Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 4 <バトラーズ・ワーフでシェー!>
2012年9月11日 初出
キングス・クロス駅(King's Cross)。こっちの人は「King's X」なんて書きますな…カッコいいね。
『ロンドン紀行2012』のスコットランド行きのところで紹介した通り、この駅は北へ向かう路線のターミナル駅。東京でいえば上野ですな。いつもたくさんの昇降客でゴッタ返している。
今日も天気の悪さは絶好調で、日が経つにつれて回復してくれるどころか、日増しに悪くなってる感すらある!なので、先を急いでもどうせ雨に遭って足止めを食らうから、「焦らずゆっくり行こう!」ということになった。
そこで、くり子さんのリクエストにこたえて、キングス・クロス駅名物の「9と3/4番線ホーム」を見に行くことに…。
「きゅーとよんぶんのさん?ホントにそんなのあるんですか?」とくり子さんに訊きなおす。「あるわよ~!」とくり子さんは駅の案内係に突撃!
ホントだ!ホントにあるのね?で、これナニかと思ったら「ハリー・ポッター」に出てくるんですってね?くり子さんがポッタリアンだったとは知らなんだ。
私は原作を読んだこともないし、映画をほんのチラリとしか観たことがないのだが、そのチラリと観た瞬間にお隣のセント・パンクラス駅が登場していたのを見逃さなかった。
その奥にはFuller's直営のダイニング・ルームができていた。Fuller'sは由緒正しいビールメーカーで、工場のひとつがハマースミスにある。以前はハマースミスのホテルを定宿にしていたので、工場の周りを散策したことがあったが、工場稼働時に近くに行くと何ともいえない、普段の東京の生活にはないにおいがあたりに充満していた。麦を加工する過程のにおいらしい。私は決していい香りだとは思わなかった。
このことをホテルの受付の若い女性に話すと、「アラ!いい香りじゃない?私は好きよ!このあたりの人はみんなあの香りが好きなのよ!」と言っていた。
どこかのパブでもらって来たFuller'sが出している小冊子、「賢い飲み方ガイド」。中を見ると「賢い飲み方のコツ」が書いてある;
1.自分のペースで飲むこと
2.何かを食べながら飲むこと
3.ソフトドリンクといっしょに飲むこと
4.「Ikki」はしないこと
…ま、4はウソだけどね。
ひとつひとつ文句をつけるのであれば(別段文句をつける必要はないんだけど、がチョット言いたくなるようなコツなんだもん!)…
1.自分のペースで飲みたいけど、もしそうすれば、同席しているイギリスの人たちの5倍は飲んでしまうことになる。間違っても彼らみたいに1パイントのビールを飲むのに1時間もかけられない!こちとら江戸っ子だ!と思わずにはいられないイギリス人のスローペースなのだが、もちろん私なんてのは最もよくない飲み方で、そういう人に惑わされずゆっくり飲みましょう…ということ。
ホントに遅いから。チビチビチビチビチビチビチビチビ飲む。絶対にグッとはやらない。エールなんかはもともとあまり冷たくない状態で出されるが、アレだけ時間をかけて飲んだ日には、前日に煎じて置きっぱなしにしておいた漢方薬みたいになってしまう。
2.ロンドン等の都市部のパブでは料理を出さないのが普通。どうやって飲みながら食べるのよ?またポテチか?
3.ガイドには「例えば水」と書いてあるが、そんなことできないでしょ?ビール飲みながら水飲めます?んなバカな!だいだいパブでそんなことしてるヤツなんか見たことない。
そうそう、向こうの人がこっちへ来てイッパイやるでしょ?我々ってお酒を飲んでる時ってご飯(米)食べないじゃない?もしくはご飯(米)を食べてる時は飲まないよね?少なくとも私はそうなんだけど、向こうの人ってゼンゼン平気なんだよね~。〆のご飯とみそ汁に合わせてガンガンとビール飲んじゃうの。別に構わないんだけどサ…。
いつまでもキングスクロスにいてもしょうがないので、先に進むことにした。今日も天気が悪いのは重々承知していたが、予定通りテムズ河畔をめぐることにした。
そしてTower Hill駅へ向かった。改札を出るとものすごい人!何だろうと思って外を見ると、ナント暴風雨!何だよ、もういい加減にしてくれよ!と怒鳴りたくなるほどのヒドさ…。しかも激寒!
