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2013年6月19日 (水)

ヴィンテージ・エフェクターを引き倒せ!

2012年10月10日 初出

『ヴィンテージ・エフェクターを引き倒す!』というYOUNG GUITARの別冊がシンコー・ミュージックより上梓された。

今や洋の東西を問わず、エフェクター花盛り。目玉が飛び出しそうな高価なブティック・エフェクターから、オイオイ大丈夫なのかよ?と心配したくなるようなリーズナブルなものまでその幅はピンキリもいいとこですな。

昔はね、「エフェクターなんかに頼っちゃイケねぇ~」なんて『用心棒』の東野英治郎みないに厳しく言っていた人もいたもんですけどね。

一方では、とにかく足元にたくさん並べたくてサ…。

フランク・マリノが来日して後楽園ホールに出た時ななんか、開演前、ステージ前に黒山の人だかりになってたっけ。何しろ全長2メートルは優にあろうかという「エフェクターのプラットホームや~!」状態。ギター・キッズがみんな「スゲーな、スゲーな」とヨダレを垂らしながら観察していた…うちのひとりが、ま、私なんですけどね。この「ギター・キッズ」なんて言葉も死語だな。ギター・ソロがなくなった時に同時に消滅したんだろう。

考えてみると、エフェクターについて過去に何か書いたことはあったかな?マーシャル・ブログの時もなかったし、今回が初めてかもしれない。

ずいぶん買いましたよ、私も…。歪み系は言うに及ばす、コンプレッサー、フェイザー、コーラス、フランジャー、ワウワウ、オート・ワウ、ボリューム・ペダル、ディレイ、エコー・チェンバー、マルチ・エフェクター数種…。

あの頃はエフェクター・ボードだのケースだのなんてまったく売ってなくて、ボードはみんな自作だった。エフェクター用の短いケーブルなんてものもなかった。私は秋葉原でケーブルとプラグを買って自分で短いケーブルを作って、父からもらったコンパネの歯切れにアロンアルファでエフェクターを貼りつけて作った。

もう載せるエフェクターもなくなっちゃったんでボードは捨てちゃったけど…、アレ、どこへしまったっけナァ~。

(15分経過)

あった、あった、コレコレ!ボードにする前はプロの真似をして、カメラ屋さんに行ってジュラルミンのケースを買って、そこへエフェクターを出しちゃ入れ、入れちゃ出したりして悦に浸っていた。それがコレね。ギターを肩から提げて、このケースを自転車の荷台に乗せて街を跋扈したものですよ。かれこれ買ってから軽く30年以上は経つナァ。

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昔はここに色とりどりのエフェクターがビッシリ詰まっていたんだけど、ギターやアンプを買い直すために手放したりしているうち、こんだけになっちゃった。裏返しになっちゃってるけど、MXRのDistortion+なんて買った日にゃ大人になった気がしたもんですよ。
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そう!エフェクターは男のロマンなのだ。最終的に自分が求める音が出さえすれば使おうが使うまいが、ンなことは関係ない。エフェクターは何物にも代えがたい「男の趣味」なのだ!

時折考えるんだけど、趣味なんてものは大半が道具を集めるパートが楽しいもんでしてね…釣りもギターも楽しみ方は大して変わらん。

釣り竿がギター(サオだけに)、で、リールがアンプ。そして、エフェクターは仕掛けかな?なんて思ったりして…。(スミマセン、あたかも釣りが好きなような印象があるかもしれませんが、私マッタクやりません)

で、たいていどこの世界にもいるのが道具オタクね。やたらリールに詳しいのに磯釣りに行ったことがないヤツみたいな…。ヘタすると音楽をロクに聴かないクセに機材だけにはやたら詳しいヤツなんかもいたりするもんね。でもいいんです。「男の趣味」だから!

