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2014年4月28日 (月)

イギリス紀行 2014~その1

1年半ぶりのイギリス。今回はVirgin Atlanticにした。
Virginのエアバス機って前の席との感覚が狭くてつらいんだよね。
で、3,000円だか5,000円だか余分に払って数インチ広い席に変えてもらおう…と早めに空港のカウンターに並んだ。ささやかなアップ・グレードだ。
すると、チェックインのカウンターで「36,000円でプレミアム・エコノミーへのアップグレードが可能です」と誘われ、即OK。
私にとって36,000円は「超」のつく大金だけど、実は「このオファーを受けた場合はOKする」と事前に心を決めておいたのだ。
…というのは7~8年前にヒースローでこのサービスの誘いを受けたことがあって、私はその気があったのだが、その時は私ひとりではなかったのであきらめた。そのリベンジという意味もあって迷うことなく席を変えてもらった。ま、お金のことは後でナントカなるだろう。

01アップグレードした席がまたうまい具合に切れ目の一番前だったので足を悠々と延ばすことができ、ほぼベッド状態で超快適なフライトとなった。身体の疲れがエコノミーとはまったく違う。
写真はプレミアム・エコノミーの食事。ま、うまくはないけどこれまたエコノミーよりは全然マシ。
しかし、機内食ってどこも年々ひどくなるような気がするんだけど…。

映画は相変わらずヒドかったな。
反論があるのを覚悟でいうけど『ゼロ・グラヴィティ』とかいうの全然よくなかったな。ウスすぎるよ、脚本が。この歳になると視覚効果だけで2時間を費やすのはキツイ。
『キャプテン・フィリップス』ってのは先が読めるほどに単純な作りだったけど、なかなかよかった。もっともトム・ハンクスじゃなきゃとても観てられないけどね。

帰りに観た2本のイギリス映画は結構おもしろかった。
ひとつは「酔っ払いが世界を救う」という副題のついた『ワールズ・エンド』とかいうヤツ。あるドラッグ中毒者が昔の仲間と故郷へ帰って12件のパブをハシゴするというプロットが気に入った。舞台となるのが「イギリスで最初にランドアバウトが作られた町」というニュートン・ヘブンなる田舎町。チョコッと調べてみた限りではどうも架空の町のようだが、こんな設定がいかにもイギリス風でおもしろい。猛烈に荒唐無稽な内容なんだけど、少なくとも謎解きを夕飯の後にするよりは面白い。

もう一本のイギリス映画『アバウト・タイム』ってのも荒唐無稽なラブ・ストーリーながら、すぐに家に帰りたくなるような気持ちにさせる実にホッコリとした作りで交換が持てた。

飛行機の映画って画面のサイズが理由なんだろうけど、吹き替え版が多いじゃない?アレ、あんなにヒドイんだろう?「ヒドイ」というのは訳とかいう話しではなく録音のこと。画面の中の人がしゃべっているようには聴こえない。

ちょっと映画の話をするけど、ナニ、最近の映画館って吹き替え版がメインなんだって?!それだけじゃなくて、テーマ・ソングも勝手に日本でひっ付けたくだらない歌の方が標準になっているらしい。
なんてバカなことを!映画は音楽より腐ってるでね。吹き替えなんて獲れたての天然マグロの大トロを炭になるまで焼いて食うようなもんだ。

02夕暮れのミルトン・キーンズの空。
ミルトン・キーンズにはかなり大規模なショッピング・センターがあるんだけど、日曜日ともなるとすべて5時で閉店。ガラ~んとしてて怖いわ。

07…ということで近くのパブへ。
このあたりは新しい街なので、トラディッショナルなパブはない。つまらない。

08イングリッシュ・エールもない。つまらない。
ってんで仕方ないのでギネスと不味いポテチを食す。
このギネス£5(900円近く)もしやがるんだぜ。お金ない。

09ちなみにある日の昼食。

9aこれは別の日の昼食。
そうです。同じです。みなさん毎日同じものを召し上がっています。

9b我々日本人の感覚でいうとおかず(副食)があって、ごはん(主食)があって…でしょ?これを西洋の食事に当てはめるとよく「彼らの主食は肉だ」なんていいうけど、イギリスに関して言うと、庶民の主食はコレです。
WALKERSのポテトチップス。向こうではクリスプスといいます。イギリス土産として有名なタータン柄の四角いクッキーとは別のWALKERS。あっちはスコットランド、こっちは西ウェールズ。    
これが彼らの主食。とにかくいつでも食べてる。ところがね、コレが実際に大変ウマいときてる。

