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2015年4月

2015年4月11日 (土)

【FINAL DAY】 5 DAYS ART CHALLENGE

あまりにも忙しくてしばらく間が空いてシマッタ!
5 DAYS ART CHALLENGE、最終回行きます!

まずは前回触れたモノクロ写真から。
Kelly SIMONZのステージ写真。
ステージのKellyさんを自然にハーフ・シャドウで捉えようとはじめからモノクロで撮った。
ピンスポットを横から浴びた瞬間、「今だ!」と思ってシャッターを切った…というのでは遅すぎなのね。動きを予測しないとダメなんだな。
きれいに顔の半分にライトが当たり、ギターのネックの指板だけが光きれいに2色に分かれてくれた。
すべて計算通り…と言いたいところだけど半分以上は偶然かな?
この写真はKellyさんにも大層気に入って頂いて、ポストカード他、色んな場面で使って頂いた。
もちろん私も気に入っている。

5_img_0388コレは「ビビビ」の一枚だった。
ヤッチンこと曾我泰久のカレンダーに使われたTHE GOOD-BYEのステージ写真。

5_img_0022 コレが元の写真。
「ビビビ」というのはこの写真を見た瞬間「ビビビ」と来た…ということ。
不思議なことに、写真の選択をするとクライアントさんと好みが合わないことが往々にして起こる。
自分では「ウワ!メッチャいいのが撮れてるやんけ!」と思っている写真が採用されない。反対に「コレは、ま、どうってことないか…」という写真が選ばれたいしちゃう。
フォトグラファー友達と話しをしていると、この現象はどうも私だけでなく、みなさんにも起こっているようだ。
いかに撮り手と使い手の観点に大きな差がある、ということか…。

で、この写真。
見た瞬間、ヤッチンに送った…「ビビビ」と来たから。
すると、ヤッチンは「あ、コレはスゴい!カレンダーに使いましょう!」と即決。
パッカーンと本当にカレンダーの1ページを飾って頂くことになった。
撮り手と使い手の好みがピッタリと合致した気持ちのいい例。

5_img_0185わたしのチャレンジの最後を飾るのはA*I。
A*Iは日本のリズム界の最高峰、青山純と伊藤広規からなるデュオ・チームだった…「だった」というのはご存知の通り青山さんは2013年12月3日天に召されたからだ。

青山さんのことはMarshall Blogに詳しいのでコチラをご参照されたい⇒【追悼】青山純さんのこと

 この写真はA*IのCDのライナー・ノーツに使用されたもの。

5_img_0901 コレがCD。ライナー・ノーツも書かせて頂いた。

Ai_2 この時は、プロデューサーのホッピー神山さんも交え、いくつかのパターンを撮影したが、結局、上のふたりで写っている写真が使用された。
この他にも『Relaxin' at IWAKI ALIOS』というライブ・アルバムの撮影や数回にわたるコンサートを通じて青山さんの晩年に接することができたことを心底光栄に思っている。

5_img_0953

3点ずつ5日、というルールなので、コレで私の番を終了する。
大分時間がかかっちゃってスミマセン。
それに「ライブ・フォトグラファー」という触れ込みで順番を回して頂いたのに半分ぐらいはライブの写真じゃなくてご紹介して頂いた梅村さんには大変失礼をしてしまいました。

コレで終わりにしたいんだけど、どうしてももう1枚だけ紹介したいライブ写真があるので、<番外編>ということで、どうかルール違反を多めに見て頂きたい。
それはSHEENAさんの野音での1枚。

我ながらとても気に入っている1枚なのだが、ある瞬間、お気に入りを通り越してとても大切な1枚になった。
それはSHEENAさんのお葬式の時のこと。
鮎川さんは気丈にすべての弔問客にお礼を述べていらした。
そして、私の番が来てご挨拶をすると、鮎川さんは弔問のお礼の後、こんなことをおっしゃってくれたのだ。
「ホント、牛澤さんの写真、素晴らしいよ。ふたりでブログを見て、SHEENAもカッコいい!としきりに言うてたんよ…。特にあの野音でSHEENAがステージに登場した時の写真ね。ホントにありがとう。SHEENAもとっても喜んでいるんよ!」
アタシャ、もう涙が出て涙が出て…すかさず一緒に行った家内がハンカチを差し出してくれた。その家内も涙で顔がグチャグチャだったけど…。

SHEENA & THE ROKKETS関連のことはMarshall Blogで多数回触れているので是非ご覧頂きたい。
いずれも人気のほどを示す爆発的なアクセス件数を頂戴した。
【追悼】シーナさんのこと
【SHEENA & THE ROKKETS 35周年記念特別企画】
  ☆鮎川さんとMarshallとわたし
  ☆ROKKET RIDE TOUR @ 野音 <前編>
  ☆ROKKET RIDE TOUR @ 野音 <後編>

5_img_0229

おわり

2015年4月 3日 (金)

