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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 その14~サウス・シールズ3

2012年7月26日 初出

さあ、今日はロンドンに移動する日だ。昨晩荷物もしっかりと詰め込んだし…。ロンドン・キングス・クロスまで約400kmの電車の旅。まだ切符は買っていない。ニューキャッスルの窓口で片道切符を買えばいい。

このサウス・シールズという街がすっかり気入ってしまい、スティーヴと分かれ、移動するのがさびしくなってしまった。

一方ロンドンでは、いよいよこの週末からエリザベス女王在位60周年(Diamond Jubilee)のイベントが始まる。今日はダービー(Derby)で記念レースかなんかがあるはずだ。

以前にも書いたようにイギリスはいろいろな事情で電車の料金がコロッコロ変わるので注意が必要だが、前の日にスティーヴの家で調べた運賃も、同様にいつもより高めだった。£50ぐらいだった。

ま、急いでロンドンへ向かってもしょうがないので、ここサウス・シールズにあるイギリスで一番おいしいというフィッシュ&チップスを食べたり、ローマ人の遺跡を見てから離れよう…という計画だった。

そして、待ち合わせの時間が来て激ヘビーなスーツケースを持ってB&Bの玄関まで降りると、スティーヴが神妙な面持ちで迎えてくれた。

「おや?こりゃ何かあったな?」とすぐにイヤな予感が胸をよぎった。でもな~、もし日本で何か起こっていたとしてもスティーヴのところに連絡が行くワケないしな~。まさか吉野家の牛丼が値上がりしたとかかな?

「シゲ、悪い知らせがある…」とグッモーニンも言い終わらないうちにスティーヴ。

キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ~!おいでなすったよ~!何を言うのかと思ったら…

スティーヴが続ける…「女王のイベントのおかげで、今朝になって電車の料金がハネ上がっているんだ」

「いいよ、いいよ、少しぐらい。今日ロンドンへ行っちゃうよ。宿も予約してあることだし…で、いくらになってんの?」

「£150だ」とスティーヴ。

「あ、そう£150ね。 ……ってアータ、昨日は£50だったじゃないのよ!」

「そう、3倍になった。もしかしたら、ロンドンの宿代のキャンセル料を払って、今日ここにもう一泊してもそっちの方が安いかもしれない。とりあえずオレの事務所に行って予定を組みなおそう!」

トホホ、なんてこった。電車賃にプレミアが付くなんて一体どういうことだよ!とやや悔みながらスティーヴの事務所にお邪魔する。

さっそくPCとニラメっこ。確かにハネ上がってる。同じ条件なのに明日の運賃は約£50だ。これも昨日チェックした時は£37ぐらいだったのに値上がりしてる!一方では昨日泊まったSir. William Foxの空き状況を調べるとナント!大ディスカウントして£30以下になってる!や、安い!

明日は3000もの船がテムズ川を下るとかいうイベントだ。こりゃスティーヴが言う通り、高くならないうちに早いとこ明日の電車の切符を買っておいて、ロンドンの宿のキャンセル料を払って、サウス・シールズに延泊した方が安いわ!

普段だったらサ、あの大好きなロンドンに少しでも早く行きたいところなんだけど、このアホみたいな天気の悪さにもう元気を失っていましてね。真冬のように寒いし…。別に明日でもいいや~ってな気持ちになっちゃったんですな。

それと、この素敵なサウス・シールズをもうちょっと見てみたいというのもあった。

さらに、そろそろ洗濯の必要もあった。

そこで決心。まずインターネットで電車の切符を予約した。イギリスでは電車もeチケットになっていて、写真のようなプリントを改札で見せて電車に乗る…というのはわかるんだけど、何か不安…。

今晩の宿も取れたし、ロンドンの宿にも今日は到着しない旨の連絡もしたし、後はのんびりとこの田舎町を楽しもう!

