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2013年5月 3日 (金)

イギリス紀行2012 その1~ブレッチリー

2012年6月26日初出

<はじめに>

先日レポートしたように光栄にも「ジム・マーシャルの生涯を祝う会」に招待され渡英してきた。
会社も辞めて時間もできたので、足腰がまだしっかりしているうちに大好きなイギリスをもっとゆっくり見て来ようと、その「祝う会」の後そのまましばらくの間滞在してきた。
決してただダラダラと観光するつもりで時間を割いたワケではなく、「ロック名所めぐり」を再開しようと思い、その取材を兼ねたのだ。
  
以前は「ロック名所」はいくつかの例外があったにせよ、ロンドンもしくはロンドン近郊という地域限定で展開してきたのはご存知の通り。
もちろんロンドンはブリティッシュ・ロックのメッカであり、その手の話題に事欠かないのだけれど、色々と現地の人々の話しを聴いていると、イギリスはある程度の都市であればロック文化が存外に深く根付いており、ロンドン以外の場所でも結構エピソードがあることを知った。
そこで、『ロンドン・ロック名所めぐり』をシゲ・ブログでは『イギリス・ロック名所めぐり』に拡大してお送りして行こうと思いついたのであった。で、ただ今、準備中。
(筆者註:この記事を書いた時、私はまだMarshallとの関連がなく、Marshall Blogで連載していた「名所めぐり」を自分のブログで展開しようとしていた)

『名所めぐり』では以前同様、今回取材した分も含めロック以外の話題には触れないようにするつもりでいる。ところが、今回のイギリス滞在はちょうどエリザベス女王の在位60周年記念のイベント週間にあたり、何やらロンドンはいつもと違う雰囲気。
こんな貴重な体験はレポートしなきゃ損!ってんで、今回の滞在中に見てきたこと、経験してきたこと、ロックとは関係ないことをまず書き連ねておきたいと思う。
友人のことや食べ物のこととかね!

かなり偏った内容になることは必至だが、一市井が見た真実のイギリス(と言ったらオーバーか?)を味わっていただけたらと思う。
この手のレポートはそこら中のブログで展開しているので珍しくも何ともないであろうが、ウンチクと自慢話でつないでお読みいただく皆様を何とか飽きさせないように書くつもりでありやす!

時系列に沿って順に書き連ねていくことにしよう。

今回渡英したのは5月の下旬から。東京はもう半ソデでまったく問題ない陽気。
この季節にイギリスに行ったことは過去に何回かあるので、例え東京は暑くても厚手のセーターやしっかりしたジャケットがないと現地で凍えることになるのは先刻承知。
何しろ真夏でも暖房を入れる土地柄だからね。セーターもジャケットもしっかりスーツケースに詰め込んだ。

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暑い…飛行機を降りた途端、予想に反して何やら真夏の陽気…。こりゃバカみたいにセーターやらジャケットを持ってきて損しちゃったかな?と後悔しつつ入国審査へ。

出たよ、ヒースロー名物のキュー地獄!キュー(Queue)とはイギリス英語で「列」という意味。
ヘンなつづりでしょ?
つまり、入国審査を受けるのに途方もない時間を要するのね。

列にはEUの国籍を持つ人たち向けと我々ノンEUの人たち向けの2種類があって、エライ待遇が違うんだよね~。
EUの人たちはサッサと入国しちゃう。
こっちはダラダラダラダラダラダラダラ、1時間待ちは全然当たり前。今回は「あ~、2時間かかるかな~」と12時間のフライトで疲れた体に容赦なくムチが入る!

