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2019年7月10日 (水)

イギリス紀行2019 その1 ~ 万事休す!


予てよりMarshall Blogでチョコチョコと触れている通り、5月の末から6月の中旬まで、丸3週間イギリスに行って来た。
一番の目的はD_Driveのイギリス・デビューのアテンド。
それに会議。
そして、いつもやってるMarshall Blogのためのフィールド・ワーク。
 
大好きなイギリス、何度行ってもまだまだ見て歩きたいロンドン、まだ行ったことのないエリアへの冒険…ナゼにイギリスはこうも私を惹きつけるのか?
それは住んだことがないからだろうな~。
大好きなブリティッシュ・ロックの聖地に旅行気分で行けるとあれば楽しいにキマってる。
住んでしまったらいイヤな部分もたくさん見なければならないだろうからね。
さて、今まで最長の滞在は2週間だった。
今回はそれを1週間も上回る長旅となるので「空は晴れ晴れ、心ウキウキ」のハズ…ところが、とてもそんな気分ではなかったのだ。
 
以前、何かの記事に「おかげさまで今まで海外渡航に際して身体を悪くして困ったことがほとんどない」…なんてことを書いた。
ホントのことだから仕方ない。
ところがコレがイケなかったようだ。
バチではないにしても、今回は完全に狙われてしまったようだ。
まず、過去20回は訪問しているロンドンのこと、とにかく歩くことはわかっている。
また、たくさん歩くからこそオモシロさが倍増する街であることも十分承知しているので、日頃の運動不足を解消するためにも、毎日1~2時間のウォーキングを励行し、足腰を鍛えていた。
あまりに根を詰めて歩きまくったせいで右膝に強い痛みを感じるようになったのは昨冬ぐらいだったろうか?
それからしばらくの間、あまりヒザを使わないようにしていたら案の定痛みが消えたのもつかの間、4月の末にチョット無理をしてMarshallを運んだところ、信じられないぐらいの激痛が右膝を襲った。
まさに「ギックリヒザ」の体。
思わず悲鳴を上げちゃった!
「また静かにしていれば治るだろう」としばらくの間、ウォーキングを止めておとなしくしていた。
ところが、渡英の日は着々と近づいているにもかかわらず、一向に痛みが治まる気配がない。
「コレはマズイぞ…歩けないのにロンドンに行ったところでオモシロくもナンともないじゃないか!」
付け焼刃的に鍼灸院に数回通って何とか強い痛みだけは取り除いてもらった。
それでもヒザの使い方によっては、容赦のない激痛が迫ってくる。
サポーターなしではとても歩けない。
でもそれだけならまだヨカッタ…と言うのは、数日前からどうも身体がダルくて、イヤな予感がしていたのだが、その「イヤな予感」が見事的中。
出発の前日の朝、熱を出してしまったのだ。
そうなると何やら歯が痛いような気もして来る!
上下の奥歯4本。
ガタガタだ…。
 
行くことはいいんですよ。飛行機に乗りさえすればヒースローに着いて、迎えの車に乗ってMarshallに行けちゃうんだから。
でもですよ、行ったはいいけど、松葉杖をつくことになったり、高熱でうなされたり、歯痛で脂汗を流したりして、Marshallの連中に迷惑や心配をかけたりするのはマズイからね~。
勇気を出していっそのことキャンセルしてしまおうか!…と本気で考えたりもしたが、そんなことをしたらD_Driveの通訳仕事は誰がやることになるのか…Marshallに日本語ができる人なんて全くいやしない。
 
結果、まず「行かない」という選択肢はあり得ない。
とにかく身体を休めて少しでも体調を戻しておこう…コレしかない。
ところが、この数か月間、前日まで猛烈な忙しさだったので荷物の準備が全くできていない!
ボロボロだったんですわ。
やっぱりバチかね、ナニかの…。
 
心頭滅却すれば火もまた涼し…出発の日の朝には、少なくとも熱は下がり、幾分調子が良くなったような気がしたので、ヒロアキくんと美瑞穂さんが私の誕生日にプレゼントしてくれたカスタムメイドのパスポート・ケースを携えて予定通り家を出た。
10_2このケースを見るといつも思い出してしまうのがコレ。
ジャケットのデザインはケッタイだけど、カッコいいんだぜ~。
ポーランドのSBBというバンドの『Welcome』というアルバム。

Sbb今回は3週間の旅程ということで、現地での洗濯は覚悟していた、
でも出来ればその回数を1回でも少なくしたいと思い、超過料金なして預ってもらえる最大のスーツケースを新調して着替えをギューギューに詰め込んだ。
いつも使っている全日空の国際線エコノミーは、預けられる荷物が2個でそれぞれ23㎏まで。
 