さて、この『ヴィンテージ・エフェクターを引き倒す!』をナゼここで紹介するのかというと、表紙を含め、写真という写真、すべてワタクシメが撮らせていただいたのです。

で、写真を撮るとなると当然実物を触るでしょ?それでどうにもギター始めたころがすっかり懐かしくなってしまいましてね…。一筆取らせていただいたワケ。ああ、私自身もすっかりヴィンテージなんだナァ~。

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ズラリと並んだ44種類の懐かしのエフェクターたち。詳細な解説だけでなく、付属CDで実物の音が聴けちゃうのですね。これは便利!ちょっといくつか見てみましょうか?

このOD1、高校の時、友達から安く買ったっけナァ~。後年、これを手放した時、エラク高くうれたんでビックリした。これと1959+1960AXを組み合わせてライブハウスに出てたの。自分が持っていたのはどういう世代のものかは知らないけど、この組み合わせで出て来るマーシャルの音が快感で大好きだった。将来マーシャルの仕事するのがわかってたら売らなかったんだけどナ…失敗した。

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生まれて初めて買ったエレキ・ギターと一緒に入手したのがこのグヤトーンのサスティナー。懐かしいな~。中2の時、ビートルズが好きで、いとこのマネをしてギターを始めた。そのいとこがこれを持っていたのでマネッコしたのね。「歪み」だの「ディストーション」だのなんていう言葉すら知らなかった。「なんかやたらジーっていってんな~」程度の認識だったからね。それにしてもこのデザイン…今にして思うとスゲエな。中国のこと言えんわ。

しかしですよ、歪み系のエフェクターってイッタイどれくらいの種類が存在したのであろうか?または、古今東西、発表されたエフェクター全体のうち、歪み系エフェクターが占める割合ってどれくらいかね?60%ぐらい?イヤ、80%ぐらいいってんのかな?もっとか?知りたいナ…。

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これはスキだったナァ~。今ではあって当然のエフェクターだけど、当時「コーラス」なんてもの自体珍しかった。「え?これ使うと12弦ギターになるの?」なんてマジで思ってたからね。

とにかくこれを使った小川銀次さんの音がすさまじくてさ…。当時、銀次さんはRCサクセションをやっていて、渋谷の屋根裏で清志郎さんの横でトコトン弾きまくる銀次さんが猛烈にカッコよくてあこがれた。

PANTA & HALの平井光一さんがこれをものすごく上手に使っていてアレにも相当あこがれましたね。

もうこの歳になると欲望もスッカリ萎えてしまって、撮影中も「ちょっとコレ試させて!」なんて見事にしなかった。ただただ懐かしかったナ…。この本に出ているエフェクターのほとんどは、当時、秋葉原の「○○無線」や大きな楽器屋さんに行けばゴロゴロしていた。しかもしょっちゅう楽器屋さんに行って、ヨダレを垂らしながらウインドウの中のこれらを眺めていたので、何やらこれらに対するレア感とかヴィンテージ感がものすごく希薄なんだよね、おなじみすぎる部分があるのですよ。

このあたりのエフェクターを森さんあたりに解説してもらうとさらに面白かったかもしれない。森園さんなら恐らくこれらが現役だった頃すべて試しているに違いないから…。

とにかく好きな人にはたまらない一冊のハズ…写真もいいし!是非みなさん書店でチェックしてみてください!
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『ヴィンテージ・エフェクターを引き倒す!』の詳しい情報はコチラ⇒シンコーミュージック公式ウェブサイト

それにしても今楽器屋さんに行くと、エフェクターの品ぞろえはホントすさまじいものがある。海外の人はみんなビックリするもんね。ヘタするとロンドンのデンマーク・ストリートの全店のエフェクターをかき集めても、東京の大型楽器店一店に展示してるエフェクターの数には及ばないのではないの?それだけ氾濫していると、失敬ながら当然、玉石混交であることは否めないでしょう。そして、どんどん淘汰も進み、本当に良いものだけが残って行くに違いない。

なので、皆さん、臍を噛む思いをしないように気になるアイテムは欲しい時にゲットすべきでっせ~!将来どう化けるかわかりまへんよ~!