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2018年11月

2018年11月22日 (木)

トュルクソイを観た!


トイレで一緒になったサラリーマン風の人たちの会話。
「なんだ、『パーシモン』っていうからてっきりゴルフ関係の施設かと思ったら、『柿の木坂』の『柿』なんだな~?」
 
目黒にあるその「柿」に行って来た。
「めぐろパーシモンホール」という区の設備。
ま、このサラリーマンの勘違いなんてまだマシな方で、「目黒」と来たもんだから、私なんか完全に「柿の木坂」と「権之助坂」を混同していて一緒に行った家内に笑われたわ。
「柿」は英語で「パーシモン(persimmon)」ということはご存じの通り。
フランス語ではそのまま「kaki」というらしい。
柿の木は大変硬く、緻密で均質なことから色々なものに素材として利用されてきた。
たとえばビリヤードのキューもパーシモンなんだってね。
他に靴の木型やカンナ台などに適用されるが、ナント言ってもよく知られているのはゴルフクラブだった。
あの「ウッド」呼ばれている棒の先っちょね。
「だった」というのは、パーシモンのクラブって絶滅したんだってね。
私はゴルフを全くやらないどころか、イヤな思い出しかないのでどうでもいいことなんだけど、チョットびっくり。
私が社会に出た30年以上前、サラリーマンの必須科目として仕方なしに始めて、買ったクラブのセットに含まれていたドライバーだのスプーンだののウッド・クラブのヘッドは文字通り全て木製だった。
ゴルフ練習場やコースに行くとまだメタル・ヘッドのクラブが珍しく、「お、メタルじゃん!?」なんてオジサンたちが騒いでいたような記憶がある。
私はそんな会話を傍らに、「ああ、あの楽器屋にあった1987欲しいナァ」なんて心の中で思っていたもんだ。
今はすべてメタルなんだって。

10コレまた立派な施設でね~。
ビックリしちゃった。

20ロビーで開場を待つ人々。

30こんな物販コーナーが設置されていた。
白いハチミツはキルギスの特産品なのだそうだ。

40こんな民芸品もゾロリ。

50v_2ナニを観にパーシモン・ホールに来たのかと言うとコレ。
「テュルクソイ」という民族音楽のグループの結成25周年を記念する来日コンサート。 

0r4a0040「テュルク」というのは「テュルク語系」の原語を母語とする民族のこと。
どの辺りの方々かと言うと、この地図に青く記しているエリア。
濃い青がテュルク語系の言葉を公用語としている「国」。淡い青のエリアはその「自治区」。
シベリア北部が飛び地になっているのが気になるが、太古の昔に民族の大移動でもあったのかしらん?

9map2 「テュルクソイ」の国単位の主要参加メンバーは…
アゼルバイジャン
カザフスタン
キルギス
トルコ
トルクメニスタン
ウズベキスタン
の6つ。
これにロシア連邦内の民族共和国が加わる。つまり、ロシア領内にロシア民族ではない人たちが郷土として設立している共和国から来た人たちのこと。
具体的にその名を挙げると…
タタルスタン
ハカス
バシコルトスタン
サハ…他。
知らんがな。
あとモルドヴァ共和国のガガウズ自治区の人々が参加している。
だいたいイメージがわかったでしょ?

0r4a0038いつもMarshall Blogに書いているように、私は昔から民族音楽が大スキなのね。
で、ある日、facebookをツラ~っと見ていたら、この公演の宣伝動画が流れていて、「コレだ!」と思って家内をコンサートに誘ったワケ。
…というのは、公演の当日は私の誕生日でございまして、ワガママに付き合ってもらおうとしたのです。
すると、家内が「誕生日のプレゼント」ということでチケットを買ってくれた…ありがとうございました。
いつも言っているように、Marshallの仕事以外のライブにはまず行くことがないので、コンサートのチケットを買うなんてことはここ20年の間、ほとんどなかった。
今回、初めてインターネットで申し込んでコンビニで受け取る…というのをやってみた。
朝早く起きて青山のウドー音楽事務所やプレイガイドの前に並ぶ必要がないのは実に結構なことだが、私のような古い人間にはチト味気ない感じがするかな?

0r4a0035とにかく立派なホールですよ。
桟敷席までついてる。
大使館の強力なバックアップがあっての実現なのだろう、座席には「大使館席」という張り紙が目立ったものの会場は満員。
当日券はすべて売り切れていた。

60出し物は歌と踊り。

70この歌がマァ~すごいこと。
一体どこから声出してんの?みたいな。
この写真の人はアゼルバイジャンのバベック・クリエフという人。

74コチラはトルコのジャンス・キルジャさん。
この歌い回しがタマらなく気持ちがいい。
コチラの方々は微分音階を使うでしょ?
トルコの歌手は半音を9つに分けた音程を完璧に歌い分けることができると聞いたことがある。
「超絶」ですよ、超絶。
80vそれとトルコの音楽は「9/4拍子が基本」なんてこともどこかで聞いたナ。
この曲は10/4拍子だった。
また踊りがいいんだわ。

75歌も踊りもいいんだけど、私のお目当ては器楽の演奏。
絶対にスゴイのが出てくるにキマってるもん。
それと、キテレツな楽器群。
それは期待通りの連続だった!

