形やサイズを測量して、うさぎの毛を使い、地方にある自前の工場で作られるそうだ。価格は5~6万円って言ってたかな?洋服で言えば「Bespoke(ビスポーク)」というヤツだ。
このSt James's Palaceはあのヘンリー8世の命によって作られた、ロンドンでももっとも古い宮殿のひとつ。現在も王室のメンバーが住んでいる。
この建物の向こう側はThe Mall(ザ・マル)。オリンピックのマラソンのコースになっていたところ。バッキンガム宮殿からトラファルガー広場方面に向かってまっすぐに進む参道(?)だ。ここにコンサートの観客が収容されると聞いたので少しでも近くへ行ってみようとした。
いつもならこのSt James's Palaceの横を抜けて行かれるのだが今日は厳戒態勢で一歩も足を踏み入れることはできない。
疲れた~。骨折り損のくたびれもうけか…。コンサートは帰ってテレビで観ることにしよう。しかし、この辺駅がないんだよな~。雨がまた降って来た。足が痛いよ。
何とかピカデリー・サーカス駅まで歩いてトットとトッテナム・ヘイルへと向かう。駅前で簡単な食べ物とビールを買って…と。後はゆっくりテレビでジュビリー・コンサートを鑑賞しよう。
ちょっとここから長いけど、コンサートのようすを記しておいた。音楽好きの方には是非お読み頂きたいと思う。
コンサートはBBC 1が最初から最後の最後まで完全生放送。もちろんCMなし。日本ではこんなことできないだろうナァ。エリザベス女王というかロイヤル・ファミリーへの敬意や人気もスゴイが、生活の中での音楽の、特にブリティッシュ・ロックのポテンシャルが全然違うからね。何せビートルズに勲章を与える国なんだから!
冒頭にすべての出演者が紹介されたが、ポールへの歓声が案外大きくないことに驚いた。それに引き替えトム・ジョーンズへの歓声が大きいのなんのって!観客の年齢層が相当高いのかしらん?
テレビの映像はただただ映しっぱなし、流しっぱなしで、演奏する曲名はおろか出演者の名前すら画面に出てこない!トップはロビー・ウリアムス。こんなの人気あるのかね?後でマーシャルの社長に訊いたら上がったり下がったり…だって。
エリザベス女王は途中からの列席。ハー・マジェスティの耳にはしっかり栓がはめ込んであった!王室御用達の耳栓ってどんなのかな?よくできてるんだろうナァ~。
前半は各出演者とも1曲だけ演奏する。クリフ・リチャード、シャーリー・バッシー、トム・ジョーンズ(みなさん貴族でいらっしゃいます)あたりから複数の曲を演奏。
そしていよいよエルトン・ジョンの登場だ!
曲は;
1.?
2.Your song
3.Crocodile Rock
の3曲。声出ねー!何か見ていてレジはも楽しくなさそうだ。何とも仕方なしに演奏している感じ。
それにしてもイギリス王室の国民からの愛されようはスゴイ!また海外からもジャンジャン観光客が来ちゃうところが信じられんよね。日本の皇室も国内では人気あがるけど、何かのお祝いで隣国の観光客がワザワザ訪れるとは思えない。また、イギリス人という人種はこういう記念行事が好きなのね!
クリフ・リチャードがインタビューで、「50周年のお祝いコンサートの時、女王に『またできますかね?』と訊いたら『担当に聞いてください』と答えた」とか。こういうところが天然っぽいところがまた可愛くて人気があるようだ。退屈だったワケでもないんだろうけど、コンサート中、女王は微動だにしてなかったナァ。
続いてスティービー・ワンダー。セットリストは;
1.Sir. Duke
2.Isn’t she lovely
3.Happy Birthday
4.Superstition
一生懸命演ってたよ。すごくヨカッタ!
そして、トリはポール。ああ、見なきゃヨカッタ…声は出ないし、音程はシャパラパだし…。悔しいデス!
1.Magical Mystery Tour
2.All My Loving⇒ここで皇室総立ち!そして合唱!
3.Let it be
4.Live And Let Die
5.Ob-la-di, Ob-la-da
最後に「Ob-la-di, Ob-la-da」を演奏したのは、みんなで歌いやすいようにということもあろうけど、タイトルの意味である「Life Goes on」という意味を込めたのかもね。ようするに「Long Live Queen」だ。
すべての演目の後エリザベス女王がステージに登場。あいさつはチャールズ皇太子。何のことはない、女王が誰より人気あるやんけ!あいさつするチャールズのすぐ後ろにポールとレジが立っているというのもスゴイ図だった!
チャールズが挨拶の中で女王のことを「Her Majesty」とか「Queen」とか呼んでいたが、最後に「マミー」と呼んだのには大ウケ!チャールズの人気もマンザラでもないような。
もうひとつ大爆笑をゲットしたのは、「神様、天気をよくしてくれてありがとう!」だった!私も吹き出しちゃった!何しろチャールズ皇太子は、チョット前にテレビでお天気レポーターやったからね。それにしても前日はひどい天気だったからその効果は本当にあったのかもしれない!
今日はチャールズのダディ、フィリップ・エジンバラ公は入院のため欠席。すると「ダディが病院で聞いているかもしれないから皆さんで応援をお願いします!Hip! Hip!」と言うと70,000人の観衆が「Hurray!」と応える。
「Hip! Hip!」、「Hurray!」
これを3回。1対70,000で!日本でいうと万歳三唱みたいなもの。ようするにお父さんに送ったエールだ。「Hurray」というのは「フレー」。そう日本の運動会の時にやる「フレ~、フレ~、あ~か~ぐ~み」の「フレー」だ。
さすがに最後の「God Save the Queen」にはグッときたな。イギリスが過去に何をしたのかまったく知らないワケではないし、経済的には弱くはなったけど、世界中の人に尊敬されているのを感じるね。今回のオリンピックを見ていてもそう思う。日本もそんな国になってもらいたい。
こういう姿を見るとますますイギリスが好きになるのと同時に自分の祖国がますます愛おしくなる。日本人も島に住んで、皇室を有し、悠久の歴史を持っているのだから当然なのかもしれない…。日本だって政治さえしっかりしてればナァ…。アメリカの大統領候補に「我々は日本のようにはならない」なんて言われようないようにして欲しいよ。
まずは小学校で英語の授業を導入する前に、政治家はひとり残らずディベートできるレベルになるまで英語を死ぬ気で勉強するこった!国を代表する者が英語ぐらい自由に話せないから世界中からナメられるし、外国の要人とよいコミュニケーションが取れないのですよ。何をやったって外国人にいきなり「心」なんか通じないよ。「言葉」があるから「心」が通じるのですよ。連中がそういう文化なのだから、それに合わさなきゃしょうがないでしょ。国会議員の立候補の条件に「TOEIC900点以上」を加えればいい。スイマセン、つい熱くなってしまった!
コンサートの最後は盛大な花火(圧巻!)とエルガーの「祝典序曲」。コレばっか。でもおもしろかった~!
つづく