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2015年7月30日 (木)

イギリス紀行 2015 その4~雨のウエストミンスターからの~

マイッタ。
これにはマジでマイッタわ。
今回のロンドンのお宿は駅から近いし、清潔だし、静かだし、リーズナブルだし、すっかり気に入ってしまったワケなんだけど、ひとつだけ気になっていたことがあった。
それは、トイレ&風呂のドアのノブがかなりアホアホになっていて、「コリャ、ガッツリとドアを閉めたら最後、ノブがウマく働かないかも知れないな…」ということだった。
マァ、それとて問題になるハズなどなかろうと特段心配はしないでいた。
ところで、旅の2日目は時差ボケがキツく、しんどいのが普通。
そこで前回レポートしたおいしいフォカッチャとエールに舌鼓を打って、フロにユックリ浸かって早めに寝て明日に備えよう…ということになった。
私は変なところが神経質で、枕が変わるとたとえ国内の出張でもグッスリ眠ることができない。
コレが私にミュージシャンになることを断念させた理由のひとつなのだが(ホンマか?)、海外ともなれば尚更で、コレに時差ボケが加わって、必ず夜中の1時15分に目が覚めてしまうのよ。
その後は朝まで寝つけず、ベッドの上で阿鼻叫喚の不眠地獄に陥ることになる。
それを恐れて病院で処方してもらった「導眠剤」というヤツを持参して、この日もフロに入る前に1錠摂取したというワケ。
そうそうこの部屋、大きな湯船があることも魅力のひとつで、ジ~ックリ足をマッサージしながら疲れをほぐすことができた。
気持ちよくひとっプロ浴びて、家内と交替しようとバスルームから出た時…
「ガチャン!」
あ、イカン、ついやってしまった!…と思ったらもう遅い。
ドアがピッタリと閉まってしまった。カミソリ1枚差し込む隙間もない!
そして案の定アホアホのノブが空回りしてドアが全く開かなくなってしまったのだ!
コレはマズイ…マズイぞ。
まるで天岩戸だ。
中に天照大御神がいるワケでなし、ドアの前で素っ裸になって踊ってみたところで開くワケない。
チョット待てよ…トイレだ、トイレ…トイレをどうする?
色々とやってみたけど工具が何もないのでラチがあかない。ナニをやってもピ~ッタリとハマっちゃたドアはビクともしない。
15分ほど格闘したが、自分で開けるのは諦めて宿のアンちゃん、ダミアーに電話をする。
もう11時近くで出やしない。
仕方がないので留守電で状況を説明し、できれば今すぐ直してもらいたい旨のメッセージを残した。
コレぐらいの英語なら「屁」でもない。
…と思ったら、「屁」より性質の悪いヤツがやって来た!
「大」だ。コレがホントのクソ!だ。
ナゼこんな時に!
まさか、ビニール袋でするのはイヤだし、いくら暗いからといって、まさかロンドンで野グソするワケにもいかん。
アナハイムのディズニーランドの外壁で立小便をしようとしたら警官にマイクで注意されたことも記憶に古くない。
そこで、閃いた!
「テスコだ、テスコ!確かアソコの大きいテスコは24時間営業だ!」ってんで、また洋服に着替えた。テスコに行くのにステテコははかない。
外はかなり寒いので、ダウンを羽織って小走りにテスコを目指した。
目指したのはいいけど、アータ、こっちは眠り薬を飲んだ後なのよ!
トホホ、ホントなら今頃ガッツリ寝ていたところだったのに…。
しかし「大」はすぐそこまで押し寄せてる!
走れシゲ!シゲは走った!…もう「メロス」状態!

