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2019年9月

2019年9月26日 (木)

イギリス紀行2019 その11 ~ 大英図書館を楽しむ

 

「世界の4大博物館/美術館ってど~こだ?」というクイズの答えの定番は「メトロポリタン、ルーブル、エルミタージュ、ダイエー」らしい。
コレを聞いて「スゲエ!ダイエーってそんなにスゴい美術館を持ってるんですか?やっぱり福岡にあるんですか?」と、かつて私の目の前で本当にそう言ったバカがいた。
「ダイエー」ではない。
「大英」だ。
昔なら「ガメラ」だぞ。
で、「大英」とくるとどうしても「博物館」になっちゃうよね。
でも、もうひとつの「大英」もスゴクおもしろい。
それはこのおなじみのセント・パンクラス駅のお隣りにある。

10コレがそう。

40「British Library」、つまり「大英図書館」ね。
アリスの看板が目印…でもないか。
みんな大英博物館には行くけど、「大英図書館に行った」という人は滅多に聞かない。
そんなの絶対にモッタイない。

25v_2ね、後にセントパックラスのゴシック様式の尖塔が見えてる。

20同じ国営の図書館とはいえ、そのオモシロさたるや永田町の国立国会図書館なんか足元にも及ばない。
ま、図書館は遊び場ではないんだけどね。
でも国立国会図書館って大学生の時、一時期よく行ったんだよね。
というのは、アメリカ文学の授業で生きていて一度も聞いたことのないアメリカの小説が教材に選ばれた。
サラ・オーネ・ジュエットという女流作家の『The Country of the Pointed Firs』なる1896年の作品だった。
で、文学部の授業だから原文で読まなきゃならないんだけど、みんなそれがイヤなワケ。ペイパーバックしかなくて読みにくいし。
そんなのオモシロいハズがない。
それで生徒たちは血眼になって翻訳を探した。
当時はインターネットなんて構想すら知らなかった時代だからね。
で、どうしても見つからなかった。
今にして思うと、教授もそれを知っていてその作品を選んだのかも知れない。
ところが見つけたんですよ…私が!…国立国会図書館で!
特段その翻訳本を探しに行ったワケではなくて、ジャズの本を見に行って偶然見つけたような気がする。
早速、閲覧を申し込んでいならく待っていると、出て来たのは想像をはるかに超えた古い本で、すべて旧仮名に旧字体。恐らく戦前に上梓されて初版で絶版になった類に違いない。
何回か通ってコピーさせてもらって友達に配った。
みんなに大変ありがたがられたことは言うまでもない。
その翻訳本自体がとても読みにくく、結局はそれも読まなかったんだけどね…それでも成績は「可」でした。
単位が取れれば上出来!…ウソ。そんなことやってないで、もっとチャンと勉強しておけばヨカッタよ。

Cp_2私はココが好きでもう何回も来ているんだけど、今回初めてジックリと中を拝見させてもらった。

30前庭にある巨大なオブジェ。
え…ビックリした!
ウンコしてるのかと思った!
80エデュアルド・パラロッツィという人の「Newton」という作品。
こんな機会でもないとニュートンのことなんて知るチャンスはなかろう…と、調べてみると、リンゴの逸話でおなじみの「万有引力」ばっかりだけど、スゴイのね。
詳しくは書かないけど、数学者、物理学者、天文学者、神学者、おまけに造幣局長までやってたっていうんだから。
微積分法の発見に巡ってはライプニッツと20年越しの裁判をしたり、錬金術やオカルトの研究までしていたとか…。
このオブジェの「ニュートン」が果たして「アイザック・ニュートン」そのモノなのかどうかは知らないが、ナニせすごい。

60尖塔の先っちょだけだけどセントパンクラス駅を裏側から見るのもいいもんだ。
まるで外国に来ているようだ。

90大英図書館のオープンは1973年と、実は新しい。
元々は大英博物館の図書館で、それを分離し、いくつかの図書館を併合して設立された。

100入り口では当然のごとくセキュリティ・チェックでカバンの中を調べられる。
昔はこんなことをしてなかったんよ。

110中は吹き抜けになっている。

120とても図書館には見えない。130壁には何やら「知の巨人」の胸像が並んでいる。

140今、エントランスから入って、通って来たところを振り返るとこんな感じ。
そして、もう一度前に向き直ると…

160ドワ~!本!
コレが入り口からはよく見えない。

170それで近寄ってみるとコレが目に入る。
1階から吹き抜けの一番上までぎっしり詰まってる。
コレってもしかして飾りなのかな?イヤ、そんなことないわな。
とにかく圧巻!