【DAY 4】 5 DAYS ART CHALLENGE

2015年4月1日付けで衝撃のメンバー交代を発表したCONCERTO MOONから。
前作『Black Flame』の内ジャケットに使用されたアーティスト写真。
3人別々に撮影したものを加工してくっつけてある。
加工は私の仕事ではない。私はただ撮るだけ。

4_10 オーダーは「とにかく暗く!」。『Black Flame』の「黒」にイメージを重ねるためだ。

Bfコレがノンちゃんの元の写真。
撮影場所は前回紹介したウチのスタジオ兼ガレージ兼倉庫の「Shige Studio」。
暗いところで明るく撮るにはいつも苦労させられるが、反対に暗いところで「暗くしろ」と言われても、これまた困る。どこまで暗くしていいかわからないのだ。
ということでイメージが固まるまで1枚1枚仕上がりをチェックしながら進めていった。

4_4_20vライブ写真では、いつも建築現場で誤ってクギを踏んづけてしまったかのような激しい表情ばかりのノンちゃんだが、笑顔は実に優しくて可愛い。
メタルの人たちって、写真っていうとやたらシカメッ面をキメ込むけど、こういう笑顔の写真もすごくいいと思うよ。

4_4_30vコレは使われなかったけど個人的に気に入っている1枚。光の当たり具合がウマくいった。ノンちゃんは立体的な顔をしているのでこういうハーフシャドウっぽい構図がよく似合う。
それで、コレをエイッ!

4_4_40vモノクロにしてみる。
どうだろうか?雰囲気が増した?
撮ったカラー写真をモノクロにするとすごく写真がカッコよくなると一時期思っていたが、このデジタル全盛の時代、カラーで撮る方がゼンゼンムズカシイ。
こうすると雰囲気が出た感じがするが、都合の悪い部分が黒ツブレして見えなくなっているだけ。
こんなことしてると写真がヘタになっちゃうと思って一切やめた。
モノクロで撮る時は。モノクロでも被写体の色がわかるように撮るつもりで、初めからモノクロで撮らないとダメね。
私が好きなセシル・ビートンもジム・マーシャルも、モノクロ写真でも全部元の色がわかる。
そんな写真は到底撮れませ~ん!
それでも次の最終回にはお気に入りのモノクロ・ライブ写真を発表させて頂きます。

4_4_50v ところで、CONCERTO MOONのメンバー・チェンジをエイプリル・フールだと思ったファンもいたんじゃない?
ん~ん、事実なの。
ホラ、新しいアーティスト写真もこうして発表されてる。私が撮ったのだから間違いない!

4_concerto_moon2015 さて、おなじみ、田川ヒロアキのCD『Ave Maria』。

4_60下が元の写真。
このリレー企画を紹介してくれた「下町のヒプノシス」こと梅村デザイン研究所の梅村昇史さんがデザインを加えて上のジャケットにしてくれた。
写真がいいというよりも、コレを選んでデザインしてくれた方の功績が大きいでしょうね。
私もMarshall Blogでレコード・ジャケットの解説をシリーズで書いているが、コレは初日に紹介した三宅さんのCDと並んで我ながらすごく好きなCDジャケットとなった。
4_4_80v
ホントは髪の毛がドバーッと後ろにたなびいているところを撮ろうとした。で、扇風機を4台持ち込んだんだけど、ゼンゼン髪の毛が後ろに流れないで苦労した。
結果はまったくオーライなんだけど、一日中扇風機の風に当たっていたヒロアキくんはさぞかし辛かったと思うよ。
ヒロアキくん、どうもありがとう!

4_4_90 4日目の最後はポール・ギルバートのステージ写真。撮影は2013年1月に自分のバンドで来日した時に赤坂BLITZで撮ったもの。
この下の写真だったかどうかは定かではなくなってしまったが、こんな感じの写真をトリミングして、ポールは2013年から2014年にかけて長期にわたり私の写真を自分のオフィシャル・ウェブサイトの表紙に採用してくれた。
光栄なことでやんす。世界中の人が「©SHIGEYUKI USIZAWA」のクレジットを見てくれたからね。
そういえば、どこの国のヤツか知らないけど、facebookで私の名前を検索して、その写真をくれって言って来たのがいたっけ。
ポールが私の写真を気にいってくれているのはとてもうれしい。昨秋のMR.BIG来日時にも撮影したかったのだが、テレビ収録の都合で許可が下りなかった。
そのことをポールにメールで告げると「エ、そんじゃ、僕の写真どうすんのよ?!」なんて心配してくれた。

4_100この下の写真も長期にわたってウェブサイトに掲載してくれた。
コレはね…絶対に気に入ってもらえると思っていたし、実際にそう思ってシャッターを切った。
ナゼかって?
私もギター歴長いのよ。もうすっかりギターを欲しいとは思わないけど、ポールの気持ちはわかる。
いつもと違うギターを下げた時は絶対見せびらかしたいもんだからね、ギター族は!
しかもいつもとゼンゼン違うフルアコだもん、バッチリ撮ってあげなきゃ!