一方、ダミアーは私がテスコへ向かって出た後、留守電を聞いて親切にもすぐに様子を見に来てくれたようだ。
ところが、家内は初めて訪れる異国のホテルの部屋でたったひとりで残されて不安で仕方がない。
そこへ「コンコン」なんてノックされるものだから「ヒャア~!」と飛び上がってしまう。
結果、せっかくダミアーが来てくれたのに居留守を決め込んでしまった。

私はというと、這う這うの体でテスコに到着。
暗闇に煌々と輝く「TESCO」の赤いロゴ。
「ハァァァ、助かった~。やった、ナントカ間に合った!」と思ったのもつかの間、24時間営業のハズなのに閉まってるでないの!
そんな馬鹿な…と、ようやく気が付いた。
ロンドンの商店は、日曜日はどこも早じまいで5時閉店なのだ~!
このバカテスコ!
しかし、ここで諦めるワケにはいかない。
咄嗟に思いついたのが例のパブ
「パブは日曜日でも夜まで開いているハズだ。しかし、もう11時を回っている…果たしてまだ開いているだろうか…、開いていなかったらどうする?」…なんてことがコンマ何秒かの間に頭の中を駆けめぐる。
エエイ、ままよ!行かなきゃココで憤死だ!(本当は糞死)

また小走りでアールズ・コートの駅前を目指す。
眠り薬が効いてきてヘロヘロだ!
すると…オオ、やってるでないの~。例の「コートフィールド」というパブ!
みんなやってる、やってる、こっちの気も知らないで。
バーテンダーがコチラを見ていないことを確認してトイレへダッシュ、そしてセーフ!
そして、知らん顔をして店を出た。

長くなってゴメンね。でもコレが今回の旅のハイライトだから我慢してね。

身軽になってホテルの部屋に帰ると、家内が「留守中に誰か来たけどコワくて居留守を使ってしまった」と詫びるが、もう大丈夫。出すもの出したらナントカなる。
…なんて話しをしていたら再びノックの音。
お~、ダミアーに違いない!
親切に彼がまたやって来てくれたのだ。
家内の無礼を詫びたが、そんなこといっこう意に介さないダミアー。見た目より全然ナイスガイだ。
テスコへ行ったことを告げるとゲラゲラ笑ってた。
もう留守電を聞いて様子がわかっているので、さっそくノブの状態をチェック。
「チョット、キッチンから包丁とフォークを取ってください!」
双方を渡して待つこと5分。
「バコン!」という轟音とともにドアが開いた~!
イヤ~、天照大神は中にはいらっしゃらなかったけど、まさに天岩戸が開いた気分。
世の中が明るくなった!
ありがとうダミアー!
でも、すっかり眠気が覚めちゃたよ!

で、この話しのオチをまとめてみた。
Literally the hotel guy fixed the door with a kitchen knife and a folk!!
ココ、笑うとこです。
外人にはウケた。
分からない人は「fix」の意味を辞書で調べてみて。

ダミアーは不便を詫びながら下の写真のように応急処置をしてくれた。
ヒモ!
ひと仕事終えて意気揚々と帰ろうとするダミアーは「♪ヒュヒュヒュヒュ~、ヒュヒュヒュ~」とやや勝ち誇ったように口笛を吹いていた。聞いたことのないメロディだ。
よく映画で見かけるでしょ、外人が「♪フフフン、フフフ~」って鼻歌を歌っているシーン。
アレで知っている曲が歌われているのを聞いたことがない。
それで、いい機会だと思い、ワザワザ直しに来てくれたお礼に予備で持ってきたお土産をダミアーにプレゼントしながら尋ねてみた。
「ダミアー、それ何ていう曲?」
するとダミアーは急に顔を赤らめながら「し、知らない」と答えた。
あの外人特有の「♪フフフン、フフフ~」はやっぱりアドリブなんだね。前からそうじゃないかと思っていたが、その夜とうとう確信した。


あ~、コレで安心して眠れるワイ。

10_4三日目の朝。
レトルトの親子丼とインスタントみそ汁。コレでゼンゼン満足。やっぱりお米だよ!

20_3アールズ・コート駅前のGREGGSで朝のデザート…というか朝のコーヒーね。
見た目はちょっとヘヴィだけど、そう甘くなくておいしい。そして安い。

30_3GREGGSはパスティ屋さん。好きなんだ~、GREGGS。
何年か前にヨークへ行ったときにスティーヴから教えてもらった。
一番安いパスティが「£0.95で120円」…その時のことが『イギリス紀行2012』に記してある。
それが今回は195円。円安のせいで1.6倍になっちゃった。パスティ一個ぐらいならまだいいけど、コレがチョットした買い物だと大変なことになっちゃう。何も買わないけど…。

