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2019年8月

2019年8月28日 (水)

イギリス紀行2019 その8 ~ グッバイ・マイ・ワイフ

 
家内のイギリス滞在最後の日。
滞在日数は10日と、そう極端に短くはなかったのだが、私の「仕事のお手伝い」ということでMarshallから呼ばれていたため、自由に観光する時間がタップリあったワケではなかった。
4年前に生まれて初めてロンドンを訪れた彼女は、一発でその魅力にヤラれてしまい、今回も寸暇の自由時間を有効に使うため下準備をして臨んだ。
しかし、予定通りにいかないのが旅の常。
それでも大事なポイントは抑えたので(主にパブ)マァ、結果はオーライ。
その「大事なポイント」の内のひとつが今日登場する「St. Paul Cathedral(セント・ポール大聖堂)」。
「え、セント・ポール行ってないの?」と嗤われそうだが、4年前の訪問時には時間切れでスキップしてしまったので、今回はその「リベンジ」ということになった。
 
前回、時間切れの他にセント・ポールを飛ばしてしまった理由は「LONDON PASS(ロンドン・パス)」だった。
「LONDON PASS」とは、提携している観光ポイントを好きなだけ無料で訪れることができる「観光定期券」のこと。
イギリスの観光施設は国営であれば無料であるところが多いが、それに該当しない有料の施設は押しなべてアキれるほど入場料が高い。
北鎌倉当たりの名刹と比べると本当に「0」が1個違う。
だからすごくお得。
ただし!…コレは以前にも書いたけど、イギリスの史跡系の観光施設は平日はたいてい5時までしか開いていないし、4時20分までに入場しなければならない…なんていうと、持ち時間にかなりの制限が出て来る。
となると、こっちとしては「ナントカしてLONDON PASSの元を取ってやろう!」と、少しでも数多くのポイントを巡ることに没頭してしまう。
で、行ってみたはものの、ナニも見て来なかった!…なんてことになりかねない。
コレじゃモッタイナイ。
でも、「ダイジェスト覚悟」で観光するにはLONDON PASSは大変にお得。
で、そのLONDON PASSの提携先にセント・ポール大聖堂が入っていなかったのですわ!
つまりLONDON PASSを持っていても、見学するには入館料を大枚払わなければならない。
大人ひとりで3,000円ぐらいだからね。デカいよ。2人で6,000円だもん。
それでパスした。
コレがホントのLONDON PASS…ナンチャッテ!
他に、あのウエストミンスターの観覧車「London Eye」とか「マダムタッソー蝋人形館」とか「コート―ルド美術館(←ココの印象派のコレクションはお金を払ってでも見る価値が十分あります)」とかはLONDON PASSを持っていても無料にはならない。
ということで、今回はLONDON PASSの元を取っている時間もないので、単発でセント・ポール大聖堂に専念することにした。
…と思ったらアータ、今はセント・ポール大聖堂もLONDON PASSで入れるんだってよ!なんだよ。

05テムズ川にかかるミレニアム・ブリッジの上からの遠望。

20v近くで見るとデカい、デカい!

10コレが正面玄関。
後でもう一回出てきます。

40v入館料は£20に上がっていた。
今、メッチャ円高ポンド安だよね~。1ポンドが130円近いもんね。
たった20年ぐらい前は250円あたりだったんだぜ。
今はBREXITの関係もあって特にこの傾向が顕著なんだろうけど、ここ20年でポンドの価値が半分になっちゃった。
昔はレスター・スクエアで買って食べたハーゲンダッツのアイスクリーム一玉が700円ぐらいだったからね。
タバコは1,500円ぐらいだった。でもそれのおかげでタバコを止めることができたんだけどね。
下は入り口に置いてあった日本語のリーフレット。
「置いてあった」というのは過去の話だからで、今回はもう見当たらなかった。
実はコレはかなり前に来た時にもらったモノなの。

50中へ入る。
私は2回目。
でも圧倒されるわ~。

60グズグズと歴史を調べて語ったところで誰もよろこばないだろうから簡単に書くけど、オリジナルは607年に作られたそうですよ…「1607年」じゃないよ。7世紀!
ヴァイキングが焼いて無くなっちゃったんだって。
しょーがねーな、ヴァイキングは!
その後、先代の聖堂が1240年に建てられたが、今度は1666年のロンドン大火で完全消失。
そして、今のセント・ポール大聖堂が1710年に完成した。
1710年っていつごろかと言うと、八代将軍吉宗が「享保の改革」に躍起になっていた頃よ。
同じ年、イギリスでは総選挙があってトーリーが圧勝した…とある。
ゼンゼン違う。

70さて、セント・ポール大聖堂に次の危機が訪れたのは第二次世界大戦の時。
イギリスには地震がまったくないのでそっちの心配はない。
「Blitz(ブリッツ=ドイツ語で稲妻の意味)」と呼ばれたシティ地区を狙った1941年のロンドン大空襲でヤバかったが、チャーチルが「ナニがナンでもセント・ポールだけは守れ!」の掛け声の元、市民がみんなで火災から大聖堂を守ったという。

80コレらの写真はコンパクト・カメラか携帯のカメラで撮ったモノなの。
え、一眼レフを持って行くのを忘れたのか?って?
イヤイヤ、さすがにそれはない。
ライブハウスに置き忘れて帰って来ちゃうことはタマにあっても、持って行くのを忘れることはほとんどない…と言いたいところだが、実際にはないことはない。

90実はですね、ココ、堂内の撮影はNGなんですよ。
それを覚えていたので、ワザとホテルにカメラを置いて来たというワケ。

100v_2ところが、つい最近…どころか、ナントこの6月から一部の箇所を除いて撮影がOKになったんだって!
だからこうして写真がある。
何だよ、先に言えよな~。
だからコレらは撮影が解禁になって1週間後に撮ったモノなの。

110ま、写真を撮りに来ているワケではないのでいいんだけど…。
しかし、この荘厳さはとにかく筆舌しがたいわ。
それぞれの説明については各自ググってください。いくらでも調べられるから。

120ココでは国家レベルの大きな儀式が行われることでも有名ですな。
1806年にはネルソン提督の葬儀が執り行われた。
ネルソン提督はトラファルガー海戦でナポレオンをやっつけた人。トラファルガー広場のあの塔の上にいる人…コレね。

Nt_2 ヴィクトリア女王の即位60周年の式典やその4年後の葬儀もココで執り行われた。
ウィンストン・チャーチル、、マーガレット・サッチャーらのお葬式もココ。
どっちかというと、不祝儀の方が多いのかな?
でも、ダイアナ妃とチャールズ皇太子の結婚式はセント・ポールで開かれた。
ところが、エルトン・ジョンが涙を流したダイアナ妃のお葬式はウエストミンスター寺院で執り行われている。
コレは一体どういう基準でキメるんだろうな~。
130エリザベス女王は25周年(Silver)、50周年(Gold)、60周年(Diamond)の記念式典をすべてココで開いた。
 
ウェストミンスター寺院が「王家の菩提寺」で、それに対してセント・ポール大聖堂は「市民の大聖堂」として古くからロンドン市民に親しまれてきた…という違いがあるのだそうだ。
また、セント・ポール大聖堂はイギリスが関わった大きな戦闘の勝利を祝う式典の場とされてきた。
皆さん、戦争大好きだからね~。
ナニせ、エリザベス1世の統治時代の1588年、スペインの無敵艦隊を駆逐してイギリスを世界の一等国にのし上げることになった「アルマダの海戦」に勝利した時の記念式典もセント・ポール大聖堂で開催したのだそうだ。

140もちろんパイプオルガンも完備。
初代のドイツ製のオルガンは1694年に設置され、その後何度も更新され、現在のオルガンは2008年のモノだそうだ。

150当然ココのオルガニスト(Organista)たるや大変なステイタスなんでしょう。

160vどこの聖堂に行っても何とも言えない雰囲気が漂う「聖職者席」。

180「エドモントンさん」とか「ウィルスデンさん」とか…いわゆるBishopという方々ですな。
どんな見てくれの人がココに座るのかと想像すると興味深い。
きっとアタマは薄目で色白、眼鏡をかけてニコニコしてるんだろうな。
まさか高速道路で「あおり運転」をしそうなルックスではあるまい。
最近、坊主がやってたもんね!アレには驚いたわ。
でも、ものすごく素朴な疑問で恥ずかしいんだけど、キリスト教は「隣人を愛せよ」とか、「右の頬をを叩かれたら左の頬を出しなさい」とか、誠に尊いことを教えているのに、こと宗教だの宗派だのになると平気で戦争までしちゃうでしょ?
この二面性がまったく理解できないんだよな~。

190先に触れたように堂内は写真撮影禁止だったんだけどナゼに解禁しかのか…。
コレ気になるでしょ?
「入館料が高いんだから写真ぐらい撮らせろ!」とクレームが多数寄せられたか?
反対にどうして今まで写真撮影が禁止されていたのか?
観光客が写真を撮るのに夢中になってしまい、ジックリと実物を見ることがおろそかになってしまうから…なんだって。
それは大きなお世話でしょうよ!
他にも理由があって、あまりに沢山の人が写真ばかり撮っているとお互いに邪魔になる…ま、コレはわかる。
そして、一応教会なので神様に敬意を示すためにガチャガチャやらない…コレが一番納得できる。
で結局、どんなに撮影を禁止してもコソコソと写真を撮るヤツが後を絶たないので、「エエイ、もういいや!メンドくせぇ!好きに撮ったらいいやんけ!」と開き直ったらしいんだよ。

200_2どこへ行っても私は写真を撮るのと同時に実物をシッカリと見るように努めているけど、写真ってのは「記憶の記録」なんですよ。
どういうことかというと、子供の写真やビデオなんかがいい例なんだけど、結局最終的にハッキリと覚えていることって、後に写真やビデオで見ていることなんだよね。
他のことは忘れちゃう。
でも、写真を撮った時のことはよく覚えているものなんですよ。
だから周囲に迷惑がかからない限りはルールを守って可能な限り多くの写真を撮っておいた方がいい。しかもデジカメになってフィルム代がかからないんだから。
仕事で行っているので、ライブの写真も多数含まれているけど、今回の3週間の滞在で家内と2人で約16,000枚の写真を撮った。
それでも「あ~!面倒がらずにアレを撮っておけばヨカッタ!」と臍を噛む思いをすることが少なくないのよ。
 
最深部の祭壇。

210やっぱりスゴイ重みですな。
あ~、やっぱりチャンとしたカメラを持ってくればヨカッタ…。
次回はLONDON PASSを買って私がリベンジだな。

220一番奥に展示してあったのは第二次世界大戦で犠牲になった英米の方々の名簿。

230その名簿の台には「このチャペルは第二次世界大戦中犠牲になった英米の方々、特に名簿にあるアメリカ人兵士を追悼するものである。
この石板は、1958年11月26日、リチャード・ミルハウス・ニクソン、アメリカ合衆国副大統領を迎えてHer Majesty Queen Elizabeth II世が除幕した」
コレは対ドイツ、ヨーロッパ戦線での戦死者を対象としているだろうけど、第二次世界大戦がらみということになると、日本が「鬼畜米英(しかも最初は鬼畜英米だった)」とやったように、向こうにしてみれば我々は敵国民ですからね。こうしたモノに出くわすとすごく複雑な気持ちになるんだよね。

240今回はヒザを悪くしていたのでトライしなかっけど、無料でドームのてっぺんまで上がることができる。
エレベーターはなし。すべて人力。
もう最後の方になってくると人1人がやっと通れるぐらいの狭いらせん階段で、渋滞してるわ、ヒザは笑っちゃうわでエライ騒ぎとなる。
でも、一番上まで上がると…

250この絶景!
まだ高層ビルが少ないね。
無理もない…コレは15年近く前に撮った写真なのです。

260今、赤丸のところにいます。

270vテムズ川方面はテート・モダンとグローブ座を眼下に見下ろすよ。

289こっちはウエストミンスター方面の眺め。

290あの荘厳な聖堂の屋根はこうなってる。
案外安普請だな。
ヒザが良くなったらまた上がって来よう!