185v大英図書館の現在の蔵書数は2,500万冊以上。
付帯する資料を含めるとその数は1億5千万点に上るらしい。
国立国会図書館の3倍以上。

190まぁ、とにかくコレをチラリと見るだけでも来る価値はあるよ。
それと見て…いたる所に机とイスが設置されているでしょう?

180机には電源が用意されていてパソコンを持ち込んで不自由なく使えるようになっている。
ウチの近所の区立図書館なんかはこの設備がない。
つまりパソコンの使用を禁止しているのだ。
あのな~、図書館ってのは本を借りに行くだけの設備じゃねーんだよ。
理由を聞いたら「パチパチうるさいから」だとか…ま、コレはわからないでもない。
でもそれなら場所を区切ってパソコンを使う人と使わない人を隔離すれば話は済む。
もうひとつの理由にムカっぱらが立った。
「それとパソコンをお持ち込みになられる方は長居されるもので…」
ヒドくね?
「じゃ、区民税を半分返してもらいましょうかね?」とまでは言わなかったが、図書館まで使い方や考え方が違うんだよ、世界の一等国と五等国では。

210たくさんの若者たちが一生懸命勉強している。

220よく政治家が「海外視察」なんて税金で海外旅行を楽しんでいるでしょ?ハラが立つのであまりその手の情報に近寄らないようにしているんだけど、ああいうのは何を勉強しに視察しに行くのかね?
もちろん必要に応じてそれらしきこともするんだろうけど、私なんかはこうして海外に来ると、普通の人たちの暮らしの中に「コレこそ日本もマネしろよ!」ということやモノをよく見かけるのね。
日本にも「パソコン使用OK」という公立図書館はあるでしょうけど、こんな様子にチョコッと接しただけでもそんなことを考えてしまう…のは年を取って根性が悪くなっているからなのか?

230さて、実は今回の記事のメインはコレ。
「TREASURES」…つまり宝物殿。
「書物」というと簡単すぎるな…とにかく古今の「書かれたモノ」全般にわたって極めて貴重な資料が展示されている。
昔はね、すごく小ぢんまりした設備だったのよ。
それが今ではいち博物館の体をなすほど立派になった。
ところが!
残念ながら写真撮影は厳禁なんですよ。
いつかそれを知らないで撮影していたら、ものの数秒で屈強な黒人のガードマンがすっ飛んで来て「No photo」と言われた。
ということで、モノはお見せできないので、ナニが展示されているのかを文字とイメージ画像でレポートさせて頂くことにする。
ココ、有料でいいから写真OKにしてもらいたいわ~。

240私が一番最初に大英博物館に来た目的はビートルズ関連の資料だったので。
ナニが展示されているのかと言うと…
①ジョン直筆の「She Said, She Said」の歌詞のメモ。

Rv ②ジョンがスチュアート・サトクリフに送った1961年の手紙。
そこにこんなことが書いてあった…「I remember a time when everyone I loved hated me」。
つまり「ボクが大好きな人はみんなボクをキラっていた時のことを覚えているよ」。
何を意図しているのかは知らないけど、チョット気になったのでメモしてきた。