そのおいしさの秘密が袋のウラに書いてある。
1.100% Great British Potatos
---これはそうでしょうな。スーパーにいけば「煮る用」、「揚げる用」、「焼く用」等、日本では見たことのないじゃがいもがゴマンと売られている。イギリスもじゃがいもが盛んな国だ。日本のものより味が濃くておいしい。ただ、ふかしてバターを乗せて、「あ~、ホクホクでおいしいな」っていう感覚はないような気がするな。

2.Cooked with Sunseed Oil
---「ひまわり油」で揚げているそうだ。日本のポテチはどうか…と調べてみると手元にある小●屋のものには「植物油」としか書いていない。

3.No Artificial colours or preservatives
---おなじみの「合成保存料、合成保存料は使用していません」というヤツ。

4.No MSG
---これは「ウマさの秘密」というより、食品の安全性を強調した宣伝文句かな?MSGとはMichael Schenker Groupではござらんよ。Monosodium Glutamate、すなわちグルタミン酸ナトリウム。ウマミ成分っていうヤツ。平たく言うと「味の素が入っていない」ということ。
日本ではまったく騒がれないが、これを過剰に摂取すると身体に変調をきたすとして、欧米では扱いをかなり慎重にしている調味料。
では、日本のポテチはどうか?…ウワッ!ガッチリ入っとるがな!「調味料(アミノ酸)」というのがそれ。
でもさ、「和食は世界一の健康食」とうたう一方、MSGがドバッと入った味噌ラーメンやカップラーメンを「ウマイウマイ」と言って豪快に麺をすする日本人と、死ぬほど脂っこいものと甘いものをドカ喰いして、「健康に良くないから私、コーラはダイエット・コークしか飲まないの…。健康を考えてサプリメントは一日最低100錠は飲むようにしているのよ!」という欧米人、どちらが健康か?

そういえば、イギリス人ってコーヒーとか紅茶によく砂糖を入れるんだよね。でも超肥満人との遭遇率はアメリカに比べてイギリスの方が断然低いな。

とにかくWALKERS、いつも滞在中に何袋も食べちゃうの。色んなフレイバーがあるけどこの赤い普通の塩味のヤツが一番おいしい。

あ~、こんなこと書いてたらWALKERS食べたくなってきた。…と思って、東京で買えるかどうか調べてみると、なんと入手不可!こんなに何でも手に入る東京なのに、たかがイギリスのポテチが手に入らないとは驚きだ!
何でもイギリスから直接取り寄せるという方法もあるようだが、値段を見てこれまたビックリ!誰が頼むかッ!

9c_vこれはミルトン・キーンズのSainsbury's。セインズベリーズはTESCO、ASDAに次ぐイギリス第3位のスーパー・マーケット・チェーン。TESCOに抜かされるまで、かつて食品部門の売り上げは全英トップだった。
下の写真。この通りの両側はほとんどポテトチップス。ポテチが主食というのは冗談にしても、それに近い存在であると言っても過言ではなかもしれない。
何でもイギリス人にとって「無くなったら困るモノ、ベスト3」に選ばれているらしい。

9d今回ロンドンで滞在したのはBoston Manorというヒースローにほど近いところ。このシーズン、どこもかしこも高くてサ…安くてよさそうな宿を探しているうちにだいぶ西になってしまった。

10_3すぐお隣はHanwellだもん。HanwellはおなじみJim Marshallが最初に出したドラム・ショップがあったところ。ま、Boston Manorからはだいぶ遠いけど。

