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2019年9月26日 (木)

イギリス紀行2019 その11 ~ 大英図書館を楽しむ

 

「世界の4大博物館/美術館ってど~こだ?」というクイズの答えの定番は「メトロポリタン、ルーブル、エルミタージュ、ダイエー」らしい。
コレを聞いて「スゲエ!ダイエーってそんなにスゴい美術館を持ってるんですか?やっぱり福岡にあるんですか?」と、かつて私の目の前で本当にそう言ったバカがいた。
「ダイエー」ではない。
「大英」だ。
昔なら「ガメラ」だぞ。
で、「大英」とくるとどうしても「博物館」になっちゃうよね。
でも、もうひとつの「大英」もスゴクおもしろい。
それはこのおなじみのセント・パンクラス駅のお隣りにある。

10コレがそう。

40「British Library」、つまり「大英図書館」ね。
アリスの看板が目印…でもないか。
みんな大英博物館には行くけど、「大英図書館に行った」という人は滅多に聞かない。
そんなの絶対にモッタイない。

25v_2ね、後にセントパックラスのゴシック様式の尖塔が見えてる。

20同じ国営の図書館とはいえ、そのオモシロさたるや永田町の国立国会図書館なんか足元にも及ばない。
ま、図書館は遊び場ではないんだけどね。
でも国立国会図書館って大学生の時、一時期よく行ったんだよね。
というのは、アメリカ文学の授業で生きていて一度も聞いたことのないアメリカの小説が教材に選ばれた。
サラ・オーネ・ジュエットという女流作家の『The Country of the Pointed Firs』なる1896年の作品だった。
で、文学部の授業だから原文で読まなきゃならないんだけど、みんなそれがイヤなワケ。ペイパーバックしかなくて読みにくいし。
そんなのオモシロいハズがない。
それで生徒たちは血眼になって翻訳を探した。
当時はインターネットなんて構想すら知らなかった時代だからね。
で、どうしても見つからなかった。
今にして思うと、教授もそれを知っていてその作品を選んだのかも知れない。
ところが見つけたんですよ…私が!…国立国会図書館で!
特段その翻訳本を探しに行ったワケではなくて、ジャズの本を見に行って偶然見つけたような気がする。
早速、閲覧を申し込んでいならく待っていると、出て来たのは想像をはるかに超えた古い本で、すべて旧仮名に旧字体。恐らく戦前に上梓されて初版で絶版になった類に違いない。
何回か通ってコピーさせてもらって友達に配った。
みんなに大変ありがたがられたことは言うまでもない。
その翻訳本自体がとても読みにくく、結局はそれも読まなかったんだけどね…それでも成績は「可」でした。
単位が取れれば上出来!…ウソ。そんなことやってないで、もっとチャンと勉強しておけばヨカッタよ。

Cp_2私はココが好きでもう何回も来ているんだけど、今回初めてジックリと中を拝見させてもらった。

30前庭にある巨大なオブジェ。
え…ビックリした!
ウンコしてるのかと思った!
80エデュアルド・パラロッツィという人の「Newton」という作品。
こんな機会でもないとニュートンのことなんて知るチャンスはなかろう…と、調べてみると、リンゴの逸話でおなじみの「万有引力」ばっかりだけど、スゴイのね。
詳しくは書かないけど、数学者、物理学者、天文学者、神学者、おまけに造幣局長までやってたっていうんだから。
微積分法の発見に巡ってはライプニッツと20年越しの裁判をしたり、錬金術やオカルトの研究までしていたとか…。
このオブジェの「ニュートン」が果たして「アイザック・ニュートン」そのモノなのかどうかは知らないが、ナニせすごい。

60尖塔の先っちょだけだけどセントパンクラス駅を裏側から見るのもいいもんだ。
まるで外国に来ているようだ。

90大英図書館のオープンは1973年と、実は新しい。
元々は大英博物館の図書館で、それを分離し、いくつかの図書館を併合して設立された。

100入り口では当然のごとくセキュリティ・チェックでカバンの中を調べられる。
昔はこんなことをしてなかったんよ。

110中は吹き抜けになっている。

120とても図書館には見えない。130壁には何やら「知の巨人」の胸像が並んでいる。

140今、エントランスから入って、通って来たところを振り返るとこんな感じ。
そして、もう一度前に向き直ると…

160ドワ~!本!
コレが入り口からはよく見えない。

170それで近寄ってみるとコレが目に入る。
1階から吹き抜けの一番上までぎっしり詰まってる。
コレってもしかして飾りなのかな?イヤ、そんなことないわな。
とにかく圧巻!

