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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 秋の陣 その2~Mr. Fish-eye Goes to London

2012年10月12日 初出

タイトルはもちろん、1941年(開戦の年!)日本公開のフランク・キャプラの代表作『スミス都へ行く(Mr. Simith Goes to Washington)』のパロディ。今日のシゲブログの内容はこの名作とは似ても似つかないタダの写真集。ま、タマにはこんなのもいいでしょう?

この作品に出て来るスミスさんも弱いものの味方をするアメリカン・ヒーローの典型で、人気キャラのひとり。では、スーパーマンからランボーから、古今東西のアメリカ映画で一番人気のあるヒーローは誰とされているか知ってる?

答えは弁護士のアティカス・フィンチ。ちゃんとアメリカ映画を観て来ている人にはどの作品の主人公かすぐにわかるでしょう。

さて、ナゼ魚眼か?実は5月にイギリスに行った時、魚眼レンズを持っていかなかったのね。それであのエジンバラやらニューキャッスルの素晴らしい景色を目の当たりにして実に悔しい思いをしたのです。何で持って行かなかったのかって?…重いから!どちらかにしようと思って50mmの単焦点を持って行ったんですよ。そしたらほとんど使わなかった!

そんなバックグラウンドがあったので、今回は魚眼を使ってロンドン・タウンを激写してみた。私の目が魚みたいだからこのタイトルになったワケではありやせん。

「魚の目」といえば、手塚治虫の『どろろ』に「鯖目さま」という妖怪に憑依された悪役が出てきたでしょ?文字通り死んだ魚のような目をしてるの。「鯖目」って名前、カッコいいなって思ってた。

元より手塚治虫の作品は絵が可愛いだけじゃなくて、登場人物の名前がとてもイカしてた。アトムにウラン(これ今だったらとても使えない)。『リボンの騎士』なんかサファイヤにジュラルミン、チンク(これは亜鉛でしょ?)にナイロン…。そいえば白戸三平には「赤目」なんていうのも出てきたっけね。昔のマンガは本当に素敵だった。

ってなことは置いておいて、魚眼で街へゴーゴゴー!

トッテナム・コート・ロードのドミニオン劇場。この『We Will Rock You』とうとう10年目に入った!私が初めて見た時、イヤ、一回しか観てないけど、ちょうど2周年記念で本物のブライアン・メイが出てきた。

もう何回も書いてるけど、ギターを弾いているのは元ウィッシュボーン・アッシュのローリー・ワイズフィールドと元マーシャルのデモンストレーターのフィル・ヒルボーン。昨年の春、フィルと会った時に「イヤ~まだやってんだよ。もう9年だゼ~。」と言っていた。その時はローリーもまだ弾いていると言っていた。

まだ結構にぎわっていた。

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おなじみロンドンのお茶の水、デンマーク・ストリート。エルトン・ジョンがここで「Your Song」を書いたこともよく知られている。

ロンドンの古い建物はエアコンがついていないのが普通で、ここらの楽器屋にも冷房が効いていないところがたくさんある。いくら湿度が低くて夏も涼しいイギリスとはいえ、さすがにドアを〆切った(ショウウィンドウしか窓がなく、当然開けることはできない)楽器屋はもう完全にサウナ状態。汗ダクダクでみんな楽器をイジくってる。
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お、ローズ・モーリスのとなりが改装してる。そう、ここもね~店の入れ替わりがおっそろしく早いんですよ。

この積み上げている土の入った袋は「フレキシブル・コンテナー」という。略称「フレコン・パック」。セメントトならこれで1t入る。日本と同じなんだね~。
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チャリング・クロス・ロードから見たデンマーク・ストリート。
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これはチャリング・クロス・ロード。ロンドンの神保町だ。この通り大好き!

