イギリス紀行2019 その12 ~ スタンリー・キューブリック展 <vol.1>:イザ、会場へ!
今回のロンドン滞在の2番目の宿はキングス・クロス駅から呼べば聞こえる距離にある「European Hotel」。
朝食はこんなところで頂く。
半地下の食堂。簡単イングリッシュ・ブレックファスト。
トマトは缶のダイス・カット・トマトに塩コショウして温めただけのモノ。
でも、コレが案外イケて、いつもはトマトソースを作るだけのトマトの水煮も「こういう食べ方もあるのか…」と感心した次第。
あ、トマト缶が身体に良くないということは承知しております。
パンはお定まりの日本で言う10枚切り。
私の経験ではイギリスで厚切りトーストにお目にかかったことは一度もない。
質素かな?でも、どうせ寝るだけの安宿…コレで十分!
と、言いたいところなんだけど、コーヒーがインスタントなんじゃ!
コレはイカン。
オレンジジュースも「渡辺のジュースの素」みたいだったな。
それでも十分。
ナニを食べるにしてもすぐに1,000円近くかかってしまうので、朝食付きのロンドンの安宿は大変に経済的なのだ。この日は朝からシッカリ雨。
ね、でも向こうの人は傘をささない。
もちろん私はさしています。
でも連中は土砂降りでもささない。
どうしてイギリスの連中は傘を使わないのか。
自分なりに考察してみると…傘が持たん。
本格的に雨が降る時はたいてい風も強くて、傘をさしてなんかいられない。
それに日に何度も降ることも珍しくないので傘をさすのが面倒だからなんじゃなかろうか?
じゃ、どうするかというと、ヒドイ雨の時は雨宿りをして雨が通り過ぎるのを待つ。
普通程度の雨の時は、フードが付いた服であれば、フードを被って突き進む。
下の写真の真ん中の人なんかがそれ。
だからフード付きの洋服がポピュラーなんだよね。
日本人がファッションでパーカーを着ているのとは意味が違う。
あ、こういうフード(hood)付きの服はイギリスでは「フーディー」と読んで決して「パーカー」とは呼ばない。
ちなみにパーカー(parka)というのは、元来アザラシやトナカイの皮で作ったフード付きの防寒具を指すそうだ。
そんなパーカー持ってる人いる?
キングス・クロス駅からピカデリー線に乗ってアールズ・コートへ行こうとしたら、ピカデリー線が止まっていて、グルリとサークル線でサウス・ケンジントン駅まで行き、ディストリクト線に乗り換えるハメになった。
サウス・ケンジントン駅でディストリクト線の電車を待っていたんだけど一向に来やしない。
ようやくアールズ・コート駅に到着。
今度はトイレに行きたくなる。
平気、平気、アールズ・コート駅のアールズ・コート・ロード側の出口にはトイレがひとつだけあるんだよ。
知ってるんだよ…とタカをくくっていたら無くなってた!
下の写真の右側のドアね。
仕方がないので駅前の「GREGGS」に入って用を足す。
イヤ~、スゴイ雨なのよ。
サスガに傘をさしている人がいるな。
落ち着いたところでアールズ・コート・ロードを歩く。
そしてこの通りを横切る。
あの時はホントにシンドかった。
4年前の夜10時ごろ、ホテルのトイレのドアが壊れて用を足すことができなくなってしまい、ウンコをもらしそうになりながら駅前のパブまで全力疾走した道。
その時の顛末はコチラ
↓ ↓ ↓
イギリス紀行 2015 その4~雨のウエストミンスターからの~
コレがその時大変お世話になったパブ。
あの時はスゴイの出しちゃってゴメンね。
途中通りかかったので一応フレディ・マーキュリーの家の様子も見て来た。
ズンズンとアールズ・コート・ロードを進みケンジントン・ハイストリートに当たるところにあるのが…
この「Holland Park(ホランド・パーク)」。
入ったことがないので見たこともないが、中には「Kyoto Garden」という日本庭園があるようだ。
その隣がコレ。
雨の中はるばるやって来たのはココ。
ミルトン・キーンズからロンドンに出て来て地下鉄に乗った時、ホームでこのポスターを発見した瞬間からもう観たくて観たくて!そこら中の地下鉄のコンコースでこのポスターを見かけるたびに居ても立ってもいられなかった。
で、とうとう観に来た!
ジックリ観出したら気が済むまで数時間はかかるだろうから、家内が日本へ帰ってから来ようと決めていた。
せっかくのロンドンなのにあんまり私だけの趣味に時間を費やさせても気の毒だからね。うれしくて、楽しみで…思わずアレックスと自撮りで1枚。
「ホホウ、キューブリックのグッズもあるのか!」
こうしたイベントで物販を楽しみにするのは生まれて初めてのことだったかも知れない。
会場は「the DESIGN MUSEUM(ザ・デザイン・ミュージアム)」。
コレってテムズ川沿いにあるヤツかと思っていて、出かける前日に勘違いしていたことに気が付いた。
かつて「デザイン・ミュージアム」ってタワー・ブリッジのすぐ近くにあったのよ。
コレね⇒イギリス紀行 2015 その8~テムズに沿って歩く
この時、「Design Museum」というのが2つあるのかとばかり思っていたんだけど、後になって調べてみたところ、2016年に現在の場所に移転したことを知った。
どうりでテムズ川の方の博物館をインターネットで探しても見つからないワケだわ。入り口までの通路に貼られたポスター。
興奮するナァ。
モロコ飲みたくなってくるな。
ライティ・ライト?