185v大英図書館の現在の蔵書数は2,500万冊以上。
付帯する資料を含めるとその数は1億5千万点に上るらしい。
国立国会図書館の3倍以上。

190まぁ、とにかくコレをチラリと見るだけでも来る価値はあるよ。
それと見て…いたる所に机とイスが設置されているでしょう?

180机には電源が用意されていてパソコンを持ち込んで不自由なく使えるようになっている。
ウチの近所の区立図書館なんかはこの設備がない。
つまりパソコンの使用を禁止しているのだ。
あのな~、図書館ってのは本を借りに行くだけの設備じゃねーんだよ。
理由を聞いたら「パチパチうるさいから」だとか…ま、コレはわからないでもない。
でもそれなら場所を区切ってパソコンを使う人と使わない人を隔離すれば話は済む。
もうひとつの理由にムカっぱらが立った。
「それとパソコンをお持ち込みになられる方は長居されるもので…」
ヒドくね?
「じゃ、区民税を半分返してもらいましょうかね?」とまでは言わなかったが、図書館まで使い方や考え方が違うんだよ、世界の一等国と五等国では。

210たくさんの若者たちが一生懸命勉強している。

220よく政治家が「海外視察」なんて税金で海外旅行を楽しんでいるでしょ?ハラが立つのであまりその手の情報に近寄らないようにしているんだけど、ああいうのは何を勉強しに視察しに行くのかね?
もちろん必要に応じてそれらしきこともするんだろうけど、私なんかはこうして海外に来ると、普通の人たちの暮らしの中に「コレこそ日本もマネしろよ!」ということやモノをよく見かけるのね。
日本にも「パソコン使用OK」という公立図書館はあるでしょうけど、こんな様子にチョコッと接しただけでもそんなことを考えてしまう…のは年を取って根性が悪くなっているからなのか?

230さて、実は今回の記事のメインはコレ。
「TREASURES」…つまり宝物殿。
「書物」というと簡単すぎるな…とにかく古今の「書かれたモノ」全般にわたって極めて貴重な資料が展示されている。
昔はね、すごく小ぢんまりした設備だったのよ。
それが今ではいち博物館の体をなすほど立派になった。
ところが!
残念ながら写真撮影は厳禁なんですよ。
いつかそれを知らないで撮影していたら、ものの数秒で屈強な黒人のガードマンがすっ飛んで来て「No photo」と言われた。
ということで、モノはお見せできないので、ナニが展示されているのかを文字とイメージ画像でレポートさせて頂くことにする。
ココ、有料でいいから写真OKにしてもらいたいわ~。

240私が一番最初に大英博物館に来た目的はビートルズ関連の資料だったので。
ナニが展示されているのかと言うと…
①ジョン直筆の「She Said, She Said」の歌詞のメモ。

Rv ②ジョンがスチュアート・サトクリフに送った1961年の手紙。
そこにこんなことが書いてあった…「I remember a time when everyone I loved hated me」。
つまり「ボクが大好きな人はみんなボクをキラっていた時のことを覚えているよ」。
何を意図しているのかは知らないけど、チョット気になったのでメモしてきた。