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またしても雨がジャンジャン降っているので、スティーヴの事務所でひとしきりギターを弾きたおした後、まずは雨宿りがわりに博物館に入った。

雨が強かったので外観も撮影していない。

これはこの博物館の見どころのベスト10を紹介したしおり。こんな田舎の博物館に見ごたえのあるアイテムが10ケもあるんかいな…?。郷土資料館どまりじゃねーの?…と思っていたらナンノナンノ、この「South Shields Museum & Art Gallery」、なかなかに面白い
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やはり見どころはこの街が生んだ世界的な作家、キャサリン・クックソン(Catherine Cookson)に関する資料であろう。前回もちょっと触れたが、知ってる?キャサリン・クックソン。私は学校が文学部(半分は軽音楽部)で英米文学を専攻していたが、クックソンの名前は聞いたことがなかった。はいはい、もちろん勉強していなかったからなんですよ。ああ、これは本当に後悔しています。ホント、ギターなんか弾いてないでもっと勉強しとけばヨカッタ!

写真はクックソンにまつわるアイテムの展示だ。

Catherine Cookson DBE (DBEはDame Commander of the Most Excellent Ordwr of British Empireの略。OBEやMBEより上位の勲章)は1906年、ここサウス・シールズの生まれ。ナント、イギリスでもっともその作品が読まれている作家である。驚いたことに、作品が世界で1億部以上売れた作家の中に堂々とランクインしている。

だから昨日のThe Steamboatというパブの壁にもあんなプラークが付いてたワケ。

この前々日、スティーヴの家にお邪魔した時に、サウス・シールズ出身の有名人の話題になり、奥さんから「キャサリン・クックソンはご存知でしょ?」と尋ねられ、「いいえ」と答えた時に大層驚かれたっけ…。

このランク、1位はシェイクスピアとアガサ・クリスティで、日本からは赤川次郎、西村京太郎、司馬遼太郎、吉川英治、内田康夫、森村誠一の名が挙がっている。ランクインした作家の国籍をツラっと眺めると圧倒的にアメリカとイギリスが多いが、6/100だとしたら、日本もなかなかのもの。これは取りも直さず、日本国民が読書家であることを物語っていると思う。ま、これからは知らんよ…。

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これはクックソンが過ごした時代のサウス・シールズの一般的な住居を再現したもの。世界に並み居るベストセラー作家の中でもクックソンはもっとも貧しい家庭の出だったらしい。

そしてクックソンの著作の数々はこのサウス・シールズをはじめとしたタイン川南岸の街が舞台となっている。
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キッチンのようす。テーブルの向こうに立っている女の子がクックソンだ。この展示にはクックソンが実際に読み上げた当時の暮らしぶりのナレーションが流れている。

クックソンは訛りや方言が大変キツかったという。スティーヴの説明によれば、この地方の昔の方言で「my」を「me」と言っていたらしいが、クックソンはそういった変則的な表現をそのまま作品に用い自己表現した。

後期はクックソンが頭に浮かぶ創作を旦那さんが筆記していく形を取ったが、その創作のアイデアはまったく枯れることがなかったらしい。

当然、読みたくなりますよ。こんな話しを聞けば…。

この晩、さっそくインターネットでクックソンの翻訳作品を探してみた。ないのよ。見つからないの。これ、まったく日本に入って来てないんじゃないのかしらん?原文では読みたくないな…。国立国会図書館でも行ってみるか?
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こちらは昔グッズの展示コーナー。この透明のヤツなんだろう?スティーヴも見たことないって。絵を見るとお母さんが赤ちゃんに何かを与えてる。哺乳ビンでもないし…。「Feeder」って書いてある。離乳食でも与えるものかな?
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Jarrow Crusade(Jarrow March)。1936年、失業と極度の貧困の改善を訴え207人の労働者がサウス・シールズ近隣のジャロウという街からロンドンに向けて480kmにも及ぶ抗議デモを敢行した。何も希望はかなえられず、帰りの電車賃として参加者に1ポンドが与えられただけだったという。
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館内の売店と食堂。こんな売り子さんがこんな可愛い格好をしている。同じ格好をしたもうひとりの係はバアさんだった。
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19世紀につくられたステンドグラス。
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昔なつかしグッズ。イギリス版「三丁目の夕日」か。

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とまあ、ここに載せなかった展示も多数あり、この博物館は面白かった。もちろん無料!

