イギリス紀行2019 その32 ~ マンチェスター vol.8:雨の街を彷徨う
チェサム図書館は実に残念だったけど、気を取り直して街を見て歩く。
毎回書いているけど天気が悪い!
もうこうなると晴れる気がしない。
雨がデフォルトだな、ココは。
そんな雨の中にイスを出してナニをやっているのかというと…
クリケットのパブリック・ビューイング。
ナンカ大きな大会が開催されていた。
完全無観客なのはコロナのせいではありません。
「National Football Museum」だっていうから「国立サッカー博物館」。
マンチェスターというと、「ユナイテッド」とか「シティ」とかスゴイ人気なんでしょ?
アタシャもう、見事に興味がないもんで…好きな人にはタマらないんでしょうね。
素通りでゴメンね。
トイレに行きたくなってヒョイと入ったのがコレ。
ショッピングセンターかと思ったらさにあらず。ホラ、またハチ!
フォー屋がある。
入り口の係りの黒人が話しかけてきたので尋ねてみた。
「この施設はなんですかい?」
「日本人かい?ココはフード・コートだよ。
何でもあるぞ~!
イタリアン、ブラジリアン、ヴェトナミアン、チャイニーズ…世界の料理が集まってるんだ。
おお!悪いな~。
日本のお店はないんだよ!ガッハッハッハッ!」
だそうです。
例えあったとしても食べないから!
交差点の向かいの商業ビル。
なんかビンテージっぽくていいね~。
何となく大阪の難波へ来た感じがするな。
ハードロックカフェが入ってる。
さっそく行ってみる。
スゲッ!
ナンカ『ブレード・ランナー』を思わせる近未来的な雰囲気。
空気悪し。
今はダレも近寄らないだろうな。
「WITHY PUBLISHING」と壁にある。
この施設は「The Printworks」という名前がついている。
よくわからないんだけど、調べてみるに、ココは新聞社とか出版社が集まっていた一角なんだね。
何でも「Daily Miller」を印刷していたとか…。
それをガポッと屋根をかぶせて一大エンターテイメント・アーケードにしているんだ。
このハードロックカフェにはきっといいメモラビリアが揃ってるんだろう。
とても中に入る元気なし…。
昔はハードロックカフェさんの写真のお仕事をさせてもらっていたのよ。
いまでも仲良くお付き合いさせて頂いています。
外に出る。
貫禄十分のビル!…と思って写真を撮っておいた。
この「Withy Grove Stores」というお店、地元ではチョイとした謎のお店らしい。
開業が1850年の金庫&家具屋で、その前身は1700年代からココで商売をしていた。
ナニが「謎」かというと、となりの「The Printworks」のように周囲の施設は近代化が進むか、ケバブ屋になっているのに、このビルだけは、長い長い間まったく佇まいを変えず、そもそも商売をしているのかどうか?と、マンチェスターに住む多くに人の「不思議」だったらしい。
それで、実際に電話をかけて調べたヤツがいた。
商売は続いているんだって。
ちなみに「Whity」は地名で「Grove」というのはイギリスでは「並木道」という意味。
裁縫屋さんか…。
お店の「Stitch in Time」というウェブサイトのドメイン名が気になって撮っておいた。
メリー・ポピンズの「Step in Time」のシャレかな?
「Step in time」というのは「調子に合わせて」という意味。
あのね、イギリスに行ったらどこの都市でもいいから「XXXアーケード」っていうのを見つけたら行ってみるといい。
たいていどこでもステキだから。
ロンドンに限らず地方都市でもアーケードはステキ。
新小岩の「ルミエール商店街」や長野の「権藤商店街」や富山の「総曲輪通り商店街」とはチョット違う。
「The Ape and Apple」というパブ。
「リンゴをかじる類人猿」というのは「堕落」を意味するらしい。
イヤ、それよりもこのパブが面している通り…「ジョン・ダルトン通り」という。
こんなプラークが付いていたので立ち止まったんだけど、「ジョン・ドルトン」って聞いたことあるでしょ?
何回か前の「科学産業博物館」のレポートに出て来た物理学者。
体温計を特注した人ね。
ココでは偉大な化学学者になってる。
それと目に入ったのがこの赤と白のゴミ袋。
さっきは青だったでしょ?
どう分別しているのか気になる。「Virgin」って最近は金融もやってるのね?
2003年からだそうです。
奥に見えるのは例の市庁舎。あ~、ダメだ!
ウェザースプーンでエールを飲もうと思ったけど超満員!
「マンチェスター市立美術館」
ま、ココもステキなエントランスだこと!
展示室は2階。
もうこのエントランスのホールから展示室みたいなもんだけどね。
ツボの上に乗っているのはプロメテウス(確か、コレは英語では「プロミシュース」と発音するのではなかったか?)。
火を盗んで、人間にシェアした廉で鷲に肝臓をついばまれちゃうだよね。
趣味の悪い意匠だナァ。
ハイ、またハチ。
隣は鯛焼きか?
どれもこれもゼンゼン知らない画家の作品だったけど、なんかジックリ見てしまった。
絵って「おお~、ゴッホ~」とか「フェルメール~」とか、「有名な人の作品」なら問答無用で「スゴイ」とか「やっぱいいね~」みたいに思ってしまう向きがあるでしょ?
かく言う私もそうです。
ブランドに弱い。
ヘタすると絵そのものよりも、絵につけられた銘板を見てる時間の方が長かったりして…。
でも、こうしてそういったブランド志向を完全排除して素直に気に入った絵を見て歩くってのはいいもんだ。
コレなんかスゴい迫力だったよ。
ベン・ハーか、はたまたメッサラか。
白馬だからジュダ・ベン・ハーだね?
ちなみにベン・ハーは「ベン」ではなく「ハー」にアクセントを置くのが正しい発音。
存外にオモシロかった。
かつて植草甚一さんがニューヨークに行った時、撮った写真は全部ゴミだった…という話を聞いたことがあったが、わかるような気がするんだよね。
ゴミは生活の鏡だから。
こういう風にゴミ箱が並ぶ光景って日本にないでしょ?
だからこの写真を撮った。
「ゴミ箱」英米で色んな言い方があって、こういうのをイギリスでは「dust bin」という…ハズ。
まだまだ出て来るスゴイ建物。
コレは「Boodres」という1798年にリヴァプールで開業した宝石店。
素晴らしいね。
イヤ~、今日もたくさん歩いて色々見たな~。
ローマの遺跡やら、博物館やら、美術館やら…とても楽しかった。
朝のピカデリー・ガーデンズが何日も前のことのようだ。
今晩は豪勢に地下のイタリアン・レストランで夕食。
オッソロしく愛想のいいオバさんが出て来て案内してくれた。
え?…まさかの家庭用エアコン。
建物が極端に古いので地下には空調の設備が施せなかったんだろうね。
こういう時は無難にスパゲティ・ミートソース。
何回か前の回に書いた通り、アルデンテを期待してはダメね。
それとペローニにガーリック・トースト。
ね、柔らかいからフォークでクルクルすると麺がこうして短くなっちゃう。
とはいえ美味しかったです。
海の家のラーメンみたいなもんだ。
チップを置いてさようなら。
うれしかったので外へ出てチョコっと写真を撮って来た。
明日はミルトンキーンズへ帰ります。
<つづく>
(2019年6月15日 イギリス マンチェスターにて撮影)