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2020年5月 6日 (水)

イギリス紀行2019 その25 ~ マンチェスターへの旅 vol.1:歴史的ではないホテル

 
直前の往訪地、ストックポートからローカル線に乗って2駅で着いたのがこの旅の目的地。
 
「ストックポート」についてはMarshall Blogに詳しく書いたので興味のある方はコチラをどうぞ。
   ↓   ↓   ↓
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol.43 ~ 10ccに会いに行く <前編>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol.43 ~ 10ccに会いに行く <後編>

10着いた先はマンチェスター。
「マンチェスター」の名前が付く駅は他にもあって、一番大きな駅が「マンチェスター・ピカデリー」。

20ローカル線のホームはデカいスーツケースを持った団体さんでゴッタ返していた。
パキスタン辺りからの方々かしら?

25長距離電車のホームを横切る。
上野駅で言うと「低いホーム」ってヤツだな。
ま、どこの駅でもこの景色は大差ない。

30コレがターミナル。
日本で「ターミナル駅」と言うと「たくさんの路線が入り込んでいる大きな駅」というイメージがあるが、コレは間違い。
本来「ターミナル」は「終点」という意味。
だからイギリスで言うところの「ターミナル駅」にある線路のハジッコは必ずこの写真のようになっている。
日本は路線をつなげちゃうのが得意なので、こうした光景を目にすることはあまりない。
それこそJRでは上野駅の低いホーム、それから私鉄の始発&終点駅ぐらい?
昔は房総線の起点だった両国駅なんかにもこういうのがいくつもあった。
日本はイギリスの鉄道を手本としたけど(地下鉄はブエノスアイレス)、今ではイギリスが日本の鉄道の乗り入れシステムの研究をしているというんだから日本はスゴイ。
ココで言う「乗り入れシステム」というのは、JRと地下鉄がつながっているようなスタイルのことね。
でも、このシステムって運行距離が長くなる分、トラブルが増えるんだよね。
見てごらん、レールの幅が狭いために他の路線と乗り入れができず、いまだに浅草と渋谷の間を行ったり来たりしているだけの日本最古の地下鉄銀座線は運行障害で止まることがほとんどない。
日本の地下鉄は、間違いなく銀座線が一番カッコいい。
40これが駅舎。
1842年の開業だってのになんだよ~、コレは。
イギリスを代表する大都市、歴史ある産業革命の地元、マンチェスターの駅舎がこんなんじゃイカンな。
もっと古式ゆかしい歴史的な施設かと思っていた。
ガッカリ。

50ほら、ハチのマーク。

60駅舎を出てすぐのところにある「Victory Over Blindness」と題された像。
第一次世界で従軍し、戦地で失明した軍人は3,000に上り、退役後は光を失った新しい生活を強いられ大変な苦労を背負い込むことになった。
11_img_0249この像は「Blind Veterans UK」という国営の自然団体が設置したもの。
お国のために務めて盲目となった退役軍人のケアをする大きな組織なのだそうだ。
日本で「ベテラン」という言葉は、「ある事に長年携わって、その分野において人並外れたスキルを持っている人」ということを意味するが、英語の「veteran」はまず「退役した軍人」を指す。
日本のライブハウスに連れて行った外人に、若い腕の立つミュージシャンを指して「彼は若いけど、ヘビメタのベテランなんですよ」なんて言うと「OMG!あの若さで?」なんてことにもなりかねない。
コレね、この言葉にはいつも苦労するんだよね。
「ベテラン」ってどう言い表せばよいのか…。
「experienced」とか、「long careered」とか、「skillful」とか、その都度色んな言い回しをしているんだけど、ナニを言っても通じているようなので、日本語の「ベテラン」に相当する確固たる英単語が今でも曖昧のままでいる。Bv 駅から出て来ていきなりコレだからね。
結構ビックリするよ。
イギリスの街を歩いているとそこら中に戦争の英雄の像が飾られていたりするけど、反対にこういうことをして戦争の悲惨な面も伝えている…と私は見た。