Sb ③「A Hard Days Night」の直筆歌詞。

Ahd ④「Micchelle」のポールの直筆歌詞。

Mc ウ~ン、他にも色々あったハズなんだけどな…大分展示を入れ替えるんだな~。
ケチってないで全部出せばいいのに。コッチャ遠くから来てんだからよ。
 
で、今回すごく興味深かったのが、クラシックの音楽の楽譜。
コレは、2003年にロイヤル・フィルハーモニック協会が所有する資料をが100万ポンド(当時の為替レートだと2億3千万ぐらいかな?)で大英図書館に売却したウチの一部…のようだ。
コレも私が初めてココに来た時はなかったように思う。
その売却された資料の中には270曲の楽譜が含まれていたのだそうだ。
ところで「ロイヤルフィルハーモニック協会(The Royal Philharmonic Society)」ってのはナニか…オーケストラなどの器楽のコンサートを催す団体で、ややこしいことにロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とかロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とは関係ないらしい。
でも、スゴイよ。
このロンドン・フィルハーモニック協会が頼んで作ってもらったり、初演を企画した楽曲には…
ベートーヴェンの「交響曲第9番」、メンデルスゾーンの「交響曲第4番『イタリア』」、サン=サーンスの「交響曲第3番『オルガン付き』」、ドヴォルザークの「交響曲第7番」なんかがあるっていうんだから。
確かリージェント・ストリートのどこかに『「第9」初演の場所』というプラークがかかっていたな…。
あった、あった、コレだ。

8_img_03471825年3月1日、「イギリスでの初演」ということですな。

8_img_0346 バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、ドビュッシー、マーラー、ブリテン、エルガー、シェーンベルグ、ヴォーン・ウィアムス等々の直筆楽譜がズラリと並んでいて見応え十分!
 
他にも世界の宗教関連の本、古地図、それから美術品としての本の展示、さらにマグナ・カルタのコーナーなんてのもある。
またディケンズやキャロル、ブロンテ姉妹の初版本とかね。
シェイクスピア関係はそれほどでもないかも。シェイクスピア周辺の資料は豊富でもシェイクスピア自身のメモラビリアは期待できない。
 
それと下の写真のヤツ。
コレは宝物ルームの外の廊下なんだけど「PHILATELIC COLLECTION」とある。
「philatelic」って何のことかと言うと「切手」のこと。
コレも撮影禁止なんだけど、この板をグイっと前に引き出すと、切手がズラリと並んでいる。
とても細々と見る気にもならないが、コレまた圧巻。

245初めて上の階に上がってみた。

260え…「The Alan Turing Institute(アラン・チューリング学会)」?

270「アラン・チューリング」ってあの「Bombe」の「アラン・チューリング」?
こんなのあるの知らなかった!

280と、思ったらその手前には…

285vエニグマ暗号機!
初めてホンモノを見た!

290「エニグマ」は第二次世界大戦中の世界最強と言われたドイツの暗号機。
その暗号を「Bombe(ボンベ)」というマシンを持ってして解読に成功したのがアラン・チューリング。
この人の功績がイギリスを第二次世界大戦の勝利へと導いたと言われている。
でも、コレちょっと違っていて、チューリングばかりがエライというワケではなかった。
何でもこの人、2021年までに新しい50ポンド紙幣のデザインになるって言うじゃない?
コレね、チョットした裏事情があると私はニラんでいるの。
その話はまた今度。
ナゼなら、今回の旅でエニグマ暗号を解読した研究所があった場所にに行って来たのだ!…といってもMarshallの工場のすぐそばなんだけどね。
そのレポートを書く時に私の邪推を書いておきます。

300しかし、この時は感動したな~。

310コレがイギリス軍を苦しめたスクランブラーか!

316そして、さらに暗号作成を複雑にしたリフレクター。

320なんて大感激をしたんだけど、実は、コレってそう珍しいモノではない…ということが後になってわかった。
要するに大ヒット商品だったので流通量が多く、どうも残留品が多いようなのだ。
一方のチューリングが作った「Bombe」はどうかというと…コレは後日のレポートを読んでのお楽しみ。

315裏はこうなってる。
保健室にある救急箱を平べったくした感じ。

330さらに上の階に上がってみる。

349「ダ・ヴィンチ展」なんてのも企画されているようで、そう、美術館的な要素も感じられるんだよね。

150その雰囲気通りこんな写真展をやっていた。

350「The New Londoners」と題した新しい世代のイギリスへの移民の家族をテーマにした写真展。

360私はこういう写真には興味がないのでシレっと拝見するに止めた。

370v皆さんもロンドンを訪れた際にはゼヒ寄ってみてください。
おススメです。

0r4a0298

2019年9月25日 (水)

