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2019年7月

2019年7月23日 (火)

イギリス紀行2019 その3 ~ オックスフォードを訪ねる <後編>

 
ウッドストックからバスに乗ってオックスフォードの町に帰って来た。
うん、ヒザはココまでのところ何とか大丈夫だったんだけど…ズドドドドドドドド!
バスの2階から降りようとした時、中ほどで足を滑らせて一番下まで落っこちちゃった!
運転手さん、ものすごくビックリしちゃって、「I'm OK!」とか「Don't worry about that!」とか何回言っても「Are you sure?」と、本当に心配している様子で訊き返してくれた。
ま、生来身のこなしが素早いせいか(ウソこけ!)本当に何ともなかったのね。
520クツはUnder Armourの「SPEED FORM GEMINI 3」というスニーカー。
去年、三重の長島温泉のアウトレット「ジャズドリーム長島」に立ち寄った時に買ったんだけど、すごく気に入っていて、ズットしまっておいてイギリスに履いて行くのを楽しみにしていた。
普段シャレっ構わない私が珍しいでしょ?
でもクツは結構好きで、猿若町のクツ市なんかで、一目ぼれして履くことのない革靴を買っちゃったりすることがあるの。
革靴は履かないのよ~。
とにかくこのスニーカーが気に入っていた。
このバスの時はかろうじて難を逃れたんだけど、この後、横浜で雨の日…地面が濡れていたせいで思いっきり靴底を滑らせ、コンクリートの階段に腰を強打してしまった。
もう、気が遠くなるような激痛だったんだ。
そして、もしかして腰骨にヒビが入っってしまったのではないかと、真っ青になってしまった。
幸いそれも大丈夫だったんだけど、一週間ぐらい寝返りも打てなかった。
マジでコワかったわ~。入院してそのままボケちゃったらどうしようかと思ったよ。
え、そのクツをどうしたかって?履いてます。お気に入りだから。

Uaコーンマーケット通りという目抜き通り。
イギリスの地方の町にありがちな光景。
カンタベリーなんかもこういう感じだった。

530このハーフティンバーは古いよ。
何やら建付けが狂っている感じだもん。
ところが、下の右ハジを見て。
「PRET」が入ってる。
スゲエ不釣り合い!

540「PRET」とは「PRET A MANGER(プレタマンジェ)」というサンドイッチのチェーン店のこと。
大手ハンバーガー屋が誘致して日本でも一時出店していたことがあったのでご存知の人もいらっしゃるかも知れない。
ロンドンではそこら中にあるんだけど、以前は私はココの商品が好きではなかった。
普段からサンドイッチを食べないこともあった。バゲットみたいなモノも置いてあるんだけど、やたらと冷たくてカチンカチンのパンばっかりで、どうしても他に食べるモノがない時以外はPRETに入ることはなかった。Pam2ところが、今回は3週間の間に一体何回入ったかな?
1日に2回なんてことが何度かあった。
どういう風の吹き回しかというと、ロンドンのホテルのすぐ近くにPRETがあって、ある日イヤイヤそこに入ったところ、家内がチキンのスープを発見してくれた。
もちろんアツアツで、コレがもうバカうま!
奥のヤツね。

5_cs おいしい理由のひとつは下のロゴにある通り、ファストフードのくせに「オーガニック」で「ナチュラル」なのよ。
そのチキンのスープにしても、まったく「調味料(アミノ酸等)」っ気がなくてすごくおいしいの。
そのウチ、一部のサンドイッチをオーブンで焼いてくれることを知って、もう怖いモノなしよ。
理由のもうひとつはWi-Fi。
1回どこかの店で登録すると、イギリス中のPRETですぐにWi-Fiが使えて便利なの。
PRET以外にもスターバックスやらNEROやらファストフード店のFree Wi-Fiにはずいぶんお世話になったわ。

Jpam1

ところがスープ飲みたさにPRETに入ると、朝は置いていないところが多く、その代わり下の写真のようなモノが並んでいる。
コレは「Porridge(ポーリッジ)」という押し麦のお粥。
麦を牛乳で煮込んじゃう。「オートミール」っていうヤツ?
どう見てもお粥でしょ?
お粥といえば、米に卵、(ウチの場合)オカズは塩ジャケに梅干しやら塩昆布やら…。
ところがこのポーリッジっていうのはハチミツをかけたり、ドライフルーツをまぶしたりして、お菓子感覚で食べる。
こっちは日本食に餓えていることもあって、コレを見ちゃうと頭の中は自動的に塩昆布のショッパさでイッパイになっちゃうワケよ。
で、ひと口食べてみる…グエエエエ!甘~~~い!お粥じゃない!
お粥じゃないのはわかってるんだけどどうしてもこうなっちゃう。脳ミソが困っちゃう。
全部食べたけど、1回で卒業させて頂きました。
どうして朝はスープがポーリッジになっちゃうのか、不思議に思ってお店の人に尋ねてみた。
すると、ポーリッジは朝食で、スープは昼食に出すんだそうです。Pori店の中のようす。
昔の建物の雰囲気を残しつつ、上手に改装してある。ステキ。
この時はもう午後だったのでトマトのスープ(L)を食べたんだけど、おいしかった。

550「The Covered Market(ザ・カバード・マーケット)」というアーケード。
こううところは絶対にオモシロイ。
まず開業が1774年。200年以上前からやってるってんだからスゴイ。

560いいね~、このレトロな雰囲気!

570コレ、観光客を狙ってこうしているワケではなくて、元々こうで、コレからもこうなんだろうね。

676v「Cobbler」というのは「靴直し屋」さんのこと。
こっちで言うと、駅で見かける「ミスターミニット」ですな。

580魚屋さん。
結構ニオイがすごかった。

590肉屋さん。

600「オーガニック」となっているけどウインナーとかはどうなっているんだろう。
世界有数のオーガニック先進国のオーストラリアの友人が「プロセス・フーズ」という言葉を使っていたけど、スーパーなんかで売っているハムとかウインナーとかベーコンっていうのは相当ヤバいらしい。
「もうほとんど薬品を食べているようなモノ」と言っていた。
参院選も終わったけど、「食の安全」とか「食べ物の正常化」を訴える政治家っていうがゼンゼン現れないね。
きっと「そういう」仕組みになっているということなんだろう。

610コレはパイ屋さん。
いちいちお店の造作がカッコいい。

620こんなところに郵便ポスト!
その上にブラ下がっているのはウサギ。
何でウサギだと思う?