300v今度は地下。
「Crypt(クリプト)」と呼ばれる納骨スペース。
多分、地下はまだ写真NGなんじゃないかな?
床に墓石が敷き詰められていてその上を歩くんだけど、コレは失礼に当たらないらしい。
『シンドラーのリスト』でユダヤ人の墓石を矯正収容所内の石ダタミの代わりにするシーンがあったでしょ?
我々なんかはあんなのを見るとものすごくイヤな気分になるけど、どうなんだろう?
イギリス人は平気なのかな?
田舎町の古い教会の墓所なんかもそう。墓石が地面に埋まっているのをよく見かける。
 
王家はウエストミンスター寺院に納骨されるようだけど、ココはそれとは異なり、例えばフローレンス・ナイチンゲール。
それからトーマス・エドワード・ロレンス…つまり「アラビアのロレンス」ね。
アレクサンダー・フレミングはペニシリンを発見したイギリスの細菌学者。当然ノーベル賞ゲッター。
箱根の「彫刻の森」でおなじみのヘンリー・ムーア等々、王家以外の偉人とされる人たちが眠っている。
その傍らにはセントポール大聖堂の歴史を綴った展示が施されている。
昔はこんなのなかった。

310この展示でこんなのを見つけた。
1501年、ヘンリー七世の息子でヘンリー八世のお兄さんであるアーサー王子とキャサリン・オブ・アラゴンの結婚式もココで挙げている。
そして、この翌年の1502年、17歳の若さでアーサー王子は亡くなってしまう。
キャサリンは16歳で未亡人となり、アーサーの弟のヘンリーと結婚することになるんだな。
それが「ヘンリー八世の六人の妻」の不幸のはじまり。
興味のある人はコチラをどうぞ  ↓  ↓  ↓
【イギリス-ロック名所めぐり】vol.34~ヘンリー八世と六人の妻 <その2:アラゴンのキャサリン>

ゴメンね、コレ、なかなか続きを書く時間がなくて!

320_2ま、ザっとこんなところなんだけど、もうひとつ「セントポール大聖堂と言えば!」がある。
それは映画『メリー・ポピンズ』。
もうMarshall Blogで何回もやってるけどサ。
下はいつのリバイバル公開だか知らないけど、テアトル東京で上映したんだね。
テアトル東京は銀座一丁目にあったシネラマで上映できる巨大な映画館で、地下にはテアトル銀座という中型の映画館が入っていた。
初めてテアトル東京に入ったのは昭和49年、スティーブ・マックイーンの『パピヨン』の公開時だった。
その翌年、豪雨の日に『七人の侍』を父と一緒に観に行ったのをよく覚えている。超満員だった。

330vf_2『メリーポピンズ』のセント・ポール大聖堂といえばこのシーン。
数多くの名曲が収められているこの名作の中で最もいい曲だと思う。
「Feed the Bird」という曲。

いい曲だと思わない?
歌ってるのがジュリー・アンドリュースだからね~。それを割り引いても素晴らしい曲だ。
このハトのおバアさんがいるのが、この正面玄関。

350v場所は変わってソーホーの「プリンス・エドワード劇場」。
何年か前、私はここで舞台の『メリー・ポピンズ』を観た。

360何しろ半額チケットだったもんで、まぁ、ステージから遠いのなんのって!
下の矢印の辺り…要するに一番後で観た。
もちろんメリーポピンズの顔なんて皆目見当もつきはしなかったが、名曲の数々に大満足!

370コレはその時のプログラム。
確かそう安くはなかったけど、ま、コレも記念と思い出だから!
こういうモノにこそお金をつかわないと。
色々入っていてうれしかった。
380そして、先日のイギリス行きの飛行機の中で途中まで観た『メリー・ポピンズ・リターンズ』。
メリー・ポピンズを演じたエミリー・ブラントがチョット強面だけどステキだったと別の記事に書いた。
その中で「(Underneath the) Lovely London Sky」という曲がすごくいい…と書いたけど、ナンノナンノ!
オリジナルサウンドトラックを聴き込んでいるウチにエミリー・ブラントに声が最高に魅力的であることに気がついた。
ホントに歌っているのかな?吹き替えか?
特に「The Royal Doulton Music Hall」と「A Cover is not the Book」という2曲が果てしなくチャーミングで、最近は毎日何回もコレを聴いて悦に浸っている。
特に後者はオモシロい。
チョット書かせてね。
「チャリング・クロスに住んでいる本の虫(bookworm)のグーテンバーグおじさん」が本の読み方を教えてくれる歌。
尺取り虫って英語で「inchworm(インチ虫)」って言うんだけど、向こうも「本の虫」という表現があるんだネェ。
そして、グーテンバーグおじさんがチャリング・クロスに住んでいる理由がある。
チャリング・クロスは東京で言うと神保町。つまり古本の町なのです。おじさんの「本の虫」ぶりがコレでわかるいうワケ。
私もチャリング・クロス大好き。
タイトルは「表紙は本じゃない」ということから「表紙だけじゃ本の内容はわかりませんよ!」という意味。
「本は手に取って開いてれば思わぬ発見があるよ。行間を読みほどけばその本への第一印象が変わりますよ!」とおじさんが教えてくれる。
本ってそういうものですよ。
だから電磁書籍はダメなんだよ。アレは本ではないから。
「book」、「look」、「crook」という韻がすごく楽しいし、その「行間」を表す「between the lines」と歌うエミリーの声がこの上なく魅力的なのだ。
この「lines」の1拍を聴きたいがために何度も曲を聴いているです。
しかし、人の心を捉えるメロディってのは「半音」をいかにうまく使っているかどうか?ということに尽きるね。
偉大な作曲家は絶対にコレを意識していると思うし、今のバンドの形態をしている連中が演っている音楽はこの部分が完全に欠落しているので、全く心に響くことがない。
あの最近ヒットした酸っぱいヤツなんかもそう。

390vfロンドンのシンボル、やっぱりどんなところから見てもその威容に圧倒される。

410念願のセント・ポール大聖堂の見学も終わって向かったのは「Natural History Museum(大英自然史博物館)」。
2日続けてのサウス・ケンジントンだ。
そうそう、数日前にロンドンに住むイギリス人から聞いたんだけど、サウスケンジントンのジミー・ペイジの家ね、本人がまだ住んでるんだってよ!
興味のある人はコチラ  ↓  ↓  ↓
【イギリス - ロック名所めぐり vol.12】 South Kensington(サウス・ケンジントン)を往く

420V&Aと並んでヴィクトリア女王がロンドン万博の利益で建てた博物館のひとつ。

430vま~、コレも立派な建物でね~。

440メインホールのようす。
もちろん入場料は無料。

450このクジラの骨の下で小さなお友達と待ち合わせなのだ。

455この格好は!…日本からの修学旅行生だよ。
ロンドンへ修学旅行って!
親はどれだけ金がかかるんじゃい?!…と思って調べてみると、そういう学校って結構あったわ。
ロンドンだのパリだの。

460上野の国立博物館のグレードを何段階もアップしたような展示。
子供ダマシのところがひとつもない。
今回はホントに待ち合わせの場所に浸かっただけで展示はほとんど見なかった。
そして、クジラの下で5歳のお友達と無事再会を果たしたのであった。

470この後、天気もヨカッタのでそのまま歩いてハイド・パーク方面へ。
この辺りもステキなのよ。
写真の真ん中に見えてきているのは…

480ロイヤル・アルバート・ホール。
この「アルバート」は当然ヴィクトリア女王のダンナ、「アルバート公」のこと。

490ロイヤル・アルバート・ホールと向かい合うロケーションでハイド・パークの入り口に立っているモニュメントは「Albert Memorial」と呼ばれるアルバート公の記念碑。

500アルバート公に先立たれたヴィクトリア女王が1872年に立った記念碑。
本当に仲がヨカッタんだね~。

520_2そこで登場するのがこの映画、『ヴィクトリア女王 世紀の愛(The Young Victoria)』。
ヴィクトリアとアルバートが結婚するまでの半生が描かれている…完全に期待ハズれでした。
しかし!
ヴィクトリア女王を演じた女優さんが実によくて…そうでなきゃ観ていられんぞ!
と思って、チェックすると…ああ~、やっぱり!
途中で気がついたんだけど、上に挙げた『メリー・ポピンズ・リターンズ』でメリー・ポピンズを演じたエミリー・ブラントなのでした!

510v_2この後、ハイド・パークからラッセルスクエアのホテルに帰って、食事を済ませて家内を送りにヒースローに向かった。
今回3回目のヒースロー。
 
こうして羽田からひとりでヒースローにやって来たのが9日前。

530アッという間におしまい。
もう1週間前のMarshall Liveやカムデンがもう昔のことのよう!
グッバイ・マイ・ワイフ!
気を付けて帰ってよ~。
2人とも大好きなロンドンやブレッチリ―、また一緒に来ましょう!
バイバ~イ!540ひとりになった私はまずオックスフォード・ストリートのPRIMARKで買い物をするために「トッテナム・コートロード」へ向かった。

550考えてみると、この駅を利用したのはことの時が初めてかも知れない。
少なくとも改装してからは初めてのことだ。
こんなにカラフルな装飾がしてあるとは知らなんだ。

560デンマーク・ストリートが近いから楽器の模様なんだな?