0r4a0030モルドヴァのイーゴリ・ボドゴレアヌさんのパンフルートの独奏。
パンフルートは有名だけど、商店街のイベントでアンデス辺りから来ている人たちの素朴な音楽とはまたゼンゼン違う使い方をしていてビックリ。こっちの地方では「ナイ」と呼んでいるらしい。
もうね、イングヴェイなのよ。
つまり、速吹き。
あんなに口にパンフルートを押し付けて左右に揺さぶったら唇が熱くなっちゃうだろうに!という俊敏な動きがあまりにも見事。
それとハイノートの美しさも素晴らしかった。

90この人はハカス(ロシア)のルスラン・イヴァキンさん。
コレもスゴかった。
こうした「モロに白人」というメンバーも少なくない。

110vバックを務めるオーケストラの演奏のウマいこと!
ナンカの録音物を聴いているかのような一糸乱れぬ音程とアンサンブル。
ジャズのビッグバンドのように、この中からソリストがかわるがわる出て来てフィーチュアされる。
アップの写真が撮れなかったんだけど、真ん中より向かってチョット左で膝の上に板みたいなモノを乗せているオバちゃん。
弾いているのはトルコのカーヌーンというハンマー・ダルシマーみたいな構造をした楽器。ただ弦をスティックで叩くのではなく、指先にハメた爪で弦をはじく。
この人の独奏は本当にすさまじかった。
ホントの超絶。
あのね、ギターを速く弾くことだけが「超絶」ではないんですよ。
むしろ、色んな音楽に興味を持って世界に目を転じると、電気の力を借りてギターを速く弾くのはさほど難しいことではないように見えてくる。
エディタ・グルベローヴァの声も超絶だし、40分休みなくインプロヴィゼーションを続けるジョン・コルトレーンのサックスも超絶。
音楽は聴けば聴くほど奥が深く、幅が広いことを知る。
まだまだ楽しめそうだ。

100今回は4回の公演が催されたが、この千秋楽だけ日本からゲストが参加した。
尺八、琴、津軽三味線の方々。
楽器というのは、吹くか、叩くか、弾くか、擦るか…と音を出す動作はキマっているので、洋の東西を問わず構造も原理もだいたい同じということになる。
この3種の和楽器もしかり。
テュルクソイで使われている楽器と薄からぬ血でつながっているんだけど、ゼンゼン雰囲気が違うんだよね。
それはとりも直さず、その楽器を使っている音楽があまりにも違うからなんだけど、民族の歴史や地理の違いがそうさせることを考えると実に面白い。
「さくらさくら」で「日トゥル対決」なんかを演っていた。

0r4a0031このオジちゃんは笛と自分の声で二重奏をしていた。
笛を1本小脇に抱えたまま、少しズラして吹いていたので、後に2本いっぺんに吹いたらコリャ完全にラサーン・ローランド・カークだな…と思ったけど、そうはしなかったわ。

120vタップリとテクニックを見せてくれた後はダンサーと合流。

130踊りの人たちもみんな背が高くて、可愛いくて、とってもステキなのよ~。

140vこのモーツァルトみたいなアタマをした人はトルクメニスタンの人。
歌はカッワーリーみたいだったな。
エグいメロディにゾクゾクしちゃったよ。
写真はないんだけど、弾き語り(?)でホーミーを演ったおジイさんもいたな。
ホーミーいいよね。

150vカザフスタンのナディム・サグィンタイさん。
この人は本国ではスターなのかしらん?
エラくフィーチュアされていた。
その魅力のひとつは歌声。
それこそ「夜の女王」のような曲での突き抜けるようなオペラチック・ボイスが圧巻だった。

160vもうひとつ、ナディムさんの必殺技がコレ。
知ってるコレ?
ジョウハープといって、西部劇なんかで使われる「ビヨヨヨ~ン」という音はコレで出している。
日本語では「口琴」という。
丸い方を手持ちながら、まっすぐの部分を口に加え、左のカギ状のレバーを弾くと、真ん中の棒が口の中で共鳴して色んな音を出すことが出来る。
大きい音が出るまでチョット練習が必要なんだよね。
ナディムさん、コレを咥えて、気が狂ったかのような速さでレバーをハジきまくる!
そして同時に歌っちゃう!
あんなの初めて見たわ。これまでの人生で聴いたことのない音だった。

Kk_2弦楽器だって負けてないゼ!
4人が手にしているのは「シェルテル」というカザフスタンの楽器。シャレてるね~。
オーケストラの中では完全に伴奏楽器だったが、この4人のフィーチュア・コーナーでは完璧にシンクロする4人の見事なストラミング・テクニックを見せてくれた。
楽器を立てたり、裏返したり、その間必ず笑顔でストラミングし続けるというワザ。
その仕草がとても可愛いの!
ただ右手の動きの速さは超絶。

170コレは鶴をイメージした舞踏。
とても華やかでキレイだった。

175すると客席後方から乾いた太鼓の音が!

180ドイラというウズベキスタン、アゼルバイジャンあたりの打楽器。
中に金属の輪っかがいくつもブラ下がっていて、叩くたびにジャランジャランと鳴る。日本でいう「さわり」みたいな意味合いなのかな?
演奏するのはウズベキスタンのロブシャンジョン・ユヌソフさん。
ま~、コレも超絶だったわ。
タブラのように指先を使って叩くんだけど、その音がデカいこと!