イギリス紀行2019 その10 ~ 大英博物館の中の日本

10チョット、ごめんちゃい。
また大英博物館ネタ。
というのは、久しぶりに見に来たのはいいけど、「久しぶりに見ておこう」と思っていた日本の展示コーナーが閉まっていて、後日ひとりでリターン・マッチをしたから。

20昔の大英博物館の様子をインターネットで発見。
ナニかの展示ということになると、昔はこうして大変な賑わいを見せていたらしい。

8_bm 例の「マンガ展」。

30もちろんパスしたけどね。

30v入り口のドアに掘ってあるライオン。

35入り口に置いてあった特別展のチラシ。
マンガ展とムンク展。
チラシといっても、型紙に印刷してあって、まるで絵葉書のようなんだけど、両面に印刷されているのでハガキとしては使えない。
V&Aでも盛んにこういうのを作って配っているんだけど、どうしてこんな立派な紙を使うんだろうナァ。
つい集めたくなってしまうじゃないか。

40大英博物館のシンボル、「Great Hall」。
他でも書いたが、中は円形の図書館になっていて、昔は自由に出入りすることができた。

50シースルーの屋根を見上げるとゴミみたいなものが乗っている。
コレ全部鳥なの。

60おお~!
イス持参かよ!やることが大胆だな。
実際、博物館とか美術館って知らない間にものすごく歩いていて気がつくとクッタクタになっているのが普通なんだよね。

65…と思ったら、無料でイスを貸し出してた。
しばらく来ない間にこんなサービスが導入されていたのね?

66ひと通りグルリと回って…

67ハイ、ロゼッタストーン…の裏。
こんなんなってる。
コレはこのままソロでボッコンと存在していたワケではなくて壁だか柱だかから切り出して来たんだよね。
だから背面はこんな風になってる。
やっぱり裏が人気ないな。

70vおなじみのエジプト系。

80やっぱりココはエジプトというか、ミイラというか、このあたりのコレクションが売り物だからね。

90v好きな人にはタマらない。
エジプトに興味のない人はV&Aの方が断然オモシロイだろう。

100マンガ展の入り口。

110vココが日本の展示コーナー。
最上階で最も奥まったところに位置している。

120やっぱり人気の「根付(ねつけ)」のコレクション。

160何やらココの根付のコレクションはユーモラスなヤツが多いな。

140ご存知の通り、また別項でも説明した通り、根付は男性が煙管や財布や矢立といった類の小物を帯に引っ掛けておく時の留め具として使われた。
もともとは木片などで作られた機能重視のアイテムが多かったが、江戸時代に小型の彫刻品としての地位が高くなり、象牙を素材とするなど豪奢な根付が流通するようになった。
やっぱり平和でないと文化は育ちませんな。

130それが江戸の時代が終わり、明治の時代に入りと一気に日本人の洋装化が進み根付が不要になった。
すると今度は「美術工芸品」として西洋での人気が高まった。
「根付なんてもう使わないから要らないでしょ?」とか何とか言われて二束三文で売り飛ばしたんだろうね。

170大英博物館は3,300点もの根付をコレクションしてるんだって!
上の古代エジプトのコレクションをエジプトが「もう返してチョーダイよ」とイギリスに申し入れると、イギリスは「バカ言っちゃいけません!我々がイギリスに運んでキチっと保管しているからこうして残っているんでしょうが!あなた方に任せておいたら全滅してましたよ。我々が持って行ったことに感謝してチョーダイ」ぐらいのことをエジプトに言ったという話は有名だが、日本もさして変わらん。
それと、この世の中の「モノやコトの価値」というのはいつでも欧米が作っているということを痛感しますな。

150v仏像の類は定番だ。

180v武具甲冑もとても人気が高いらしい。

190表には出していないけど、多分こういうモノもたくさん持っているハズ。

200v能や歌舞伎のアイテムも欠かせない。

210埴輪もあるよ。

210vおわッ!火焔型土器や王冠型土器。
十日町の博物館のヤツとまったく同じヤツやん!
国宝だよ、コレ。
一体どうやってゲットしたんだろう?