「モロコ」とはロシア語で「牛乳」のこと。
『時計仕掛けのオレンジ』で字幕に下線が付けられているあの造語の多くはロシア語が引用されているんだよね。
私は「モロコ」という言葉はかなり昔から知っていた。
ナゼかというと、吉村昭の『花渡る海』というロシアに漂着した漁師の小説に出て来るの。
日本は当時牛乳を飲む習慣がなくてさんざんイヤがっていたが、イザ飲んでみるとウマいのナンノ、っていうヤツ。
ロシアから種痘の技術を持って帰る話。メッチャおもしろいよ。
最近読んだ本では三浦綾子の『海嶺』にも「モロコ」が出て来てた。
エントランス・ロビーの様子。
別の回でやるけど、ココは吹き抜けの構造で立派だった。
後で知ったんだけど、外観はこんなスゴいデザインらしい。
中から、あるいは外の地面レベルからではモッタイないぐらいまったくわからない。
さぁチケットを買うぞ~!
と思ったら~、オイオイオイオイ、「売り切れ」だって言うんだよ!
行ったのは6月10日のことだったんだけど、会期末の9月17日までチケットは既に完売している…というワケ。
チョット待てよ!席がある映画館や劇場ならそれもわかるけど、展覧会だぜ?
いくらでも客を入れることができるだろうに!
当然、ダマって引き下がるワケにもいかず、場内整理をしていた近くの愛想のよさそうなオバさんに様子を尋ねてみた。
「そうなんですよ。チケットはもうないんです」
「エエ!コンサートじゃあるまいし!どうしてお客さんをジャンジャン入れないんですか?」
「保安上の理由なんです。あんまり人を入れるとお客さん同士がブツかったりして危ないし、そもそもユックリ観ることができませんでしょ?」
「Indeed…」
コレですよ。
ココが海外と日本の美術館や博物館の大きな相違点なんですよ。
上野のゴッホ展なんか行ってみな。藤田でもミュシャでもいいや。
人様の後頭部を観に行くようなもんだ。
「このオジサン、円形脱毛症があるな…ストレスたまってんだな」なんてことを楽しみにしている人ならそれもいいけどね。
どこから湧いて出て来るのか知らないけど、あの膨大な数の「美術ジイさん」と「絵画バアさん」!
そんなこと言っちゃいけないけど、日本の「美術館」の特別展は少なくとも「美術」を鑑賞する場所ではないと思う。
イカンイカン、そんなこと感心している場合じゃなかった。
こんなに楽しみにして来てんだもの、観ないで帰るワケにはいかない。
次に「泣き落とし」でそのオバさんに迫ってみた。
「東京から観に来たんですよ。日本は地球の裏側ですよ。そこからわざわざスタンリー・キューブリックを観に来たんですよ。それなのに観ないで帰れだなんて…How dare you!」
ま、「How dare you!」は言わなかったけど、気持ちは通じたハズ(もうすぐMarshall Blogで『10cc特集』やります)!
すると、そのオバさんは「アラそう。あのね、キューブリック展のチケットはもう買えないけど、もうひとつの展覧会とセットになっているチケットならあるハズよ…チョット高くなるけど」
「抱き合わせ販売」かよ!
アコギなことしやがるな。
そして「もうひとつの展示もとてもオモシロくてよ!」と来たもんだ。
その展示会とはコレ。
「David Adjaye(デヴィッド・アジャイ)」とかいうイギリスの建築家の展示。
もちろん問答無用でそのセット券を買った。
£20.70(3,000円ぐらい)也。
ゴメンね、「Donation」はしません。抱き合わせにされたから。
しかし、もう最後までチケットはソールドアウトっていうんだからスゴイ。
みんなキューブリック好きなのね。
コレが入り口。
このカーペットの柄!興奮するでしょう?
でもまだ入れない。
私のチケットは11:00からの入場なので、それまでの間、グッズをチェック。
ココは『オレンジ』コーナー。
コレは図録。
記念に買おうかと思ったんだけど、この展示会のオリジナル商品ではなかったし、字ばっかりだったのでやめておいた。
私が持っているキューブリックの写真集。コレで十分。
ソーホーの新古本屋で20年近く前に買ったモノ。
「TASCHEN」というドイツの出版社が上梓しているモノ。
この出版社、結構「こんなんでいいの?」的なヤツも見かけるんだけど、このキューブリックの写真集はスチール写真の他に撮影中のスナップショットもチョコチョコと掲載していて割と気に入っている。
他にもビリー・ワイルダーの写真を買った。
日本語の方は私のキューブリックの教科書。
だってナンダカンダ言ってキューブリックの作品ってワケがわからないじゃん?
音楽やウンチクなと、作品ごとに詳述してあって、時折広い読みしては悦に浸っている。 まだ入れない。あと9分か…。
また売店に戻る。
コレは『フル・メタル・ジャケット』のコーナー。
コレも『オレンジ』。
荷物になるから買うのは後にして…いよいよ11:00!
オレ様の番が回って来た!
エントランスではマルチ・スクリーンでキューブリック作品の画像が映し出される。
せっかくのカーペットの柄だもんね、やっぱりコレでつなげてあげないと!
で、コレ。
逃げれ!ダニー!
『博士』ね。
そこどいてもらえませんかネェ。
『2001年宇宙の旅』も。
2~3分で一巡するダイジェスト映像なんだけど、5回ほど拝見させて頂いた。
やっぱりイイんだよね~。
まるで絵画を見ているような気分になる。