20_2街並みはこんな感じ。

30_3周りには住居以外何にもない。

40v典型的なロンドン中心部からはずれた居住区。

50_3これが今回のお宿。いわゆるB&B。
到着して中に入ろうとすると鍵がかかっていて入れない。貼り紙がしてある。ナニナニ「呼び鈴がこわれているのでココ(電話番号)へ電話してください」だって?面倒だな。

で、電話をして到着したことを告げると、中から大人しそうなおばあさんが出てきた。
ひと通り挨拶と自己紹介するが、すさまじく反応が鈍い。
何しろこのおばあさん、「コーヒー」か「ティー」か「モニカ」しか言わない。
何か質問をすると「モニカ、モニカ」…コレばっかり。じゃこっちは「サンクス、サンクス」ってか?アンタ、吉川晃司かッ?!

このおばあさん、英語がカラッきししゃべれないのだ。
以前にフランクフルトでも英語がまったくしゃべれないイラン人のタクシーの運転手と車内でふたりきりになってしまい、まんじりともしないイヤな時間を過ごしたことがあった。
こっちだって取り立てて英語がうまいワケではないが、外国に来て英語が通じないのは実に恐ろしい。結果はどうにでもなるのだろうが、瞬間的にどうしていいかわからなくなる。

そういえば以前、ハマースミスのホテルのロビーでアラブ系の女性が100%ボディランゲージでホテルの係員と会話(?)をしているのを見たことがあったが、アレはなかなかスゴかった。100%ですよ。そうなるともう完全にジェスチャーゲームですよ。
ホテルの女性もその身振りを見るたびに「mmm...square...」…「bed?」とか「bath?」とか当て推量でレスポンスしている。おもしろかったけど、まさか始終見ているワケにもいかないし、頃合いのいいところでその場を離れたが、アレ、最終的にどうなったんだろう?
60_3さて、吉川さん…じゃない、モニカ。
要するにこのおばあさんが言いたいことは「アタシャ英語がダメだから、英語がしゃべれるモニカが来るまでコーヒーか紅茶でも飲んで待っててチョーダイな」ということ。
で、リビングに通してもらい、コーヒーをお願いした。完全にインスタントだった。
ほどなくして現れたモニカは20代中盤のなかなかのカワイコちゃん。
おばあさんはお母さんなのかな?
2人の会話を聴くにロシア系の人たちに違いない。
以前泊ったロンドンの東、Tottenham HaleのB&Bもオーナーもポーランドだかルーマニアだかの人だった。

モニカから宿泊のルールを教えてもらってから部屋に案内してもらう。
「スイートだったわね。スイートはこっちよ」と裏庭に出る。
お、離れかい?オツだね~…

70_3…と思ったら、こんな。
こ、これがスイート?牢屋?

80v中に入ると…スゲぇ、台所も付いてら!

90_3部屋はこんな感じ。もちろんワンルーム。
奥の扉の中にはトイレとシャワーがある。
これが、ヤラれちまった!お湯のこと。
ロンドンの家は築100年なんてのはザラだから水やお湯の出の悪いところが多い。ここも例外ではなく、シャワーはショボかったな~。
しかし、居心地は決して悪いワケではなく、どこか秘密基地的なフィーリングで難なくスゴせた。

ところが、Free Wi-Fiとうたっておきながらこの離れには全然電波が来ない!文句を言おうにもあのばあさんじゃ言葉は通じないし…。モニカは別の所に入るようだし…と思い、メモを書いてばあさんにそれをモニカに渡してもらうことにした。
ばあさんは相変わらず「モニカ、モニカ」と言っていたが意味がすぐにわかったらしかった。
戻ってくるころにはモニカがうまい具合に処置してくれているだろうと期待して我が家に戻ったが、モニカめ、何もしていなかった。
テレビない、インターネットない、iPODは古くてすぐにバッテリー切れる…で音が一切ない実に静かな二晩を過ごしたのであった。
たまにはこういうのもいいもんだ。これがホントの「♪サンクス、サンクス、サンクス、モ~ニカ」だ!
お後がよろしいようで…。ありがとう、モニカ!Free Wi-Fi、チャンとやっとけよ!

100_2つづく