630vコレは「不思議の国のアリス」のウサギなのです。
ナントならば、「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルはオックスフォードの大学を卒業しているから…みたい。

640ココのアーケードの大きな特徴のひとつは、チェーン店がほとんど入っていないこと。
昔は日本の商店街だってこうだったんだよ。
675このケーキ屋さんもそう。

655父の日が近かったのでこんなケーキが…。

656おシャレなウェディング・ケーキ。
新郎と新婦に目をやると…

660vオイオイ、2人とも新郎じゃねーか!
このウェディング・ケーキの段の数って、欲しい子供の数を表すって知ってた?

670v「オックスフォード」と言えばコレ。
もうMarshall Blogに何度も登場しているけど、世界で最初の辞書「OXford English Dictionary(OED)」編纂の物語『博士と狂人(The Professor and the Madman)』…と行きたいところだけど、スッカリ忘れてたわ!
というのも、これまた何度も書いてきたいるけど、この本、「オモシロかった」という印象がゼンゼンなかったからなのです。

Pmメル・ギブソンとショーン・ペンの映画どうなったのかな?
と思って調べてみたら、日本公開は未定だって…なんだよ。

12pammさて、オックスフォードといえば何と言っても「大学」。
でも時間がなくて皇室の方々が学んだことでも有名な「オックスフォード大学」には行かれなかった。
とはいえ、オックスフォードってのは街全体が大学のようなモノで、そこら中が「ナントカCollege」だから、そういうのをいくつか覗かせてもらった。
こういう建物はみんなそう。

690チョット中にはいるとみんなこうなってる。

700コレもそう。

710中はこんな感じ…全部大学。

720まぁ、とにかく街並みがなんとステキなことよ。

730こんな狭い路地も…

780広い通りも、どこを歩いても絵ハガキのようだ。

790またコーンマーケット通りに戻る。
目指すは前方の塔がある教会。

795工事現場を覆う壁。
大きな通りに設置されるそうした壁にはこうして地元の情報や歴史を記した何がしかの読み物が刷られていることが多く、時にはウィキペディアにも出ていないようなマイナーな情報が得られてオモシロイ。
この時はエリザベス一世が目を惹いたのでナニが書いてあるのか読んでみると、「2021年に北門が開通します。その年は1571年に『Jesus College(ジーザズ・カレッジ)』が創立してちょうど450周年の年に当たります。
ジーザズ・カレッジはエリザベス一世がオックスフォードとケンブリッジだけに創設した大学です。そこで学ぶ学生はエリザベス一世が説いた伝統的な規律を重んじつつ、現在はサイバー・セキュリティや医療画像処理やゲノムの最新の研究に勤しんでいます」…みたいなことが書いてあった。
だからエリザベス一世なのね?

800「オクスフォード博物館」…入らず。

810その向かいあたりにある郵便局。
コレがまた立派だった。

820入り口に設置してある大きなゴミ箱…と思ったら郵便ポスト!
向かって左が翌日に配達される「ファースト・クラス」、一番右が3日後に配達される「セカンド・クラス」。
当然料金は違う。
で、真ん中が「Newspapers and Packets」となっている。
「Packets」は小包。
「Newspapers」は何だろう?と思って調べてみると、どうもイギリスでは新聞や本を送る場合は普通の郵便より料金が安いらしい。
それが真ん中のポストなのかも知れない。
Marshallの友達に確認しておきます。
間違えていたらココ、シレッと書き直しておきますんで…。

830目的地の「Christ Church Cathedral(クライスト・チャーチ大聖堂)」。

840ココはハリーポッターの食堂のシーンのロケに使われたそう…と言っても私はわかりませんが。

850さて、早速見学させてもらいましょう…と中に入ろうとしたらNG!
入館時間に間に合わなかったのだ。
こういうところは、どこもかしこも5時まで開いているんだけど、ココはラストオーダーが4時すぎで、間に合わなかったのよ!
ま、別にハリーポッターに興味はないので、おとなしく諦めた。
が!…日本に帰って来て地団駄を踏んだのは、コレのすぐ隣に「Bate Collection of Musical Instruments(べイト楽器コレクション)」という楽器の博物館があったらしいのよ!
コレは見たかった!
やっぱりブログは取材、旅は下調べが肝心ですな…。

860緊急事態発生!
ヒザがヤバいです!

870ということで、もうこれ以上のオックスフォード見物は諦めて、ソロリソロリと駅を目指して歩いた。

880ヒザさえ痛くならなければもっと街をスタコラサッサと見て歩けたんだけどナァ。

885帰りもちょうどいい電車があって、スムーズにパディントン駅に到着。

890よく見てみるとこの駅もダイナミックだな。
あの黒い出っ張り…

900ホームまで車が直接入って来れるようになってる!
「No Public Access」と書いてあるけど、マァそうでしょうね。

910自転車だって入って来ちゃう。

920ホームに自転車置き場がある駅なんて日本にある?
地方へ行けばあるのかもしれないけど、ココ、ロンドンのど真ん中の駅ですからね~。

930ホラ、早速オジちゃんが自転車を押してやって来た。
電車でパディントン駅まで来て、自転車に乗って会社に行って、仕事が終わればまた自転車でパディントン駅まで来て、ホームに自転車を置いて電車に乗って家に帰る…と。
渋谷駅もコレをやればいいじゃんね。

5_img_9302 トイレの手洗い器。
ナゼかお湯が出るところが多いんだよね。
地方へ行ってもそう。

940こんなのあるんだ~。
「水のリフィル機」っていうのかな?
ペットボトルの水を次から次へ買うのは止めて、ココで中身だけ充填してください…という給水機。

950vコレのおかげで現在まで46,965本のペットボトルのゴミを増やさないで済んだ…というワケ。
イギリスはこうした自然保護のための節約をドンドン進めてるからね。
スーパーのレジ袋もそう。

960電車に乗っている間、足を休ませていたのでヒザの痛みもなくなった。
ということで、パディントンから地下鉄サークル線でグルリと回ってテムズ川沿いの「Temple(エンバンクメント)」まで行きます。
本当はベイカールー線で「Embankment(エンバンクメント)」まで行ってサークル線に乗り換えた方が早いんだろうけど乗り換えがシンドイのでグルリのルートを選んだ。
この配線!
日本だったら絶対に隠すでしょう?
それとも故障した時にすぐに修理できるようにワザとムキ出しにしてるのかな?…なんてことを考えながら電車が来るのを待った。

970…と思ったら、言わないこっちゃない!
ハイ、サークル線止まった。
駅でアナウンスが流れると、皆さん、文句のひとつを漏らすこともなく、また舌打ちする人もなく、サッサとルートを変えて目的地へ行くために出口へと向かっていく。
完全に慣れっこになってる。
ロンドンの地下鉄は簡単に不通になっちゃうからね。
駅は駅で、こうしてすぐにゲイトを閉めてお客さんが入れないようにしちゃう。
私も何度もこんな目に遭っているので、特段驚いたり慌てたりすることはないんだけど、困っちゃうのが構内のアナウンスの聞き取りなんだよね。
音質が悪く、盛大に響いてしまうのでとにかく聞き取りにくい。
聞き取ったところで大した情報が含まれていないことは承知しているんだけど、やっぱり気になる。
今回こんなことが他でもあって、音に集中しようと思いっきり眉をひそめてアナウンスに耳を傾けていたら、そばにいたオバさんが見るに見かねたのか、笑いながら英語を英語に通訳してくれた。
案の定大したアナウンスではなかったけどオバさんの親切がとてもうれしかった。

980結局、ベイカールー線でエンバンクメントまで行ってサークル線に乗り換えることになった。
面倒だったけど、へへへ、これからスゴいパブにエールを飲みに行くのだ!