11_img_0248まずはホテルに向かう。
路面電車が走っているのか…。

80早速、立派なホームに出くわす。
いいな~、こういうの。
私は都電復活を望んでいる…出来ても滅多に乗らないだろうけど、バスより良い。

90駅前にあった地図を参考にして難なくホテルに到着。
この時はポケットWi-Fiを借りて来なかったからね。

100_2この「The Britannia Hotel Manchester」に2泊。
実は前の日になってようやく予約したの。
私は「自然を満喫する」ような趣味が全くなく、外国へ来たならばとにかく街…すなわち文化や歴史を見て回りたいのね。
そういう意味でイギリスはメチャクチャ面白くて、できればすべての街や村を見て回りたいと思っている。
イギリスならそれほど言葉で苦労をせずに現地の人と意思疎通ができるし、長い歴史があるので見どころも満載だ。
パリやローマにも興味があって、もちろん行ってみたいとは思うのだが、言葉がね~…。
やっぱり言葉が通じると旅の楽しみが倍増するからね。
だからズ~っとイギリスでいい。
イギリスだけ見て回ってもいいと思ってるの。
ところが…今回は2日ほど時間を取って、どこか行ったことがない街を訪ねる計画をしていたのだが、どうも行き先が定まらない。
しばらくかなり忙しくしていたので、考えているヒマがなかったのだ。
数か月前に山谷の居酒屋で知り合ったカップルがいるグラスゴーへ行ってみたいけど、スコットランドは遠すぎる。
ウェールズに行ったことがないのでカーディフも訪れてみたい。
ピンク・フロイドのケンブリッジも魅力的だが2日もかける必要がない。
ニューカッスルがオモシロかったけど、2回行くのももったいない。
ヨークは次回あたりに家内と行こうとキメているし…。
そこで…コレが一番大きな動機だったんだけど…どうせどこかへ行くならMarshall Blogでやっている『イギリス-ロック名所めぐり』の取材ができそうなところにしよう、と思い立ちマンチェスターにキメた。
そう決心したのは実際にココにくる2日前。
この時はそんな旅だった。

110行き先が決まったら次は宿。
Marshallの事務所にいる時にサササとインターネットで調べてみた。
お手頃な値段のホテルは遠くてどうにもならない。
迷っていても仕方がないので、素泊まりで1泊13,000円と、決して安くはなかったが「ド真ん中にあるトラディショナルなホテル」という触れ込みに誘われてココにしてみた。
ビクトリア様式のカッコイイ建物というのがうれしいじゃん?
 
コレが入り口。
「ブリタニア」という名前も気に入った、チェーン店だけどね。

120入り口から入るといきなりコレ。
おお~!
レット・バトラーの家か?!…みたいな。140おお、ホテルのレセプションも風情があっていいね。
130チェックインを済ませたら早速シャンデリアの様子をチェック。
上を見上げると…
150ウワ~!
5階まで吹き抜け(stairwell)になっていて、シャンデリアは最上階の天井からブラ下げられている!

160vエレベーターで最上の5階に上がる。
いかにも古い感じのホテル…でも、そうでもなかったんだな、コレが。
このことはまた後で記す。

170vアレ?
5階が一番上のハズなのに、まだ上に部屋がある。
まるで船の中みたい。

180無料で配っているホテルの絵ハガキでチェックしてみると、大きな窓の付いた屋根裏部屋みたいなモノがあるようだ。

190私が2晩お世話になる部屋。
決して心地よくないニオイ。
一応全館禁煙になっている。
古いホテルに泊まるとこの類のニオイがするような気がするんだけど、考えてみるとコレはタバコのニオイを消すためのモノだね、きっと。
要するに「消臭力」とか「消臭元」みたいなヤツをジャンジャン振り撒いているんじゃないかしら?