220土器の前に1冊のマンガ本が…

230手塚治虫の『三つ目がとおる』にこれらの土器が登場します…と紹介している。
「Osamu Tezuka」はスゴイな~。
マンガといえば手塚治虫か『浦安鉄筋家族』しか読まない私だけど、残念ながら『三つ目』は読んだことがないんだよな~。

240こんなにキレイな銅鐸も。250それに鏡。
仏像に土器に武具甲冑…要するに上野の国立博物館のハイライトみたいなもんよ。

260そしてマンガ。

270vナゼかマンガのコーナーに展示してあった本は『ひみつのアッコちゃん』。
イギリス人よ!キミたちにもこの赤塚不二夫の偉大なるクリエイティビティとオリジナリティが理解できるのか!
もうね、赤塚不二夫はジャズ界で言えば完全にオーネット・コールマンだと思ってるから。

280上で紹介したチラシにもあった星野之宣という人の『宗像教授伝奇考』。
もちろん私がこういうのを知っているワケがなくfacebookでお友達にこのオジちゃんが誰かを教えて頂きました。
ああホントだ、火焔型土器が描かれているね。

290vそして鋤田正義のデヴィッド・ボウイの写真。
山本寛斎をフィーチュアしている。

300コレは「出火吐暴威変化鏡(でびっどぼういへんげきょう)」と題された版画。
右下には「いし 上野屋」、左には「彫師 佐藤奈美、摺師 中山誠人」というクレジットが入っている。
「いし」というのは絵師の「石川真澄」のことか。
コレは現代のミュージシャンを木版画で表現する「UKIYO-E PROJECT」という連作のウチのひとつ。他にもKissやIron Maidenをモチーフにした作品があるようだ。
大英博物館の展示品は[26/200」。
イヤ、この2点、ナニが言いたいかと言うと、イギリスにおけるデヴィッド・ボウイの存在の大きさよ。
ホントにイギリスのボウイとピンク・フロイドとロンドン・パンクは我々が知っているそれらとは意味が全く違うから。
ロックではなくて、それぞれが独立した「文化」なんだよ。
死んだ時だけに大騒ぎする日本人とは土壌が全く違うのだ。

310vまた何年かしたらまた訪ねてみようっと!

320(一部敬称略 2019年6月11日 ロンドン大英博物館にて撮影)

2019年9月 4日 (水)

イギリス紀行2019 その9 ~ 引っ越し

 
イギリス滞在14日目。
昨日、家内が先にひとりで日本に帰っちゃったからな~。
あと1週間、寂しぞ~…なんてことをスッカリ忘れさせてくれるような大快晴!
今日は丸1週間滞在した、住み慣れたラッセル・スクエアの「プレジデント・ホテル」を出て、安宿に引っ越す日。
ひとりになるからね。
自分1人だったらマァどんなところでもいいからね。経費の節減だ。
荷物をまとめて比較的早い時間にチェックアウト。
この窓からの景色もコレで見納めだ。
10行き先はキングス・クロス駅の周辺。
ロンドンは主だった通りの角々にこうした地図が掲示してあって実に便利。
チョット「迷ったかな?」なんて時にもこの地図のおかげですぐに軌道修正できる。
もっとも今は「ナビ」っての?
皆さん、スマホ片手にスイスイよ。
街角でこんな地図を見ているのは私とお年寄りぐらいのモノ…あ、私自身がお年寄りだったわ。
とにかくおおまかな方向と目指す場所の通りの名前さえわかっていれば、ロンドンの中心部にいる限りまず迷うことはない。
15問題は荷物。
6月1日にミルトンキーンズで開催されたMarshall Liveが終わって、そこから向こう約10日分の衣料を詰め込んだスースケースを携えてロンドンに移動して来た。
それぐらいの荷物ならワケないんだけど、カメラだのレンズだのパソコンだのを詰め込むと、コレが信じられないぐらいの重量となる。
取り急ぎ必要のないモノはMarshallの本社に置いて来たつもりなんだけど、以前書いた通り「大は小を兼ねる」と特大サイズのスーツケースを持って行っただけになんやかんやとつい詰め込み過ぎてしまうのだ。
そして、ロンドンに来るときは車だったでしょう?
だからそのスーツケースがコレほどまでに重かったとは気づかなかった!…というかナントカなると思い込んでいた。
もちろんスーツケースの底には4つのキャスターが付いているが、果たしてこの重さに耐えられるかどうか…。
キャスターが壊れたら一巻の終わりだ。
こりゃナントカならんかも知れん。
何しろ簡単に持ち上げることすらできない有様なのだ。
これから直線距離にして約500mを歩いて次のホテルに移動する。
大した距離ではないが、コレがツルツルの地面だったら問題ないのだが、ロンドンの歩道は年季が入ってるもんだから、あちこちの石畳やブロックがズレまくっていて、ホーチミンほどではないにせよ、デコボコな箇所や段差がやたらと多いのだ。
そんな悪路でスーツケースのキャスターを壊さないように…と用心深く、そして少しずつ歩いていたらたった500mの道を移動するのに30分以上かかってしまった。

