イギリス紀行 2015 その1~食わせろ、カツカレ~!
5月、イギリスに行ってきた。
仕事の用事もあるんだけど、今回は観光もタップリ。家内と一緒なのだ!
彼女は私を数えきれないほどイギリスに送り出してはくれたものの、自分が実際に行くのはコレがはじめて。
「え、ナニ、奥さんイギリス行くの初めてなの?」とやたら多くの人に驚かれたが、大きなお世話だい!
準備万端、大分前から期待と興奮のうちに待って、待って、待って、待って…ついにやって来た出発当日…雨でやんの。
イヤな予感。
数年前、前の会社を辞めてイギリスに2週間ほど滞在している間、ほとんど毎日雨だったことがあったからネェ。寒くてよ~。
ま、イギリスに行く以上、雨は覚悟しておかなければならないのは百も承知だけど、こうして東京にいるウチから雨に降られたんじゃお先真っ暗じゃんか!
そして、はじめての羽田からの国際便。
ウチはスカイライナーにさえ乗れば、成田も羽田も行くのにあまり時間が変わらない。金はかかるけど、荷物が持ち込みやすいスカイライナーの方が断然いいと感じた。
しかも、なんだ羽田!
コンビニに置いてあるポテチの製造日が古いじゃねーか!ここのところアミノ酸摂取を控えていて、ポテチ断ちしていた。でも、飛行機の中ぐらいは禁忌を解こうということで、空港でポテチを買う計画にしていたのだ。
もちろんポテチはビールのお供。これと幾ばくかのイカ系おつまみで飛行の中はバッチリのハズだったのだ。しかたないので、何か「ポテト系」のものを買い込んでおこうと「じゃがポックル」をゲット。
何でこんなところで北海道土産を買ってんだか?
今回の荷物はかなりマッシブ。
カメラやら、PCやら、友達へのギフトやらでパンパンだ。
それに加えてハイライトの最終日のイベントに使用する家内のサプライズ・グッズがスーツケースの片面を占めている。
もちろんすべて計量済み。23kg以上は追加料金になっちゃうからね。ANAはふたつまで荷物を預かってくれるので助かる。
レンズの重みが問題で、家で何回も体重計に乗って確認した。
昔、ニューアーク空港でヒドイ目に遭ったことがあったからね。
それにしても、いつの間にかどこもかしこも中国語の表記が入るようになっちゃったね。ロンドンは「伦敦」か…。「幕尼黒」なんて、コレだけ見たら何のことやら絶対にわからないな…。
飛行機の席はかなり後ろの方。別に構わない。
じゃがポックルとイカ系おつまみ三種でビールを頂いた後は機内食。
ご存知の通り、メニューが二種類。今回はカツカレーとブリの西京焼からのチョイス。
さすがにもう機内食が楽しみということはないんだけど、少しでもおいしそうな方が食べたいじゃんね。
前の方からカレーのいいニオイがしてきているし、ここは問答無用でカツカレーでしょう。
すると、いくつか前の席でメニューを採っているCAさんがやたらと「ご希望に沿えないことがあるかもしれません」と言ってる。同じことがメニューにも書いてあるのも知ってる。
ま、カツカレーのことを言ってるんだろうな…と思うわね。
そして、我々の番…
CA : 今日のメニューはブリの西京焼きとカツカレーでございます。
ブリといえば氷見の寒ブリ。氷見うどんも大変おいしゅうございますが、氷見と言えばやはりブリ。その脂の乗ったのったブリを高級西京みそで丁寧に焼き込んだ自慢の逸品でございます。
一方、カツカレーの方は、脂質糖質ともに過剰で、向こうが透けてみるような薄切りの豚肉を使い古しの油で揚げた、一回の摂取で軽く2,000カロリーに届かんとする、お客様のようなメタボを気にするべき方にはとてもとてもおススメできるような代物ではございません。それにご飯も水分が多くベチャベチャで、カレーライスに向かない炊き方をしております。さぁ、どちらになさいますかッ?!」
私 : カツカレーください。
CA: ………数に限りがありまして、お客様のご希望に沿うことが出来ない場合がございます。ましてや格安チケットでこのような後部のお席をご利用いただいているお客様は特に望みが薄うございます。
私 : カツカレーください。
CA : はいブリですね!