外へ出ると雨は一応上がっていた。が、数分もすればまた降って来るだろう。

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後にスティーヴから面白い情報をもらった。

この博物館の前の通りは、いわばサウス・シールズのハイ・ストリート、つまり一番の繁華街だ。この旧役場から…

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このまま進めばサウス・シールズの地下鉄の駅だ。

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以前にもお見せしたこの通り。比較的何でもあるよ…なんてテキストを付した。ないのは人通りだけだ。何せ人がいない!
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それが…だ。この動画を見て欲しい。これは上の写真の通りの60年前のようすだ。街は造船と炭鉱で隆盛を極め、人であふれかえっている。以前の回で、得もいわれぬ斜陽感よいうか寂寥感に覆われている…と書いたが、まさかこれほどだったとは!自分も歩いた場所だけに大きなショックを受けた…。浅草と同じか…。

もう、今日ロンドンへ向かう必要はなくなったので、街をゆっくりと見て歩こう!それにしてもこの天気。

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ここはインド人の住居区。
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次にスティーヴが連れて行ってくれたのはココ。
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Arbeiaという紀元120年ごろローマ人によってつくられた砦。上はレプリカ。
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1870年代に発掘が開始され、1970年代には上に立っていた現代の建物をすべて取っ払っちゃったそうだ。

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博物館も併設されている。これらはすべて街で運営されている。

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これがArbeiaのしおり。
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風は強いし、もう激寒なんだけど、海岸へまわってみる。

ヨークを離れた後、毎日が悪天候でスティーヴと何回も天気の話しをした。何度も書くが、雨だけでなく、風も強く寒くてタマらないのだ。

「スティーヴ、イギリスが日本よりはるかに寒いことは知っているし、5~6月にイギリスに来たことは何回もあるんだけどサ…いつもこんなだっけ?」…と訊くと初めのうちは、

「イヤ、こんなもんだよ。典型的なイギリスの天気さ」と言っていた。

それが2日目になって同じ質門をして、「スティーヴ、これさ、日本では『冬』っていうんだよ」と付け加えるとスティーヴは、

「ガハハハ、日本の冬はこんなにあたたかいのかい?イギリスの冬はこんなもんじゃないさ!」とドヤ顔で答えていた。

そして、三日目、やはり天候が悪くメチャクチャ寒い。朝、会うなりスティーヴがこう言った…

「シゲ、これはイギリスでも『冬』だわ!」って。

それほど寒かったんですよ。
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あ~、晴れていればキレイだったろうにナァ~。
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これは公園の鉄柵の跡。以前はとても美しい鉄柵が施されていたが、第二次世界大戦の時に片っ端から切り取られ、軍に供出させられたのだそうだ。スティーヴが言うには、そんな時でもロンドンの街にあった鉄柵には手を付けなかったらしい。
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これ全部インド料理店!
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これがスティーヴおすすめのイギリスで一番おいしいフィッシュ&チップス屋さん。Colman'sという。
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やはりイギリスに行けばナンダカンダ言ってたいてい1回は口にするフィッシュ&チップス。はじめて食べたのはトッテナム・コート・ロードのお店だった。そこはもうないというか、有名なライブハウスThe Astoriaも含めて、その一角ごと再開発工事で何にもなくなっちゃった。その店は色んなシーフードをフライにしていたが、もの珍しさもあっておいしかったのを覚えている。やはりフィッシュ&チップスといったら、やっぱり鱈だね。Cod。