190このドイラをフィーチュアしたオーケストラに合わせてのダンス。
バックはイスラム風になってる。
このイスラム美術っていうのも魅力的だよね~。

200このダンスのオバちゃん、カッコよかったな~。
やっぱり向こうの舞踊は打楽器がフィーチュアされる音楽にピッタリするね。

210ダンサーさんは何度も着替えての登場。
コレも大変だったと思う。

220最後は全員集合でご挨拶。

230あ~、満足、満足!
2時間ジ~ックリ観て、2,000円!
コレは大使館から相当補助金やら協賛金が出ているハズ。各国大使館の皆さん、ありがとう。
 
あんなに好きだったのに、最近はもう心ときめくロックにめぐりあうことが全くなくなってしまってね。プライベートでロックを聴くことがメッキリ少なくなってしまった。
あ、仕事でのロックはゼンゼン別ですよ。Marshall関連の音楽は積極的に聴きます。
飽くまでも趣味の音楽の話。
そんな時にこういうアナログの音楽っていうのはホントにしみ込んでくるんだよね。
「生活の音楽」とでもいうのかしら?
自然に楽器を手に取って、生活のことを歌って、それに合わせて踊る。
もすごく原始的なんだけど、人間の生活の奥の方にデンと構えているもの…そういう音楽。
かつては歌謡曲がそうだったけど、日本はそういう音楽を失ってしまったと思う。
だからこうした音楽がすごく新鮮に感じるんだよね。
また機会があったら観に来よう。
今度はバルカン地方の音楽なんかいいナァ。

235突然、「それでは皆さんで記念撮影を致します」との場内アナウンス。

240え、どうすんの、どうすんの?
会場は大パニック!…というほどでもないけど、ナニをどうしたらいいのか迷っているウチに、何のことはない、ステージの出演者を大使館の人たちが記念に撮影して終わり。

250(一部敬称略 2018年11月20日 めぐろパーシモンホールにて撮影)

2018年11月21日 (水)

2CELLOSを観た!

 
久しぶりの武道館。
ん…今年初めてか?
初めてだ…。
なんかもう時間の経つのが早くて3年ぐらいまでは1年以内の出来事と混同してしまうわ。

Img_7798その久しぶりの武道館、今日は完全に観客なの。
そんなのも久しぶりだ。
チョット前にレナード・バーンスタインの講演会には行ったけど、その前は浅草の「東洋館」で観た「日本コメディウクレレ協会」の発足記念コンサートだった。
高木ブーさん以下、元ウシャコダの藤井さんからポカスカジャンまで、アレはヤケクソに面白かった。
で、今日は何用かと言うと、2CELLOS。
あのイケメンのチェリストのデュオ・チームね。

20入り口はどっちかな?
あ、ココは2階席ね。
私は14歳の時から武道館のロック・コンサートに来ているけど、考えてみるとチケットを買って2階席で観たのって、エアロスミスとフォリナーだけかも知れない。
というのは、昔有楽町にあったプレイガイドが穴場で、発売日にチケットを買いに行くと、どんなコンサートでもほぼアリーナ席のチケットをゲットすることができたのね。
たまには2階席で観てみたいな~…なんて、イヤらしい。

Img_7802あ、ウチはこっちか!
「VIP」だから関係者受付を通らなきゃ!……なんて、イヤらしい。

Img_7803やっぱいいね、武道館は!
色んなことを思い出すわ。
さっきのフォリナーなんかは、北側、つまりステージの裏から観たよ。
ルー・グラムの背中はカッコよかった!…ウソこけ!

Img_7806ショウがスタート。
仰々しいオープニングSEなんて使わない。
クラシックのコンサート譲りなのかな?
ストリングスのトーキョー・スター・オーケストラ・ヴィルトゥオーソ、キーボーズ、ドラムスが定位置に着いた後、チェロを手にした2人がシレっと出て来て演奏が始まった。
しかし、あのオープニングSEってのはいつからどのバンドも使うようになったのかね?
「We must be over the rainbow」ぐらいだったゼンゼンいいんだけど、どっかの曲が1曲丸々かけちゃうようなのがあるでしょ?
私はああいうのがあんまり好きではなくて、客電が落ちて、歓声と拍手の中にバンドが登場して、一旦静かになってハイ、スタートっていうのがいいな~。
クラシックとかジャズのコンサートのスタイルとでもいうのかな?高級な感じがしていいのよ。
もしこれを読んでいる若いバンドの人がいたら、コレを試してごらん。
きっと目立つよ。
やっぱり人と違うことをやらなきゃ!

Img_7001 1曲目は「炎のランナー」。
原題は「Chariots of Fire」。私はこのイギリス映画を観てないんだよね~。イギリスの宗教と民族をテーマとしている…か。今度観てみようかな?
「Chariots of Fire」というのは旧約聖書に出てくる戦車のことらしい。
「戦車」といってもタイガーとかシャーマンとかの戦車じゃなくて、「ベン・ハー」に出てくるようなヤツ。
ちなみに「ベン・ハー」って、「ベンハー」じゃなくて「ベンハー」って発音するんだよね。
音楽はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ
ひと言でいえばヴァンゲリス。ギリシア人の名前は難しい。
ヴァンゲリスが率いたギリシアのプログレッシブ・バンド、Aphrodite's Childの『666』は時々思い出しては聴きたくなるアルバムだ。
666「コンバンハ…アリガトウ…」だけのMCで笑いを奪う。
初来日の時から武道館で演るのが夢だったとか。
ショウの前半は日本人ストリングス・チームが加わったパフォーマンス。
ゴッド・ファーザー、レインマン、グラディエーター、タイタニック、等々映画の名曲が美しいチェロの音色でつづられた。
しかし、チェロの音色ってのはいいもんだね。