200セマい!
でもマァ、これぐらいの部屋に驚いてなんかいられない。
そもそも寝るだけなんだし。
でもひとつだけイヤなのは、部屋の照明が暗いことなんだよね。
本が読めない。
今回は2泊分の着替えだけで、パソコンすら持って来なかったから本は大変重要な時間潰しのアイテムなのだ。

Img_0261部屋からの眺め。
天気悪いナァ。
午前中のストックポートではあんなに晴れていたのに。

210バスルーム。

220チャンとお湯が出るかを確認。
おお、こんなの初めて見た。
ひとつの蛇口から水とお湯が混ざらないで別々に出てる!

230荷物を置いて、早速部屋から出る。
もうあの吹き抜けが気になって仕方ないのだ!
これが私の部屋がある最上階の踊り場。

240あの吹き抜けを見下ろす。
おお~!スゲ~!

250当たり前だけどシャンデリアがあんなに下に見える!

260vコレが天井との接合部分。
案外貧弱。

270vこの階段のデザインがステキじゃないか!
あ、今日の記事の主役は完全にこの階段ですから。

280当然歩いて降りてみる。

290各階の踊り場。

300この構造のデザインも素晴らしんだけど、各所の装飾がまたキマっている。
さぞかし古いと思いきや…建物自体は1856年の竣工と確かに古い。164年前の建物で、国が「GradeII*」として「特別に重要な建造物」に指定している。
元々は「Watts Warehouse(ワッツ・ウェアハウス)」という「S&J Watts」という繊維会社の織物の倉庫だった。
この会社の創設者はジェイムズ・ワッツといって、かつてはマンチェスターの市長だった人。
何しろ産業革命の本場だからね。
そして、産業革命というのは繊維だから。310v御多分に漏れずマンチェスターの繊維工業が下火になり、この建物が不要になると、1972年には取り壊しの対象になったが、何とかセーフ。
1980年代に入って、内装のかなり部分をそのままに残しながら大改装が行われ、1982年に「ブリタニア・ホテル」が建物を買収。
初めは25の客室でスタートしたんだって。
今は363室で運営しているそう。
 
ズンズン階段を下りて行く。 
310もう知らないウチにニヤニヤしちゃうぐらいどこもかしこもステキ!

320しかし、倉庫時代はどんな風だったんだろう?
そっちも気になる。

330大分下まで降りて来た。
シャンデリアはすぐ上から見るとこうなってる。

340このシャンデリアは建設当初から残っているモノらしい。
マンチェスターも当然「Blitz」…すなわちドイツ軍の大空襲があったからね。
よくこの建物が残っていたものだ。

350地上階まで降りて来た。

360そして、今グルグルと階段を回って降りて来た吹き抜けを見上げる。
やっぱりスゲエな。

370v階段の裏にあるレセプション。
このホテル、一応「Free Wi-Fi」って言っているんだけど、部屋で使えるのは1日20分まで。
それ以上は有料。
でも、このレセプションのエリアは終日Wi-Fi無料。
キタね~!
で、急ぎの用事でメールする時にはワザワザ5階の部屋からココまで降りて来て携帯電話をイジったよ。

380ホテル内のバー。

390なかなか立派で、イッパイやりに来ようと思ったけど忘れちゃった!

400と、ひとしきり吹き抜けを堪能したところで外に出てみる。

410ホテルの前には「DAWSONS(ドーソンズ)」という楽器店がある。

430さっそく入ってみる。

440ホホウ、Marshallのメイン・ディーラーだったのね?
昔、本国のMarshallは「メイン・ディーラー」制っていうのを取り入れていてね。
ココはMarshall Blogではないのでコレ以上は書かないけど、懐かしいな。
Img_0490カウンターはとてもいい感じだよ。

450<つづく>
 
(2020年6月14日 イギリス マンチェスターにて撮影)