ほんの少し小降りになったのでロンドン塔(Tower of London)をバックにパチリ。くり子さんのこの格好!!完全防備!
あまりにも天気が悪いので近くのパブに入って少しでも天気が良くなるのを待とう…ということになって辺りをひと回りしたが、まだ時間が早くてさすがにどこも開いてない!
ま、雨もだいぶ収まってきたのでロンドン塔に戻ってきた。
後ろの壁はローマ時代のもの。切れちゃって見えないが、左にはジュリアス・シーザーの像がある。
現在、タワー・ブリッジ横断中!これ川上の景色。これをずっとさかのぼるとビッグ・ベンがあるウエストミンスターに行ける。
もう晴れてなくても雨が上がっただけでも足取りが軽い!
この日一番のリラキシン!なにしろ風が強くて!
ブリッジのちょうど中間あたりからシティ方面を眺める。ドワー~!ロンドン塔、ものすごい行列!入場料タケェんだゼ~、これ。
もうソロソロ渡りきってテムズ川南岸に着くよ。
渡りきったところでちょうど石畳の工事をしていた。専用の広規、イヤ、工機でブロックを掘り起こしてブルで一気に取っ払う。
この辺りがバトラーズ・ワーフ(Butlers Wharf)。「執事の波止場」か?19世紀の末期に建てられた倉庫が立ち並ぶエリアで、周辺はかつてロンドンの貧民窟の代表だった。サッチャーの時代に再開発が進み、現在ではブティックやレストランやこぎれいなフラットがたくさん集まるおしゃれスポットになっている。こっちでいうと横浜の赤レンガ倉庫みたいなもんだね。
この倉庫群がまたスゴイ。雰囲気満点!通りの左右を結ぶ無数の渡り廊下がまたステキ!ゆっくりと見て歩くと時間がアッという間に過ぎてしまう。
記念に広規さんにポーズで取ってもらった…なんと!シェー!ひっさしぶりに見たナァ~、シェー。
この通り、フラットもおしゃれに変身。飾ってあるユニオンジャックは「Diamond Junilee」を祝うもの。
タワー・ブリッジをバックにリラキシン!
モノスゴイ悪い天気だけどタワー・ブリッジは相変わらず美しい!
ロンドン市庁舎。ヘンなの~。
その前でもタワー・ブリッジをバックにリラキシン!
昨日から使っている教科書。ロンドンの名パブガイドだ。お昼をとっくに過ぎているし、お腹も空いてきた…ということでこのマップに出ているパブへ行くことにした。
一軒は「The Ship」というモニュメントの近くの店。ウワッツ!こりゃなるほど素晴らしい!弾む気持ちで広規さんたちと中に入るとこれまたステキ極まりない!ところが、昼の日中からネクタイを締めたサラリーマンで立錐の余地なし!オマエら真昼間っからナニやってんだ~?!
仕方ないので2軒目の名パブへ行くことに。途中で見つけたお店でくり子さんが友達へのおみやげを物色。フトそのお店の向かいには屋台のブリトー屋!いいニオイ!
ワシントンDCに住むアメリカ人の友達が遊びに来た時にウチの台所でブリトーを作ってくれた。これがメッチャおいしくて、それからブリトーのファンになった。
このブリトー、店員の女性が満面のドヤで出してくれるほどのサイズ。£5.50だったかな?ま、値段自体は決して安くはないけど、ボリュームを考えればゼンゼン合格!おいしかった!