570

580

590地上へ出る。
コレで7時ぐらいかな?
この駅舎がある場所にはかつて中国人がやっていた大きなフィッシュ&チップス屋があって、その奥にLondon Astoriaがあった。

600このバンド、「Freebird」演奏中。
その横でオジサン、爆睡!
別の日には「Hotel California」をインストで演奏していた。

610ここ、昔Virgin Mega Storeだったんだよね。
『This is Spinal Tap』のDVDはココで買ったように記憶している。
地下はSound Controlというドデカイ楽器屋だった。
み~んな無くなっちゃった。
今ではPRIMARK。
ま、PRIMARK好きなんだけど…。

620もう洗濯するのが面倒で、下着を買いに来たのはいいんだけど、土曜日ということもあってかスゴイ混みようだった。
レジがいくつもあるのに2台ぐらいしか動かさねえんだよ。
コレ、日本だったら避難ゴーゴーだよ。
それでも、こっちの人って文句すら言わないどころか、イヤな顔ひとつしないんだよね。
私なんかも~イライラしちゃって!
どれぐらい待ったかな?
軽く30分は待たされたよ。

630「そうなのよ、オレとしたことがヘマしちまって!」…何の店だ?
「ヘマ」なんて縁起でもない!

640ブラブラとチャリング・クロス・ロードを歩いてホテルへ向かう。
グーテンバーグおじさんには会わなかった。
ココ、かつてはUFOクラブがあったとこなんだよ。
Pink Floyd、後にSoft Machineがレギュラーで出ていたライブハウスね。

650ホテルの部屋に戻ったのはいいんだけど…寂しい。
この寂寥感はナンなんだ?
今朝まで家内がココにいたのに…今日からひとりぼっちだよ。
信じられないぐらいサビしい~!

660こんなに寂しくなっちゃって、明日からの私はひとりで大丈夫なのだろうか…。
明朝、住み慣れたプレジデント・ホテルに別れを告げてもっと安い宿に引っ越すのだ。

670<つづく>

※次回はMarshall Blogの『イギリス-ロック名所めぐり』からお送りします!

2019年8月16日 (金)

イギリス紀行2019 その7 ~ ヴィクトリアとアルバート <後編>

 
私が大英博物館よりV&Aを好きな理由は前回書いた通り、想像を絶する幅広い展示品の種類によるところが大きい。
加えて、とりわけお気に入りの展示カテゴリーがあって、そこをチェックするのが最高に楽しいのだ。
今回は家内のリクエストで久しぶりに来たのだが、当然そのお目当てのコーナーもチェックするワケで、展示品が数年前とガラリと変わっていてうれしかった。
そのコーナーは「Stage and Performance」といって、かつてはLed Zeppelinの1975年のアールズ・コートの告知ポスターやピート・タウンゼンドが壊したレスポールの実物を展示していたりした。
今回はそれらの展示品は見当たらなかったが、ロック関係の新しいアイテムと映画がらみの興味深い展示品が散見された。
また、エルトン・ジョンが寄付してできたという写真関連の展示室ができていたので、双方併せてMarshall Blogの【イギリス-ロック名所めぐり】で取り上げたいと思う。
 
さてV&A、ココは展示品だけ見て楽しんでいてはモッタイない。
建物や内装の美しさも十分に鑑賞に値するのだ。
コレは中庭のようす。

10_2赤レンガと壁面に多数取り付けられたベージュ色のレリーフのコントラストが美しい。

20_3屋根の向こうで頭を出しているのは正面玄関があるメインの建物。
アッチから入って来た。

30館内のレストラン。
70イギリスで博物館のような設備に行くと、どんなところでも大抵レストラン、あるいはカフェが入っている。
コレはV&Aが世界で最も早くに実施したアイデアなのだそうだ。
私が初めて来た時、このレストラン&カフェ・コーナーは工事中で、中を覗くとボロンボロンの内装が確認できた。
それがこんなにキレイになっちゃって~!

50v_2家内がV&Aを訪れたがった理由のひとつはこのレストラン&カフェだった。
ま、レストランといっても丸亀製麺みたいなヤツで、メインディッシュやらサンドイッチ、スープやらデザート等々、好きなモノを自分のトレイに乗せて列に並んで最後に支払うシステム。
こういうところにしては値段もそう高くはないのでだが、何しろスゴイ混雑ぶり!

60この写真だけ見てるとそうでもないようだけど、このレストランに入れない人がゴマンと廊下のテーブルで食事をしている。
もうその席を取るだけでも至難のワザなのよ。

40_2…と、すぐ隣の部屋に目をやると…なんだスキスキじゃん?
でも、入り口には係りの人ガ立っているし、「おかしいな」と思ってその係りの人に訊いてみると、この部屋は席料を取るんだってサ。
バカバカしいからヤメた。
家内が事前にサウス・ケンジントンにおいしいエール・パイの店があるということを調べておいてくれたので、博物館をひと通り見たらそっちに行くことにした。

7_img_8112レストランだけでなく、館内の内装はどこもかしこもホレボレするような美しさだ。

310
120vコレは部屋自体が展示品だからスゴくて当然。

100こういう立派な設備は天井をよく見ないと損をする。
155

150_2ココは舞台や映画の喜劇のコーナー。
天井が金管楽器の模様になっている。

156上だけでなく、床面のタイルを見て歩くのも楽しい。

110v

160_2

170vまぁ、とにかくどこも立派で美しく、見ていて全く飽きることがないのよ。

140_2

130渡り廊下でコレだからね。

190_2表の看板にあったジュエリー類の展示。

200_2

210

220_2

230_2

240_2ココはやっぱり人気があったね。

250_2さて、最後に…我々、日本に関する展示はどうなっているか…。
当然仏教関係のアイテムが来るわね。

260_2コレを見た瞬間に頭に浮かんだのは…

270渡辺明永世竜王&棋聖。

280v_2ココも結構展示が変わったね。
でも相変わらず武具甲冑は人気らしい。

290v刀も人気の的。

300_2鍔だけでこうだからね。
よくこういうのをかき集めて持って行ったイギリス人がいたよな~。
大変にお目が高いと思う。

310_2こういうアイテムはキチンと交易をしてイギリスに渡って来たモノらしいが、マァ、昔の日本人は相当ダマされてるだろうけどね。
今の対アメリカと同じだよ。

320それと印籠!

330ココは印籠のコレクションがスゴイな。
ものすごく精巧にできているので欲しくなっちゃうんだろうね。

340_3髪飾りのコレクション
櫛、笄(こうがい:まんなかの横になっている棒)、簪。
鼈甲に漆に蒔絵細工…日本のモノは重厚で、品があって、本当に素晴らしい!

350_3それとこの根付。
昔、着物にはポケットが付いていなかったため、煙草入れや印籠にヒモをつけて、そのヒモを帯に挟んだ。
それだけだとすぐに落ちてしまうので反対側にこの根付をくっつけて帯から落ちないようにした。

360_2コレなんかスゴイでしょ。象牙。
こんなものにまで「美」を追求してしまう日本人がうれしい。
根付は洋装化が進むにつれて不要となり、ジャンジャン海外へ持ち出されてしまった。
海外では今でもコレクターが多く、海外向けに作っているという話を聞いたこともある。

370v蒔絵。
このテクニックも日本独特のモノ。
映画『赤ひげ』で藤原鎌足が演ずる六助という憐れな死に方をする老人が「かつては腕のいい蒔絵師」だった。
で、蒔絵細工を見ると、必ずこの時の臨終を演じた鎌足の顔を思い出しちゃうんだよね。

380_2こっちは葵の御紋だ。
丸を小さい丸8つで囲んでいるのは「九曜(くよう)」と言って多くの武家の家紋に使用されているようだ。

390ま、「三つ葉葵」と言っても「徳川」とは限らない。
例えば、下の左は徳川。右は会津だったりするんだよね。葉脈のデザインがゼンゼン違う。
でも写真のは徳川かな?


Tokusen_1

Aidu2 能面も欠かせない。

400さて、オモシロかったのはコレ。
広重『東海道五十三次』の「保土ヶ谷新町橋」。
この絵に描かれている川は今でもある帷子川(かたびらがわ)。
橋は帷子橋というらしい。
構図としては、現在の相鉄線天王町駅付近から西久保町の山並に向かって、右手は現在の保土ヶ谷駅方面。左手は現在の西横浜方面と分析できるらしい。
今ならすぐ目の前が「こころ」というトンカツ屋か?
あ、確かにこのトンカツ屋の前の通りは旧東海道だわ!
ココ、家内の実家のすぐそばなの!
地球の裏側まで来て近所を描いた浮世絵を発見するなんてうれしいじゃない?410_2何度も書くけど、生麦事件のあった1862年9月14日、薩摩藩島津久光の一行は保土ヶ谷宿で投宿した。
保土ヶ谷宿の本陣は家内の本家。
「本陣」というのは、各宿場に設けられた大名や旗本等、エライ人たち専用のホテルのことね。
そして、当時の薩摩藩主は島津茂久。
4年前に死んだ私の父の名前は「茂久」。
薩摩藩士に斬殺されたイギリス人が行動を共にしていた横浜在住の生糸商人の名前をウィリアム・マーシャルといった。
吉村昭の『生麦事件』を読んでこの奇妙な符合を知った時は結構トリハダが立ったけどね。

Nj_3 元神奈川県知事の松沢成大の『生麦事件の暗号』という本を読むと、事件発生の日、薩摩藩一行は予定を変更して横浜宿を過ぎ、ひとつ先の宿場である保土ヶ谷宿まで行ったらしい。
偶然度アップ!
ただし、島津久光は安全を担保するために本陣に泊まらなかったらしい。
一番偉い人は本陣に泊まることがわかっているからね。

Na そんなだから、当然生麦事件の発生現場にも行って来た。
コレを設置したのは「生麦事件参考館」という民間の資料館で、見学したかったんだけどいつ開館しているかがわからない。
家内が電話で確認してくれたんだけど、応対してくださったお婆ちゃんが最早「エ、アンだって?そうだよ、アタシが神様だよ」状態でほぼコミュニケーション不可。
またいつか行ってみたいと思っている。

7_img_0355こんなとところで事件は起きたんだよ。

7_img_0345しかし、77万石の大藩、薩摩藩の大名行列たるや立派だったろうね。
1,800人がココを練り歩いたワケだから。
鹿児島までの1,700kmの行き来は片道2ヶ月かかったらしい。
でも、ずっとテクテク歩いていたワケではなくて、大阪から向こうは船を多用したらしい。
ま、それでも1,800人もの大パーティが大阪まで東海道か中山道で行ったんだからね。

7_img_0349 「中山道」といえば、この本オモシロいよ。
定年を迎えた夫婦が東京から京都まで中山道を踏破した記録。
お父さんが美術の先生なのかな?すごく写真がウマくて、差し挟まれる絵がとてもよろしい。
ウチは私が今回ヒザをやってしまったので長距離を歩くことはムズかしいので、いつか「ローマ人が歩いた道をたどるイギリスめぐり」を車でやってみるか?