それ以来、色々な所で何回も食べてきたけど、デカすぎてちょっと飽きちゃうんだよね、味も塩か酢じゃん?カレーソースなんて付いているところもあるけど、ま、私はいつもフィッシュに酢、イモには塩なのね。最初は揚げたてのアツアツでおいしいことこの上ないんだけど、味が単調すぎて最後まで食べきれない時もある。ポテト・フライ(Chips)はどこで食べてもおいしいナァ。ただし、これも飽きるまではの話し!
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これがColman'sのフィッシュ&チップス。「ウワ~、見ただけで胃がモタれる~」なんて言うべからず。まずは食べてもらいたい。

店内の写真をパチパチ撮れればよかったんだけど、そんな雰囲気でもないので我慢!ウェイトレスがブルーのユニフォームに身を包みテキパキと店内を動き回る、みんな髪の毛をポニーテールに結ってあって、愛想もよくとても可愛い!また、店内には来店した有名人の写真がビッシリ飾ってあるんだけど、写真に写っている人物は、日本のラーメン屋で見かけるような漫才師とか漫画家とかではなくて、各国の政府の要人とかなの。ま、私としてはロバート・フリップとかピーター・ハミルあたりが移っていればメッチャ面白いとは思いますけどね。

昼時をとっくに過ぎているのに、とにかく店内は超満員!家族づれも多い。そして、目につくのは70歳は軽く超えているであろうお年寄りのお客さんの姿だ。こんな脂っこいものを食べられるのかいな?と実に興味がわく。
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それがですよ、この巨大な揚げ物、実にサッパリしているのだ。ぺロですよ。ペロッといけちゃう!これならお年寄りでもイケちゃうワケだわ!サラダは普通だった。

マジでうまい!今まで食べたフィッシュ&チップスの中では格が違うほどにウマイ!あんまりうまいから箸袋(実際にはフォークが入ってる)持って帰って来ちゃったよ!

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この料理、素材と油が新鮮でありさえすれば誰でもおいしく作れちゃうと思うでしょ。もちろんそれもあるけど、腕なんだって!揚げるコックさんのテクひとつでうまくもマズくもなっちゃうそうです。恐るべし、フィッシュ&チップス!

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あ~、おいしかった!今回の旅はいつになく「ウマイもの率」が高いぞ!
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サウス・マリン・パーク。さっきの鉄柵が切り取られていたのはノース・マリン・パークだ。ここサウス・シールズも他のイギリスの街と同じく公園が豊富だ。
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これは救命艇のレプリカ。先の博物館にも模型が飾ってあるのだが、救命ボートというのはサウス・シールズが発祥の地なのだ!
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メチャクチャ美しい園内。
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園内にはミニ蒸気機関車(これもイギリスが発祥だ)やちょっとしたアトラクションがあって、土曜日だけに子供連れの家族でにぎやかだった。こんな天気なのに…。それにしてもキレイな公園だ。
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浜辺へ出ててみる。Sandheavenというところ。「お砂天国」か…。いちいち名前がまたいいんだよな~!
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これも晴れてりゃきれいな写真になったろうにナァ。まだ6月のはじめだゼ!これじゃ晩秋だよ晩秋!よくて夏の終わり…。ああ、楽しげな声でにぎやかだった浜辺も、もう今では打ちては返す波の音だけ…ってまだ夏来てねーんだよ!

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この海は北海ね。海を渡ればスウェーデン!太平洋と日本海に囲まれて暮らしている我々にとっては、こういうことがすごく新鮮だ。