7_rtok何とかたどり着いた所がコレ。
ココにこれから3泊ほどご厄介になる。
ロンドンではそこら中で見かける「ホテル」とは名ばかりのB&B。
30でも、ロケーションは最高!
何しろキングス・クロス駅がすぐそこに見える。

50歩いて1分ぐらいか?

60その隣は当然セント・パンクラス駅。

70「ヨーロピアン・ホテル」と大上段に構えた名前。
実はこの時、ブッキングのミスが発生していて、前の日にチェックインすることになっていた。
それに気づいて数日前に予約をしたウェブサイトを通じてキャンセルを申し入れようとしたのだが、どうにもキャンセルを申し入れるページが探し出せなくて、仕方なくこのホテルのウェブサイトにメールでキャンセルを申し入れた。
返事はなかった。
ちゃんとキャンセルされているかどうか心配しながら、朝9時頃にチェックインすると案の定「昨日チェックインする予定でしたよね?」とコチラの様子を窺って来た。
東ヨーロッパ出身風の頑丈そうなお姉さんだ。
そう来ると思っていたので、打ったキャンセルのメールのスクリーンショットを見せた。
すると彼女は「アラ~、不思議ね。届いてないわ…でも気にしないでいいわよ。キャンセル扱いにしておくから。一日分は請求しないでおくわね」と、事後にもかかわらず気持ちよくキャンセルに応じてくれた。
それどころか、「今朝はもうごはん食べた?よかったら下の食堂で食べって行って!」と親切に朝食を誘ってくれた。
なんたる親切!
こういういいB&Bに当たるとうれしいね。
「アラ?もしかして9時過ぎてる?ゴメンナサイ…朝ごはんは9時までなの!」ということで頂戴することはできなかったが、気持ちがうれしいじゃないの!
コレは後日譚。
日本に帰って送られて来たクレジットカードの請求を見ると、このホテル名義の請求が2件計上されていた。
結局キャンセルされていなかった。
つまり、ホテルはキャンセルしてくれたのだが、間に入っていたホテルの斡旋サイトにキャンセルの通知が届いていないので、そちらからシッカリと請求が来た…というワケ。
まぁ、こうなるとはウスウス思っていたんだけどね。皆さんも気を付けてください。
キャンセルは必ず申し込んだ先にすべし。お姉さんの好意が「無」になってしまった。
 
次は荷物。
こうしたB&Bのようなホテルにはエレベーターなどあるハズがないことはわかっている。
「頼むから1階の部屋であってくれ…」と心の中で祈っていると、お姉さんが部屋の鍵を渡してくれた。
「ハイ、部屋の鍵をどうぞ~!部屋は3階よ!」

80果たしても荷物を上げることができるのか…?
一旦、荷物をレセプションに預けて部屋までのルートを下見してみた。
気分はチョモランマかK2の登頂だ。
コレは持ち上げて上がることは到底できないな…無理してまたヒザをやってしまったら大ごとだ、と思い作戦を立てた。

90vもうコレしかない。
本当に階段のステップ一段ずつスーツケースを上げて行ったのだ。
コレはシンドかったし、時間がかかった。
そのかわりチェックアウトの時は簡単だった。
反対にツルツル~と滑り下ろしてやった!