Ff_2 生麦からサウス・ケンジントンに戻って…。
私はコレ。
渓斎英泉(けいさいえいせん)という江戸時代後期に活躍した浮世絵師の作品。
コレがV&Aに飾ってあった。
豪奢な髪飾りと前締めの帯、ひと目で禿(かむろ)を連れた花魁だとわかる。
角町の大黒屋の雛扇という花魁のようだ。
春なんだろうネェ。
仲之町通りに移植された桜が咲き誇っているところか。

420vコレが今でもある角町の大黒屋。
かつては女郎屋だったのか?
今はタバコ屋になっているが、以前は花魁が履く高下駄を作っていた。
看板を見ると現在も「履物屋」ということにはなっているようだ。
実際に店の中を覗くと、ガラス戸の棚に三枚歯の高下駄が飾ってある。
上の保土ヶ谷同様、こうして思いもよらないところで自分がよく知っている事物に出会うのはとても不思議な感じがするね。

430_2それとコレ!
高校の時、コレが出て来た日にゃ驚いたネ~。
コレぐらいで止めておけばヨカッタのにネ~。
440やっぱり日本コーナーはグ~!

450こうしてV&A見学を終了。
朝のウチは天気も悪かったのでユックリ見ようと…どうでしょう…カレコレ5、6時間はいたかな?
ところが、まだまだナニも見ていないに等しい。
もっとジックリ見れたらいいんだけどね、時間がいくらあっても足りない。
でも、同じ時間を使うなら私は大英博物館よりV&Aの方がオモシロいと思う。
後日、「V&A <エンターテインメント編>」をMarshall Blogでやりますのでお楽しみに!

460お腹も空いたので、例のエール・パイのお店へ行くことにしたのだが、ま、折角ココまで来たので少しだけハロッズを覗いてみることにした。
工事中でこんなことになっていた。
今回、ホントにどこもかしこも工事だらけだったよ。
まさかオリンピックでもやるのか?

470ハロッズってデイバッグを背負うのが禁止されていて、手で持たなきゃならないのが厄介なのよ。
それに見たところで欲しいモノがあるわけでなし…。
人出もスゴい。

480お土産でも探してみるか…ということでに地下のハロッズ・グッズ・コーナーだけ見てみた。

490地下一階は全部ハロッズ・グッズ。
調子に乗ってやがんな~。
でも日本で買うより全然安いらしい。
はい、チャッチャとハロッズ終了。
ナニも買わず。

500お盆のチョット前にNATALの配達をしに新宿まで行ったんだけど、道路は信じられない位の大混雑だった。
毎日車に乗っているワケではないんだけど、あんなに混んでいたのは珍しい。
東京の渋滞は昔に比べると格段に改善されたもんね。
ところがロンドンはさにあらず。
下の標識を見て。
 
まず向かって右の「Congestion Charging ZONE」というのは「渋滞税(Congestion Charge)が課されるゾーンでっせ」ということ。
つまり、渋滞と大気汚染を緩和するために、平日の朝7時から夕方6時までにロンドンの中心部に乗り入れる車両には1日11.50ポンド(今なら1,600円ぐらい)の「渋滞税」が課されちゃう。
現在のところCO2の排気量が少ない車両やハイブリッド・カー、電気自動車は渋滞税を免除されているが、2025年12月からは問答無用ですべての自動車が渋滞税を払うことになるんだって。
「エエ~!そんなの支払っているかどうかなんて、どうやって監視するの?」と思うでしょ?
コレね、ロンドンに入って来る必要のある車両は、事前にしかるべき機関に税金を支払って車のナンバーを登録してもらう。
で、登録されていないナンバーの車両はこのゾーン内に設置されている監視カメラでチェックされちゃう。ま、あの黄色いナンバー・プレートに何がしかの仕組みが施されているのかもしれない。
そして、チェックされた車のドライバーは当日の24時までに渋滞税を納めないと追徴金2ポンドが加算される。
さらに翌日の24時までにまた支払わないと最大187ポンド(今なら25,000円ぐらい)の罰金が請求される。コレはかなり厳しい。
 

一方、左側の「Ultra Low Emission ZONE」は「超低排出ゾーン規制(ULEZ)」といって、2007年以前に作られたバイク、2006年以前に作られた一般ガソリン車、2015年以前に作られたディーゼル車がこのゾーンに入る場合、1日12.50ポンド(今なら1,700円チョット)、バスやタンクローリーなどの大型車両には1日100ポンド(今なら13,800円ぐらい)が課税されちゃう。
すごいね~、もはやジョージ・ハリスンの「Taxman」より厳しいじゃん?
 
ここはハロッズのすぐ近く、すなわちロンドンの中心部なんだけど、こうして2つのゾーンが重なっているところに、当該する古い車両が昼間にこのエリアを通行するとなると、どうなるか?
片方だけ払えばいいのではなく、両方の料金を払わなくてはならない。
ウィークデイの日中、ただこのエリアに乗り入れるだけで4,000円も覚悟しなければならないのだ。

510さて、目的のおいしいエール・パイを出すパブに向かったんだけどどうも場所がわからない。
フルハム・ロードをほっつき歩いていたらこんなカッコいいビルを発見!
年配の人には「フルハム・ロード」なんてなつかしいでしょ?あの事件、一時は朝から晩までやってたもんね。

520まるでウーリッツァーのようなアールデコ調のこの建物は看板にあるように「Michellin House」と呼ばれるミシュランのイギリス本社。
1911年のオープンだそう。
ホントは中を覗きたかったんだけど、まずはエール・パイということでパス。

7_img_9447 ようやく発見!
「Bumpkin」というお店。
時間は4時ほんのチョットすぎ…さっそく中に入ると客がひとりもおらず、イヤな予感。
ようすを訪ねると、5分前に食事は終わって、夜にならないと再会しないという。
飲み物はOK。
結構暑かったし、ヒザも休めたかったので、休憩がてらビターのイッパイも飲んで行こうかと思ったのだが、カウンターを見るとハンド・パンプがなかったので止めておいた。

530v「I only love my bed and my momma I'm sorry」って、すごく目に付いたので勝手に写真を撮らせてもらっちゃったんだけど、コレはナニ?
調べてみるとDrakeというヒップホップの人の「God's Plan」という曲の一節だった。
だから私には関係なかったわ。

540vお腹すいちゃってサ~。
おいしいパスタでも食べたかったんだけど、あたりにはチェーン店の「Balla Italia」しかないし、ピザはヤダし、と、通りかかったのがこのフランス菓子店。
メレンゲとパンのお店。
なんか猛烈においしそうだったので入ってみた。
550お店に入って「ハァイ」と挨拶したんだけど、若い男の店員が「ボンジュール」と言ってくるので私も「ボンジュール」と言い返してみた。
するとその若い店員はニコリともせず、エライ恥ずかしかったわ。
ホラこれが例のやつ。
持って帰れば1.80ポンド、ココで食べていくと2.20ポンド。55円ぐらいの差が出るので決してバカにはできない。
軽減税率って日本で騒いでいるでしょ?
あれ、チャンチャラおかしくて…。
イギリスはVATという消費税が20%で一般的な買い物をするに当たっては決して低い税率ではない。
でも、少なくとも日本よりは福祉システムがシッカリしている。
それに全部が全部20%課税させるわけじゃないからね。
庶民の生活に必要であればあるほど、率が低く設定されている。
ココですよ。
例えば高齢者の水道光熱費は5%だったりするし、国民の知性を向上させる書籍なんかは税金がかからない。
その最たるものは食料品。
食料品は無税だ。
だから日本で「軽減税率8%を導入します」なんてのはチャンチャラおかしいワケ。
日本の民衆はもっともっと世界や社会のことを勉強すべき。
何も知らないし、知らされていない。

560メレンゲを家内と1つずつ買ってみた。
お腹が空いていたのと、疲れていたせいか、筆舌しがたいおいしさだった。
これならまだ5個は楽勝でイケるわ。

570ついてにぶどうパンも買ってみた。
コレもヤケクソにおいしかった。
パンのおいしさもさることながら、レーズンの分量が絶妙なんだな。
袋もかわいい。

580v駅前のランボルギーニ、イヤ、イギリス式に言えばランボッギーニの代理店。
やっぱりお金持ちが多いんだな、この辺は。

590はい、サウス・ケンジントンの駅に戻って来ました。
博物館とは反対側だ。

610地下鉄の注意書き。
「暑い時には水を持って歩いてください」って。
ロンドンの地下鉄はホームも電車もやたらと暑いからね。
「具合の悪い人が電車を降りるのを手伝ってあげてください。後は我々がホームで適切なケアをします」
オモシロいと思ったのは下のヤツ。
「もし具合が悪くなってしまったら、頼んでイスを譲ってもらってください」
コレ、日本だったら間違いなく「もし具合の悪い乗客を見つけたら席を譲ってあげてください」でしょう?
やっぱりまずは「自分」が先に来る…ということか?

620v (2019年6月7日 サウス・ケンジントンにて撮影)

2019年8月15日 (木)

イギリス紀行2019 その6 ~ ヴィクトリアとアルバート <前編>

 
今日はサウス・ケンジントンに来た。
サウス・ケンジントンはロンドンの中でもスイス・コテージ辺りと並ぶ最も高級なエリアなのだそうだ。
ジミー・ペイジの家もこのエリアにあることはMarshall Blogで紹介した。
 
ジミー・ペイジの家はコチラ⇒【イギリス - ロック名所めぐり vol.12】 South Kensington(サウス・ケンジントン)を往く

10ホラ、左の広告のキャッチ・コピーを見て。
「Change, for the better」って。
どこかで聞いたことがあるでしょう?
そう、三菱電機が使っているコピー。
コッチはニューヨークに本校を構える「Flatiron School(フラットアイアン・スクール)」というIT関連の学校。
「フラットアイアン」というから、本校は五番街とブロードウェイの交差点にある「フラットアイアン・ビルディング」のそばにあるのかと思ったらバッテリー・パーク(マンハッタン島の南端)の近くだった。
このグルリと描かれた青い2本のストライプには何の意味があるんだろう?