990<つづく>

(2019年6月6日 オクスフォードにて撮影)

2019年7月21日 (日)

イギリス紀行2019 その2 ~ オックスフォードを訪ねる <前編>

  
本当のことを言いましょうか?
あんまりメソメソ言うのもどうかと思ってMarshall Blogには書かなかったんだけど、D_Driveの女子チームを案内してトラファルガー広場まで行ったでしょ?
6月5日のことね。
万歩計を付けていたんだけど、そうだな~、あの日は25,000歩ぐらい歩いたのかな?
もう右ヒザが痛くなってしまって、歩くこともままならず、家内の肩を借りて何とかレスター・スクエアから地下鉄に乗ってホテルまで帰った…という話をした。
コレね~、こんなもんじゃなかったんですわ。
実はヒザどころか、右足の付け根からつま先まで信じられないような痛みに襲われて、ホテルのベッドにもんどりを打って倒れ込んだワケ。
「グワァァァァァァァァ!」
もう七転八倒よ!
歯を食いしばりながら、東京の整形外科に行った時に鎮痛剤の処方を断ったことを深く後悔したのです。
椎間板ヘルニアの苦痛にはかなわないけど、もう天地がヒックリ返るぐらいの激痛!
ビートルズが泊まっていたらジョージとリンゴぐらいは悲鳴を聞きつけて部屋に覗きに来たかもね。
連中、耳がいいから。

Img_9019「コリャもうダメだ!」と思って、予定を切り上げ、家内が日本に帰る3日後に一緒に飛行機に乗って東京の病院に行こう!と決心。
そして、フライト・チケットを変更してもらうよう全日空のウェブサイトにアクセスした。
ま、予想通りの結果でございまして…早割りのチケットゆえ変更は不可能。
こっちはもはやコレ以上歩くことすら不可能。
「ああ~、どうしたらいいんだ!」と嘆いている間にも猛烈な痛みが間断なく襲いかかって来る!
その様子を見て家内が優しい言葉をかけてくれて、「シゲちゃん、いいよいいよ、そんなに痛いなら。飛行機のチケットなんか空港で買い直せばいいじゃん!一緒に帰ってお医者さんにすぐに看てもらいましょう」と言ってくれるのかと思ったら…

5_kt_2 「バカものッ!ナニ言ってんの?途中で帰るだなんて絶対に許しませんよ!
足の1本や2本がナンですか!
大好きなイギリスでしょ?大好きなマーシャルでしょ?
最後までキチンと仕事をして日本に帰って来なさいッ!!!!!!!!!」
…だって。
ま、「喝」というか「檄」というか、その効果があってか知らないけど、しばらく足を休めていたらス~っと痛みが和らぎ、「そんじゃ…」ということで、すでにレポートした通りおいしいエールを頂きに「MD女子会(Marshall-D_Drive女子会)」と一緒にパブへと繰り出したのでした。
 
その後もチョット歩数が嵩むと猛烈に痛くなることがあったけど、そういう時はムリをしないで休んで痛みが治まってから動くように心がけるようにした。
もう歳を取ってからの「無理、無茶、無謀、強行」は絶対ダメ。いいことはナニひとつない。
で、今回そのヒザ痛に備えてサポーターを2種類持参したのね…参考までに。
ひとつは以前から持っていた左のタイプ。
もうひとつは出発前に家内が買ってくれたバンテリン。

Knee2_2_2

Knee2_1 結論としては左の方が効果があったね。
バンテリンは普通の時に着けておくとすごくラクなんだけど、激痛エリアに突入した時には左のタイプの方が効果的だったような気がする。
でもずっと着けておくと痒くなっちゃうんだよね。
で、ウェブサイトを見ていてスゴイのを見つけちゃった。
コレ、絶対効くでしょう!戦闘用か?細身のズボンは穿けないぞ。
次回はコレを持って行こう…イヤ、その前にヒザを治そう!

Knee3さて、ヒザも何とかなったということで、6月6日、D_Driveをホテルでお見送りして我々はオックスフォードへの旅へとに出かけた。
 
使用するターミナル駅は「ロンドン・パディントン」。

10久しぶりに来た。
20ココ、駅舎から出るとすぐ目の前が運河になってるんだよね。

30コレが駅前。

40強いて言えば、駅からでるとすぐに帷子川(かたびらがわ)が流れている京浜東北線の「石川町」ってとこか?
雰囲気は大分違う。

50パディントンは鴨の親子が水面を行き交うカナル(運河)が流れる駅。
石川町は登下校の時間ともなると女学生であふれかえるマニア垂涎の駅。
どちらを選ぶかは貴殿しだいだ。
アタシャ、もうパディントンの方がいいわ。

60しかしステキですナァ。

70v コチラがパディントン駅の正面口。

80ロンドンのターミナル駅はユーストンを除けばどこもステキ。
セント・パンクラス、キングス・クロス、マリルボン、チャリング・クロス、リヴァプール・ストリート、ウォータールー、もちろんヴィクトリア…どれも立派で見応えがある。

100ところで「パディントン」って聞くと「くまのパディントン(A Bear Called Paddington)」を連想する人も多いことだろう。
このクマ、ペルーからの密航者なんだってね。
パディントン駅で持って来たスーツケースの上に座っているところをブラウン夫妻に発見され、引き取られて行くことになった。
このクマくんのペルー式の名前の発音がムズカシかったので、出会った場所からその名を取ってパディントンになった。
何たる侮辱!
何たる不遜!
コレでは「クンタ・キンテ」の「トビー」と変わらないではないか!
ひとつわかったのは「クマ」にちなんで駅の名前が「パディントン」になったワケではない…ということ。ま、時代を鑑みれば初めからわかってはいたけど…。
でも、「恵比寿駅」と「エビスビール」のパターンもあるからね。
あれはビールが先だから。
「三越前駅」もそう…って当たり前か。

Pb

運河側の出入り口にあるパディントン像。
ホントに寅さんみたいだな。

7_img_7917前回この路線を使って訪れた先はMarshall発祥の地、Hanwell(ハンウェル)だった。
ハンウェルはパディントンから15分ぐらいの近所だったが、今日、オックスフォードまでの乗車時間は約1時間。
なるべく早く行っちゃおうということで、パディントン駅で私はパスティ、家内はサンドイッチを買い込んで電車に飛び乗ったところ、かなりの混雑だった。
やっとのことで別々に席を確保して朝食にありついた。

110東西南北、どこへ向かってもロンドンを離れて20分もすれば窓の外はこんな風景になる。
雲が低い!