100v部屋はこんな感じ。
どうせ寝るだけなんだからコレで十分!
この時は必要なかったけど、当然エアコンはなし。
天井に扇風機が付いているだけ。

110v窓の外は…というと、「アーガイル・スクエア」という公園でなかなかの眺め。
遠くに「BTタワー」が見える。

120向かって右が玄関。
左がバスルーム。

120vその真ん中についている電気のスイッチが気になる。
オッソロしく雑な仕事。
よくコレで検収したな。

125バスルームと言ってもバスタブはない。
シャワールームというヤツ。
ちゃんと普通にお湯が出るだけでも相当優秀だ。

130v枕元にあるドア。
なんだと思う?
押し入れだと思うでしょ。

140v枕元にトイレ!
あ~、トイレが近くにあって助かるわ。

150vこういうのは日本のビジネスホテルと変わらない。
Wi-Fiは完備。
コレで朝食がついて1泊7,000円ぐらいかな?
このロケーションなら相当安いでしょう。
物価の高いロンドンではチョコっと朝ごはんを食べても1,000円近くになってしまうことも珍しくないので、「朝食込み」か否かはかなり重要なポイントだ。

160この日は朝食にありつけなかったので近くのPRET。
普通のコーヒーが飲みたいのに、ロンドンでこういう所に入ってメニューを見ると「エスプレッソ」だの「カプチーノ」だのばかり。
「ブレンド」なんてのは日本だけでしょう。
「コーヒー、プリーズ」なんてオーダーしたところで「ハァァァァ?」という反応が返ってくるのはわかりきっている。
じゃ、どうオーダーするのかというと、ココでは「アメリカーノ」という。
「ハハン、そういうことか…」と、滞在中PRETに行くと「アメリカ―ノ」と「リ」を少々巻舌にしてオーダーし、そればかり飲んでいたけど、エスプレッソを薄くしたモノを一般的にそう呼ぶことを後になって知った。
この時もアメリカーノとジャムの入ったクロワッサン。
コレが大きくて実においしい。とにかくパンが美味しいんだよね。
もうコレだけで十分。

170コレは他のPRETの店舗のようす。
「QUEUE」という言葉がうれしい。
「列」という意味ね。
クツがパンでできている。

Img_9015食べ物のコーナー。
安心の無化調。
私は一切食べなかったが、家内によるとデザートもすごく美味しいらしい。
滞在中、彼女はアサイーのヨーグルトに夢中になっていた。

Img_9014そして、コレ。
チョット失礼。
見て、この砂糖の数。
1、2、3、4……今入れているヤツも含めて全部で7つ。
コレ、持って帰るのかと思うと問答無用で全部入れちゃう。
向こうの人ってみんなこうなんだよね。
ウチの社長も事務所でコーヒーを入れてあげると角砂糖にして3個分ぐらいの砂糖を平気で入れちゃう。
お子様か!
紅茶もミルクを盛大に入れるのが当たり前だもんね。

Img_9011PRETを出て発見した地図。
コレがイケなかった。
この地図で「London Canal Museum」というのがすぐ近くにあるのを発見してしまったのだ!

175vこの日はすでに行くところがキマっていて、最高の天気だったのでチョーうれしかった。
通りはユーストン・ロード。
セント・パンクラス駅の向こうは大英図書館。
その向こうはユーストン駅。
Marshallに電車で行く時はその駅を利用する。
つまり、数日後にはそこへ行くんだけど、例のクソ重い荷物が心配だ!

180やっぱり撮っちゃうセント・パンクラス。
これまで一体何枚コイツの写真を撮ったことか…それでも撮っちゃう。
昔はインターナショナル駅化のための工事をズ~っとしていたが、もう何年か前にそれも終了しかなりスッキリした。

185反対側はこんな感じ。
この「FIVE GUYS」って知ってる?
アメリカのハンバーガー屋。

190キングス・クロス駅の構内。
スコットランドへ行く時はこの駅を異利用する。
例のハリーポッターの何番線だかのホームがあるところね。

210駅のコンコースで出くわした映画『ゴジラ』の広告。
今度は「ラドン」やってんのか…。
海外では「ロダン」ね。
フランク・ザッパの子供のひとり「アントロダン」はココから名づけられたんだよね。

