イギリス紀行2019 その10 ~ 大英博物館の中の日本
チョット、ごめんちゃい。
また大英博物館ネタ。
というのは、久しぶりに見に来たのはいいけど、「久しぶりに見ておこう」と思っていた日本の展示コーナーが閉まっていて、後日ひとりでリターン・マッチをしたから。
昔の大英博物館の様子をインターネットで発見。
ナニかの展示ということになると、昔はこうして大変な賑わいを見せていたらしい。
入り口に置いてあった特別展のチラシ。
マンガ展とムンク展。
チラシといっても、型紙に印刷してあって、まるで絵葉書のようなんだけど、両面に印刷されているのでハガキとしては使えない。
V&Aでも盛んにこういうのを作って配っているんだけど、どうしてこんな立派な紙を使うんだろうナァ。
つい集めたくなってしまうじゃないか。
大英博物館のシンボル、「Great Hall」。
他でも書いたが、中は円形の図書館になっていて、昔は自由に出入りすることができた。
シースルーの屋根を見上げるとゴミみたいなものが乗っている。
コレ全部鳥なの。
おお~!
イス持参かよ!やることが大胆だな。
実際、博物館とか美術館って知らない間にものすごく歩いていて気がつくとクッタクタになっているのが普通なんだよね。
…と思ったら、無料でイスを貸し出してた。
しばらく来ない間にこんなサービスが導入されていたのね?
ハイ、ロゼッタストーン…の裏。
こんなんなってる。
コレはこのままソロでボッコンと存在していたワケではなくて壁だか柱だかから切り出して来たんだよね。
だから背面はこんな風になってる。
やっぱり裏が人気ないな。
やっぱりココはエジプトというか、ミイラというか、このあたりのコレクションが売り物だからね。
好きな人にはタマらない。
エジプトに興味のない人はV&Aの方が断然オモシロイだろう。
ココが日本の展示コーナー。
最上階で最も奥まったところに位置している。
ご存知の通り、また別項でも説明した通り、根付は男性が煙管や財布や矢立といった類の小物を帯に引っ掛けておく時の留め具として使われた。
もともとは木片などで作られた機能重視のアイテムが多かったが、江戸時代に小型の彫刻品としての地位が高くなり、象牙を素材とするなど豪奢な根付が流通するようになった。
やっぱり平和でないと文化は育ちませんな。
それが江戸の時代が終わり、明治の時代に入りと一気に日本人の洋装化が進み根付が不要になった。
すると今度は「美術工芸品」として西洋での人気が高まった。
「根付なんてもう使わないから要らないでしょ?」とか何とか言われて二束三文で売り飛ばしたんだろうね。
大英博物館は3,300点もの根付をコレクションしてるんだって!
上の古代エジプトのコレクションをエジプトが「もう返してチョーダイよ」とイギリスに申し入れると、イギリスは「バカ言っちゃいけません!我々がイギリスに運んでキチっと保管しているからこうして残っているんでしょうが!あなた方に任せておいたら全滅してましたよ。我々が持って行ったことに感謝してチョーダイ」ぐらいのことをエジプトに言ったという話は有名だが、日本もさして変わらん。
それと、この世の中の「モノやコトの価値」というのはいつでも欧米が作っているということを痛感しますな。
表には出していないけど、多分こういうモノもたくさん持っているハズ。
おわッ!火焔型土器や王冠型土器。
十日町の博物館のヤツとまったく同じヤツやん!
国宝だよ、コレ。
一体どうやってゲットしたんだろう?
手塚治虫の『三つ目がとおる』にこれらの土器が登場します…と紹介している。
「Osamu Tezuka」はスゴイな~。
マンガといえば手塚治虫か『浦安鉄筋家族』しか読まない私だけど、残念ながら『三つ目』は読んだことがないんだよな~。
こんなにキレイな銅鐸も。それに鏡。
仏像に土器に武具甲冑…要するに上野の国立博物館のハイライトみたいなもんよ。
ナゼかマンガのコーナーに展示してあった本は『ひみつのアッコちゃん』。
イギリス人よ!キミたちにもこの赤塚不二夫の偉大なるクリエイティビティとオリジナリティが理解できるのか!
もうね、赤塚不二夫はジャズ界で言えば完全にオーネット・コールマンだと思ってるから。
上で紹介したチラシにもあった星野之宣という人の『宗像教授伝奇考』。
もちろん私がこういうのを知っているワケがなくfacebookでお友達にこのオジちゃんが誰かを教えて頂きました。
ああホントだ、火焔型土器が描かれているね。
そして鋤田正義のデヴィッド・ボウイの写真。
山本寛斎をフィーチュアしている。
コレは「出火吐暴威変化鏡(でびっどぼういへんげきょう)」と題された版画。
右下には「いし 上野屋」、左には「彫師 佐藤奈美、摺師 中山誠人」というクレジットが入っている。
「いし」というのは絵師の「石川真澄」のことか。
コレは現代のミュージシャンを木版画で表現する「UKIYO-E PROJECT」という連作のウチのひとつ。他にもKissやIron Maidenをモチーフにした作品があるようだ。
大英博物館の展示品は[26/200」。
イヤ、この2点、ナニが言いたいかと言うと、イギリスにおけるデヴィッド・ボウイの存在の大きさよ。
ホントにイギリスのボウイとピンク・フロイドとロンドン・パンクは我々が知っているそれらとは意味が全く違うから。
ロックではなくて、それぞれが独立した「文化」なんだよ。
死んだ時だけに大騒ぎする日本人とは土壌が全く違うのだ。