120途中の停車駅のひとつ「Reading(レディング)」。
あのロック・フェスティバルで有名なレディングね。
こんなロケーションだったのか…。

130電車の中のゴミ箱。
イギリスってそこら中にゴミ箱が置いてある。
garbage、trash、dust、rubbish、refuse、そしてlitter…「ゴミ」という言葉ひとつ取ってもマァなんとたくさんの単語があることよ。
それぞれの単語は「ゴミ」ということで意味は理解できるけど、それをどう使い分けるかについては全く自信がない。
こういうのをスラっと正確に使い分けることができるようにするのが「勉強」ということなんだろうけど、こういう感覚は住まないとなかなか身につかないね。
調べてみると、一般的に「litter」と言うのは「公の場所に発生するゴミ」を指すらしい。
そして「garbage」と「trash」がアメリカ英語、「rubbish」はイギリス英語っていうんだけど、イギリスに行ってrubbishってのはほとんど聞いたことがないような気がする。
いつも「litter」のような気がする。
アレはドイル・ダイクスだったように記憶しているけど、演奏を録音して、その中からOKテイクを選ぶ時、NGのテイクを指定してはしきりに「Rubbish!」と言っていた。
ドイルは生粋のアメリカ人だけど「rubbish」を普通に使っていた。

135vしからば、「ゴミ箱」は何と言うか…コレも色々なバリエーションがあって、アメリカでは「trash can」とか「garbage box」。
イギリスは「rubbish bin」、「litter bin」と「bin」という言葉を使う…「bin」は昔から知ってる。
ナントならば、中学3年生の時にクラスメイトの増田くんのお兄さんが録音してくれたカセットテープを聴いて一発で大ファンになった10ccの「The Second Sitting for the Last Supper」という曲の冒頭に「♪Another fish head in a dust bin」という歌詞が出て来るから。
今回の旅では10ccの地元へ行ってきたんですわ~。
感激しちゃった!
コレは後日Marshall Blogで。

Ostはい、オックスフォード駅に着いた!
電車はこんな感じ。細身。
コレはGWR(Great Western Railway)の車両。
イギリスの鉄道は国が線路を保有し、それを民間の鉄道会社に有料で貸与する「上下分離方式」が採用されているので、もう色んなタイプの電車が走っている。
コレがまたオモシロい。
でも、同じ路線を異なる鉄道会社が運航している場合、チケットを買うときにちょっとビビる。
例えばロンドン・ユーストンからMarshallがあるミルトン・キーンズまでVirgn社の自動販売機で乗車券を買って、乗る電車がWest Midlands Trainsだったりする場合。
結果的には何の問題もないんだけど、アレ、どういう仕組みなんだろうなァ?140ホームに出ている鉄道員って女性が多いというか、必ず女性のスタッフがいるんだよね。
何度も書くけど、日本の国鉄の師匠はイギリス。
地下鉄はアルゼンチンだから…というか、日本で最初の地下鉄である銀座線はブエノスアイレスの地下鉄をお手本にしている。

145フーム、またひとつ勉強になった。
線路をまたいでいる歩行者用の陸橋ね、「跨線橋」っていうのかな?
アレ英語で「footbridge」っていうのか…なるほど。
単純だけど知らなければ絶対に出て来ない英語だな。

150v

駅舎はこんなもん。
「Oxford Station」なんて聞くとさぞかし歴史を感じさせるクラシックな駅舎を期待しちゃうけど残念でした!

160Marshallの本社の最寄り駅のブレッチリ―なんかもそうだけど、郊外の駅の建物ってどうもそういう傾向があるようだ。
一番意外だったのはマンチェスター・ピカデリー駅。アレには驚いた。コレはまた後日。

170「Oxford」の語源は「oxanforda」といって「牛たち(oxen)」が渡ることができる「浅瀬(ford)」という意味なんだって。
だから駅前に雄牛の銅像がある。
やっぱりココは写真を撮っておかないと。

175で、家内と大論争になったのが、おなかの真ん中にある突起物。
コレは果たしてオッパイか、男性のシンボルか…。
オッパイにしてはひとつしかないし、ヤケに細長いし…。
男性のシンボルにしてはロケーションが不自然に前方すぎる…。
チョット待てよ!
答えは後者にキマってるじゃないか!…「雄牛」なんだから。
こんなの省略すればヨカッタのにね~。
ちなみに雄牛は「ox」で複数形は「oxen」、牝牛は「cow」で複数形は普通に「cows」。

5_0r4a0557 さて、オックスフォード駅の真ん前のバス・ターミナルでこれからの目的地に向かうバスに乗った。
どのバスに乗ればいいのかわからなくて、少し迷っていたら足の不自由な男性が声をかけてくれて、ワザワザ該当するバスが止まっているところまで案内してくれた。
ホントに親切なんだよね。
だから私も海外からの旅行者には恩返しをしたいと常々思っている。
私の住むエリアはたくさんの外人が行き交うので、いくらでもそのチャンスが訪れそうなんだけど、実際にはそういう機会がゼンゼンめぐって来ない。
困ったり、迷ったりしているような人が全くいないのだ。
ナゼかというと、携帯のナビゲーターで見知らぬ街もスイスイ歩けちゃうから。
ツマらないね。
やっぱり利便性は風情を殺すのだ。

1802階席の一番前をゲット!
客は私たちだけかと思ったら、となりに若い男性が座っていた。
彼が話かけて来たので少しやり取りをすると、テキサスからひとりで観光に来たのだそうだ。
やっぱり携帯でバス停をチェックしていて、訊くと目的地が私たちと同じだったので降りる時に声をかけてくれと頼んでおいた。
イギリス英語について少しおしゃべりをしたんだけど、やっぱりタマに話していることがサッパリわからないことがあるそうだ。

190最初のバス停。
この隙間にアタマから二階建てバスを突っ込む。
すごいテク。
二階の一番前に座っていると、前と左右のギリギリさがよくわかり、思わず「オワ~!ブツかる~!」と声を上げてしまう。