失敗したよ…。
スーツケースが大きいのも良し悪しで、たくさん入る分、衣料品だけでモノスゴい重量になってしまう。
洋服ってのは重いもんだね~。
普段は考えたこともないことけど、パンパンに詰め込むとその重量に驚かざるを得ない。
そこに情け容赦なくカメラとレンズが2本ずつ!
コレは商売道具だから節約はできん…しかし、レンズってなんて重いんだろう。
それに加えてお土産に各種充電器、パソコン、自分用のインスタント食品(無化調)、その他モロモロ…引っ越しか!
大きいスーツケースに重量物を入れてしまうと、何をどうやっても重量制限をクリアすることができないので、以前から家にあった中型のスーツケースにカメラ類を押し込んでどうにか双方23kgに抑え込んだ。
いいこと教えてあげようか?
コレ、重量の上限の「23kg」っていうのは、小数点以下は切り捨てるんだって。
つまり、23.99kgまでOKなのだそうだ。
知っていれば、イザという時のこの「900g」は大きいよ。
 

ああ、ロンドン・ヒースローまで約12時間。
大好きなロンドンだけど、コレだけはいつになってもうれしくも、ありがたくもならないな。
危ないと思って、一応防寒の用意をして飛行機に乗り込んだんだけど、案の定のモノスゴく寒いでやがんの。
体調がすぐれないせいもあったのだろうが、尋常じゃない寒さだった。

20
ところで、最近飛行機でもWi-Fiのサービスを導入してるでしょ?
飛行機の中でMarshall Blogを書こうと思い、どんな感じかCAさんに尋ねてみた。
親切な方でとても詳しくそのWi-Fiのシステムを説明してくれた。
話を聞いてみると、この機内Wi-Fiのサービスは全日空がやっているワケではなくて、専門の業者のシステムが入り込んでいて、それに申し込みをして電波をつないでもらうという仕組み。
使い放題で2,000円ぐらいだったかな?
ま、それぐらいで仕事がはかどるなら支払ってもいいかな?…と考えていると、そのCAさんがコッソリ教えてくれた。
「お客さま…あの、あんまり、その~…コレって、ええっと、あの~、ナンでしょう、その…飛行機がロシアの上空を飛びますでしょ?
あの、その、え~、そういう時って電波がつながりにくいんですよ」
と、かなり言いにくそうに電波の状況を教えてくれた。
「え、『ロシアの上空』ったって、ほとんどロシアの上を飛んでるんでしょ?ソレってどういうことなんですか?」
「イヤ、ソレってそういうことなんです」
「ハッキリ言って電波がつながりにくいということですか?」
「はい。そうなんですよ!」
急に返事の歯切れがよくなった。
…「君子危うきに近寄らず」ということでWi-Fiは止めた。
 
しかし、わかってはいるけど、「合理化」と称してずいぶん機内のサービスが薄味になったよね~。
あの最初に配られるアツアツのおしぼりが好きだったんだけど、ペーパー・ナプキンになっちゃったし、ワインなんかも以前は小さなボトルで出たのに今はプラスチックのあのカップにトポトポ注ぐだけだもんね。
でも一番コタえるのはコレですよ、コレ…機内食。
ま、もとより美味しいなんて思ったことはないけど、ドンドンひどくなってない?
ビジネス・クラスが恋しいな~。(マイレッジを使って数回乗ったことがあるだけなんスけど)
この時はカツ丼だった。
「カツ丼」というより「コロモ丼」?
30一方、機内の映画サービス。
昔は嬉々として何本も観たものだったけど、最近はアニメと怪獣ばかりで興味をそそる作品がなく、リストに入っていれば「寅さん」を観るぐらいだった。
今回は観たかったのが2本ほどあったので拝見させて頂いた。
まず最初の1本は『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(原題:Darkest Hours)』というチャーチルを演じたゲイリー・オールドマンがアカデミー主演男優賞を獲得した作品ね。
今回の旅はチャーチルにちなんだパートがあるので観てみたワケ。
ん~、そうだったのか…。
第二次世界大戦の時、イギリスってのはドイツに降伏しようとしてたのね?
それを名演説で国民を奮い立たせ、連合軍の勝利に貢献したのがチャーチル…という筋。