Img_7810ところで…実は、私は2CELLOSを見るのは今回が初めてのことではない。
6年ぐらい前にイギリスで見たのね。
エルトン・ジョンのコンサートに出演していたの。

70デイヴィー・ジョンストンやナイジェル・オルソンといった往年のエルトン・ジョン・バンドに混ざって2CELOSの2人が激演を見せてくれた。
まだ、あのテレビ・コマーシャルをやる前のことだったので、「なんじゃ、コリャ~!」状態だった。
向こうの人のこういうオリジナリティってのはホントにスゴイと思う。

80後半はチェロのふたりとドラムスの最大3人がステージに上がっての展開。

Img_70072人きりで演奏しているとはとても思えない「コレどうやってんの?」という不思議なアンサンブル。
結局、ギター・デュオと違って、音域が広いので、基本的には1人がベースと伴奏、もうひとりが旋律というアレンジなんだけど、2人の音色や歌いまわしがよく似ていて、どっちがどのパートを弾いているのかわからない感じ。
ピアノの除いてオーケストラの中で一番音域が広い楽器はコントラバスだってどこかで聞いたことがある。
ゲイリー・カーがテレビに出た時かな?
もちろんコレはフラジオレットを含んでの話なんだけど、考えてみれば楽器って、高い音を出すより低い音を出す方が大変なんじゃないかしらね?
歌もそうでしょう?
「ハイノート」とか言ってやたらと高い素っ頓狂な声を出すロック・シンガーは多いけど、「バリトン」で歌いまくるロック・シンガーっていない。
だからフランク・ザッパの『Overnite Sensation』で演ったことはレアなことだ。
それとケヴィン・エアーズ?

Img_7008Curved Airの「Vivardi」みたいなカッコいい曲もあったりして、十八番の「Smooth Criminal」でドッカン!
下手のステファン・ハウザーが舞台狭しと暴れまくる。
一方、上手のルカ・スーリッチは座奏のまま熱演。
ルカは英国王立音楽院のOBなんだってね~。
あ、私は同窓なワケではありません。
メリルボーンの王立音楽院ってエルトン・ジョンの母校なんだよね。
詳しくはコチラ
アリーナのお客さんは完全総立ち!

Img_7005軽く歪ませたチェロの音がまたスゴイ。
そういえば、PFMのヴァイオリニスト(マウロ・パガー二じゃないよ)もMarshallを使ってたっけ。

Img_7006ドラマーの彼も大フィーチュア。
ステファンはMCがユーモラスで、「He's the best drummer on the stage!」なんて紹介したり「He loves Japan because he's small」なんてやってたけど、本当にかなり小柄な人だった。
でもプレイはクリスピーで気持ち良かったよ。

Img_7820一旦ノリ出したらもう止まらない!
Nirvanaの「Semells Like Teen Spirit」、AC/DCが好きなのかな?「Highway to Hell」、「Back in Black」、大合唱の「Satisfaction」。
案外アップテンポの曲ってなくて、多分この日一番テンポが速かった曲はロッシーニの「ウィリアムテル序曲」だったんじゃないかしら?Img_7835曲はわからなかったけど、アンコールでは美しいバラードをプレイ。

Img_7012「次はドームでやるぞ~!」なんて宣言に満員のお客さんは大喜び!

Img_7838チェロのデュオ・チーム…やっぱり人と同じことをやっていたらダメだね。
2時間弱、いいものを見せてもらいました!

Img_7011(一部敬称略 2018年11月19日 日本武道館にて撮影)

2018年11月12日 (月)

レナード・バーンスタインの/とアメリカ

 
ひと月ほど前、レナード・バーンスタインに関する講演会&演奏会に行って来た。

9lb 以前にもMarshall Blogで紹介したことがあるが、下は私の大の愛聴盤。
バーンスタインのニューヨークを舞台としたミュージカル作品のオムニバスというかトリビュート・アルバム。
今から23年前に初めてニューヨークに行った時にタイムズスクエアのHMVかなんかで買った。
もう大スキなの。
まずジャケットがいいでしょ…若き日のレニー。

10私が初めて「レナード・バーンスタイン」の名前を意識したのは40年以上前、12歳か13歳の時のことで、月並みながら映画『ウエストサイド物語』を通じてのことだった。
久々にリバイバル公開をするというので、映画小僧だった私は日比谷のスカラ座にひとりで観に行った。
ワガママな私は誰を誘って映画を観に行くということはほとんどしなかった。
ひとりで自由にやりたのだ。
もうね~、線のイラストがニューヨークの摩天楼になって、街を俯瞰で写すでしょ?
そこにジェット団の悪ガキのフィンガー・チップの音。
もうドアタマからトリハダが立って仕方がなかった。
当時はレコード・プレイヤーを持っていなかったので、サウンドトラックのレコードを買うことができなかったし、買った記憶もないんだけど、不思議なことにほとんど全曲覚えたナァ。
カセットテープで買ったのかな?
だからその1、2年後にロックにのめり込むようになった時、トッドが『Another Live』で「Something's Coming」を取り上げていたのはうれしかった。
今ではこの映画のサントラ盤とオリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤がウチにある。
私は、ココに収められている曲をクラシック音楽という分野から離して考えた場合、つまり「ポピュラー音楽」という風に考えた場合、もう人類はコレら以上に良い曲を作ることは不可能であると真剣に考えている。
クルト・ワイルなんかもそうだけど、当時はクラシックで食っていけない作曲家がブロードウェイ・ミュージカルに曲を提供して、誰がヒット曲を出すかで才能を競ったのだそうだ。
百花繚乱、悪いモノができるワケがない。