4_110つづく…あともう一回!



2015年4月 2日 (木)

【DAY 3】 5 DAYS ART CHALLENGE

3日目はライブ写真以外のものを…。

「あ、ウッシ―、ちょっとアー写撮ってくれへん~?」
…とメッチャ軽めのSHARAさんからのご依頼で撮ったのがmintmintsのこの写真。
「よくあるやん、半分影になっとるヤツ」
というのがSHARAさんのオーダー。いわゆるハーフ・シャドウ。
…とくれば頭に浮かぶのは当然『With the Beatles』。
アレはビートルズのハンブルグ時代の友人、アストリッド・キルヒヘルのアイデアを元にロバート・フリーマンという写真家が撮影したもの。
ま、図々しくもアレをイメージして撮った。
場所は向山テツさんが営む新代田のロック・バー、「ブギー・ストック」。
超忙しい4人のこと、要するにmintmintsのリハーサルで集まったついでに撮ってっちゃおうって…という流れね。
一応全員のハーフ・シャドウは撮ったんだけど、こうして見るとsun-goさんとてらちんは別の写真を使ったんね。
いつもMarshallの方で仲良くして頂いている4人なので撮影も楽しかったな。
そこら中でこの写真を使って頂いているだけでなく、SHARAさんは特大ポスターにもしてくれた。
もちろんそのポスターは私の大切な宝物だ。

この時の様子はコチラ⇒【Marshall Blog】mintmintsフォト・セッション!~寺沢功一誕生日スペシャル!

3_001_logoカレンダー。
モデルは女性ギタリストのTomoko。

1_3_20元の写真はコレね。
私のライブ写真に惚れ込んでくれたある方の紹介でお仕事を頂戴した。
ある喫茶店にストロボ2燈を持ち込んでの撮影。
思いっきりブライトで撮ってみようということで、バックにちょっとした仕掛けを施した。
いくらギタリストといはいえこういうシチュエーションで女性を撮ることは少ないので結構緊張した。
相当な枚数を撮らなければならないかな?と覚悟していたが、Tomokoさんは予め、イメージをビックリするほど明確にを頭の中に描いていて、それに合致するものが撮れると一発でOKを出してくれる。
この時も「コレコレ!こういう風に撮って欲しかったんです!」というのが何枚も撮れて案外サッパリ撮影を終了することができた。
それらの写真をお気に召して頂き、この後の機会にも撮影させて頂いたが、その時も自分でスケッチを描いてきて、「こういう風にしてください」とか「コレはできますか?」とか実に的確なオーダーを出してくれた。実にやりやすい!

一度Marshall Blogにも登場しているのでギタリストのTomokoさんもご覧頂きたい。
コチラ⇒【Marshall Blog】GO GO TOMOKO!~バースディ・ライブ2014

1_3_30vもうこうなると「アート」じゃなくてただの宣伝か自慢になっちゃうな…。
静物も撮ります。いわゆる「ブツ撮り」。
コレは昨年の暮れに上梓されたMarshallの図鑑。
本文の翻訳のチェックと監修をさせて頂いた。イヤ~、コレは本当に苦労したわ。
今、「もう一回やってくれ」と言われたら、断らないけど、ウマい魚が食べられる源泉かけ流しの温泉に3回以上行って、まずリフレッシュさせてもらわないととてもできん。
ま、そんなときでも結局パソコン持って行って一日中Marshall Blogを書くことになるんだけどサ。

3_40v撮影はウチのスタジオ兼ガレージ兼Marshall、NATAL、EDENの倉庫、通称「Shige Studio」。
この撮影の仕事は自ら買って出たものだ。
ところが、コレがまた苦労の連続でさ…。
実は四角くて大きなものをスクエアに撮るのってすごく難しい。
「四角くてスクエアなもの」…といったら何と言ってもMarshallよ!
2年前に出版された『Marshall Chronicle(シンコーミュージック刊)』に掲載しているMarshall Museum Japanのコレクションの写真もすべて私が撮ったのだが、あの時はスペースも広かったし、ストロボの数も豊富で、アイテム数の多さを除けばテクニック的な苦労は少なかった。
今回は何せ狭い!自業自得なんだけど…。
家内にレフ板をミリ単位で調節してもらったりして何とか撮り上げた。
本当は表4の背面の写真の方が表1の数倍難しかったんだけどね。
ホント、写真撮影だけでなく、この本の仕事では絶大なる援助を家内に強いてしまった。だから前書きに感謝の言葉を入れておいたよ。ご褒美もお楽しみに!

本の詳しい情報はコチラ⇒【Marshall Blog】新しいMarshallの本!~The History of Marshall The First Fifty Years

1_cover_photo つづく…あと2回!