200後はチョコチョコと途中で停まりながらに郊外まで突っ走る。
220ま~、この景色が見事でね~。

210わかっちゃいるけど、どこもかしこも絵になる美しい風景。
240電線がないのが景色の良さを増長するんだな。

230でも街中から離れるとこうして電線も見かけるようになる。

250間違えてもこんなことにはならない。
コレはホーチミン市内でよく見かける光景ね。

320v_2 お、こんな広告が!
「Cornbury Music Festival」はオックスフォードのグレート・テュー・パークというところで毎年7月に開催されているフェス。
ヘッドライナーがThe SpecialsにKeane(キーン、知らん)にThe Beach Boys。
がんばってんな~、ビーチボーイズ。
チョット調べてみると、今年は他にElkie BrooksとかSteeleye Spanなんかが出演したようだ。
Elkie Brooks観たいな。メッチャいいよね。ナマでホンモノの声を聴いてみたい。

255v20分ぐらい乗ったであろうか。
街を抜けて風景はスッカリ郊外。目指すWoodstockも近い。
地名がいいよね「ウッドストック」。
テキサスのお兄ちゃんからサインが出やしないかと時折目をやると、出た出た…「2 more stops」という指示。

260そしてバスを降りて向かった先がココ。

280門から敷地の中に入ると…ドワ~!
コレの突き当りが目的の場所なんだけど…遠い!
ハイ、ココで皆さんに質問。
皆さんの中にお住まいが、あるいはご実家が「世界遺産」だという方はいらっしゃいますか?

290世界遺産はムリでも、県や市の重要文化財とか伝統的建造物に指定されている古い家にお住まいの方はいらっしゃるかもしれない。
今日、訪れているのは紛れもない「世界遺産」のウチのひとつ。

300「ブレナム宮殿(Blenheim Palace)」といって、サー・ウィンストン・チャーチルの生家なんですよ。
コレまだ門だから。

310どうなのよ、生家が「世界遺産」って。

320外庭はこんな感じ。
ホント、『バリーリンドン』の世界。
「庭でロック・フェスティバルが開催されたことがある」って聞いてきたんだけど、コレなら納得。

330ヨーロッパの国々は今ではそれぞれがゼンゼン別個になっているけど、昔はスペインの王妃がイギリス王室に嫁いで来たりして、各国同士がかなり入り組んだ構図になっていたんだね。
スミマセン、勉強不足で説明がぎこちないことは認めます。
で、18世紀のはじめ、スペインの王室で世継ぎができなくなりそうになったことがあって、フランスが「au laitが、au laitが(俺が、俺が)」と世継ぎを送り込んでスペインをわが物にしようとした。
「オイオイ、そうはイカンぜよ!」と宿敵イギリスやオランダがその前に立ちはだかった。
こうして各地で勃発した争いが「スペイン継承戦争」。
そして、ドイツの「ブレンハイム」という所でフランスをブッ飛ばしたのが初代マールバラ公(=Duke of Marlborough:公爵位。貴族のタイトルのひとつ)のジョン・チャーチル。
モノの本によるとこのオッサン、それまで大した働きはしていなかったらしいんだけど、「アラ、よくやったわね!あのにっくきフランスをしばいてくれたのね?」と時のイギリス君主、アン女王からご褒美をもらった。
そのご褒美がこの宮殿。
実際は宮殿そのものではなくて、土地と宮殿の建設費用24万ポンドが与えられ、1705年から20年の歳月をかけて建設されたんだって。
ちなみに「スペイン継承戦争」により、フランスがスペインから得た「アシエント」と呼ばれるアフリカ黒人の「奴隷供給契約」がイギリスに渡り、イギリスはリバプールやブリストルから武器や雑貨をアフリカに運び、アフリカで黒人奴隷を積み込んで北米大陸や西インド諸島に運び、さらにそこからタバコや綿花や砂糖をイギリスに持ち帰る「三角貿易」で莫大な富を得た。
その富をマンチェスターで発祥した産業革命に投資して、世界制覇の礎としたんだねェ。
ってんで、今回の渡英ではマンチェスターも見て来た。 
 
コレが母屋…やっと着いた。
ヤダね、こんなに広いと。
イギリスにおいて、王族ではない者が所有する「宮殿」はココだけなのだそう。
ヨーロッパ中世に作られた宮殿の中でも3本の指に入るほど「スゲエ」と言われているらしい。
スゲエな。

340後を振り向くとこんな感じ。

345ようやく玄関が見えて来た!
もう一回書くけど、コレ、チャーチルが生まれた「家」だから。
ま、「宮殿」だから住まいは住まいなんだけどね。決して焼肉のタレを作っているワケではありません。

350日本を発つ前からココへ来ることをキメていたので、行きの飛行機の中でこのさしてオモシロくない映画を観たというワケ。
映画にはブレナム宮殿は出て来なかった。

356v玄関(Great Hall)の天井。
ウチのグレート・ホールは完敗だ!

360しかし、スゴイ。
「カンパ~イ」ってやる漫才コンビ何ていうんだっけ…。
「髭男爵」か?
あのね、ホンモノの貴族って「ルイ53世」なんてもんじゃない。
日本の皆さんはイギリスの貴族のスゴさをご存知ないんじゃないかしら。
私もよくは知らないけど、チョット郊外へ出て「マナーハウス」なんてモノを見ると。テレビでよくやっている日本の金持ちなんかチャンチャラおかしくなってくる。
そこら辺のゴルフ場より全然キレイでデカいからね。

370vこんな場所にもかかわらず、観光客がジャンジャンやって来る。
あのバスの中で一緒になったテキサスから来たお兄さんも「すごくキレイだから」と友人にススメられてやって来た、と言っていた。

375調度品も当然立派。

380
420ココは巨大なタペストリーが自慢なんだって。

400ま、こういう調度品の類は実際に見ないとまったくオモシロくないワケで…。
ズラズラと写真を並べるのはやめておきましょう。

410「Long Library」と呼ばれる図書室。

430コレは確かにロング!
いいな~、こんな図書室があればいくらブックオフで108円の本を買って来てもしまうところに困らない。

440突き当りにはパイプオルガンが備え付けられている。
「パイプが3本盗まれたけど戻って来た」みたいな逸話が無料貸し出しの音声ガイドで紹介されていたな。

460

470vこれは教会。

480ブレナム宮殿の西側に位置する庭園。
この壮大なテラスはフランスのヴェルサイユ宮殿と比較されるほどなのだそうだ。

490宮殿を背中にした眺め。
コレ、家の庭ですからね。

500いい天気で素晴らしい!
でも、コレ雨が降ってるの。
風も強くて、噴水の水やら雨やらでヘタをするとビショビショになっちゃう。

510館内にはステキなカフェもいくつかあって、グッズ・コーナーも充実していた。
チャーチル印のスコッチ・ウイスキー。
欲しかったんだけどビン類は重くてね~。
スコッチやらビールやらジンやら、イギリスから買って帰りたいモノはたくさんあるんだけど、ビン類はダメ。