また、今回は成田で荷物を預ける時に23kgをオーバーしてしまい、レンズ数本とカメラ本体を機内持ち込みのデイバッグに無理やり移しかえた。超過料金払いたくないからね…。
デイバッグにはすでにノートパソコンが入っていてかなり重い。
そこへアータ、重量物の代表みたいな立派な一眼レフカメラを入れたもんだから、重く重くて椎間板がハミ出しそう!
キューにいる間、当然下に降ろすでしょ?でも、キューはチビチビチビチビチビチビチビと30cm刻みで前へ進む。
都度、その激重のデイバッグを持ち上げるのが地獄の苦しみだったのよ。

そういえば、何回か前にイギリスに行った時、民主党の前原さんと同じ飛行機だったことがあった。
この時も入国審査には長いキューができた。
「この行列に前原さんも並ぶのかな…ヒヒヒ」なんて思っていたら大違い!
数人のSPと脇のゲートからシレっと出て行っちゃった。国会議員がこの列に並ぶワケないか…。

イギリスの空港は入国審査の際、キチンと質問をしてくることで知られている。
「何日滞在するか」、「渡航目的は何か」、「どこで過ごすのか」、「ラーメンはコッテリとアッサリのどっち好きか」とか。(コレはない…)

今回は滞在期間が長いせいか、やたら細かく質問を浴びせてくる。
で、「あなたの国の世界的な有名なギター・アンプのメーカーでマーシャルっていうのがあるのを知ってるか?」と訊くと「知ってる」というので全部説明してやった。
その創始者が4月5日に亡くなったこと、人生を祝う会が催されそれに出席すること、去年の末に会社を辞めて時間ができたので大好きなイギリスをゆっくり見て回ることができること、渡航費用を工面することが大変だったこと、等々。
これで一発OK!って全然一発じゃないか…。こんなことしてるから時間がかかるんだゼ~。

荷物を受け取って、ようやくゲートを出る。仲良しの運転手、スティーヴが待っていてくれた。ブレッチリーまで約1時間半。
1年以上会ってなかったので、車の中でその間に起こった色々な情報交換を交換する。楽しいな~。と、ちょっと待った!スティーヴに頼んで車を止めてもらう。

この季節、イギリスの郊外は黄色に染まる。菜の花だ。
彼らが花をおひたしにして鰹節をかけて食べているところは残念ながら見たことがない。油を採るんだね。道端にはこうしてかすみ草が生えていて彩りを添える。

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フト反対側をみるとこんな調子。ある種もう見慣れた景色ではあるのだが、やはりこの美しい光景を目にするとシャッターを切りたくなる。

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アットいう間にホテルに到着。
おっと、下の写真ホテルではござらんよ。
そんなことマーシャルの連中に言ったらヒックリ返って笑うわ!
これはホテルの前にある有名な「Pink Punter」というナイトクラブ。
ちょっと写真ではわかりにくいんだけど、虹色の看板には左から「LESBIAN」、「GAY」、「TRANSDUCER」と書いてある。
もうおわかりですね。
そういう所です。
「Transducer」というのは「性転換者」という意味。
自分の趣向に合わせてその門をくぐれば話しは早いというワケ。
残念ながらアタシの入り口はないナァ~。
「ZAPPA」っていうのがあれば入っちゃうけどね。

先に書いた通り、こっちはものすごい荷物でしょう。
ホテルに入る時、長身で金髪の美しい女性がドアを押さえていてくれたんですよ。
「Thank you!」と礼をいうと「You're welcome!」と愛想よく返事してくれるのはうれしいんだけど、その声が完全Dark Brown Voiceなのよ!もうまったくThe Kinksの「Lola」の世界!
こりゃいい旅になりそうだ!

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イギリスは6月の下旬に向けてジャンジャン日が長くなる。
これで夜の8時ちょっと前ぐらいかな?
6月になるとスゴイよ。10時半ぐらいでようやく夕方?みたいな。
一日が長いのなんのって!
パーティや会食も、そもそも始まるのが平気で8時とか8時半とかだし、10時を回って11時になろうして「さあ、そろそろお開きかぁ~?」と外を見るとまだ完全に夕方。
オイオイ、日本ならこれからイッパイって感じだゼイ!
こちとら疲れちゃってワイルドだなんて言ってらんねーゼイ。

ホテルの近くの運河。とにもかくにもこのイギリス国中に張り巡らされた運河網は魅力的だ。今でもギンギンに活用されている。

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運河が生活に密着している地区もある。

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ホラホラ、来たよ、ナロー・ボートが!