20コレは別の日に撮った写真なんだけど、このサウス・ケンジントン駅はいつも学生さんで賑わっている。

30vというのもコレ。
サウス・ケンジントンはニューヨークの59丁目以北の五番街、通称「Museum Mile(ミュージアム・マイル)」のように博物館がズラリと並ぶ「博物館銀座」なのだ。
ニューヨークの方はどちらかと言うとメトロポリタンやらグッゲンハイムやらの美術館銀座だが、ココはバッチリと博物館が並んでいる。
この案内板にあるように、博物館群の反対側に向かえばハイド・パークの向かいのロイヤル・アルバート・ホールに出る。
あの辺りもとてもステキな町並みだ。

40博物館へ向かう地下道。

50通路の広告。
こういうのを見ながら歩くのがまた楽しい。
チョット前にMarshall Blogで紹介したアンドリュー・ロイド・ウェバーの『Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat』

60vおなじみ『スクール・オブ・ロック』のミュージカル。
コレもアンドリュー・ロイド・ウェバーなんだねェ。
初演は2015年12月、ブロードウェイのウインター・ガーデン・シアター。
ウインター・ガーデンは18年間にわたり、7,500回以上『Cats』を上演した劇場。
その7,500回のウチ、私は2回ほどそれを観た。
反対にこの『スクール・オブ・ロック』が上演されるコヴェント・ガーデンの「Gillian Lynne Theatre(ギリアン・リン・シアター)」は1981年5月に『Cats』のプレミアが開かれた場所で、以前の名前を「New London Theatre」といい、1965年まで同じ場所には「Winter Garden Theatre(ウインター・ガーデン・シアター)」があったというのだからややこしい。
そして、2018年5月…というのだから最近のことだが、アンドリュー・ロイド・ウェバーの提唱により現在の「ギリアン・リン・シアター」という名称に変更した。
イギリスの劇場の多くは、長い歴史を持っていて、ウエスト・エンドには「Pince of Wales Theatre」とか「Her Royal Majesty Theatre」とか王室のメンバーの名前を冠した劇場が少なくないのだが、「ギリアン・リン・シアター」は、史上初の王室以外の女性の名前を冠した劇場となった。
デイム・ギリアン・リンはバレリーナであり、ダンサーであり、女優であり、そしてコレオグラファーだった人で、ウェバーの2大代表作『Cats』や『オペラ座の怪人』の振り付けを担当した。
王室メンバー以外の男性の名前がついた劇場は「ジョン・ギールグッド劇場」とか「ステファン・ソンドハイム劇場」とかがあるね。
ジョン・ギールグッドは中学1年の時に見たのはオリジナルの方の『オリエント急行殺人事件』だった。
根っからのシェイクスピア俳優で、ローレンス・オリビエやマーロン・ブランドがその門下生というのだからスゴイ。
そして、ステファン・ソンドハイムはこの記事の2回前の『スウィーニー・トッド』のところで出て来たばかり。
『ウエストサイド物語』の作詞をした人ね。
ところで、この『スクール・オブ・ロック』ね、聴いてみたけど…あの名曲揃いの『Cats』や『サンセット大通り』のウェバーはどこへ行ってしまったの?…という感じだった。

70vコレはこれから向かう「V&A」で開催中の「Mary Quant展」。

80v地上に出る。
コレはお隣の「Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)」。
ここもいつもスゴイ人で賑わっている。
世界でもトップのコレ系の博物館だからね。
ま、上野の科学博物館なんか恥ずかしくてロンドンの人たちにはまず見せられない。

90vロンドンにはこうしたシンボルの赤い電話ボックスがまだたくさん残っている。
最近は使われているのを見ないけど…。
ほとんど広告塔だな。
コレは市内観光ツアーの広告。

100vコレが「Victoria and Albert Museum(ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)」。
通称「V&A」…向こうの人は「ヴィアネイ」なんて発音してるね。

110「ヴィクトリア」とは言わずと知れた「ヴィクトリア女王」のこと。
現在のエリザベス女王がその記録を抜き去るまで、もっとも長期間にわたって君主に就き、大英帝国の繁栄を謳歌した女王。
「アルバート公」はそのご主人。
この2人、と~っても仲良しだった。
V&Aは、1851年にハイドパークで開催された世界で初めての「万博」、「ロンドン万国博覧会」から得た莫大な利益で造られた施設のひとつ。
並びにあるさっきの「ロンドン自然史博物館」と「科学博物館」も同様。
次にロンドンで開催された万博は1862年のことで、日本もコレに参加。
「Exhibition」に「博覧会」という訳語を充てたのは参加者のひとりであった福沢諭吉だそうだ。

120どこの博物館でも人気の宝石の展示もある。

125さっそく中に入る。
入場料は無料。
もう何回来たかわからない。
でも何回来てもオモシロい。
今回来たのは、4年前にココを見逃した家内の強力なリクエストによる。

130vエントランス・ホールの天井。
もうカッコいい。

140その壁面には向かい合ったヴィクトリア女王とアルバート公のレリーフ。

150V&Aは工芸品の博物館。
人間の作ったありとあらゆるものが展示されている。

160そういう意味ではエジプトとミイラだらけの大英博物館よりオモシロい。

170「神具」っていうのかな?
こういうモノの展示の厚みはすさまじいよね。

180マッパで失礼!
ココはキャスト(鋳造)ものの展示コーナー。
彫刻ではない。

185思わず「エっ?」と驚くほど巨大なモニュメント。

190中は空洞です。
ま、鋳物だからね。

200突然だけどCONCERTO MOONの最新作『Ouroboros』。

Co ホラ。

210vCONCERTO MOONはかつてのアルバムのジャケットにもこの十字架を登場させているね。
コレは「ケルティック十字(Celtic Cross)」と言って、アイルランド人にキリスト教を普及する際に考案された。命の源である「太陽」のシンボルの「円」と十字架を組み合わせてあるのだそうだ。

Fsタペストリーのコレクション。

220この「ユニコーンと千花模様」という1500年のオランダの作品は有名だ。

230展示の点数は多くないが楽器も展示されている。

240残念ながら「楽器」という展示のカテゴリーはない(あるのかな?)。
あってもこのように、飽くまでも民族固有の工芸品としての展示。
コレはインド・エリアの楽器。
245コレも同じくインド関連の展示品。
「ティプーの虎」と呼ばれる18世紀に作られた「オートマタ」の楽器。
「オートマタ」というのは日本で言う「からくり人形」のこと。
コレ、V&Aの展示品の中でも最も人気の高いアイテムなんよ。

7_img_806218世紀の中頃、南インドにマイソールという王国があって、そこの王様をティプー・スルタンといった。
ティプー・スルタンは、カンナダ語で「ಟಿಪ್ಪು ಸುಲ್ತಾನ್」、テルグ語で「టిప్పు సుల్తాన్」、タミル語では「திப்பு சுல்தான்」、ではマラヤーラム語でどう書くかというと「ടിപ്പു സുൽത്താൻ」となる…知らんがな。
東京でよく「スルタン」というインド料理屋を見かけるけど、この人のことなんだね。
この人はインドを植民地にするべく攻め入ってきたイギリスの連中と徹底的に交戦して「マイソールの虎」として恐れられた。
ところが、イギリス軍はマイソール軍が午後1時になると休憩をするという情報をキャッチし、それを見計らって一気に砦に攻め入り2時間で制圧したというんだな。
インドは暑いから休憩しなきゃやってられないんだろうね。
そして、マイソール王国の財宝から出て来たのがこの「ティプーの虎」だった。

7_0r4a0756 オートマタとしては、虎が人間のノドに噛みつき、人間は悲痛なうめき声をあげるらしい。
当然この虎はティプー・スルタンで、食いつかれているのはイギリス兵だ。
残念ながら第二次世界大戦中にドイツのバカどもがV&Aに爆弾を落とした時、屋根が「ティプーの虎」の上に崩れ落ち粉々になってしまった。
現在展示されているのはその破片をつなぎ合わせたモノで完全には動かないのだそう。

楽器としては、いわゆる「手風琴」というヤツ。
虎の前足の上にあるハンドルを回して風邪を送る仕組み。
こんな動画を見つけたので興味のある人はどうぞ。
   ↓   ↓   ↓
「ティプーの虎を弾く」

290中近東のコーナーも見応え十分。

250見事なペルシャの絨毯。

260イスラミック・アートってのも素晴らしく美しいよね。

270vイスラムのカリグラフィ。
いいね~、サッパリわからんけど。
他にも刀剣のコレクションなんかも圧巻だ。

280コレは中国。

300「博物館」と言っても美術品の数も膨大で「美術館」と言っても何ら差支えがない。320v絵画の他に彫刻も展示も充実。
こんな「あ、ちょっとヤメて!」像なんかホンモノはスゴイ迫力よ。

330vしかも、チャンとこうやって掃除をしてる。

340v先にも触れたけど、こうした神具の展示には圧倒されること間違いなし。

340

350_2当然ステンド・グラスもたくさん。

360

370衣装の展示なんかも大変に興味深い。

380どうすんの、こんなコルセット!
昔の人は大変だったろうナァ。

390vコレは欲しいぞ!
大好きな「WALKERS」のバッグだもん!

395vマリー・クワント展も…

410同時期に開催していたディオール展も大盛況のようすだった。

7_0r4a0783 博物館って知らない間に結構歩いている上に立ちっ放しだからすごく疲れるんだよね。
イギリスの博物館とか美術館ってそこら中にイスが置いてあるのがすごくありがたい。
でも、一回座っちゃうともう動くのイヤになっちゃうんだけどね。

430V&Aで集めて来たフライヤー(っていうのかな)。
ま、ウチでは「資料」と称していますが、他人から見ればゴミ同然でしょう。
でも、私はこういうモノが好きなのです。
ナゼかというと、そもそも記念になるし、こういうどうでもいいようなモノって後で絶対に手に入れることができないから。
特にココのフライヤーは厚紙でできているのでチョットうれしいんだな。
話は<後編>続きますが、<後編>の方がオモシロいです。

420<後編>に続く
 
(2019年6月7日 Victoria & Albert Museumにて撮影)

2019年8月14日 (水)

イギリス紀行2019 その5 ~ パブがスキ!<後編>

  
本日のパブ・クロウリング(Pub Crawling)、銀行の次はホルボーン駅の近くの「Princess Louise(プリンセス・ルイーズ)」というお店。
ココがまたスゴかった!
「High Holborn Street(ハイ・ホルボーン通り)」という大通りに面しているせいか外で飲んでいる人が少ない…。
お客さんが車道にドバ―っと溢れ出ているソーホーあたりにあるパブとは様子が違う。

290…と思ったら「絶対に外で飲まないでね」という注意書きがドアに付いていた。
「すいませ~ん!外で飲んでる人が何人かいますよ~!」と言いつけようかと思ったけどヤメておいた。
370_2イヤ~、中に入ってビックリ!