実はしばらくイギリスにいる間に途轍もなくショックな出来事があった。というのは、スティーヴ・イェルディングという元マーシャルの担当者が亡くなったというのだ。あまりのショックでこの話を聞いた時、気分が悪くなった。

スティーヴは私にとって初めて接したマーシャルの人間であり、初めてのイギリス人の友人であった。出会いはジムがまだゼンゼン元気なころで、TSLの発表会で来日した時だった。あれからしばらくしてマーシャルの仕事をするようになって、ずいぶんと色々なことを教わった。

それで、私が初めてミルトン・キーンズを訪れた最初の晩、わざわざB&Bを訪ねて来てくれて、再会をよろこび力強くハグハグしながらこう言ってくれた…「シゲ!やったな!とうとう来たじゃないか!とうとうマーシャルに来たんだゾ!」って。本当にうれしかったな。

「マーシャル祭り」もいっしょにやったし、フランクフルトでもドップリ付き合ったし、本当によく可愛がってもらった。スティーヴがマーシャルを離れる時には、送別会に招待されてわざわざイギリスまで飛んだ。

彼がマーシャルを離れた後は、お互い忙しくてスッカリ没交渉になってしまい、フランクフルトや楽器フェアで顔を合わせる程度になってしまったが、それほどの仲良しだった。ウィッシュボーン・アッシュが好きと言ってた。

このチャリング・クロス・ロードは初めてロンドンに来た時スティーヴといっしょに歩いた思い出の場所だ。ひと通り楽器屋さんを見て回った後、スティーヴは当時付き合っていた(現未亡人)レベッカを呼び寄せて3人でお茶を飲んだ。ベッキーはスラリと背の高いブロンドの美人で、スティーヴ自慢の彼女(当時)だった。

スティーヴはキャリアが長かったためイギリスの楽器業界では名の知れた存在でもあった。この写真、通りの向かいに白い看板の店がある。これはMacari'sという老舗の楽器屋さんで、確か親戚がやっているとスティーヴが言っていた。ここでのアルバイトが彼にとってのイギリスの楽器業界での最初の仕事だった。

そんな話しを聞いていたから、スティーヴがマーシャルを離れてからも、この店の前を通りかかるたびに「スティーヴどうしてるかな?」といつも考えたものだった。この時もそうだったが、次にここを通りかかる時にはきっと寂しい想いをすることだろう。でも、その時はこう思うことにしよう…「スティーヴはあっちで楽しくやってるんだろうな!」って。

この場をお借りして、スティーヴ・イェルディング氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。

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さて、魚眼散歩はまだまだ続く!

行くたびにどうしても写真に収めてしまうパレス・シアター。でも魚眼で撮るのははじめて。
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マチネーでもあったのかな?モノスゴイ数のおばあちゃん!やっぱ『雨に唄えば』ともなると客層はこうなるか…。
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引きではこうなる。
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イギリスは6月が一番日が長く、10時半とか111時近くでも明るい。でも9月ともなると、大分日は短くなってきていて、日が沈むとアッという間に暗くなる。

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前回も夜景を掲載したが、ロンドンの街はネオンサインが極端に少なく予想以上に暗い。だからこのくらいの時分が写真を撮るにはちょうどよい。
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ソーホーのようす。やってるやってる!パブに入りきれない人たちが表でエールを引っかけているのだ。
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夕暮れのロニー・スコッツ。今日の出番は誰かな?
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Prince of Wales Theatreではビートルズの出し物『let It Be』を上演中。これはこの後の回で詳しく紹介する。
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レスター・スクエア。
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見ての通り街灯がほとんどないので、こんな繁華な場所でも夜になると大分暗い。
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ピカデリー・サーカスの大道芸。ね?ネオンがあるとこんなにも明るい。マーシャルのサンチャゴも言っていたけど、東京の夜って相当明るいってことね。
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アクロバットを演っていた。
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リージェント・ストリート方面。ここはいつも素敵だナァ~。
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さ、そろそろ宿へ帰ろう…。なんか寂しくなっちゃったね…。
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つづく