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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 その10~ニューキャッスル

2012年7月12日 初出

帰って来た~!ああ懐かしの我が家、イングランド。1時間半電車に揺られて着いたるは、我が友スティーヴ・ドーソン待つところのニューキャッスル・アポン・タイン。

はじめはね、エジンバラからグラスゴーへ行こうと思っていたのですよ、欲張って…。世界で3番目に古いという地下鉄を見てみたかったの。初のスコットランドだし、今度はいつ行かれるかわからないし、また行かれるかどうかだってわからない。欲張って当然でしょ?

で、まだ私が日本にいる時に送った旅程を見たスティーヴが「オイオイ、2日でエジンバラとグラスゴーを見ようってのかい?電車の待ち時間もあるし、それはあまりにも欲張りだと思うぞよ!だいだい、ニューキャッスルはどうするんだい?見なくていいのかい?」ときた。

そうか、ニューキャッスルを忘れていた!…ニューキャッスルでは絶対に行きたいところがあったんだ!と軌道修正し、グラスゴー行きは事前に取りやめた。

写真は<その6>で詳しく紹介したニューキャッスル駅。

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改札の向こうでスティーヴが「こっち、こっち!」と手を振ってくれている。ほんのちょっとひとりで外地に行って来ただけなんだけど、友の顔を見ると「あ~、帰って来たナァ~」と妙に感動してしまう。スティーヴに長いこと会っていないような…。

ところで、駅に着く直前に車窓からスゴイものを見てしまった…。これは後ほど。

スティーヴに連れられて外に出る。相変わらず天気は最悪だ。寒いったらありゃしない。

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駅から歩いて5分ぐらいのところにある聖ニコラス大聖堂(St. Nicholas' Cathedral)。もちろん中を見たい!さっそく入ってみた。すると、中では何やら盛んにやっていて(礼拝に決まってるか…)係の女性が「拝んで行け、拝んで行け」と誘ってくれる。するとスティーヴが「彼は東京から来たシゲ。中をちょっとのぞいてみただけだよ」と説明してくれる。こういう場面でもしっかり紹介しちゃうところが我々とは異なる文化だよね~。

この大聖堂の期限は900年も前だというが現在の建物は14~15世紀に建てられたものだそう。それでも軽く500年は経ってるからね。そうしたものが今でもごく日常的に利用されているとことがスゴイ。

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さすが、地元系の人、スティーヴ!路地を通り、スイスイと道を下って行く。
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お、変なもの発見!魔よけなんだろうかね?ずいぶんトボケた顔してら!
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いきなりボッコンと胸像が現れる。この人はトマス・ビウィック(Thomas Bewick)という版画家にして鳥類学者。貧しい家の出ながら幼くしてその才能を表し、『イギリスの鳥の歴史』という大著を上梓した。1790年頃、ここにその仕事場があったということ。
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大分下って来たぞ。
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そこかしこに橋が…。
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ニューキャッスルは川の(River Tyne)のほとりに位置しており(だから街の正式名称をNewcastle Upon Tyneという)、川を挟んだ両岸に街が広がっている。そのため、坂が非常に多く、エジンバラのようにこうした階段状の路地が多く存在している。エジンバラ式に言えば「Close」だ。

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これもかなり古い建物だ。このプラークに書いてあるのは、「1772年11月18日、ベッシー・サーティーズ(Bessy  Surtees)はこの上の窓から降りて来てジョン・スコット、後のエルドン伯爵ならびにイングランド政府高官と駆け落ちした」とある。ベッシー・サー ティーズというのはニューキャッスルの銀行家の娘。身分違いの禁じられた愛だったのね?

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ドワッ!これか!エジンバラに行く前にチラっと見かけて是非見たいと思っていた橋。Tyne Bridge。タイドアーチ式構造といい、色といい、隅田川にかかる厩橋のようだがゴツさがケタ違いだ。厩橋が女性に見える。もはや橋脚はブルックリン橋を連想させる。タイン川には名橋がズラリ…。
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1876年に完成したSwing Bridge。橋がグルリと回転し、船を通過させるしくみ。
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そして、最初の方に書いた「スゴイものを見た」というのがコレ。High Level Bridge。あまりにも名前に色気がない!

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この橋は上が鉄道、下が車道と二階建てになっている。1849年にオープンした世界最初のマルチ式の橋。

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橋脚にも橋梁にも何の飾りもない、角ばってばかりの無愛想なデザインだがモノスゴイ圧迫感!160年も前からこんなのあったんだゼ…ってコレばっかり。
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Tyne Bridgeの向こうにもうひとつ橋が見えるでしょ(写真中央左)。あれはGateshead Millenium Bridgeという歩行者と自転車用の橋。2002年にオープンした。この橋、ナント、橋自体が川上&川下方向に垂直に動いて大きな船を通過させる。残念ながら動いているところは見ることができなかった…。
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やはりこれだけの名橋。にらんだだけのことはあった。こうしてタイン川の(River Tyne)のシンボルに制定されていた。

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東京で対抗できるのは聖橋ぐらいかナァ?
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これは以前使われていたであろう係船柱。ムンクになってる!

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Tyne Bridgeの隣のギルドホール(Guildhall)。要するに町役場。ドアがおっしゃれ~!17世紀の建物。
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ニューキャッスルも昔から栄えた街だけあって豪奢で立派な建物が多い。ここは1階に楽器屋が入っていた。「名所めぐり」で紹介する。

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駅からほど近いオフィス街。人通りは少ない。日本から帰って来て偶然あるTV番組を見て知ったのだが、ニューキャッスルは国内でも失業率が高く、あるコミュニティに限っては、ナント34%にも上ると言うのである。ここはそのコミュニティとは関係ないが、オフィスのほとんどに共通の看板がかかっていた。「To Let」…つまり「入居者募集」。「この街はずいぶんトイレが多いナァ」なんて言わないの!
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そのオフィス街を過ぎて振り返る。左に見えるのがThe Royal Theatre Newcastle。

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1837年にオープンしたというThe Thatre Royal Newcastle(シアター・ロイヤル・ニューキャッスル)は今年で175歳にもなる!初演はシェイクスピアの『ベニスの商人』だった。

1989年、『マクベス』公演終了後、大火事が発生し、内装が大きなダメージを受けたが、1901年には再オープンした。現在はイギリス政府が定めるListed Building(勝手に壊してはいけない歴史的な建造物)のGrade1に定められている。Grade1に定められている他の代表的な建造物は、バッキンガム宮殿、ロイヤル・アルバート・ホール、ヨーク大聖堂などスゴイ顔ぶれ。イギリス人は本当にこういう古いものを大切にする。
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「Theatre Royal」というのはイギリス国内のあちこちに存在している。ロンドンのコヴェント・ガーデンにある「Theatre Royal Drury Lane」なんかもその内のひとつ。いずれも立派な劇場だ。

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ロビーの様子。中にも入ってみたいがNG。

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内装も素晴らしい。ロビーの天井。まるで浅草寺だ。
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7月14までは『Grease』がかかっている。19~28日までは『Julius Caesar』。やっぱりシェイクスピア。8月14日からこの案内の『Sister Act』がかかる。

ウーピー・ゴールドバーグのコメディ『天使にラブ・ソングを…(Sister Act、それにしてもヒドイ邦題!)』のミュージカル版だ。この映画の冒頭で「Heat Wave」、「My Man」、「I will Follow Him」をつなげた「The Lounge Medley」というのが出てくるんだけど、この演奏のベースが破天荒にカッコよくて、その昔ハコバンをやっていた時に採譜したことがある。結局演らずじまいだったな…。
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つづく