Mp_2私はロンドンのチャーチル博物館なんてのも見ているんだけど、特段ファンというワケではない。
でもチェンバレンよりはいいか?
The Kinksの「Mr. Churchill Says」という曲は好き。
「イギリス英語の勉強のために」と、BBCが作ったチャーチルの演説のCDなんてのも持っている…ま、ほとんど聞いてないけどね。
でも「Never give in!(負けるもんか!)」ってのは覚えた。
チャーチルの家柄はスゴイよ。
ナニせ実家が世界遺産だからね。
このあたりについてはズット後のShige Blogでやらせて頂きます。
さて、映画の感想というと…ま、感動はないな。
さして面白いとは思わない。
作りも比較的重厚なんだけど、やっぱり脚本が薄味で、どうしても感情移入しにくいんだよね~。
戦敗国の日本の人間が仲間だったドイツを打ちのめすために立ち上がる映画を観たところで面白いワケがない。
コチラの歴史的背景の勉強不足ということもあるので、悪くは言うつもりはありませんが。
しかし、イギリスにいる間、ちょうど「D-Day(ノルマンディ上陸作戦)」の記念日にかぶっていて、結構な騒ぎで少し驚いた。

Swcもう1本は『メリー・ポピンズ・リターンズ(Mary Popins Returns)』というディズニー映画。
映画鑑賞者の幼稚化を推進するディズニー作品なんかを観ることはまずないんだけど、名曲がシャーマン兄弟の名曲が詰まった『メリー・ポピンズ』は大好きなのよ。
そもそもジュリー・アンドリュースが好きだし。
ジュリー・アンドリュースの旦那さんって、誰だっけ?…(間)…ブレイク・エドワーズ?こういうことは年をとると自然と忘れるね。
で、この作品はただの焼き直しかと思ったら、『メリー・ポピンズ』の30年後ぐらい(?)の設定で挿入歌も書き下ろしたもの。
曲の魅力は前作には遠く及ばないものの、「ミュージカル・ナンバー然」としていて私は結構好き。
特に最初の「(Underneath the) Lovely London Sky」という曲はとてもいい。
そう、舞台がロンドンというだけでもうれしい。
それとこのメリー・ポピンズを演ったエミリー・ブラントって人はステキだナァ。声もすごくいい。
ただ、メリー・ポピンズにしてはちょっとコワイか?
「昔、ヤンキーだったんですけど、更生して今、『メリポ』やっています」みたいな。
結局、途中で寝落ちして最後までは観ていませんが…。

Mp_1着いた…大英帝国。
飛行機を降りる時にWi-Fiのことを説明してくれたCAさんが私のところにワザワザ来てくれた。
「お客さま、Wi-Fiはいかがなさいましたか?お申込みになられましたか?」
「イエ、つながりにくいっておっしゃるからヤメておきましたよ」
するとニッコリしながら…
「あ!それはヨカッタ!やっぱりつながりにくくてクレームが出ちゃったんですよ!ヨカッタ、お申し込みになられないで!」
と、とてもうれしそうだった。
Wi-Fiシステムのパンフレットには確かに「つながりにくいエリアがあります」みたいなことを謳っていたけど、そんなんでいいのかね?
こっちとしてはとても親切なCAさんのおかげで2,000円損しないで助かった。
その上「またお帰りの際にもご一緒できますように…」なんて言ってくれるんだよ。
営業トークとわかっていても、とても気持ちの良いものですな。
 
しかし、ヒースローもスッカリ様子が変わっちゃって…。
大改装後のヒースローはコレで2回目なんだけど、外国籍の航空会社の発着ゲートが遠くなったナァ。

60_2この「Travel」という単語の使い方!いいな~。
コレは「進行方向を向いててチョーダイね」という意味だけど、「イギリスへ来たナァ」とうれしくなる。
でも、体調はよくないことに変わりなし…ダルいし、もっぱらヒザが痛い。

70こんなの付けたんだ?
まずは「Passport Control」ってか…またタップリ待たされるんだろうな~。
身体の調子がいい時でさえ、長いフライトの後に何時間も列に並ばされるのは実にシンドイ。
1時間ぐらいで済んでくれるとありがたいんだけど…。