2軒目の名パブが見つからず、エールが我慢しきれなくなって普通のパブに入った。スポーツ系のパブだったな。ここは食べるものもあったが、前日の打ち合わせで、「明日、入ったパブに食べ物がなかったら大変だからスルメを持って行こう」ということになっていた。さっそく、ここで出してみて、さぁビックリ!
臭いのである。モノスゴイ強い匂いなのだ!「くり子さん!こりゃマズイマズイ!」とあわててしまうことに!
よく「成田空港に着くと醤油のニオイがするって外国人が言う」という話しがあるが、アレ納得だよね。何かニオイということよりも、そこの空気が激しく拒否反応を示している感じ。
これはそのパブの前から撮った写真。セント・ポール大聖堂がすぐソコ。
この時、風がすごくて!私ですらスっ飛ばされそうだった!例によってすぐケロっと収まっちゃうんだけどね。
こっちが正面玄関。映画『メリー・ポピンズ』でハトにエサをやるところ。曲は「Feed the Birds」。メリー・ポピンズは「チムチム・チェリー」と「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」ばっかり有名だけど、佳曲満載の名作でしてね。その中でも「Feed the Birds」はイチニを争う名曲。
作曲はシャーマン兄弟。お兄ちゃんのロバートは惜しまれつつ今年3月に他界した。
さて、ここでセントポール大聖堂を見るか、ウェストミンスター寺院を見るか、どちらかを選ぼうということになり、ウエストミンスターが勝った。
その前にトイレ。ミレニアム・ブリッジを渡ってテート・モダンのを借りることに。
これがテート・モダン。かつてはゴミ焼却場だったが、改装しテート・ブリテンの姉妹美術館としてよみがえった。中がスンゴイ広いの。広規さんもビックリ。
用をたして館内のベンチに座ったらもう動けなくなっちゃって…。疲れた~。しばし休憩。
とてもウェストミンスターまで歩いて行く元気も体力もない。地下鉄か…。でもテムズ川の南岸には駅がほとんどない。ってんでもう一度ミレニアム・ブリッジを渡って、マンション・ハウス駅からディストリクト線に乗る。
ここは高いけど見応えは十分。久しぶりに入ろうかと思ったら、ナント時間切れ!閉まってやんの!
結果的にセント・ポールもウエストミンスターも見れずじまいになってしまった。
ウエストミンスター寺院の売店も「Diamond Jubilee」一色!
「それじゃ、V&Aへ行ってピート・タウンゼンドがブッ壊したレス・ポール見に行きましょ!」V&Aは結構遅くまで開いてるからね。で、サウス・ケンジントンまで移動。
行ってみると、こんなのやってた。「ロンドンの近代デザイン史」みたいの。おもしろそう!と入ろうと思ったが、入場料高くてやめた。今回ケチケチでホントお恥ずかしい…。
ここね~、ヒドイんよ。知らなかったんだけど、夕方になると、まだ閉館時間まで大分あるのにあちこちを閉めて見学できるエリアをメッチャ縮めちゃうの!要注意です。だからピートのギター見れなかった!
ここでも大休憩。も~動けん!
この後、ロンドン在住の広規さんのお友達と夕食をご一緒させていただいた。その方がロニー・スコッツの会員制クラブの会員になっていらしてご相伴にあずかることに。
アフリカ系っていうのかな?生バンドが入っていて信じられないぐらい演奏うまかったナ~。
これで広規さんとくり子さんとロンドンで過ごした4日間はおしまい。この次の日もお互いにロンドンにいたのだが別行動をすることに。
私はロック名所の取材に出かけた。広規さんはそのロンドン在住の方と過ごし、夜分にはカムデン・タウンのブルース系のライブハウスで1曲演奏されたそうです。リラキシン!
それにしても楽しかったナ~!!広規さん、くり子さん、私の拙いガイドにお付き合いくださいまして誠にありがとうございました。この場をお借りして深謝申し上げます。
伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規ホームページ
『Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く』はこれにて終了させていただき、『ロンドン紀行2012』に戻ります。