300_2宮殿の装飾のように決して豪華というワケではないのだが、「なんでも鑑定団」に出したらどれも高額査定がゲットできそうな骨董的雰囲気満点の内装なの。
380_2それもそのハズ、「Princess Louise」は1872年の創業で、当時のヴィクトリア王朝時代のインテリアがそのまま残っているのだそう。
「Princess Louise」というのはヴィクトリア女王とアルバート公(V&A)の四女のお名前。320_2このお店の特徴はその見事な内装の他に、このガラスの壁で仕切られた個室スタイル。
残念ながらどこも満席で入れなかった。
このガラスのことを「Snob Glass(スノッブ・グラス)」といって、ヴィクトリア朝時代に作られたパブに見られる特徴なのだそうだ。
このスノッブ・グラスで店内の席を仕切るワケだが、ナンのためだと思う?
そこはさすがイギリス、中産階級と労働者階級を差別するためなんだって。
今はそんなことしてないよ、もちろん。

310_2この各小部屋のことを「Island(島)」と呼ぶようで、店員は島ごとにお客さんの対応をしている。
見方によっては回転ずしのファミリー席のようだ。

330ココは「Samuel Smith(サミュエル・スミス)」というビール会社のタイド・ハウス。
このサミュエル・スミス系列の店はあまり見かけないような気がする。

340_3どこへ行ってもGreene King系列ばっかりでさ。
だからこういう見たことがないラベルに出くわすとすごくワクワクする。
でもラガー・ビールは飲まないぜ。

355いつでも、どこでもコレ…まずはビターね。

350_3おいしかった。
私はそれほど酒に強いワケではないが、こうしておいしいエールにありついた時は、ホントにアルコールを受け付けることができる体質でヨカッタと思う。

360常連さんなのかナァ。
雰囲気もとってもいいのよ。
チョット、お手洗いへ行ってこう。

356トイレは地下。
しかし、どこもかしこも貫禄があって素晴らしい。
この暖炉もナント立派なことか!
この右手が地下へ降りる階段。

12img_9392そこの壁に付いていた注意書き。
ご注意 引ったくり、スリがこのあたりで仕事をしています。当店では被害の責任は持ちません。十分にご注意願います」
この「vigilant」という表現が気に入った。
もちろんウディ・ガスリーの「Vigilante Man」つながりね。
ま、私はガスリーでもライ・クーダーでもなくNazarethなんだけどね。

Img_9393階段の装飾も立派!

390_2チョット失礼。
トイレはこんな感じ。
なかなかいいな…と思ってタマタマ写真を撮っておいたんだけど、このトイレの装飾は有名らしい。

12img_9390下はトイレの壁に貼ってあった『Shit-Faced Shakespeare』という劇団のポスター。
「shit-faced」についてはMarshall Blogに書いたことがあるので興味のある方はご一読願いたい。
「ベロンベロン」という意味ね。
 
コチラ⇒ 【Marshall Blog】私のフランクフルト <vol.5:スピンオフ~後編>
 
ちなみに昨日タマタマイギリス人と一杯やる機会があったんだけど、「shit-faced」という言葉を使っていたわ。
で、「The Taming of the Shrew」というのはシェイクピアの喜劇の代表作「じゃじゃ馬ならし」のこと。
最初「Shit-Faced Shakespeare」という題名の劇かと思ったらさにあらずで、他にも「マクベス」だの「ロミオ&ジュリエット」だのがあって、要するにシェイクスピアの戯曲をパロディで演じる劇団の名前だったのね。
YouTubeに予告編が上がっていたのでチョット見てみたんだけど、解説のお姉さんまでシャンパンを飲んで酔っ払っちゃう。
このシャンパンがナゼかイタリアの「Prosecco」という銘柄指定。
何かシェイクスピアと関係があるのかな?それともただのスポンサーか?
しかし、どういう人が観に行くんだろうな。
シェイクスピアのオリジナルを知っていなければ楽しめないでしょうに。
それとも、老若男女を問わず楽しめるほど、今でもシェイクスピア作品がイギリス国民にシッカリと浸透しているのだろうか?

400v_2今回ロンドンの街を歩くのは4年ぶりだったんだけど、日本料理のお店が爆発的に増えていて驚いた。

410v_3またMarshall Blogでも触れることになるけど、何でも九州ラーメンがブームとかで、その他にも寿司屋、居酒屋、お好み焼き屋、シャフツベリー・アベニューには甘味処まであって笑ったわ。

420v_2ココなんか日本酒がズラリ。
デビッド・ボウイの『Ziggy Stardust』のジャケットを撮ったへドン・ストリートなんか七輪を出して何かを焼いて食べさせる店まであったからね。
でも、そんなの関係ねぇ!
私は数回前の渡英から、イギリスに来ても絶対に日本料理の店には入らないようにしているのだ(中華はOK)。

430_3ということで、この日の晩はホテルの近くの中華。
店員さんが「ありあとござます」とか言っていたところを見ると多くの日本人が訪れるのだろう。
470_3ハイ、炭水化物祭り!

480欧米の中華料理店ってスープに浸かっている麺類を扱っていない店が結構あるんだよね。
ココもそうだった。
ラーメンの類はなくて、焼きソバかビーフン。
私は焼きソバを好んで食べる方ではなくて、自主的にオーダーするのは、ホントにタマ~に「珍来」でソース焼きソバを食べる時ぐらいなのね。
でも、コレはおいしかったな~。
家内と2人では絶対に食べきれないと思っていたけど、全皿完食しました。
そうだよ、図星だよ…日本料理が恋しいんだよ!

7_img_9399コレは別の日。
通りの突き当りは滞在したプレジデント・ホテル。
Marshall Blogに書いたけど、今頃どうしてるかナァ…というのは、部屋にエアコンがついてないのよ。
Marshallの経理の女性と先週メールで雑談していて、「ウチは各部屋にエアコンが付いている」と言ったらひどく羨ましがられた。
イギリスも日中は死ぬほど暑いようだ。
彼女の家の冷房設備といえば、天井に付いている扇風機だけだそうだ。
だからこのホテルなんか窓もそう大きくは開かないし、タマらんぞ。
 
プレジデント・ホテルについてはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.35~The Beatles was here! <前編>

490_2そのプレジデント・ホテルの目と鼻の先にある「Friend at Hand」というパブ。
ココはGreene Kingのタイド・ハウスだったので何となく敬遠していたのだが、最後の最後に家内と入ってみた。
そもそも入ろうとするといつも満員だったのだ。
でもこの日は時間が早かったせいですんなりテーブルに着くことができた。

500_3ルックスでは前回紹介した「Old Bank of England」の店員さんに遠く及ばないが、ココの女性もとても愛想がよくて気持ちのよい応対をしてくれた。
ココのエールはチョット冷やしすぎ…でもノドが乾いていたせいかとても美味しかった。

510上の写真の左上にテレビが写ってるでしょ?
向こうの人はみんなパブへ来て一緒にスポーツの中継を見るのが大好き。
どこでもらったのかは忘れてしまったけど、下はパブに置いてあるテレビで放映されるスポーツ番組の予定表。
アメリカもバスケットー野球ーアメフト―アイスホッケーと1年を通じてプロスポーツが楽しめるようになっているけど、イギリスはサッカーークリケットーテニスーラグビーーゴルフーネットボール(バスケットみたいなヤツ)等々、バラエティに富んだスポーツが楽しめるようになっている。
アタシャ一切興味ないけど。
スポーツに加えてダーツだのスヌーカー(ビリヤードみたいなヤツ)、それに競馬なんかが入り込んで来る。
エンターテインメントは一年中スゴイのを演っているし…これはホントに日本は足元にも及ばない。
どの分野においても一流のモノを見ているのでお客さんの質が高いんだよな。
だから見せる方のレベルも高くならざるを得なくなってくる。
Marshall Blogに書いたけど、彼らはホンモノのロゼッタ・ストーンを見て歴史の勉強ができる人たちだから。
その点、スポーツのことはわからないけど、エンタテインメントに関しては日本人のお客さんってのは圧倒的に幼稚と言わざるを得ないと思う。
でも、それはお客さんのせいではなくて、本当にいいモノは隠してしまって、消費者には決して与えようとしない作り手のせいなんだよね。(←コレはフランク・ザッパの受け売りです)
お客さんのレベルを出来る限り低くして、幼稚にしておいた方が商売が断然ラクだから。
政治と同じ。

7_0r4a0118そうそう、「競馬」といえば、ちょうど「Royal Ascot(ロイヤル・アスコット)」開催の前だったのでほとんどすべての地下鉄のエスカレーターの壁に宣伝ポスターが貼られていた。
7_2img_8992「ロイヤル・アスコット」といえば、もう『マイ・フェア・レディ』でしょう。
紳士淑女が集まるアスコット競馬場でにわか仕込みの上流階級英語をコックニー出身の花売り娘、イライザ・ドィーリトルに試させる爆笑シーン。
「The rain in Spain mainly stays in the plain(スペインの雨は主に広野に降る)」っていうヤツね。
それと印象的なのは「it's very kind of you(なんとご親切なお方)」。
この表現は今では全く使わないと嗤った英語の教本があったが、トンデモナイ。
それはアメリカの話。イギリスでは時折耳にするので、私もやってみることがあるが、ナンノ問題もない。
いいですか、英語はイギリスの言葉ですから。
Marshallの友人が言っていたのをハッキリ聞いた…「Amricans ruined our lauguage」って。
 
さて、このシーンはヘップバーンのモノクロの衣装があまりにも美しくカッコいいよね。
15年ぐらい前にウエスト・エンドで観たリメイクの舞台では、このシーンで黒い衣装をイライザに着せていたが、映画に使われた衣装の方がケタ違いによかった。
映画での衣装をデザインしたのは写真家でもあったセシル・ビートン。
この作品でオスカーをゲットした。
ビートンは王室や戦地の写真多数撮ったことでよく知られていて、ロンドンで開催されていた写真展を観に行ったことがあるのだが、一枚一枚タメ息が出るほど美しく、メッセージ性に富んでいた。
もちろん全てモノクロなのだがすごい色彩感なんだよね。
デジカメを使ったにわかカメラマンが「雰囲気が出る」と勘違いしてモノクロで焼いた写真とはワケが違う。

Mflそして、『マイ・フェア・レディ』のロイヤル・アスコットのシーンで使われるが「The Ascot Gavotte(ジ・アスコット・ガヴォット)」という有名な曲。
いいよな~、私もイギリスの貴族に生まれたかった。
ところで、この「ロイヤル・アスコット」は、ウィンブルドン選手権、ヘンリー・ロイヤル・レガッタ、そしてゴルフの全英オープンに並ぶ夏の大イベントとして、世界中の競馬界と社交界から注目されるのだそうだ。
だから、ゴルフの渋野日向子ちゃん、スゴイわけよ。
ヘタすりゃイギリスの社交界へデビューできるんじゃないかね?
ま、そのためにはイライザのようにゴルフよりよっぽどハードな社交界デビューの訓練が必要になってくるんだろうけど。

5_img_9311競馬の観覧には厳密なドレス・コードがキメられていて、「ロイヤル・エンクロージャー」という一番上のクラスの席ではいまでも男性はモーニングにシルクハット、女性はフォーマル・ドレスか上下が必ず同じ素材でできているパンツスーツ。
さらに女性は衣装にマッチする頭が隠れるサイズの帽子の着用が義務付けられているそうだ。
民族衣装もOKで、日本人の場合は紋付羽織袴や振袖が認められているんだって。
大井競馬場とはエライ違いだ。
コレどうなんだろう?…競馬というモノは昔、普段からそういう格好をしている貴族が自分の馬を連れて来て競争させるためのイベントだったんじゃないかね?