Sb ③「A Hard Days Night」の直筆歌詞。

Ahd ④「Micchelle」のポールの直筆歌詞。

Mc ウ~ン、他にも色々あったハズなんだけどな…大分展示を入れ替えるんだな~。
ケチってないで全部出せばいいのに。コッチャ遠くから来てんだからよ。
 
で、今回すごく興味深かったのが、クラシックの音楽の楽譜。
コレは、2003年にロイヤル・フィルハーモニック協会が所有する資料をが100万ポンド(当時の為替レートだと2億3千万ぐらいかな?)で大英図書館に売却したウチの一部…のようだ。
コレも私が初めてココに来た時はなかったように思う。
その売却された資料の中には270曲の楽譜が含まれていたのだそうだ。
ところで「ロイヤルフィルハーモニック協会(The Royal Philharmonic Society)」ってのはナニか…オーケストラなどの器楽のコンサートを催す団体で、ややこしいことにロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とかロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とは関係ないらしい。
でも、スゴイよ。
このロンドン・フィルハーモニック協会が頼んで作ってもらったり、初演を企画した楽曲には…
ベートーヴェンの「交響曲第9番」、メンデルスゾーンの「交響曲第4番『イタリア』」、サン=サーンスの「交響曲第3番『オルガン付き』」、ドヴォルザークの「交響曲第7番」なんかがあるっていうんだから。
確かリージェント・ストリートのどこかに『「第9」初演の場所』というプラークがかかっていたな…。
あった、あった、コレだ。

8_img_03471825年3月1日、「イギリスでの初演」ということですな。

8_img_0346 バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、ドビュッシー、マーラー、ブリテン、エルガー、シェーンベルグ、ヴォーン・ウィアムス等々の直筆楽譜がズラリと並んでいて見応え十分!
 
他にも世界の宗教関連の本、古地図、それから美術品としての本の展示、さらにマグナ・カルタのコーナーなんてのもある。
またディケンズやキャロル、ブロンテ姉妹の初版本とかね。
シェイクスピア関係はそれほどでもないかも。シェイクスピア周辺の資料は豊富でもシェイクスピア自身のメモラビリアは期待できない。
 
それと下の写真のヤツ。
コレは宝物ルームの外の廊下なんだけど「PHILATELIC COLLECTION」とある。
「philatelic」って何のことかと言うと「切手」のこと。
コレも撮影禁止なんだけど、この板をグイっと前に引き出すと、切手がズラリと並んでいる。
とても細々と見る気にもならないが、コレまた圧巻。

245初めて上の階に上がってみた。

260え…「The Alan Turing Institute(アラン・チューリング学会)」?

270「アラン・チューリング」ってあの「Bombe」の「アラン・チューリング」?
こんなのあるの知らなかった!

280と、思ったらその手前には…

285vエニグマ暗号機!
初めてホンモノを見た!

290「エニグマ」は第二次世界大戦中の世界最強と言われたドイツの暗号機。
その暗号を「Bombe(ボンベ)」というマシンを持ってして解読に成功したのがアラン・チューリング。
この人の功績がイギリスを第二次世界大戦の勝利へと導いたと言われている。
でも、コレちょっと違っていて、チューリングばかりがエライというワケではなかった。
何でもこの人、2021年までに新しい50ポンド紙幣のデザインになるって言うじゃない?
コレね、チョットした裏事情があると私はニラんでいるの。
その話はまた今度。
ナゼなら、今回の旅でエニグマ暗号を解読した研究所があった場所にに行って来たのだ!…といってもMarshallの工場のすぐそばなんだけどね。
そのレポートを書く時に私の邪推を書いておきます。

300しかし、この時は感動したな~。

310コレがイギリス軍を苦しめたスクランブラーか!

316そして、さらに暗号作成を複雑にしたリフレクター。

320なんて大感激をしたんだけど、実は、コレってそう珍しいモノではない…ということが後になってわかった。
要するに大ヒット商品だったので流通量が多く、どうも残留品が多いようなのだ。
一方のチューリングが作った「Bombe」はどうかというと…コレは後日のレポートを読んでのお楽しみ。

315裏はこうなってる。
保健室にある救急箱を平べったくした感じ。

330さらに上の階に上がってみる。

349「ダ・ヴィンチ展」なんてのも企画されているようで、そう、美術館的な要素も感じられるんだよね。

150その雰囲気通りこんな写真展をやっていた。

350「The New Londoners」と題した新しい世代のイギリスへの移民の家族をテーマにした写真展。

360私はこういう写真には興味がないのでシレっと拝見するに止めた。

370v皆さんもロンドンを訪れた際にはゼヒ寄ってみてください。
おススメです。

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