200v今日の昼の予定(どこでナニをして来たのかはMarshall Blogの『イギリス-ロック名所』めぐりで後日レポート)は無事終了して大満足。
オマケで朝街頭の地図で見た「London Canal Museum」に行ってみた。
場所はキングス・クロス駅の裏をチョット入ったところ。
その前にお腹が空いたので…

220PRET!
ちょうど博物館に行く途中の曲がり角にあった。

225s

午後になっていたのでスープが並んでいた。
今回はちょっとエスニックな感じのココナッツ風味のチキンと野菜のスープ。美味しかった。
それとハムとチーズのホットサンド。チョットしょっぱいんだけどコレも美味しい。
本日2回目のPRETも美味しく頂きました。
この時はアメリカーノはなし。
PRETって数年前まではキライだったんだけどね~。
ココに頻繁に入る理由は取り扱っている商品の魅力以外にもあってね…それはWi-Fiなんですわ。
私のスマホは海外で使えないのでWi-Fiに頼らざるを得ない。
一度どこかのPRETで登録をしておくと、どこのPRETでも入れば、あるいは店の近くにいけばいつでもWi-Fiが飛んできてくれるので便利なのだ。

230お、標識が出て来たぞ。

240コレがその「London Canal Museum」。
つまり「運河の博物館」。

250私はこのイギリスの運河にとても興味がありましてね~。
5ポンド(700円チョット)なんて喜んで払っちゃう!

260さぁて、一体ナニを見ることができるのかな~?

270館内に足を踏み入れるとこんな感じ。
なかなか良さそうだぞ。
その前にトイレ、トイレ…。

280ココでも発見!
いつかやったヤツ。
ね、「ヒモ」のことを「cord」って呼んでるでしょ?

290さて、早速展示を見て見る…と、何ですかコレ?

300アイスクリーム関連の展示がズラリ。

310コレは昔の冷蔵庫。

320こんなので売り歩いていたって。

330チョットわかりにくいかもしれないけど、コレは氷室。
氷を保管した昔の冷蔵庫だね。
ガバッと穴を掘って再現しているけど…こんなの別に見たくないんですけど…カナルがいいんですけど。

340大丈夫。
カナル関連の展示ももちろんある。
「もし船を作ることができれば、重い荷物を水に浮かべて運ぶことができます」
コレが基本。
日本も同じなんだよね。
昔の日本は織物や生糸、その他の繊維関連が産業の中心だった。
でも、いくら優れた生産体制を確立していても流通の便が悪いとその地域は発展しなかった。
結果、産業が栄えた地域って必ず街道筋か、川が流れている場所にあったんだよね。

350ホントにこのイギリスの運河網ってスゴいんだよね。
それもコレも山がないからでしょう。
日本ではこんな運河網を全国に張り巡らせるなんてことは絶対できないもんね。

370ホンモノの昔のナロウ・ボートももちろん展示されている。

380博物館の裏には実際に稼働しているナロウ・ボートが停泊している。

4002階はすべて運河関連の展示。

410運河を行き交う船の種類の説明や…

420ロック(閘門)の説明。
でも、ほとんど見るところが少ない!
あ~、なんだよ~…入館料を損したとは思わないけど、期待して損した。
私はこの博物館をおススメしません。

430でもイッチョ前にミュージアム・ショップなんてあるんだゼ。
驚いたのはコレ!

440vナント、ナロウ・ボートに関する雑誌ってのがあるんですよ!
以前、Marshallにディックという年配の方がいらっしゃってね、仲間と「Dragonfly」というナロウ・ボートを所有して、それに乗って運河を通ってイギリス各地を巡るをことを楽しんでいた。
私も興味があったので、工場に行くたびに色んな写真を見せてもらったり、話を聞いたりした。
「シゲもいつか乗せてあげるよ!」なんて言ってくれていたけど、だいぶ前にディックも定年で退職してしまった。450ホテルに帰る。
もうコレで夕方なんだけど、前のアーガイル・スクエアは朝の光景とほぼ同じ。
みんなナニやってんだ?

460オイオイオイオイ、ナンカ変なことやってんじゃないだろうな!
この後、またブラリとソーホーまで繰り出したのであった。
ひとりで寂しいからじゃないよ。

470(2019年6月9日 ロンドンにて撮影)