アールズ・コート駅のGREGGSの写真を撮るのを忘れた。
代わりにコレ。このGREGGSはMarshallの工場のすぐそばにある店舗。
コレが出来た時うれしかった。
日本にもできればいいのにナァ。

40_2
ついでに…コレはブリクストンのGREGGS。このブリクストンというテムズ川の南の街はデヴィッド・ボウイの地元なんだけど、かなりデンジャラスなところだったナァ~。

M_img_7235_2 パスティとはこういうヤツ。ペストリーを使って作る具入りのパンのこと。安くて、熱くておいしい。
この写真も別の機会に撮ったものね。
50_3
ああ、おいしくてついおかわりしちまった!帰ってからまたダイエットするべ。

35実は今日は朝から雨。
覚悟していたからゼ~ンゼン平気。
どうせすぐ止むだろうし…と思い、とりあえず屋根のあるところを見て回る計画にして、ウェストミンスターへ向かった。

60_3このウエストミンスター駅は私は知る限りでは全地下鉄の駅の中でもっとも近代的なつくりをしている…と思っていたら。

70_3ウエストミンスター駅のコンコースの広告。
「HMS WESTMINSTER」というのは23型フリゲート艦のこと。
「HMS」は「Her Majesty's Ship」、すなわち、「女王様のお船」。
「デストロイヤー」は「駆逐艦」、「クルーザー」は「巡洋艦」、「バトルシップ」は「戦艦」。「フリゲート」もそういう軍用艦のひとつだが、日本では正式な訳語がなく、「護衛艦」ぐらいに扱われている。
WESTMINSTERはニューキャッスルのタイン川にあるスワン・ハンターという会社のヤードで製造された。
タイン川流域は造船をはじめとした重工業で栄えたエリアだったが、サッチャーの政策により縮小し、完全に斜陽化したが、このスワン・ハンターというのはかつては世界で一番有名な造船会社だった。
興味のある方にはコチラの2013年のイギリス紀行のサウス・シールズの記事を是非ご覧頂きたいと思う。
で、この船は180人乗りで、武装もしており、大変使い勝手がよく世界中で活躍しているそうだ。
だからナンダというと、一方ではこのウエストミンスター駅の自慢が記してある。
何でも、この駅はロンドンの地下鉄のフラッグシップで(ココがシャレになってる)、ジュビリー線を拡張した際に改装された。オープンは1999年。
最深部は平均海水面より32m低く、ロンドンの全地下鉄の中で最も深いそうだ。
じゃあ、ってんで東京の地下鉄を調べてみたら、最深の駅は大江戸線の六本木駅で、海抜マイナス42.3mなんだと…アレ?勝っちゃったよ。
ゴメンね、ロンドン・チューブ。

80_3地上に出る。
出ると真ん前にはド~ンとビッグ・ベン。
家内は大感激!これだけよろこんでくれれば連れて来た甲斐があったってもんだ。

100v 雨は大したことはないけど寒いっ!

M_img_0685この辺りはいわゆる官庁街で、モノスゴイ量の車と人がいつも行き交っている。
ビッグ・ベンやら国会議事堂(ウエストミンスター宮殿)やらウエストミンスター大寺院だのがひしめき合っているエリアだけあって観光客もワンサカ。人のこといえないけど…。

90_3ウエストミンスター大寺院に行ったワケだけど、アソコは施設内の撮影禁止なの。ケチ。
朝からモノスゴイ行列。でも、LONDON PASSのおかげで待ち時間ゼロ。
優先して入れてくれるのだ。
入館料は£20.00だからハイ!4,100円なり。高い!ハイ、LONDON PASSがあるから大丈夫。

はじめてオーディガイドってのを借りて見て回ったけど、メチャクチャ面白かったナ。ヘンリー七世やヴィクトリア女王の棺やら…結構勉強してるのよ。

M_img_0690さぁて、まだ雨は降ってるし…。
トイレにも行きたいな…。
そうだ、チャーチル行こう!

