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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 秋の陣 その9~最終回

2012年11月13日 初出

しっかし、立冬も過ぎたのにあたたかい日が続いて…。おかげさまで何とか今回の『イギリス紀行2012 秋の陣』も「秋」の気配が残っている内に終了できそうだ。

では、最終回!

地下鉄のポスター。London Undergroundのポスターっていつもすごくしゃれていてチェックするのを楽しみにしているんだけど、今回のは礼状になってた。「Right on Track」…ロンドン・オリンピックではみなさんのご協力により問題なく地下鉄を操業できました…というお礼。開催中、あんまりロンドン市がロンドンに来るな来るなっていうから地下鉄もガラガラだったらしい。

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今日はO2アリーナに来てみた。このあたりはロンドンのウォーターフロント(といってもテムズ川。お台場みたいに海ではない)の開発途上地区。地下鉄でテムズ川南岸のノース・グリニッジまで行く。もう駅舎から出るとO2アリーナがド~ンと現れる。

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みなさん、これ工事中ということではありませんから。この黄色い鉄塔で屋根を吊ってるんですな。ここが入口。

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中に入るとメッチャ広い!

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バルーンのオブジェ。V&Aのパイロンのオブジェもそうだったけど、イギリス人ってこういう何かをギュッと集めた意匠が好きなような気がする。
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これはドームの入口。

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東京ドームみたいに中に入るとボコンとデカい競技場がひとつあるだけかと思いきやさにあらず。これはドームの横っちょにあるポップ系のライブ・ハウス。チェーン店ですな。

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こうしてライブ・ハウスだの、レストランだの、いろんな設備がテナントで入っているワケ。
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何せ広い!

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ここはほぼ裏側になるんだけど、見ての通りガランドウ。景気の悪さを感じるわ~。ま、ここどちらかというと交通の便もあんまりいいワケではないので、このO2アリーナ一か所ですべてを終結させるような総合レジャー施設づくりを目指しているんでしょうな。でも、交通の便が悪いったってお台場よりははるかに楽で便利だけどね。
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ここへ来た目的はコレを見るため。
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「BRITAIN'S MUSEUM OF POPULAR MUSIC」…イギリス系音楽博物館ってか?入場料も安くないし、実は来ようか来るまいかものすごく悩んだのですよ。高い入場料払って「秘宝館」程度じゃハラの虫がおさまらんからね。

で、こういう時に我慢をして臍かむ思いをしたこと数知れず…入ってみた。これが実に面白かったんですわ~。私個人としてですよ。ま、音楽変態の私のことだから万人は喜ばないかもしれないけどね。もっとも、楽しめた一番の理由は思いっきり期待のハードルを下げたからなんだけどね。もう地面にめり込むぐらい。でもね、2時間半ぐらいここにいたんよ!

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あ~、スッカリ長居をしてしまった!外に出るとアラマ~いい天気!
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アリーナの裏はすぐにテムズ川。この川は、ちょっとハマースミスあたりの上流にちょっと行けばすぐに長野の犀川みたいだし、下流に来れば、こうしてまるで港にようでウエストミンスターやタワー・ブリッジ周辺のロンドン中心部のテムズ川とまったく違う表情になる。
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空中の黒いポチポチは新しくできたロープウェイね。

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オリンピック・スタジアムのあるストラットフォードまで続いている。
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また、中心街へ戻る。

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いよいよ明日日本へ帰るのだ~!

今回も色々なことがあったな~。
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もちろんマーシャルの工場での日々やコンサートは楽しかったし、スティーヴの訃報には大きなショックを受けたし…。
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さぁ、お土産のマフィンも買ったし、地下鉄に乗ってチキンの街に帰って荷造りしましょ。
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ピカデリー・サーカスの駅構内。そうだ!これもショックだったんだ…ここきれいな公衆トイレがあったんだけど、とうとう有料になっちゃった!残念だなぁ、あれ「イギリスの良心」といつも感謝してたんだけど…。イヤ、本当は良心なんかじゃなくてバカ高い運賃のおかげか?
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今回は(いつも通り)ほとんど買い物しなかった。安い「4 in 2」ジャズのCDとすうっかり本物に感化されて買ったサトリアーニの2枚組のライブ盤、キャプテン・ビーフハートのライブ盤に英語の勉強に…と思って買った黒澤明のDVD、『七人の侍』、『隠し砦の三悪人』、『用心棒』ぐらいかな(各£6)?この邦画に入れた英語字幕ってものすごくいい英語の勉強になるんですよ。

それとこの英ギター・マガジンの別冊。イギリスのギターブランドの特集。いつもはこういう楽器の雑誌は買わないんだけどね…。
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ま、マーシャルの広告も出ていたし…
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それよりもお友達が出ていたので記念に買ってしまった!ロトサウンドの会長のジェイソン!
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最後に…いつも海外に行く時、帰りの荷物にならないように捨ててこれるよう105円の文庫本をブックオフで何冊か買って持って行く。
飛行機の中だけじゃなく、ゆっくり風呂につかりながら読んだりするので105円ので充分。

今回持って行った本の一冊がコレ。佐賀純一さんという人の『浅草博徒一代 アウトローが見た日本の闇』という本。
この本の存在も、浅学にして佐賀さんという作家も知らなかったが、偶然手に取った。
コレが読みだしてビックリ!破天荒に面白いのだ!
大正から昭和にかけての、ある浅草の博徒の告白を医者でもあるこの著者が書きまとめたものなんだけど、アータ、読み出したらまったく止まらないのよ!
アッという間に読んでしまって、もちろんあんまり面白いので持って帰ってきて家内にも読ませた。

家内は読み出せば大岡荘八の『徳川家康』も読破するほどの読書家で、有吉佐和子のファン。
読まない時期は雑誌すら読まない。
でも、有吉の『非色』という衝撃作を教わったのも彼女からだった。
やはり女流作家がお好みで、男っぽい作品といえば『真田太平記』が関の山(新田次郎の『武田信玄』はイヤがってた)かと思っていた。

ところが、この本をすすめたところ、イヤがるどころかアッという間に読んでしまった。
それほど面白いのだ。
この手の本では団鬼六の『真剣師 小池重明』と双璧をなすな…。

で、なんでこの本のことをここで触れているのかというと、別に家内が『徳川家康』を読破したことを言いたいワケでは決してなくて、この『浅草博徒一代 アウトローが見た日本の闇』という作品は上梓後英訳されて、それを読んだ有名な海外アーティストが内容を歌にしてしまったというのだ。
これが「盗作」にあたるというワケ。

そのアーティストとは、ボブ・ディランだったのだ。
ディランは2001年の『Love and Theft』というアルバムの中で、数曲この佐賀さんの本に沿った内容の曲を吹き込んだ。

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たまたま佐賀さんの英訳本を読んでいたアメリカのジャーナリストがディランのアルバムを聞いてビックリ仰天!
これは「完全にあの本のパクリでねーの!」と佐賀さんに知らせてきた。
「ヤバいっスよ、コレ訴えたほうがいいんじゃないんスか?」と。
しかし、佐賀さんは「イヤイヤ、偉大なるボブ・ディランの歌の題材になるなんて光栄なこと」と、『ライオン・キング』の時の手塚先生みたいなことをおっしゃって不問に付しちゃったらしい。

とにもかくにも、この本、タイトルで大損をしていると思った。
おススメです。

<後日譚>
この本を父にも読ませてみた。
何せウチの父は生まれも育ちも浅草だ。
で、感想を聞くと…「こんなのデタラメだ。こんな面白がっているのか?」と言っていた。
その父ももういない。

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おわり