515チャーチルのシルエットのトートバッグ。
「私には国民に要求するモノがない…血と苦労と涙と汗以外は…」
ざけんなよ!シンドイの全部じゃねーか!
それでもこの人たちは戦争に勝ったからネェ…だからこんなこと書いたモノが商品になる。
左上の「IWM」は「Imperial War Museum(帝国戦争博物館)」の頭文字。
イギリスには戦争に関する博物館がそこいら中にあるから。
第二次世界大戦に関する展示では、当然我々が悪者扱いになっていて「なんでぇ、なんでぇ」という気持ちにもなるけど、見方を変えれば、キチンと戦争に関する教育や反戦の啓蒙をしてワケ。
「日本は学校の授業で戦争について勉強することはほぼないに等しい」と、現地のイギリス人の友達に言ったら、かなり驚いていた。
参院選、チャンと投票しましたか?

516何度も紹介しているけど、チャーチルの演説を味わいたい人はBBCからこんなCDも出ていますのでどうぞ。
英語の訓練でコレを車でかけている時に若いアメリカ人の女性を乗せたら、小声で「Oh my god!」とつぶやいてイヤな顔をしていた。
意味はわかりません。
 
ブレナム宮殿はジックリ見たので、次回はオックスフォードの街を見て歩くよ!

517cd<つづく>
 
(2019年6月6日 イギリス オックスフォードにて撮影)

2019年7月10日 (水)

イギリス紀行2019 その1 ~ 万事休す!


予てよりMarshall Blogでチョコチョコと触れている通り、5月の末から6月の中旬まで、丸3週間イギリスに行って来た。
一番の目的はD_Driveのイギリス・デビューのアテンド。
それに会議。
そして、いつもやってるMarshall Blogのためのフィールド・ワーク。
 
大好きなイギリス、何度行ってもまだまだ見て歩きたいロンドン、まだ行ったことのないエリアへの冒険…ナゼにイギリスはこうも私を惹きつけるのか?
それは住んだことがないからだろうな~。
大好きなブリティッシュ・ロックの聖地に旅行気分で行けるとあれば楽しいにキマってる。
住んでしまったらいイヤな部分もたくさん見なければならないだろうからね。
さて、今まで最長の滞在は2週間だった。
今回はそれを1週間も上回る長旅となるので「空は晴れ晴れ、心ウキウキ」のハズ…ところが、とてもそんな気分ではなかったのだ。
 
以前、何かの記事に「おかげさまで今まで海外渡航に際して身体を悪くして困ったことがほとんどない」…なんてことを書いた。
ホントのことだから仕方ない。
ところがコレがイケなかったようだ。
バチではないにしても、今回は完全に狙われてしまったようだ。
まず、過去20回は訪問しているロンドンのこと、とにかく歩くことはわかっている。
また、たくさん歩くからこそオモシロさが倍増する街であることも十分承知しているので、日頃の運動不足を解消するためにも、毎日1~2時間のウォーキングを励行し、足腰を鍛えていた。
あまりに根を詰めて歩きまくったせいで右膝に強い痛みを感じるようになったのは昨冬ぐらいだったろうか?
それからしばらくの間、あまりヒザを使わないようにしていたら案の定痛みが消えたのもつかの間、4月の末にチョット無理をしてMarshallを運んだところ、信じられないぐらいの激痛が右膝を襲った。
まさに「ギックリヒザ」の体。
思わず悲鳴を上げちゃった!
「また静かにしていれば治るだろう」としばらくの間、ウォーキングを止めておとなしくしていた。
ところが、渡英の日は着々と近づいているにもかかわらず、一向に痛みが治まる気配がない。
「コレはマズイぞ…歩けないのにロンドンに行ったところでオモシロくもナンともないじゃないか!」
付け焼刃的に鍼灸院に数回通って何とか強い痛みだけは取り除いてもらった。
それでもヒザの使い方によっては、容赦のない激痛が迫ってくる。
サポーターなしではとても歩けない。
でもそれだけならまだヨカッタ…と言うのは、数日前からどうも身体がダルくて、イヤな予感がしていたのだが、その「イヤな予感」が見事的中。
出発の前日の朝、熱を出してしまったのだ。
そうなると何やら歯が痛いような気もして来る!
上下の奥歯4本。
ガタガタだ…。
 
行くことはいいんですよ。飛行機に乗りさえすればヒースローに着いて、迎えの車に乗ってMarshallに行けちゃうんだから。
でもですよ、行ったはいいけど、松葉杖をつくことになったり、高熱でうなされたり、歯痛で脂汗を流したりして、Marshallの連中に迷惑や心配をかけたりするのはマズイからね~。
勇気を出していっそのことキャンセルしてしまおうか!…と本気で考えたりもしたが、そんなことをしたらD_Driveの通訳仕事は誰がやることになるのか…Marshallに日本語ができる人なんて全くいやしない。
 
結果、まず「行かない」という選択肢はあり得ない。
とにかく身体を休めて少しでも体調を戻しておこう…コレしかない。
ところが、この数か月間、前日まで猛烈な忙しさだったので荷物の準備が全くできていない!
ボロボロだったんですわ。
やっぱりバチかね、ナニかの…。
 
心頭滅却すれば火もまた涼し…出発の日の朝には、少なくとも熱は下がり、幾分調子が良くなったような気がしたので、ヒロアキくんと美瑞穂さんが私の誕生日にプレゼントしてくれたカスタムメイドのパスポート・ケースを携えて予定通り家を出た。
10_2このケースを見るといつも思い出してしまうのがコレ。
ジャケットのデザインはケッタイだけど、カッコいいんだぜ~。
ポーランドのSBBというバンドの『Welcome』というアルバム。

Sbb今回は3週間の旅程ということで、現地での洗濯は覚悟していた、
でも出来ればその回数を1回でも少なくしたいと思い、超過料金なして預ってもらえる最大のスーツケースを新調して着替えをギューギューに詰め込んだ。
いつも使っている全日空の国際線エコノミーは、預けられる荷物が2個でそれぞれ23㎏まで。
 