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この青いボート、何しに来たのかと思っていると、ここでUターンしてんの。

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♪春のうららの隅田川…上り下りの船が行き交うよ。

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こっちの船頭さんは女性だ。
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「British Waterways」というのはイギリス政府が運営する運河を管理する機関。
イギリス全土全長3,541kmの面倒をみている。
水路橋やナローボートのエレベーターなんて施設もあって、興味津々。
もう退職してしまったがディックというマーシャルにいた友人が「Dragonfly」という名のナローボートを友達と共有しており、よくその写真を見せてくれた。
あ~あ、いつかこの船に乗ってイギリス全土を巡ってみたいナァ!

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テムズ川まで55マイル(88km)。テムズのどこまでなんだろう?
つまりこの運河は河口でテムズ川に合流しているということ。

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ここは「フェニー・ストラットフォード」という停泊場なのだ。
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ここに船をつないで停泊する。

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ナローボートは交通の手段でもあるが、多くの人が船に住んじゃってる。
これ住所はどうなってるんだろう?郵便物は普通に配達されるらしい。
住所がないとしたら税金は?
ヴァージン・グループの創始者、リチャード・ブランソンもかつてナローボートに住んでいたと自伝で語っていた。
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水位が高いので橋は邪魔になってしまう。
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ところが心配は無用。
ここは橋が旋回するようになっているのだ。

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さらにここは閘門(lock)の役割も果たしている。水門を開閉して内外の水位を調節する。
「ロック」とはロンドンの北にあるカムデン・ロックのロックだ。

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これは何でしょう?上空のヘリコプターを見上げる老人たち。イヤ、何となくUFOの『現象』を思い出してしまいましてね…撮っておいた。
わかる人には「Oh! My」でしょ?

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ホンモノはコレ。「飛行物体」、「青空」、「イギリス」というキーワードだけね。ヒプノシスの作品。

Ufo
フェニー・ストラットフォード・ロックの近くには線路が…。
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単線だねェ~。

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これが駅。ナンカおとぎ話にでてくるような風情でしょ?もちろん無人駅。
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その「フェニー・ストラットフォード」駅の入り口。
ロンドン・ユーストンからバーミンガム方面の路線の支線のひとつにある駅で、ブレッチリー駅が終点となる。
ブレッチリー駅というのはマーシャルの工場から歩いて20分ぐらいのところにある国鉄の駅。
このフェニー・ストラットフォード駅からマーシャルの工場までは歩いて10分ぐらい。路線を考えなければこの駅が工場に一番近い電車の駅になる。

この近くにおいしいサンドイッチ屋さんがありましてね。
おいしいんだけど、チョットしょっぱいんだよナァ~。
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運河の脇にある「The Bridge Inn」というレストラン。
「Inn」ということは宿屋でもある。なぜココをレストランとよんだかと言えば、実は思い出の会食をした場所なのだ。今はもうなくなっちゃった。

何年前になるかな?楽器屋さんの担当者をマーシャル工場のツアーにご招待したことがあって、その時のジム・マーシャルとの会食の会場がここだったのです。
ジムはあの時まだまったく元気で、コルクの手品をしてくれた。あの時は本当に楽しかった。

私はそれ以外にもここを訪れたことがあって、あの時はワールドカップかなんかだったのかな?
とにかくサッカーのテレビ中継をしていた。その時は他の国の人々との会食で一番大きな部屋を占有していた。
サッカーの試合が見れるテレビがその部屋にしかなくて、よそのグループが部屋の外から試合の成り行きを気にしている。
それじゃ、みんなで観戦しようよ!ってんでみず知らずの人も交えてみんなでイングランドを応援した。
アタシャ、サッカーにはなんの興味もないけど、これも楽しかったナ。
サッカーってこうやって観るもんなのか~…と驚きもした。
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つづく