私 : イヤ、カツカレー。
CA : ………あ、今。カツカレーが品切れになってしまいました。ブリの西京焼きをご用意させていただきます。
オイオイ、だいたい初めからカツカレー足りないんじゃん?!
こうなると益々カツカレー食べたくなる。
もちろんCAさんのセリフは冗談だけど、もっとしっかり票を読んで来いっての。もしくはカツカレーと真っ向から勝負できる人気メニューを対抗馬に仕立てるべし!
ま、これから向こう一週間、魚っ気のあるものはフィッシュ&チップスしか摂らないだろうからよしとすることにした。
やっぱおいしくはないよ。
この味噌汁、あまりにもマズイというかイヤな味。後でまた触れるけど、多くの薬品を使って化学反応で強引に味噌汁にしてみました…みたいな。
そして、着陸前の食事。
オイオイ、また魚だよ。今度はシャケだ。言いたくないけど、羽田で食べた朝ごはんもシャケだったんだぜ!
コレも選べるんだけど、もうひとつの方はもっと受け付けにくいようなメニューだった。
三回続けて魚になっちゃっやよ!
ま、そんな食べ物の恨みもロンドンの街が見えてくれば忘れようというものだ。
お、案外天気がいいな。
イヤイヤ、コレに騙されちゃイカン。「イギリスの雨は主に全部に降る」…コレを肝に銘じておかなければ…。
新しいターミナルが完成したのね。スッカリ立派になっちゃったのはいいけど、飛行機降りてから歩かされる距離はハンパじゃなかった!
でも、地下鉄への連絡は格段に便利になった。要するに歩く場所がズレただけのことみたい。
今回のロンドンのお宿はピカデリー線のアールズ・コート。
アールズ・コートにはもう何回も言っているので安心、安心。
アールズ・コートに着いた~。ロケーションはコンベンション・センターのすぐ隣のクレッセント。
「ホテル」じゃなくて「スタジオ」か。
もちろんMarshallが置いてあるようなレコーディング・スタジオではないよ。
ホテル関連で使う「スタジオ」という言葉は「スタジオ・ベッド」が設置されている部屋のタイプのことを指す。
「スタジオ・ベッド」というのは昔よくあった、ソファを兼ねたベッドのこと。昼間はソファの形をしていて、寝る時には背もたれが平になって「ベッド」に早変わり…というヤツね。
もうひとつの意味は、「部屋の区切りがなくて、トイレ、浴室、キッチン以外の設備がひとつの空間に収まっている間取り」のこと。いわゆる「ワン・ルーム」というヤツ。
コレはアメリカで生まれた言葉らしんだけど、ここイギリスへ来ると「全部の設備がひとつの空間に詰まっている間取り」に意味が変わっちゃってるのかな?
下の写真がそれ。
手前はベッドだ。
とにかく、キッチンつきの部屋にしたかったのだ。
理由は「米」。今回は家内も一緒だし、自炊して米を摂ろうという作戦なのだ。
以前、二週間滞在した時、中盤からは時差ボケも取れ、変な時間に目が覚めず、ユックリ眠ることが出来るようになったのにまったく疲れが取れない。
それが米を食べてないからだ、ということに気がついたのだ。
我々、ダメよ、パンじゃ。
で、ロンドンで和食を食べるとなるとメッチャお金がかかるからね。朝だけでも自炊しようと思い立って、スタジオを探したというワケ。
で、ココ、バツグンに場所がよくて、清潔で、係の人も親切で、しかもふたりで泊まればゼンゼン格安ということでスッカリ気に入ってしまった。
私は一時ハマースミスのホテルを定宿にしていたことがあったが、それもひとりで泊まるとやたらと高くつくし、キッチンも当然ついてない。
ここは最高!
もうここを定宿にしようかと思ってるぐらいなの。
簡単に荷ほどきしてからアールズ・コートの街へ繰り出す。
駅周辺にはTESCO、Marks & Spencer、The Co-operative Food、Sainsbury'sと大きくはないけどスーパーは揃っているし、ちゃんとしたパブや各国料理店が並んでいて何ひとつ困ることはない。
地下鉄もピカデリー、ディストリクト、サークルの三線が通っているのでとても便利。
駅にトイレもあるよ。
三軒ある駅前のパブから選んだのは「Courtfield(コートフィールド)」という店。食べ物のメニューとハンドパンプがある…ということだけで選んだ。
家内はまずはLONDON PRIDE。私は1730ってのをオーダー。
やっぱり好きだな~。
この香り、この味、そしてこの生温かさ。
ただね~、問題はレートですよ。これで1パイント£4.80かな?ヘタをすると1,000円になっちゃうからね。浅草の地ビール屋と全く変わらない。
チョット前の円高のころなら600~700円ぐらいだったか…。
Marshallの工場があるブレッチリ―あたりの一番安いパブだったら400円もしないで1パイント飲めた。
ハラ減った~!