20こっちはCD。
ナゼかウエストサイド・ネタが収録されたNAXOS盤が何枚かあるのだが、コレには理由があって、特にウエストサイドが聴きたかったから買ったワケではなくて、カップリングされているウエストサイド以外のバーンスタインのクラシック作品を聴いてみたかったから。
それに勝手にウエストサイドの「Symphonic Dances」がついて来ちゃうワケ。
「Symphonic Dances」はバーンスタイン自身がアレンジしたウエストサイドのオフィシャル・ダイジェスト・メドレーね。
ところで、ウエスト・サイドの曲って、俳優さんたちからイヤがられていたんだってね。
ミュージカル俳優が演じるにはムズカシすぎて歌いにくいんだって。
で、ブロードウェイでの初演は1957年のウインター・ガーデン・シアター。
エヘン…私はこの劇場に2度ほど『Cats』を観に行ってるんだナァ。
このブロードウェイの前にも「トライアウト」という試験興行をワシントンD.C.他で上演している。
そのためのリハーサルに4週間を予定していたのだが、完成させるまでその倍の8週間を要したそうだ。
1984年のバーンスタインが初めて指揮をしたレコーディングでは何しろあのホセ・カレーラスもヘコんでたからね。
それほどムズカシイんだって。
そうそう、そのカレーラスがトニー役を務めたバージョンのリハーサルの動画でカッコいいシーンがあった。
ヴァイオリンだったかな?ベテランの奏者がスコアについて何かをバーンスタインに言おうとすると、彼はそれを一蹴して、自分の胸を指差しながらこう言う…「I wrote」って。
メッチャかっこいい!
なんかアレを見ていると、カレーラスにはキビしいのに、キリ・テ・カナワにはやたらと優しんだよね。
小学生みたいに好きな人にはツレなくしちゃうのかね?…後年、レニーはバイセクシャルを認めていた(昔は同性愛は犯罪だった。だからアップル社のロゴのリンゴは一口カジった跡がある。この辺のことはマーブロに書いてある)。

30コレも以前に紹介したことがあるけど、オリジナル・キャストによる演奏のシングル盤。
「Maria」と「Tonight」、それに「America」と「I Feel Pretty」のカップリング。
ピクチャー仕様がうれしい。
コレね~、フラっと入った大阪の難波の新星堂で買ったんだよ。
たしか1枚100円か200円だった。
この時、同時にFrank Zappaの『You can't do that on Stage Anymore』のサンプラーを買ったように記憶しているから、1988年ぐらいのことか…。
まだZappaがピンピンしていた頃の話。

35こっちはバーンスタインのクラシック関連作品。
「エレミア」とか「ジュビリー・ゲーム」とか「不安の時代」とかの作品や指揮者として吹き込んだもの。
やや無理して聴いた。面白くはないな…と思っていたら、この人、クラシックの作曲家としての評価は高くないんだってね。
指揮者としてのスーパースターだったらしい。
「ラプソディ・イン・ブルー」なんかいいよね~。指揮をしながらピアノを弾くのがやっぱりカッコいいんでしょ。
そして、指揮者のバーンスタインといえばマーラーということになるのかな?
そういうのはゼンゼン持っていません。

40珍しいというか、人の口に上らないのはコレ。
ロザリンド・ラッセルの『Wonderful Town』というブロードウェイ・ミュージカルの映画版のサントラ。
コレね~、メッチャいい曲が入ってるんだよ。
それなのに日本ではこの映画は未公開だった。やっぱりダメなんだよ、日本はこういうのって。

50それと有名なコレ…『踊る大紐育』。
原題は『On the Town』。
この映画ね~、あんまり好きじゃないんだよね。
まず、マドンナがあんまり可愛くない。
それと、最近ますます興味が失せた理由がある。この映画はオリジナルのブロードウェイのプログラムから曲を大幅にカットしていることがわかったから。
そのひとつが「Ya Got Me」という曲。
もうあまりにもいい曲なのにナゼか映画ではカットされている。
どうしてコレに気が付いたのかというと、上で挙げたニューヨークのオムニバス盤にこの曲が入っていて、なんてステキな曲なんだろうと思って、ライナーを見ると『On the Town』の挿入歌になってる。
でも映画で「Ya Got Me」が出てくるシーンなんてどう考えても記憶にない。
人間がしつこい私はワザワザDVDを引っ張り出してみてチェックしてみた。
やっぱり入っていないんだよ。
マァいい。
コレは私の邪推にすぎないんだけど、「Van Halenの」って言った方が最早適切なのかも知れないけど、The Kinksの「You Really Got Me」のタイトルはこの「Ya Got Me」がヒントになっていると思う。
ナゼなら、ポール・マッカートニーなんかも絶対そうだと思うんだけど、口では「ロックンロール」と言っていながら、相当ティンパンアレイを研究していると思う。
時代が時代だし、「When I'm Sixty-Four」とか「Your Mother Should Know」とか、後年の「You Gave me the Answer」とか、ティンパンアレイの影響だと思うんだよね。
同じようにして、Ray Daviesも影響を受けていると思うワケ。
だって「Dedicated Follower of Fashion」とか「Sunny Afternoon」なんかモロにそんな感じがしない?
Rayは「Ya Got Me」を知っているハズだ。「Ya」を普通に「You」にして、「really」を加えて「You Really Got Me」にした…と思っておく。