失敗したよ…。
スーツケースが大きいのも良し悪しで、たくさん入る分、衣料品だけでモノスゴい重量になってしまう。
洋服ってのは重いもんだね~。
普段は考えたこともないことけど、パンパンに詰め込むとその重量に驚かざるを得ない。
そこに情け容赦なくカメラとレンズが2本ずつ!
コレは商売道具だから節約はできん…しかし、レンズってなんて重いんだろう。
それに加えてお土産に各種充電器、パソコン、自分用のインスタント食品(無化調)、その他モロモロ…引っ越しか!
大きいスーツケースに重量物を入れてしまうと、何をどうやっても重量制限をクリアすることができないので、以前から家にあった中型のスーツケースにカメラ類を押し込んでどうにか双方23kgに抑え込んだ。
いいこと教えてあげようか?
コレ、重量の上限の「23kg」っていうのは、小数点以下は切り捨てるんだって。
つまり、23.99kgまでOKなのだそうだ。
知っていれば、イザという時のこの「900g」は大きいよ。
 

ああ、ロンドン・ヒースローまで約12時間。
大好きなロンドンだけど、コレだけはいつになってもうれしくも、ありがたくもならないな。
危ないと思って、一応防寒の用意をして飛行機に乗り込んだんだけど、案の定のモノスゴく寒いでやがんの。
体調がすぐれないせいもあったのだろうが、尋常じゃない寒さだった。

20
ところで、最近飛行機でもWi-Fiのサービスを導入してるでしょ?
飛行機の中でMarshall Blogを書こうと思い、どんな感じかCAさんに尋ねてみた。
親切な方でとても詳しくそのWi-Fiのシステムを説明してくれた。
話を聞いてみると、この機内Wi-Fiのサービスは全日空がやっているワケではなくて、専門の業者のシステムが入り込んでいて、それに申し込みをして電波をつないでもらうという仕組み。
使い放題で2,000円ぐらいだったかな?
ま、それぐらいで仕事がはかどるなら支払ってもいいかな?…と考えていると、そのCAさんがコッソリ教えてくれた。
「お客さま…あの、あんまり、その~…コレって、ええっと、あの~、ナンでしょう、その…飛行機がロシアの上空を飛びますでしょ?
あの、その、え~、そういう時って電波がつながりにくいんですよ」
と、かなり言いにくそうに電波の状況を教えてくれた。
「え、『ロシアの上空』ったって、ほとんどロシアの上を飛んでるんでしょ?ソレってどういうことなんですか?」
「イヤ、ソレってそういうことなんです」
「ハッキリ言って電波がつながりにくいということですか?」
「はい。そうなんですよ!」
急に返事の歯切れがよくなった。
…「君子危うきに近寄らず」ということでWi-Fiは止めた。
 
しかし、わかってはいるけど、「合理化」と称してずいぶん機内のサービスが薄味になったよね~。
あの最初に配られるアツアツのおしぼりが好きだったんだけど、ペーパー・ナプキンになっちゃったし、ワインなんかも以前は小さなボトルで出たのに今はプラスチックのあのカップにトポトポ注ぐだけだもんね。
でも一番コタえるのはコレですよ、コレ…機内食。
ま、もとより美味しいなんて思ったことはないけど、ドンドンひどくなってない?
ビジネス・クラスが恋しいな~。(マイレッジを使って数回乗ったことがあるだけなんスけど)
この時はカツ丼だった。
「カツ丼」というより「コロモ丼」?
30一方、機内の映画サービス。
昔は嬉々として何本も観たものだったけど、最近はアニメと怪獣ばかりで興味をそそる作品がなく、リストに入っていれば「寅さん」を観るぐらいだった。
今回は観たかったのが2本ほどあったので拝見させて頂いた。
まず最初の1本は『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(原題:Darkest Hours)』というチャーチルを演じたゲイリー・オールドマンがアカデミー主演男優賞を獲得した作品ね。
今回の旅はチャーチルにちなんだパートがあるので観てみたワケ。
ん~、そうだったのか…。
第二次世界大戦の時、イギリスってのはドイツに降伏しようとしてたのね?
それを名演説で国民を奮い立たせ、連合軍の勝利に貢献したのがチャーチル…という筋。

Mp_2私はロンドンのチャーチル博物館なんてのも見ているんだけど、特段ファンというワケではない。
でもチェンバレンよりはいいか?
The Kinksの「Mr. Churchill Says」という曲は好き。
「イギリス英語の勉強のために」と、BBCが作ったチャーチルの演説のCDなんてのも持っている…ま、ほとんど聞いてないけどね。
でも「Never give in!(負けるもんか!)」ってのは覚えた。
チャーチルの家柄はスゴイよ。
ナニせ実家が世界遺産だからね。
このあたりについてはズット後のShige Blogでやらせて頂きます。
さて、映画の感想というと…ま、感動はないな。
さして面白いとは思わない。
作りも比較的重厚なんだけど、やっぱり脚本が薄味で、どうしても感情移入しにくいんだよね~。
戦敗国の日本の人間が仲間だったドイツを打ちのめすために立ち上がる映画を観たところで面白いワケがない。
コチラの歴史的背景の勉強不足ということもあるので、悪くは言うつもりはありませんが。
しかし、イギリスにいる間、ちょうど「D-Day(ノルマンディ上陸作戦)」の記念日にかぶっていて、結構な騒ぎで少し驚いた。

Swcもう1本は『メリー・ポピンズ・リターンズ(Mary Popins Returns)』というディズニー映画。
映画鑑賞者の幼稚化を推進するディズニー作品なんかを観ることはまずないんだけど、名曲がシャーマン兄弟の名曲が詰まった『メリー・ポピンズ』は大好きなのよ。
そもそもジュリー・アンドリュースが好きだし。
ジュリー・アンドリュースの旦那さんって、誰だっけ?…(間)…ブレイク・エドワーズ?こういうことは年をとると自然と忘れるね。
で、この作品はただの焼き直しかと思ったら、『メリー・ポピンズ』の30年後ぐらい(?)の設定で挿入歌も書き下ろしたもの。
曲の魅力は前作には遠く及ばないものの、「ミュージカル・ナンバー然」としていて私は結構好き。
特に最初の「(Underneath the) Lovely London Sky」という曲はとてもいい。
そう、舞台がロンドンというだけでもうれしい。
それとこのメリー・ポピンズを演ったエミリー・ブラントって人はステキだナァ。声もすごくいい。
ただ、メリー・ポピンズにしてはちょっとコワイか?
「昔、ヤンキーだったんですけど、更生して今、『メリポ』やっています」みたいな。
結局、途中で寝落ちして最後までは観ていませんが…。