110_3ということですぐ近くのチャーチル博物館へ。
LONDON PASS消化企画…でも、ココ案外面白いんよ。以前一回来たことがある。
やはり写真撮影禁止。
スゲェ、混んでやんの。
ここも高いよ~、£18.00だから3,690円。LONDON PASSがあるから大丈夫。
リーフレットに「IWM」あるのは、「Imperial War Museums(帝国戦争博物館)」のこと。いくつか行ってみたが、大戦勝国だけあってこの類の博物館は大変充実してどこも見ごたえ十分だ。

120_3ロンドン・タウン歩きの大きな楽しみのひとつプラーク探し。

130vジェイムス・スミソン(1795-1829年)は鉱物、化学の科学者。全遺産がアメリカに寄付され、スミソニアン博物館で有名なスミソニアン協会が作られた。
ウエストミンスターに住んでいたんだネェ。

140vもうお昼。
やっぱり本場のフィッシュ&チップスは押さえておこうということで、家内が事前に調べておいたてくれたとても評判のいいお店に繰り出した。
場所はオックスフォード・ストリートからチョット入ったところ。「THE GOLDEN HIND」という店。看板から「D」がなくなっちゃってる。

150_3アルコールを置いてないのでコーラで頂く。
家内は定番のコッド。すなわちタラ(手前)。私はハドック。すなわちモンツキダラ…ってナニ?ハドックも定番のネタだ。
外はカリッカリ、中はフワッフワ。魚が新鮮なのだろう、実においしい。チップスもジャガイモの風味が濃くて本当にウマい。
二人ともペロッ。
おいしくてうれしんだけど、この店、「フィッシュ&チップス屋」のクセしてチップスは別売りなんだゼ。
それと、トイレに入ったら鍵が壊れていて、中から出れなくなっちゃった!
オイオイオイオイ、またかよ~!
カギのレバーが緩んでいて、向こう側にとび出して完全にアホになっちゃってる。コリャ、外から誰かが飛び出した錠を押さえてくれないと一生出れないゾ…。
「Help me!  Somebody get me out of here!」とか叫ぼうかとも一瞬思ったけどそれも恥ずかしい。
と思って中から地味にノックをし続けた。小一時間は中にいただろうか…という感じがしたが、マァ
実際には5分ぐらいだったろう。
誰かが外からガチャンとカギを押し込んでくれたのだ。お店の人だろうな。壊れてるの知ってたんだよ。

160_3メリルボン・ストリートに向かう。
途中通りかかったのはコレ。
EMIの昔の社屋。
ビートルズの『Please Please Me』=赤盤、青盤はこの中で撮影された。

170vコレね。

Red_2

Blue_2 その隣はウォレス・コレクションという国立の博物館。
ココでおもしろいものを発見したので近日Marshall Blogで紹介するね!Little Featがらみだよ。

180_3ブラブラとメリルボン・ハイ・ストリートを進む。
ココは色々とオシャレなお店が並んでいて魅力的だ。
風邪が強くで寒い。とてもダウンなしではいられない。

190_2魚屋さん。別にオシャレじゃないけど…。
Img_0712
本屋さん。

200v旅とか地理系の書籍を得意としているお店だ。

210_3このドーント・ブックス自体はオープンが1990年と古いものではないが、オリジナルの本屋は1910年の創業。100年以上経っている。

220_3マァ、何て重厚で素敵なことよ。
以前にも来たことがあるが、いつ見ても素晴らしい。本は好きだ。

230_3家内のリクエストのお店「ロココ・チョコレート」。
普通の大きさの板チョコが£4.95だから1,015円。レートが不利でなくても高価なチョコレートだ。
恐る恐る二枚ほど買って食べたが、メチャクチャおいしかった。もう素材がいいのがすぐわかる。
パッケージも秀逸だった。
お店のお兄さんがやたらとフェミニンで面白かったな。

240_3向かいはチーズ屋さん。
家内はチーズ好きで、コレも彼女のリクエスト。

250_2ゴッツイ!
下に敷いてあるテーブルみたいなヤツもチーズ。

270_2

ここは自然食品のスーパーみたいなものも兼ねているのだが、中に入ってみてビックリ。
クッサ~!
もうチーズ独特のニオイが充満していて激クサもいいところ!コリャ、日本ではかぐことのできないニオイだわ…3秒で脱出!

260_3しかし、ゴッツイ。
ハイジがよろこびそうだわ!

280_3ホラね、だんだん晴れて来たよ~!

320vつづく