三回続けて魚だったからね。ガッツリ行くぞ~というこで脂質&糖質特集!
「ロンドンでハンバーガー」だってか?笑わば笑え。
こういうものがおいしいのだ。
ペロリだもん。
「イギリスの食事はマズイ」のが確固たるイメージだが、やはりマズいはものはマズい。
でもね、マズいモノを避ければ当然のことながらおいしいものもたくさんある。
ま、私なんかイングリッシュ・エールがどこでも当たり前に飲めるだけでも幸せなんだけど。
今回は家内の徹底的な事前リサーチのおかげで食べ物もすごく良かった。大満足。
この茶色いソースはチョット危なかったけど…。
それと、この店のダメなところはパイント・グラス。
チャンとしているパブはエールの銘柄の入ったグラスに必ずエールを注いてくれるのだが、この店はほぼお構いなし。それはよくない。
帰りにTESCOへ寄って明日の朝の食材の買い出し。
写真は別の日の昼間に撮ったもの。
このTESCOが後に悲劇の舞台になろうとは一体誰が想像できようか!
家内ビックリのクリスプス。WALKERSの小さいパッケージが24袋入ってる。
こっちのポテチはグルタミン酸ナトリウム、すわわち「MSG」を使わない安心素材で作っている。MSGは日本で言うところの「うまみ調味料」ね。
イギリスではこのMSGの使用を徹底して排除している。過剰に摂取すると精神障害を引き起こす恐ろしい薬品として取り扱われているのだ。
日本ではこれを食品衛生法で「アミノ酸」として無害ヅラして取り扱われているから大変始末が悪い。
そのあたりのことを調べたらチト恐ろしくなっちゃって、最近は何か食材を買う時にはこの「アミノ酸」含有の有無を確認するようにしている。
ところが、日本でこのアミノ酸が使われていない加工食品などほとんど皆無で、買えるモノがまったくないと言っても過言ではないということを知った。
こういうことを言うと、「ナンでぇ、西洋の連中はそんな化学薬品をキラっているクセに、コーラをガブガブのんで肥満になってるじゃねーの!」と反論されれそうだ。私もかつてはそう思って西洋人の思想を嗤っていた。
でもね、考えてみるとコーラは心配なら飲まなければいいだけの話しで、避けることはいくらでも簡単にできる。
でも普通に流通している加工食品のアミノ酸を避けることは容易ではないんですよ。
日本はアメリカの悪食品の吹き溜まりだからね。
イギリスは世界でも最もオーガニック食品の規定がキツい国で、農作物をつくる土にまで厳しい監視の目を向けているんだって。
オーストラリアから帰って来たセガレの話し。
イギリスもそうなんだけど、食パンのような生活に直結している食べ物はやたらと値段が安い。薄く切った50cmぐらいの長さの食パンがひと袋60セントぐらいらしい。イギリスでも1ポンド以下だ(180円とか)。
とても量が多くて食べきれないので買ったことはないが、オーストラリアで暮していたセガレはそのコスパに重宝したらしい。
しかし、そのパンを買ってくると、一日か二日分を残して、すぐに冷凍してしまわないとマズイことになってしまうことにすぐ気が付いた。
アッという間にカビだらけになってしまうのだ。防カビ剤が入っていないから。
オーストラリアもオーガニック食材王国だからね。
そこへ行くと、日本のスーパーなんかで売っている食パンは全然カビないらしい。
知らないところで我々は一体ナニを喰わされているのだろうか?
日本人は「世界一おいしいご飯を食べている」つもりになっているけど、食材自体はかなり危険だということを知っておくべきだろう。
TESCOにあったハイネケンのアトラクション。いかに上手にビールを注げますか?みたいな。イギリスに来たらラガーは飲まないようにしているのでパス。