60もっとも、向こうの人、つまり英語圏の人は世代を超えて誰もが歌える、我々が知らない国民的スタンダード曲をいくつも持ってるんだよね。
「Anything You can do I can do Better」とか「Let's Call the Whole Thing off」とか。
「Ya Got Me」もそんな1曲なんだと思う。
何よりスーパースターのレナード・バーンスタインの作品だしね。
ん?待てよ…。
バーンスタインのオペラに『Trouble in Tahitti』という作品がある。コレもジャズっぽくて実にカッコいい作品。
で、下はSailorというバンドの『Troble』という1975年のアルバム。
「ニッケルオデオン」という昔の自動演奏ピアノかなんかをフィーチュアした、やっぱり古式ゆかしい香りがするロックを演るバンドで、高校生の時に好きでよく聴いた。
このアルバムの中に「Touble in Hong Kong」という曲が入っているんだけど、コレ、もしかしてバーンスタインから来てるのかナァ。
考えすぎか?
演奏している音楽から察するに、この人たちもティンパンの音楽を研究していたのではないかと思って…。

9st コレも愛聴盤。
レニーは『Young People's Concert』というテレビ番組を通じて、アメリカでのクラシック音楽の普及に多大な貢献を果たした。
日本の『題名のない音楽会』なんてのはコレのパクリだよね。
レニーはこの番組にはかなりの力を注いで、台本を自分で書いて、すべて暗記して本番に臨んだという。
それと力を入れたのがジャズ。
このサッチモとのツーショットがカッコいい『Bernstein on Jazz』というアルバムは、レニーがナレーションとピアノでジャズの特徴や魅力を解説してくれる1枚。
かつては『What is Jazz』というアルバムだったのかな?
コレも面白い。
ジャズはアメリカの文化史における最大の発明と言われているけど、すでに19世紀の末期には世界に伝播していて、もはやアメリカ人だけのモノではなくなっていたのだそうだ。
ラヴェルの1927年の「ヴァイオリン・ソナタ」なんてモロにジャズだもんね。
バーンスタインもジャズの導入を盛んにやっていて、第3交響曲の『カディッシュ』の第2楽章なんかもモロにジャズだもんね。
ま、ウチのバーンスタインはこんなところかな…。
以上の第1部、知ったかぶりと、邪推と自慢でお送りしました。

70_2ココからが今日の第2部。
 
そのバーンスタインに関する講演会は『バーンスタインの/とアメリカ』と題された。
このプログラムには「の」になっているけど、本番は「の」と「と」が用いられた。
要するに「America for Bernstein」と「An Ameican, Bernstein」というイメージかな?

80会場は東京藝術大学の音楽校にある「奏楽堂」。
オリジナルの奏楽堂は、2、3日前に通りかかったところ改装が終わってまた一般公開が始まっていた。
最近は美術校の方も改装していい感じになった。

85こんな本知ってる?
藝大の生徒さんがどれだけブッ飛んでるかっていうことをツラツラと書いてあるんだけど、さして驚かないし、面白くもなかった。
こんなのなら、もっとスゴい生活をしているミュージシャンがいくらでもいるわ。

86コレが会場の奏楽堂。

90パイプオルガン、スゲエ~!
一度でいいからイジってみたい!

100残念なのはこのイス。
ナゼか背もたれのクッションが途中までしかなくて、やたらと座りにくい。
パイプオルガンをもう少し小さくして、その分この背もたれのクッションを伸ばしてもらいたかったナァ。
いや、ふんぞり返らないで、正しい姿勢で音楽を聴け!ということか?

110v上演中は撮影ができないので、記事が殺風景で申し訳ないのだが、講師は東京藝術大学音楽学部楽理科教授の福中冬子さんというお方。
この方がまた早口で、おっそろしくテキパキと講義を進めていく。
「アタシャ、勉強してますからね~!」とか「アタシャ、本読んでますからね~!」みたいなオーラが身体中から出まくっている。
いいな~、こういう人に音楽を教わりたいな~。
音楽に関する面白い話をイッパイご存知なハズだ。
講演は当然ウエストサイドにも触れたが、こんなことをおっしゃっていた。
元々はこの話は、イースト・マンハッタンのアイリッシュ系とユダヤ系の対立を描いた『イーストサイド物語』だった。
それがヘルズ・キッチンを舞台に移して、やはりアイリッシュとラテン系(プエルトリコ)の対立に話を引き直したとか…。
主な講義内容は、「Red scary」という言葉を使っていたが、いわゆる反体制主義のバーンスタインがレッド・パージに対してどういう活動をしたか…みたいな。
知らなかったんだけど、バーンスタインはアーロン・コープランドにとても可愛がられたんだってね。
そこで教わったのが、コープランドの1943年の「リンカーンの肖像(Lincoln Portrait)」という曲。
コープランドは『ロデオ』はじめとしてアメリカに関するクラシックの曲をたくさん作ったアメリカ自慢の作曲家で、この作品は曲の中にあの有名なリンカーンの「ゲティスバーグの演説」が盛り込まれている。
あの「人民の、人民による、人民のための」のヤツね。
もちろん、生のリンカーンの音声など残っていないので、ナレーターが解説を交えて代読する。
そういえば、アメリカの中間選挙、少しだけアメリカを見直しちゃった。やっぱり日本人が思っている民主主義というか、政治の在り方というか…ゼンゼン違うと思った。
もうひとつ脱線ついでに…。
数か月前、オーストラリアの友人が2人のお嬢ちゃんを連れて日本に遊びに来てくれた。
車の中でお父さんとチョット政治がらみの話になって、最近の日本の政治や税金の在り方などについて話すと、後の席から11歳になる下のお嬢ちゃんが「そうなの~。ダメなのよ~。オーストラリアも一緒よ~。オーストラリアの政治家も全くダメ!」なんて言ったのにはビックリ。
そんなことを言う小学生が日本にいるだろうか?
 