5_img_9312こういうイギリスならではの広告を探すのもロンドン歩きの大きな楽しみなんだね。
それとやっぱりプラーク探しは楽しいな~。
ラッセル・スクエアのホテルの向かいの建物にあったブルー・プラーク。

7_img_8951「James Mathew Barrie(ジェイムズ・マシュー・バリー)」がココにあった家に住んでいた…というプラーク。
バリーは「ピーター・パン」の作者ね。

7_img_8950ミュージカルの「ピーター・パン」っていい曲がいっぱい使われているんだゼ。
トッドが『A Wizard/A True Star』で取り上げている「Never Never Land」とか、「You Can Fly」だけじゃないの。
1954年のオリジナルの監督と振り付けはジェローム・ロビンスだったんだね~。
ところがブロードウェイにかける前の西海岸でのツアーでスベってしまったため、ロビンスはいくつかの曲を付け足してうまくノリ切った。
その中の1曲が一番有名な「Never Never Land」なんだって。

7_2ppホテルからこの日の2軒目のパブに向かってブラブラ歩いていて見つけたのがこのプラーク。

520v知らない人はパッと見ただけではナニがナンだかよくわからないでしょう?
「Wing Commander」というのは「RAF」つまり「Royal Air Force(王立空軍)」の上の方の階級の名前。
「F.F.E. Yeo-Thomas」は「Forest Frederick Edward Yeo-Tomas(フォレスト・フレデリック・エドワード・ヨー・トーマス)」という人名。
最後の「GC」というのは勲章の名前。
プラークに書いてあるように「The White Rabbit」とはトーマスのコード・ネーム。
要するに、いつも通り「そういうオッサンがココに住んでいた」というヤツなんだけど、この「The White Rabbit」というのが気になった。
Jefferson Airplaneは好きではないのだが、何やらオモシロそうなニオイがしたのだ。
で、調べてみた。
ヨー・トーマスという人はイギリス軍の「シークレット・エージェント」、つまり「スパイ」で、第二次世界大戦中、ドイツ軍の占領下にあるフランスにパラシュートで乗り込んで、レジスタンスの指導をした。
ゲシュタポに捕まり、散々拷問を受けたが、無事生還し、チャーチルから「George Cross」という2番目に高位の勲章(一番上は「Victoria Cross」)を受勲した。
名前の後に付いているのはこの「George Cross」の頭文字の「GC」。
イギリスのエライ人たちは名前の後にこうやって自分の実績をひっつけて自分のスゴさを自慢するんだな。
イヤらしいね。
例えばCreamのアルバム『カラフル・クリーム(Disraeli Gears)』というタイトルの元ネタになっている19世紀のイギリスの総理大臣、ベンジャミン・ディスレーリなんかは正式な名前を「Benjamin Disraeli, 1st Earl of Beaconsfield, KG, PC, FRS」なんていうらしい。
「GC」は「ガーター勲章」、「PC」は「枢密院」、「FRS」は「王立学会」だって。
Marshallの創設者、ジム・マーシャルだって正式な名前は「Dr. James Charles Marshall, OBE」だぜ。
「OBE」は「Order of British Empire」のこと。
ヨー・トーマスというのはそういう人でした。

530_2プラークでなくても注意深く見て歩いているとこんなモノにも出くわす。540「この石はH.R.H.ザ・プリンセス・ロイヤルによって敷設されました」。
ま、だからなんだ?って話なんだけど、「H.R.H.ザ・プリンセス・ロイヤル」というのは「Her Royal Highness」の呼び名を持つアン王女のこと。
エリザベス女王の長女、チャールズ皇太子の弟。ヘンリー王子の叔母さん。
そうなんです、Marshallの工場に来てくれたあのオバちゃんなんですな。
だから他人とは思えない。
興味のある方は必ずコチラを見てチョーダイ!
  ↓   ↓   ↓
【英王室アルバム】Her Royal Highnessがお見えになりました!

550この日の2軒目のパブはホテルのコンシェルジュに教えてもらって来た。
近くの「The Lamb(ザ・ラム)」という店。
なんだけど…。
ディケンズも通ったというパブで由緒正しいのはわかるのだが、1ブロック先にあった下の「The Perseverance(忍耐)」という店が目に入り、どうしてもこっちに入ってみたくなった。
ナゼなら、ものスゴイ繁盛のしようだったのだ。
一方「The Lamb」はヒッソリ。
一体ナニがこんなにも客の入りに差をつけているのか知りたくなったのだ。

560入ってみる。
セ、狭い!

570カウンターはこんな感じ。

580建物は18世紀の初頭に造られたらしい。
この繁盛の理由はサッパリわからなかった。
多分、混んでいるというより、表にスペースがあるっているだけなんじゃないかしら?
要するに表にお客さんが溢れ出やすい…ということ。

590ブルームズベリーをもう少し歩く。
チーズとワインのお店。
ご覧の通り雰囲気はすごくいいんだけど…オエッ!
私にはクサすぎ。
強烈なチーズのニオイでとても入れたもんじゃない!
しかし、向こうの人はホントにチーズをよく食べるな~。

7_img_9489コレは葬儀屋さん。

600「Burial」は「土葬」、「Cremation」は「火葬」。
「火葬」の方が割安だ。

7_img_9493コレはスゴイよ。
1805年のトラファルガー海戦の旗艦だった「Victory丸」に使われていたデッキの一部(樫)とクギ。
ナンでこんなモノが葬儀屋にあるんだろうね?

620この日の晩はホテルの近く、ブルームズベリーにあるインド料理店に入ることにした。

7_img_8134前日の中華もそうなんだけど、こういうお国の味自慢レストランに入るとエールが飲めないのが残念なんだよね。
中国はチンタオ、インドはコブラになるよね~。

7_img_8136料理はカレー。
お値段も手ごろ、すごく美味しかった。
インド料理って、値段をケチるとクサくて食えたもんじゃない店があるからね。

7_img_8137ナンは丸かった。
店員さんの応対もとても気持ちよくて良い晩御飯でした!
シアワセシアワセ。

7_img_8139<つづく>
 
(2019年6月6~7日 ロンドンにて撮影)

2019年8月13日 (火)

イギリス紀行2019 その4 ~ パブがスキ!<前編>

 
今日はパブの話。
もう好きで、好きで…。
ステキなパブでおいしいエールをキメ込むのはイギリスに行く大きな楽しみのひとつなのだ。
昨日たまたま、ビール好きを自称するイギリス人に銘柄を知らせないで日本とイギリスのビールの飲み比べをさせるというテレビ番組を見た。
結果はどうだったか…アララ、日本ってスゴイ!
ビール大国のイギリス人が日本のビールの方がおいしいってよ!
そんなバカな!
そんなウソをついて一体どうなるって言うのよ?!…宣伝になるんだね。
あんなことをしていたんじゃテレビなんて見なくなってくるよな~。
その試飲に供された日本のビールは「<香る>エール」という、青い缶に入った普通のビールを「エール」と称する珍なるモノ。
私がビールを飲む時は「一番安全」とされているこの青い缶のメーカーのモノを買うようにしていて、その「<香る>エール」を飲むことがマァ多い。
でもアレが「エール」だと思って飲んだことは一度もなくて、どうやって飲んでいるかというと、毎回「コレは断じてエールではない!」と文句を言いながら飲んでいるのだ。
そう、コレは上面発酵させて作る、イギリス人が知っているエールとは絶対に違うモノだ。
さもないと私がイギリスへ行く度に歓喜の涙を流しながら飲んでいる「エール」は、「エール」ではない…ということになる。
あの青いヤツは普通のラガー・ビールだよ。
「エール」というのは名前だけ。
アレが「イギリスでエール」だと思い込んで、どこでもいいからロンドンのそこら辺のパブに入って「エール」を注文して飲んでごらん。
知っている「エール」と全く違うモノが出て来るから。
ウチの社長もそうだけど、イギリス人は日本のビールなんかを喜んで飲むことなんてまずないって。
それぐらい違う。
でもイギリスの名門ブランド「London Pride」を作っているFuller'sは今ではアサヒの資本だからね。
この話は、今回ソーホーでオモシロいモノを見つけたので後日Marshall Blogで取り扱う予定。
 
さて、コレは前の会社の同僚に教わったのだが、今のところ市販のビールで一番イギリスで飲むエールに近いと私が思うのは長野の東御市(こんなの私が長野に住んでいた頃はなかった…「東部町」と「北御牧村」と呼んでいた)にある「OH!LA!HO BEER(オラホビール)」というところが作っている「Captain Crow」というペール・エールかな?
ついでとは言え、好きが昂じて長野の物産館まで行ってしまった。

Cc さて、オックスフォードからの帰り道、ルートを変更してたどり着いた「Temple(テンプル)」駅。
「Temple」というのは「寺」という意味ではない。
近くに「セントポール大聖堂」があるから「寺」なのかと勝手に思っていたけど、考えてみれば「Cathedral」は「寺」じゃないもんね。
この駅名は近くに「Temple Church(テンプル教会)」があり、このエリアが「The Temple」と呼ばれていることから。
テンプル教会はテンプル騎士団が作った教会…とやっていくとまたとんでもなく紙幅を要してしまうのでココでやめる。
正直勉強不足でよくわからんのよ。
でも、面白そうなので勉強して今度はテンプル教会を訪ねてみることにしよう。
とにかくテンプル駅のホームの時計がカッコいいのだ!