Mp_1着いた…大英帝国。
飛行機を降りる時にWi-Fiのことを説明してくれたCAさんが私のところにワザワザ来てくれた。
「お客さま、Wi-Fiはいかがなさいましたか?お申込みになられましたか?」
「イエ、つながりにくいっておっしゃるからヤメておきましたよ」
するとニッコリしながら…
「あ!それはヨカッタ!やっぱりつながりにくくてクレームが出ちゃったんですよ!ヨカッタ、お申し込みになられないで!」
と、とてもうれしそうだった。
Wi-Fiシステムのパンフレットには確かに「つながりにくいエリアがあります」みたいなことを謳っていたけど、そんなんでいいのかね?
こっちとしてはとても親切なCAさんのおかげで2,000円損しないで助かった。
その上「またお帰りの際にもご一緒できますように…」なんて言ってくれるんだよ。
営業トークとわかっていても、とても気持ちの良いものですな。
 
しかし、ヒースローもスッカリ様子が変わっちゃって…。
大改装後のヒースローはコレで2回目なんだけど、外国籍の航空会社の発着ゲートが遠くなったナァ。

60_2この「Travel」という単語の使い方!いいな~。
コレは「進行方向を向いててチョーダイね」という意味だけど、「イギリスへ来たナァ」とうれしくなる。
でも、体調はよくないことに変わりなし…ダルいし、もっぱらヒザが痛い。

70こんなの付けたんだ?
まずは「Passport Control」ってか…またタップリ待たされるんだろうな~。
身体の調子がいい時でさえ、長いフライトの後に何時間も列に並ばされるのは実にシンドイ。
1時間ぐらいで済んでくれるとありがたいんだけど…。

80_2ん?
ヤケに空いてるな…。
普段なら万博の「太陽の塔」の行列ぐらい並んでるんだけど…スイスイだ。
(手続き中)
え~!ナンじゃコリャ~!
無人の機械にパスポートをかざして写真を撮るだけ。
あの世界一うるさいと言われる入国審査官がいない!
当然「How many days are you going to stay?」もなければ「What is the purpose of your visit?」もない。
ヒドイ時は2時間以上も平気で待たせやがったあの悪名高い入国審査がなくなっていたのだ!
そういえば、いつも飛行機の中で書いていた「入国コード」みたいなヤツも配られなかった。
コレは確かにありがたいんだけど、今までのアレは一体ナンだったんだよう!
それとも今回だけの特別サービスか?
でも、おかげで少し体調がよくなったわい。
去年NAMMへ行った時、アメリカはもうこの方式になっていたけど、やっぱり審査官と面接していたよ。
アレもスゲエ待たされた。
順序が後先になるけど、帰りの飛行機で隣に座った女性の話。
その方のお姉さんがイギリス人とご結婚されいて、もうロンドンに20年以上お住まいだとか。そこに1か月ほど滞在していたのだと言う。
彼女がロンドンに来たのは私よりちょうど1週間前。
その時は以前と変わらずの手続きで、あの面倒な入国審査官との質疑応答があったのだそうだ。
たった1週間でエライ違いだよ!
  
2つのスーツケースも無事ゲット。
出口には仲良しのディアンが迎えに来てくれて、一路Marshallが待つミルトン・キーンズへ!

90ハイ、着いた!
Marshallの近くのホテル。
車中ディアンと楽しくおしゃべりをしたおかげで身体がまた少しラクになった。
もうディアンとも15年の付き合いだからね。
それこそ年に1回ぐらいしか一緒に会わないけど、定期的に一緒になる人とは、会わない時間が長いとまたそれなりに近しくなったりするもんだ。
 
これで夜の7時ぐらい?
イギリスは6月20日辺りを目指して昼の時間がグングン長くなっていく。
5時にピッタリに仕事が終わって、10分ぐらいで家に帰って、風呂に入って、イッパイやって、ごはん食べて外がこんな感じってどうよ?
ま、その分秋ともなれば、昼は短くなり、長い長い冬の到来を覚悟しなければならないんだけどね。
それでも私は蒸し暑いのよりはいいナァ。
 
あまりのマズさに着陸前の飛行機の食事はいつもほとんど食べないので、この時間になると小腹が空いてくる。
100簡単に荷ほどきをして外に出る。
まずはホテルに隣接しているMarshall Arenaを見に行かなきゃ。
Marshall ArenaのようすはMarshall Blogでレポートしているのでココでは触れない。

110グルリとMarshall Arenaの裏まで回るとマクドナルドが現れる。
となりはケンタッキーフライドチキン。
今、この辺りはサッカー・スタジアムやホテル。スーパーにチョットしたショッピングモール、それにレストラン街ができて大分賑やかになったけど、私が初めてココに来た時にはこのマクドナルドさえなかったからね。
ナ~ンにもなかった。
しかしスゴイ雲だな~。

120こんなメニューがあるんだって。
「Great Taste of America」だってよ。
「アメリカの味」がグレートだと思ったことは一度もないナァ。
「アメリカの量」がグレートなのにはいつも驚かされるけど。
でも、外人って食うよね~。
所詮、われわれ黄色人種とは内蔵の機能と耐久性が全く違う。
私はこのハンバーガー・チェーンはずいぶん長い間敬遠しているので、地球の裏でも完全にパス。
 
ホテルのすぐ隣がASDAという24時間営業の巨大なスーパーマーケットなので、そこでサンドイッチとポテチと缶ビールを買ってくればそれで大満足なのさ。
そんなの身体に悪いって?
ま、いいワケはないけど、日本のモノよりはるかに安心だ。
私は日頃からなるべく「MSG」、日本で言うところの「調味料(アミノ酸等)」と表記されていないモノを摂るようにしているんだけど、イギリス政府はこの「MSG」の使用を厳格に禁止している。
イギリスだけじゃない、ドイツも同様。
あのアメリカでさえMSGの使用を厳禁している。
長い間摂取していると気が狂っちゃう危険性があるから法律で取り締まっているそうだ。
「ナニを言ってるの?アメリカなんてそんなの禁止していても極度な肥満体があんなに多いじゃん!」というご指摘は当然のこと。
砂糖タップリの炭酸飲料に脂まみれの食餌がもたらす肥満が身体にいいワケがないけれど、MSGはそれより危険ということなのですよ。
イギリスに1週間もいて、日本に帰ってラーメンとか立ち食いソバを食べてごらん。
MSGがどういう味をしているかがきっとすぐにわかる。
海外に行くと、日本人が安価目当てにMSGだけでなく、あまりにもリスキーなモノを摂っているかがすぐに理解できる。

130しかし、やっぱり身体がシンドイ…。
コレから向こう20日間、ホントに大丈夫なのだろうか?
まずは歯が痛くならないように甘いモノは絶対に控えよう。
ヒザもなるべく負担がかからないようにして…と。
 
やれやれ、いつかあんなこと書かなきゃヨカッタなぁ。

140つづく