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2013年9月 6日 (金)

我が青春のウッドストック <後編>

最初のころは動くジミやフー見たさに映画館に通っていた。
ところが、演奏シーンだけ観て、他の部分は寝ておくなんて器用なことはなかなかできない。
全編観なきゃならない。

そんな具合でこの映画、観る回数を重ねているうちに演奏シーン以外にも楽める個所が増えて来た。ま、「慣れてしまった」というか「観念したというか…。
映画を通じて当時のアメリカの若者の自由な言動に接することは驚きであり、そして憧れだった。

<映画『ウッドストック』のプログラムより>

Ws_img_1015 そして、あのカメラ・ワークと編集!
もちろんピート・タ  ウンゼンドが空中で止まるところや、サンタナの場面のハンド・クラッピング!鳥肌!
カントリー・ジョー・マクドナルドの大俯瞰、黒い鍵盤に置くスライのアップなど好きなカメラ・ワークは枚挙にいとまがない。
ジョー・コッカーのオルガンのイントロもスリリング。演奏以外のシーンでもノーマン・ジュイソンもビックリのマルチ・スクリーンも最高にカッコいい。
それもそのはずマーチン・スコセッシが編集スタッフに加わっているのだから。堂々たる出来である。

<映画『ウッドストック』のプログラムより>

Ws_img_1018 始めはおっそろしく長く感じた3時間半も何回も見ているうちに飽きるどころか、だんだん短く感じるようになっていった。
会場となったべセルの農場主、マックス・ヤスガーのスピーチも実に感動的。「マリワナ…」とささやくジェリー・ガルシアの姿も、「すごい人!」と驚くジャニスの姿も印象深く、オリジナル・バージョンに演奏シーンがないミュージシャンでも動く姿が見えるだけでうれしかった。

<オリジナル・バージョンを収録したレーザー・ディスク>

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その点、映画で未収録の映像が加わったバージョンはそういった流れを壊してしまうキライがあってチョイとなじめなかった。

<ディレクターズ・カットのレーザー・ディスク>

Ws_img_1030 そりゃオリジナル・バージョンでは見ることのできなかった、ジャニスやグレイスの演奏シーンが見れるようになったのだからうれしい限りなのだが、オリジナル・バージョンにあまりにも慣れ親しんでしまっている私は、こちらのバージョンは「記録」として捉えざるを得ない。つまり、一種のミュージック・ビデオ。「映画」ではないのだ。

<ディレクターズ・カットのDVD>

Ws_img_1027 サウンドトラックも最初に観てすぐにゲットした。LP3枚組で当時はかなりお小遣いを貯めなければならなかった。
でも、これも買って驚いたね。
だって映画と関係ない曲がワンサカ入っているワリにはリッチー・へヴンスの「ハンサム・ジョニー」やザ・フーの「サマータイム・ブルース」は入っていないわ、アーロ・ガスリーはテイクが違うわで「なんだコレ?」状態だった。

<オリジナル・サウンドトラック3枚組LP>

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<『Woodstock Two』の2枚組CD:これには何の思い入れもない。LPも買わなかった。大分後になってこのCDを買った>

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いったい映画のどこにジェファーソン・エアプレーンが出てたのよ?!…と子供心に不満に思った。
でもかなり聴いたナァ~。結局、このアルバムが大好きになった。

ジョー・コッカーの「With a Little Help from my Friends」のアレンジがジミー・ペイジによるものだったことを知った時にも結構驚いた。「や~っぱスゲェわ、ツェッペリンって」って。

さらに後年驚いたのは、実際のアーティストの出演順がリッチー・へヴンスを除いて映画と恐ろしくかけ離れていたということ。
これは少し幻滅させられたかな~。

<25周年を記念してリリースされた4枚組CD>

Ws_img_1006 そういえば1976年、「日本のウッドストック」的な触れ込みで「ローリング・ココナッツ・レヴュー」という捕鯨禁止キャンペーンのコンサートが開かれた。
リッチー・へヴンス、カントリー・マクドナルド、ジョン・セバスチャンなど本当にウッドストックに出てた連中がやって来るってんで観に行った。

会場は「晴海ドーム」とかいって後にも先にもこと時1回行っただけの車の展示会をやるバカでかいホールだった。
私が見たのは初日(だったのかな?)で、リッチー・ヘヴンスが出演して「Here Comes The Sun」を演奏していたのを覚えている。
最後はお約束の「Freedom」だった。感動したね~。ウッドストックの冒頭を飾った人が目の前にいるんだから!
自分が40万人の中にいるつもりで演奏に聴き入った。他にはエリック・アンダーソンやオデッタ、岡林信康(ファンだった!けど確か演奏中にトラブルがあったような…)、泉谷しげるなどが出演。

泉谷さんのセットではソロ・デビュー間もない(頃だったと思う)Charさんが白いスーツに白い帽子をかぶって登場した。ムスタングを引っさげてトレモロ・アームを上下する姿は筆舌しがたいカッコよさだった!

それとオデッタが演奏する時、(順番は泉谷さんより前)彼女は傍らでお香を焚いていたのだが、その香りが強烈だったのを覚えている。
また、曲の途中に彼女がパチンと手を打つ曲があって、何人かのお客さんがそれに合わせて手を打とうとするのだが、(彼女は一緒にやってくれなどとひとことも言ってない)タイミングが大幅にズレてたのが彼女には不快だったらしく、「チョット~、アンタら勝手に手ェ叩かないでよ」とあからさまに迷惑そうな顔していたのが印象的だった。
リッチー・ヘヴンスもオデッタももうこの世にはいない。

このイベント、ものすごい長丁場のわりには食べ物の供給が猛烈に貧弱で、売っているものといえば味も素っ気もないコッペパンくらい。究極的にハラが減ったのもよく覚えている。
加えて終演した時間も遅く、帰りのバスがなくなってしまい、銀座まで歩いて帰った。まだその時分は中学生だったので、「帰りが遅い!」と父にケチョンケチョンに怒られてしまった。
でも、ま、ウッドストックのトップバッターを努めたアーティストを間近に見たんだからよしとしようではないか!

Marshall Blogではブリティッシュ・ロックにまつわるイギリスの名所を行脚している。いつかマンハッタンでもこれをやりたいと思っている。アメリカはそれだけでいいかな~。
でも、もうひとつ、このフェスティバルが開催されれたBethelという場所のヤスガーさんの農場だけは生きている内にいつか一度は訪れてみたいと思っている。

文中には私が保有するウッドストック関連グッズを散りばめてみた。別にコレクターではないので珍しいものは特にないが、これまで結構投資したな。
ま、権利関係の問題が複雑に絡み合っているんだろうけど、チビチビ未発表音源やら画像を出されるのは辛い。

こちらは幾分レアかも?いわゆる映画の「チラシ」。A4の二つ折りになっている。どこでゲットしたのか覚えてないな…。

<映画『ウッドストック』のチラシ>

Th_img_1249 <チラシの裏面。A4判を半分に折った仕様になっている>

Th_img_1251_2 <同:解説には中村とうようさんが寄稿している>

Th_img_1252 フェスティバルのウンチクに関しては機会がある時にMarshall Blogの「Music Jacket Gallery」の中で触れて行きたいと思う。

それにしても、ウッドストックを通じてMarshallがロックの歴史の大きな1ページを刻んでいることを心から光栄に思う。
そして、あの映画館をかけずり回っていた時代がなつかしい。

さぁて、また観ようかな?