イギリス紀行2012 秋の陣 その4~探せばまだあるロックネタ
2012年10月17日 初出
いつも観光客でゴッタ返しているコヴェント・ガーデンに近いホルボーン地区。大通りをちょっと入ると瀟洒な住宅街となる。といっても現在は多くが事務所などの商業設備として使用されているようだ。かつてはチャールズ・ディケンズがここに住み『オリバー・ツイスト』を書いたという。
この通りの左側にイギリスで一番小さな国立博物館、「サー・ジョン・ソーンズ博物館」がある。前回、訪れたが女王陛下の「Diamond Jubilee」の関係で臨時休業しており入れなかった。今回の訪問はリターン・マッチとなる。
ちょっ~と前まで晴れていたのにまた雨。
博物館になっているのは真ん中の白い建物。何しろ元々はジョン・ソーン卿の個人宅なので小ぢんまりしている。もちろん個人宅にしてはアホほどの広さだが…。
それでも大勢の人が観て回るには狭すぎるので、入場制限はあるし、大きな荷物は一切持ち歩けず、預けなければならない。
赤い傘の下におじいちゃんが立ってるでしょ?他におばちゃんがいて、この方々は博物館の関係者なんだけど、モノスゴイ丁寧な話し方をされる。クイーンズ・イングリッシュのかたまりで、ゆっくりと歌うようにしゃべるさまには気品が満ちあふれている。これがあのVallyey Girlが使っている言語と同じものかと信じたくない。
若いころ、アメリカの英語がカッコいいとあこがれ、何とか身につけたいと思っていたけど、今はイギリス英語の方が全然カッコよく聞こえるな。語彙も豊富でおもしろい。ところがこの発音、まったくできない。
勝手な自己流の研究で言えば、「r」で舌を巻かず、とにかく子音、とくに「t」「k」「p」「b」といった破裂音をハッキリと発音し、反対に「th」のような摩擦音は弱くする。そしてアクセントを大げさに強めず、文尾を上げすぎずにツラっとしゃべりきれば何とかそれらしく聞こえなくもない。
ところが、長い間アメリカ英語にあこがれて練習してきた舌にはこれがなかなかできない!そして、何よりも一体誰の英語を手本にすればよいのかサッパリわからんのよ!イギリスでは村々で異なる英語を話すっていうからね。ま、いつかは体得したいものです。
そんな美しい英語に惑わされて、つい小冊子を買わされてしまった!£2。ま、入館料は取られないので寄付かと思えばゼンゼンいいんだけど…ってアータ、ここ£2なんてこといってたらおつりが来すぎちゃって困るぐらいおもしろいのよ!ここも館内撮影禁止なのが残念なんだけど、小さいながら素晴らしいコレクション!
このジョン・ソーンというオッサンは建築家かつ教育家で有名ではあったが、それほど裕福ではなかった。奥さんの側の親族の遺産相続をしてからコレクションがスパークしたらしい。
コレクションの幅は恐ろしく広く、古代遺跡の破片やら絵画、彫刻などなど、マァ、そのコレクションをひと目見たら思うこと間違いない…「ああ、このオッサン、いっちゃってんな~」って。しかも、さすが建築家らしく家の構造が迷路のようで、こりゃ住んでいても迷ってしまうのではないか?という感じなのよ。
しかも、ここはソーンさんが亡くなった時の状態そのままになってるっていうのよ。法律でイジッちゃいけないことになってるらしい。ホントにこんなとこに住んでたんよ~。ソーンなの信じられないね~。
ここのコレクションの目玉である18世紀にウィリアム・ホガースとかいう画家の連作「放蕩者のなりゆき」というのはおもしろかったし、地下に展示されている「セフィ1世に石棺」というのはなかなかに見ごたえがあった。この石棺は出土したエジプトの国外にある石棺の中ではもっともクォリティが高いとされ、このソーンというオッサンはこれを手に入れた時、三日三晩祝宴をしたそうだ…やっぱりイッちゃってるでしょ?