さて、話を戻して…。
この「リンカーンの肖像」、雄々しくてなかなかにカッコいい曲だ。
でも待てよ…どこかに似たようなコンセプトの作品がロックにあったな…と思い出したのが、1968年のVanilla Fudgeのセカンド・アルバム『The Beat Goes On』。
「期待して聴いてガックシ!」のトップクラスに入るような作品だったけど、ネタもパクリだったのね?
ちなみにこの「リンカーンの肖像」を1953年のアイゼンハワーの大統領就任式で演奏する予定だったが、政治的な理由で取りやめになった…のかな?
イヤ、こういう話を聞くと、外国では音楽に政治とモノスゴク深い関わりを持たせているということを思い知るワケ。
ショスタコーヴィチやストラヴィンスキー等、数え切れないぐらいの天才音楽家たちが第二次世界大戦中にアメリカに亡命したことからもそうしたことが窺える。
「音楽に力がある」ということが言えるのは外国だけの話。
日本はゼンゼン違う。「力のある音楽」なんてありゃしない。
でもね、コレは「作り手」だけの問題ではなくて、「聴き手」の方の問題でもあるんですよ。
リスナーがもっと勉強しなければ音楽に力をつけることなんて絶対できやしない。最近それをすごく感じている。

Bgo 話は飛んで、ニューヨーク。
下は有名なアッパー・ウエストのコロンバス・アベニュー沿いにあるリンカーン・センター。
メトロポリタン歌劇場、エイブリー・フィッシャー・ホール(今は名前が変わっちゃった)、アリス・タリー・ホール、裏にはジュリアード音楽院…アメリカ人のアカデミック度合いを高めようと建造した一大文化エリアね。

120私も1995年に行った時にウィントン・マルサリスとキャスリーン・バトルのダブル・ヘッドライナーのショウをエイブリー・フィッシャー・ホールに観に行った…ことも以前に書いた。
下はその時のリーフレット。
『Jazz at Lincoln Center』とかいって、チョット前まで、すなわち1940年代にはEXILEやAKBのようなアイドル・ミュージックに過ぎなかったジャズが、現在ではアメリカが誇る崇高な古典芸術のひとつになっちゃってる。
そもそもあんなに黒人をイジめていたクセに。
で、実際にこのアメリカの芸術的文化の象徴であるリンカーン・センターでも黒人に対して強力なイジメが昔あったそうだ。

130リンカーン・センターの起工式では高らかにコープランドの「Fanfare for the Common Man」が演奏された。
コレ、我々はELPから入るのが普通なもんで、「庶民のファンファーレ」と呼んでいるけど、クラシックの方では「市民のためのファンファーレ」というようだ。
で、その時に指揮をしたのが人気絶頂のバーンスタイン。
ところが…講義では実際にその動画見せてくれたのだが…レニーの態度が実に投げやりなのだ。
敬愛するコープランド先生の作品なのに!
挨拶も同様。
『Young People's Concert』では台本を暗記までしていたのに、この時は原稿を棒読み。
いかにもヤル気なしの「やっつけ仕事」。
な~んでか?
この時、レニーは怒っていたのである。

140…というのは、今リンカーン・センターのある場所は、かつては「サン・ホアン・ヒル」という黒人のスラム街だった。
その居住者を強引に立ち退かせて多くの人を大変困らせたというんだね。
反体制主義者のレニーはコレに対して怒ったワケ。
それならそんな仕事を請けなきゃいいと思うけど、裏の事情が色々あったんでしょうな。
 
このスラムの住人のひとりに何とセロニアス・モンクがいたそうだ。モンクはココで生まれ育った。
下の写真、写真の右の方をタテに走っているのがコロンバス・アヴェニュー。
写真の真ん中の上から右下に走っているのがブロードウェイ。
その交差する地点に立っているのがエイブリー・フィッシャー・ホール。
コロンバス・アヴェニューを挟んだ向かい辺りに、晩年レス・ポールが毎週月曜日の出演していたジャズ・クラブ「イリジウム」がある。
私はココでレス・ポールを観た。

150ココで大脱線。
レニーと全く関係ない…イヤ、ジャズを自分のクラシック作品に積極的に取り込んだバーンスタインなので関係は大いにある。
こちらとしては、今コレを読んでくれている人がMarshall Blogの読者が多い、つまりロック・ファンが多いということを想定して展開するセロニアス・モンクのディスク・ガイド。
自分勝手でゴメンね。Shige Blogだからいいでしょ?
だってモンク大好きなんだもん!
 