80_2ん?
ヤケに空いてるな…。
普段なら万博の「太陽の塔」の行列ぐらい並んでるんだけど…スイスイだ。
(手続き中)
え~!ナンじゃコリャ~!
無人の機械にパスポートをかざして写真を撮るだけ。
あの世界一うるさいと言われる入国審査官がいない!
当然「How many days are you going to stay?」もなければ「What is the purpose of your visit?」もない。
ヒドイ時は2時間以上も平気で待たせやがったあの悪名高い入国審査がなくなっていたのだ!
そういえば、いつも飛行機の中で書いていた「入国コード」みたいなヤツも配られなかった。
コレは確かにありがたいんだけど、今までのアレは一体ナンだったんだよう!
それとも今回だけの特別サービスか?
でも、おかげで少し体調がよくなったわい。
去年NAMMへ行った時、アメリカはもうこの方式になっていたけど、やっぱり審査官と面接していたよ。
アレもスゲエ待たされた。
順序が後先になるけど、帰りの飛行機で隣に座った女性の話。
その方のお姉さんがイギリス人とご結婚されいて、もうロンドンに20年以上お住まいだとか。そこに1か月ほど滞在していたのだと言う。
彼女がロンドンに来たのは私よりちょうど1週間前。
その時は以前と変わらずの手続きで、あの面倒な入国審査官との質疑応答があったのだそうだ。
たった1週間でエライ違いだよ!
  
2つのスーツケースも無事ゲット。
出口には仲良しのディアンが迎えに来てくれて、一路Marshallが待つミルトン・キーンズへ!

90ハイ、着いた!
Marshallの近くのホテル。
車中ディアンと楽しくおしゃべりをしたおかげで身体がまた少しラクになった。
もうディアンとも15年の付き合いだからね。
それこそ年に1回ぐらいしか一緒に会わないけど、定期的に一緒になる人とは、会わない時間が長いとまたそれなりに近しくなったりするもんだ。
 
これで夜の7時ぐらい?
イギリスは6月20日辺りを目指して昼の時間がグングン長くなっていく。
5時にピッタリに仕事が終わって、10分ぐらいで家に帰って、風呂に入って、イッパイやって、ごはん食べて外がこんな感じってどうよ?
ま、その分秋ともなれば、昼は短くなり、長い長い冬の到来を覚悟しなければならないんだけどね。
それでも私は蒸し暑いのよりはいいナァ。
 
あまりのマズさに着陸前の飛行機の食事はいつもほとんど食べないので、この時間になると小腹が空いてくる。
100簡単に荷ほどきをして外に出る。
まずはホテルに隣接しているMarshall Arenaを見に行かなきゃ。
Marshall ArenaのようすはMarshall Blogでレポートしているのでココでは触れない。

110グルリとMarshall Arenaの裏まで回るとマクドナルドが現れる。
となりはケンタッキーフライドチキン。
今、この辺りはサッカー・スタジアムやホテル。スーパーにチョットしたショッピングモール、それにレストラン街ができて大分賑やかになったけど、私が初めてココに来た時にはこのマクドナルドさえなかったからね。
ナ~ンにもなかった。
しかしスゴイ雲だな~。

120こんなメニューがあるんだって。
「Great Taste of America」だってよ。
「アメリカの味」がグレートだと思ったことは一度もないナァ。
「アメリカの量」がグレートなのにはいつも驚かされるけど。
でも、外人って食うよね~。
所詮、われわれ黄色人種とは内蔵の機能と耐久性が全く違う。
私はこのハンバーガー・チェーンはずいぶん長い間敬遠しているので、地球の裏でも完全にパス。
 
ホテルのすぐ隣がASDAという24時間営業の巨大なスーパーマーケットなので、そこでサンドイッチとポテチと缶ビールを買ってくればそれで大満足なのさ。
そんなの身体に悪いって?
ま、いいワケはないけど、日本のモノよりはるかに安心だ。
私は日頃からなるべく「MSG」、日本で言うところの「調味料(アミノ酸等)」と表記されていないモノを摂るようにしているんだけど、イギリス政府はこの「MSG」の使用を厳格に禁止している。
イギリスだけじゃない、ドイツも同様。
あのアメリカでさえMSGの使用を厳禁している。
長い間摂取していると気が狂っちゃう危険性があるから法律で取り締まっているそうだ。
「ナニを言ってるの?アメリカなんてそんなの禁止していても極度な肥満体があんなに多いじゃん!」というご指摘は当然のこと。
砂糖タップリの炭酸飲料に脂まみれの食餌がもたらす肥満が身体にいいワケがないけれど、MSGはそれより危険ということなのですよ。
イギリスに1週間もいて、日本に帰ってラーメンとか立ち食いソバを食べてごらん。
MSGがどういう味をしているかがきっとすぐにわかる。
海外に行くと、日本人が安価目当てにMSGだけでなく、あまりにもリスキーなモノを摂っているかがすぐに理解できる。

130しかし、やっぱり身体がシンドイ…。
コレから向こう20日間、ホントに大丈夫なのだろうか?
まずは歯が痛くならないように甘いモノは絶対に控えよう。
ヒザもなるべく負担がかからないようにして…と。
 
やれやれ、いつかあんなこと書かなきゃヨカッタなぁ。

140つづく