蔵書なんかも荘厳で素晴らしい。是非、ロンドンに訪れた際には見学することをオススメします。見なきゃソーン損。。
この博物館の向かいはリンカーン・イン・フィールドという公園になっている。ナントこの公園、ニューヨークのセントラル・パークのモデルになんだとさ。スッゲ~な、ロンドン。
で、今回は考えてみると一度もジックリと歩いていないロンドン東部のシティ方面を散策することにした。
例によってもう足やら腰やら痛くて痛くて…。疲れがなかなか取れないのですよ。もちろん歳のせいなのはわかっているけど、よ~く考えてみると、コレ食事のせいだわ。毎日毎日、朝から晩までサンドイッチとカップヌードルにポテトチップ(クリスプ)、フライドチキンにフレンチフライポテト(チップス)でしょ、ちょっとした栄養失調ではないのかということに気付いた。栄養失調といってもカロリーは高め。米ですよ、米。もうかれこれ10日は米を一粒も食べていない。きっと身体が驚いちゃって、動かしにくくしていたに違いない。「おまえこれ以上米を食わずに動いたら死ぬぞ!休め休め、疲れを残して動けなくしてやる!」と身体が防衛本能を発揮しているんだ。あ~、納豆食べたい。
肩に食い込むカメラが一層重い…。兵隊さんは大変だったろうナァ~…とマジで思ったね。それでも野辺を歩き続ける悲しい兵隊ひとり…なのだ!(from 小室等)
雨も降ってる、し前から入ってみたかった「ロンドン博物館」を訪ねる。これにはちょっとした思惑がありましてね…。ロックの本場、ロンドンの博物館なんだから、何がしかロックに関するアイテムがあるんじゃないかと思ったのですよ。V&Aみたいにね。
ここの博物館はスゴイ。ものすごく壮大なのよ。何しろ前人類史からロンドンの歴史をさかのぼっちゃう!いわゆる郷土資料館ですな。まあ、これゆっくり観てたら3日ぐらいかかっちゃう。で、思いっきりワープして1960年代へ!
スウィンギン・ロンドンはやっぱハズせないでしょう。思い出すな~、郡山美術館。楽しかったナァ~。
こんなワンピースを着たレディがレスタースクエアあたりを闊歩していたんでしょうナァ。
キンクスの「Sunday Afternoon」のシングル盤他。
マリー・クアントも欠かせません。スゲェつけまつ毛!細い針金でできてる?
こちらはサイケですな。「カラフル・クリーム」が飾られてる。これの原題『Disraeli Gears』の意味は前のブログでいつかお話ししましたね?
こんなものも飾ってある。本物です。
もっとゆっくり見ていたいんだけど、何せもう足腰がシンドくて…。それに晴れている間に先に進まないとまたエライことになりますからね。ここはまたいつか見に来よう。
さらに東へ進む。お、スゲエ、ローマ時代の遺跡がボコっと出て来る。これ大阪でいえば梅田阪急ビルと大阪第4ビルの間に弥生時代の遺跡が野ざらしになってるようなもんだからね。
ギルドホール。1411年の建設だそう。1666年のロンドン大火の難からも逃れ、現在も使用され続けている。
タイルが貼られた手前の広場も美しい。この辺りは新しい背の高いビルばかりなので、突然視界が開け、この荘厳な建物が目に入った瞬間にはちょっとした感動を覚えざるを得ない。
モニュメント。ロンドンにはこうした記念碑が数多く存在しているが、これが一番立派なのかな?1666年に起こったロンドン大火(前出)の犠牲者を悼む記念碑だ。
£3を払えば上に上がれるようになっている。天気がとてもよかったので上がって写真を撮りたい気持ちにもなったが、この足じゃな…。足が張って帰りに階段から転げ落ちてもタマランのであきらめることにした。