以前赴いた宮古島の展望台から見下ろした海が東シナ海と知って興奮したもんだ。
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このエリアの向かいにはバンガローがゾロリと並んでいて、真夏にはこの辺りは避暑やら海水浴やらでゴッタ返す。この円形劇場もそういう時に解放されコンサートが開かれる。スティーヴも出演したことがあるそうだ。
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イヤ~、途中でトイレ行きたくなっちゃってサ!シンドかった~!浜辺からこのタウン・ホール(Town Hall : Steve-san, thanks for your correction!)の近くにあるスティーヴの事務所まで死ぬ気で早歩きした!
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像はビクトリア女王。女王は在位が63年7カ月と歴代イギリス国王の中で最長である。それを祭った像なのだが、ご存知の通りエリザべスII世が在位60周年を迎えた。さあ、記録を塗り替えることができるか?!明日はいよいよその在位60周年のお祝いムードで沸きかえるロンドンへ向かう。
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スティーヴはこの後、親切にもまた夕食に誘ってくれたが、週末まで付き合わせてしまっては申し訳ないので、丁重にお断りした。それに、そろそろ洗濯もしないとね!でも洗剤買って来なきゃ!

ということでスティーヴと分かれて一旦B&Bに戻る。まだ時間が早かったので、しばらく休んでから、洗剤を買いにまたひとりで街へ繰り出してみた。

もう駅までの道はわかってる。でも間違えちゃった!初めそれを知らずにひたすら歩いていたらChichesterという駅に出くわした。こりゃ完全にヤバイかな?と思ったうえにトイレに行きたくなってきた。寒くて冷えちゃうんですよ!

こりゃ我慢できそうにないぞ!と危機を感じながらもうちょっと進むとKFCが見えてきた。コレ確かスティーブが「ケンタッキーが食べたかったらここにあるよ」とか言っていたことを思い出し、ロケーションが完全に理解できた。

が、トイレはどうにもならない!KFCのとなりのスーパーに入るがトイレがない!仕方ないのでチキンのひとつも買う覚悟でKFCに入る。でもうまい具合にカウンターからトイレが死角になっていたのでシレっと用を済まして出てきちゃった!

シゲさんぽを続ける。昨日スティーブと歩いていて発見して気になっていたレコード屋に入ってみた。するといきなり店主がスゴイ勢いで自己紹介してきた。「オレはスチュアート!君は?どっから来た?何しに来たんだい?どこにいるんだい?」と質問攻め!

「こりゃ何か買わないと帰れない」のパターンか?…と、ビビっていると、「何か探しているのはあるのか?」ときた。ホラ、おいでなすった!…こういう時は絶対に見つからないレア盤を告げるに限る…ということはわかっているので「Zappa in New Yorkのイギリスオリジナルプレス」と言うと猛然と探し出した。

奥さんまで「ざっぱ~、ざっぱ~」と探し出す始末!もちろん超レア盤なので見つかるワケはないのだが、今度は「お茶飲んでいけ」と執拗にすすめてくれる。「イエイエ、結構ですよ!」と断ると「ナニ?本当にお茶を飲んでいかなくていいのか?!」とこの世の終わりが近づいたぐらいの驚きようだ。奥さんも「飲んでいきなさいよ~」なんてすすめてくれる。

実に感じのいい夫婦で嫌な感じはまったくないのだが、疲れているし、ちょっと面倒なので最後まで断ると、「ザッパの他、何か探しているものはないか?キング・クリムゾンはどうだ?」とナゼかキング・クリムゾンをすすめてきた。「イエイエ、全部持ってますから…」と答えてしばしクリムゾン談義となった。それにしてもレコード屋さんに来てお茶をすすめられたのは生まれて初めてだったぜ。

「サウスシールズが気に入った!」と私が言うとスチュアートは「静かで美しく、人々もフレンドリーないい街だよ」というので「あなたみたいにね!」と言い返した。すると初対面にもかかわらず、ものすごく喜んでキツく私をハグハグした後、名刺を渡してくれた。またこの街にくる機会があったら真っ先にスチュアートに会いに行くことにしよう!

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夜は節約も兼ねてGREGGSのパスティを2つ。ビールで流し込んで終了。洗濯ものも部屋のスチームに引っかけておいたら案外乾いてるわい。

これでサウス・シールズともさよならか…楽しかったな。

つづく