まずはジャズの入門書に必ず出てくる『Brilliant Corners』。
コレと並んで必ず出てくるのがソロ・ピアノ・アルバムの『Thelonious Himself』。
ダメよ、ダメダメ、『Himself』は!入門者に『Himself』なんて薦めて聴いてもらっても飽きるにキマってる。
その点、このアルバムにはタイトル曲や「Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are」や「Pannonica」や「Bemsha Swing」等の代表曲が入っていて楽しい。
ジャズを聴き始めの頃に聴いてもわからないと思うけど、とにかく「なんじゃコリャ?」と感じたらそれでOK。
ピアノ・ソロも含めて「なんじゃ、コリャ?」を味わえればそれでいいのだ。

160cdまずジャケットがいいでしょう?
イタリアの画家、ジョルジョ・デ・キリコ。モンクの音楽にはキリコの絵が非常によく似合う。
この『Misterioso』はニューヨークの有名なライブハウス「Five Spot」でレコーディングされたライブ・アルバムで、小さな巨人、ジョニー・グリフィンのテナー・サックスを楽しむ盤。
「Nutty」や「Let's Cool One」といったモンクの名曲に乗って縦横無尽に吹きまくるサックスは愉快痛快。スカっとすること間違いなし。
モンクもそれが気持ちよかったのか、グリフィンのソロでは何回か伴奏をストップさせてピックアップ・ソロにしちゃう。
それに反応したグリフィンが更に吹きまくるという素晴らしいパフォーマンス。
コレ、実物を見たらスゴかっただろうな~。

170cdモンクの名画ジャケットと来れば、後はコレ。
ジョルジュ・ルオー。
デューク・エリントン作品集なんだけど、どうもイマイチ私にはピンと来なくて滅多に聴かない。

180cdモンクで一番カッコいいジャケットはコレじゃん?
『Underground』。
まるでボブ・ディランとザ・バンドの『The Basement Tapes』だよね。
コレは第二次世界大戦の時のフランスのレジスタンスのアジトの様子なんだって。
「Green Chimneys」とか「Ugly Beauty」といったモンクの2軍の代表曲が収録されている。
セロニアス・モンクは音色も含めて、そのキテレツなピアノ・プレイがユニークそのもので、それだけでも十分スゴイがナント言っても偉大なのは作曲家としての業績だ。
だって、オリジナル曲のほとんどがスタンダード曲になっているんだからスゴイことこの上ない。
こんなミュージシャンって、他にビートルズしか思い当たらない。

190cd最近スキで今頃よく聴いているのはコレ。
モンクにはチャーリー・ラウズというお抱えのテナー奏者がいたが、モンクの曲は上のグリフィンのようによりバリバリ吹くサックスのスタイルが似合うと思う。
だからコルトレーンはバッチリだ。
コルトレーンとの共演盤は他にも自分がソロのサイズを間違えて「コルトレーン、コルトレーン!」と助け船を求める有名な「Well, You Needn't」が収録されている『Monk's Music』や後年発表されたFive Spotでの音の悪いライブ盤もあるが、ワンホーンで遠慮なく吹きまくるコレが好き。
ただね、「Nutty」のテーマの吹き方が気に喰わないんだよね~。

200cdまだまだいいアルバムがあるけどキリがないので最後に1枚だけ。
今度は反対に人様がモンクの作品を取り上げているアルバムから。「モンク作品集」なんてのは掃いて捨てるほどあって、ウチにも何枚もあるけど、コレが一番好き。
ニューヨークで2度ほど目の前で観たというひいき目もあるが、アルトのスティーヴ・スレイグルの作品。
ギターのデイヴ・ストライカーが好きなの。
あんまりうまくなくて「コレぐらいなら自分でもできそう」とついつい惹き込まれてしまう。もちろんできませんよ。

Ssm あ~、今日はすっかりヘンテコリンな記事になっちゃったな。
話を元に戻さなきゃ。
 
アッという間に講演会は終わっちゃって、休憩をはさんで演奏会に移る。
楽団員が出て来てまずはチューニング。
ボワ~っていうヤツ。
いいね~、この雰囲気。あの最初に音を出すオーボエがタマらん。
そして指揮者が登場してコンサート・マスターと握手。
指揮は山下一史。
オケは東京藝大シンフォニーオーケストラ、要するに学生さん。
 
曲はまずミュージカル『Candide』から「序曲」。
このメロディ、何度聴いても素晴らしい。
なんでこういう人の心をゆさぶるメロディってのが存在するかね。
ただただ感動してしまう。ホント好き、この曲。
かつては同様の感動をロックから受けたが、今はその昔の感動に対する懐かさだけになってしまった。当然現在の巷間のロックからはナニをどうやっても昔味わった感動と同様のモノを抱くことはできない。
歳を取って感性が鈍くなったせいもあるが、コレだけ色んな音楽を長年聴いているとチョットやそっとじゃ感動できなくなっちゃってるのよ~。
『Candide』からは「Glitter and be Gay(邦題:美しく着飾って)」という曲も演奏された。
もうコレは一聴してモーツアルトのパクリだということが私でもわかる。
でもとても魅力的な曲。
そして、歌い手さんが西口彰子という藝大声楽科のOGの方。
声楽科って一番入るのがムズカシイんでしょ?
この彰子さんがすごくカワイイのよ!
こういう所では簡単に感動できるのにナァ。
 
そして、コレはハズせない「ウエストサイド物語」から上でも触れた「Symphonic Dances」を演奏して終わり。

コレで2,000円。
あ~、面白かった。
とてもいい一日でした。
ヘンテコリンな記事でゴメンナサイ。

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