10_3コレね。
ロンドンの地下鉄の駅でよく見かける迷路みたいなヤツ。
また別の回に出て来ます。

20v_2地上に出る。
コレで夜の7時半ぐらい。
道の突き当たりの向こう側はテムズ川。

30_3街中のパブは仕事がえりの紳士淑女でどこもイッパイだ。
コレは「Wine Bar」となっているからパブじゃないのかな?
あのね、パブのようなルックスでパブじゃない店っていうのがあって、値段がゼンゼン違うのよ!
コレは後日Marshall Blogの『名所めぐり』でやります。

40_2ロンドンの東のエリア、The Cityは街が古いため、歴史感丸出しのステキなルックスのパブがゴロゴロしている。
このハーフ・ティンバー風の「The George」というパブは、オリジナルが残ってるわけではないにしても開業が1723年だという。
関東大震災の200年前からやってることになる。

50vその並びにある「Twainings」。
あのトワイニング。
トーマス・トワイニングが1706年に世界で最初の紅茶のお店を出したのがコレ。
奥に紅茶の博物館なんてのが併設されている。

60v現在、トワイニングスは「Associated British Foods(アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ)」という企業グループの傘下に入っている。

70_2ナント「PRIMARK(プライマーク)」もこのアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズのメンバーなのだそうだ。
プライマークはイギリスのユニクロみたいな衣料品のチェーン店。
コレがですね~、生半可な安さではないのよ。
今回の旅で何回もプライマークに助けてもらった。
この話はまた別の機会に。
もしプライマークがイギリスと同じ価格体系で日本に上陸してきたらユニクロは間違いなくハラホロヒレハラでしょう。
イギリスにはユニクロが進出してるんだからプライマークも日本に出店すればいいのにナァ。80こんな細いビル。
どうやって建てたのかネェ。

55vその向かいあたりにあるこの立派な建物は…

90_2「The Royal Courts of Justice」…つまり「王立裁判所」。
オープンは1882年、ヴィクトリア女王の時代。

100_2また時計が立派だこと!
やっぱり「世界標準時」の国だからかね?

110王立裁判所の前の「Fleet Street(フリート街)」にある像。
グレムリンか?
コレ、ドラゴンなんだって。
「Temple Bar(テンプル・バー)」といって、地区の分かれ目を示しているそう。
王立裁判所があるのは「ウエストミンスター(Westminster)地区」で、そのお隣が「シティ(The City)地区」。
その間に鎮座ましましているのがこのドラゴンなのだそうです。

120v最初の目的地はコレ。
横浜の馬車道あたりに残っていそうな銀行のような建物。

130_2看板にあるのは「Old Bank of England」。
向こうに見えるドラゴンのシルエットがチョット不気味。

140_2迷わず入る。
ギィィィィィィ…入り口のドアからして重厚だ。

145vウェルカム・ボード…感心、感心。
こんなパブは他にないよ。

146ドーン!
店内はこんな感じ。
コレがパブなの。
お店の名前の通り、ここは元イングランド銀行のフリート街支店。

150_2「イングランド銀行」というのは日本で言えば日銀ですからね。
そりゃ立派にキマってる。
映画『Mary Poppins』のあのオヤジが銀行員って威張りくさってたでしょう?
昔のイギリスの銀行のステイタスたるや相当なものだったに違いない。
160ココは1888年から1975年までの87年間、銀行として使用されていた。
第一次世界大戦下では、この地下室に王室の財宝を保管していたらしい。
銀行の建物は普通やたらと頑丈に作られているからね。
その地下室は今では酒の貯蔵庫やら厨房になってるんだと。

170_3カウンターも立派でカッコいい!

180_3奥の壁も天井も美術館みたいでしょ?
もちろん入場料は取りません。
こんなにステキな内装なのに、何もない外のテーブルでイッパイやっている人たちがたくさんいるんだぜ…バカでしょう?

190_2実はこのパブ、「元銀行」ということの他にもうひとつ名物がある。
それはコレ…「Sweeney Todd(スウィーニー・トッド)」。
Stm
最近ではジョニー・デップの映画化でその名前をご存知の人も多かろう。
イギリスでは定番中の定番のミステリー。
日本で言えば「四谷怪談」とか「牡丹灯籠」みたいにイギリス人であれば、「切り裂きジャック」や「ガイ・フォークス」のように誰でも知っている有名な話。
「ガイ・フォークス」ってのはコレね。別に怪談ではないんだけど、「Guy Fawkes Night」なんて風習があるぐらいのイギリス人なら誰でも知っている話ね。
コレもまた別の機会にやりましょう。

3gf 「Sweeney Todd」には「The Demon Barber of Fleet Street(フリート街の悪魔の床屋)」と物騒な副題が付いている。
上に何度か出したように、「フリート街」というのはこのパブの前の通りね。
もう大体察しがつくかな?…ジョニー・デップの映画を観た人なら尚更だろう。
ご存知のない人のために簡単にこの話のあらましを書くと、スウィーニー・トッドという床屋がミートパイ屋の女主人ラベットと組んで、トッドがノドをかっ切って殺した客の死体を地下の通路を使ってパイ屋に運び、精肉してミートパイの具にして売っていた…という事件。その犠牲者の数たるや約160人!
日本でもだいぶ前に「手首ラーメン」という事件があったけどね。そんなもんじゃない。
で、床屋からパイ屋に死体を運んだ地下の通路というのが、このパブの下にあったというのだ!(映画ではパイ屋の二階が床屋という設定になっているので地下道は出てこない)
ナゼかコレがミュージカルになって何回も何回も上演され続けている。
そんなこととは知らずにこの映画を観たところミュージカル仕立てになっていたのでビックリした。
作詞作曲はスティーヴン・ソンドハイム。
『ウエストサイド物語』の歌詞を担当した人ね。
ソンドハイムは両親が離婚していて、オスカー・ハマースタイン二世の息子が友達だった関係で、ハマースタインが代理父を務めたというんだからビックリ。

St ところで、この「悪魔の床屋」って実話だと思う?
せっかくこのパブに行った身としては実話であってほしいんだけど…。
実際に「トッドは実在したか」という論争が昔から繰り返し起こったらしいが、残念ながらフィクションなのだそうだ。
19世紀後半頃にはイギリスの市民の識字率も向上し、読書が庶民の大きな楽しみになった。
きっと長い長い冬を読書をして過ごしたんでしょうね。
元々イギリスはシェイクスピアを輩出した、日本と並ぶ世界に冠たる「読書大国」だからね。
「Penny Blood(ペニー・ブラッド)」とか「Penny Dreadful(ペニー・ドレッドフル)」という1ペニーで買えるスリラー小説が大流行し、その中から生まれたのが「スウィーニー・トッド」なのだそうだ。
一方、ホワイト・チャペル(比較的フリート街に近い)の娼婦の連続殺人でロンドンの女性を恐怖のどん底に叩き落したのが有名な「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」事件。
こっちは「スウィーニー・トッド」と同じ時代に実際に発生した犯罪だ。
結局、犯人は捕まらなかった。
OEDの編纂に大きな貢献をした気の狂ったアメリカ人もそうだけど、昔のロンドンはヤケクソに物騒だったらしい。
 
映画の話に戻ると、同じティム・バートンとジョニー・デップのコンビによる『シザーハンズ』が好きな私にはなかなかにヨカッタかな?
ジョニー・デップの歌声が意外にカッコよくて驚いた。コレは吹替えなのかしらん?
でも、一番面白かったのは特典DVDに収録されているスウィーニー・トッドの舞台となった19世中頃のロンドンの様子を解説したドキュメンタリーだったけどね。

2st22階席から見下ろすとこんな感じ。
素晴らしいね!

200_2ハンド・パンプはこんな感じ。
また店員の女の子が大変なカワイコちゃんだった。
見眼麗しいだけでなく、エールをパイント・グラスに注いでいる間に「How was today?」なんて話しかけてくれてね。
ブレナム宮殿に行って来た話をするとうらやましがってくれた。

210今日、1杯目のエールとメニュー。
もちろん「ミートパイ」もあるよ!
でも、こんな素敵なパブでも結局は大手のビール会社の経営なんだよね~。
そういう経営形態のパブを「Tied House(タイド・ハウス)」という。
反対にインディーズで経営しているパブは「Free House(フリー・ハウス)」というのだそうだ。
ココは「McMullen(マクミューレン)」系列のタイド・ハウス。
したがって「店内の雰囲気だけでなく食べ物も最高!」なんて言っても「McMullen」の看板がかかっているパブならどこでも全く同じモノを飲んで食べることができる。
要するに食べ物に関してはただ温めたり、揚げたりして出しているだけなんだろう。

215それでもシアワセ~!
隣合わせたカップルの奥さんに家内と一緒のところの写真を撮ってもらった。
バックを意識した存外にいい感じの写真だったので「Nice framig!」とお礼を言うと、ダンナが「She's a professional photographer」とか言ってたけど、断じてそれほどではなかったぞ。

220_3ハイ、2軒目に行くよ~!
ま、チョット順路は違うんだけど「Holborn(ホルボーン)」あたりをうろついてみる。

230_2フィッシュ&チップスか…。
フィッシュはまだしも、チップスは大分飽きてきたな。
イギリスから帰ってしばらく食べたくないモノの筆頭はいつもフライド・ポテトなのだ。

240_3ハイ、クイズ。
「Vape Shop」ってナンでしょう?
そう、「電子タバコ屋」。
タバコとは無縁の生活をしている私は「蚊取り線香屋」かと思ったんだけど、ハッと思い出してそれはない…と思った。
ナゼなら「イギリスには蚊がいない」とMarshallの社長が言っていたのを思い出したのだ。

250_3「Sicilian Avenue(シシリアン・アベニュー)」というチョットした商店街。

260_2こういうところがまたステキなんだな~。

280_3サウザンプトン・ロウとブルームズベリー・ウェイという通りが交わる交差点。
ムムム!
なんだアレは?
ヤケクソに気になるぞ…さっそく見に行ってみよう!

440_3サウザンプトン・ロウにあったコレ。
上の写真のバスのすぐ横。
線路だよ。
地下鉄の入り口かな?

450_2線路は手前で切れているので昔使っていたということなのだろうか?
トンネル内の電気がついてる。
見に行きたいけどさすがに無理だな。
残念!

12img_9396<つづく>

(2019年6月6~7日 ロンドンにて撮影)