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2013年5月

2013年5月20日 (月)

イギリス紀行2012 その8~エジンバラ2

2012年7月8日 初出

聖ジャイルズ大聖堂を後にする。寒い!

そういえば、こっちの人って傘をささないんだよね。どんなに強い雨でも傘をささない。ビッチョビチョになってんだよ。一方、傘をさしているのは観光客ばかり。

確かにホントに降ったり止んだりが激しいのでいちいち傘の出し入れをするのは面倒くさい。私なんかすぐ出してさしちゃうもんね。風邪ひいたらヤダし、そもそもカメラが濡れちゃうし…。

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お定まりのバグ・パイパー(?)。デケエ音!何かで読んだけど、アコースティックで最も音のデカイ楽器はこのバグパイプだとか…。スコティッシュのステレオタイプとして時折ギャグとして使われるバグパイプだけど、やはりこの格好で、この地元でビャービャーやっていると最高にハマるね。

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この傘さしてる人、絶対観光客だよ。

後ろのピンク色の建物はスコッチ・ウイスキー・ヘリテージ・センターという博物館。結構混んでたな~。入ろうと思ったけどやめた…タッケェーんだもん!
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「ここだけは見ておこう」と心に決めていたエジンバラ城がいよいよ目の前に!ああ早く中に入って雨から逃れたい!

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入場券がコレ。£16だから2,000円とチョット。

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お、入るとちょうどセレモニーが始まろうとしているところ!3時すぎぐらいかな?
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寒風吹きすさぶ中、待つこと20分。
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ようやくナンカが始まった!
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フラム・ヘッドの音も小気味よく一斉にバグパイプが爆音を奏でる!ホント、大勢で一斉に吹くと結構爆音だゼ!
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おお~!こりゃカッコいいゾ!
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♪ビョエ~、ビョエ~!アッという間に通りすぎちゃったけど、ド迫力の生演奏はなかなかのものだった!

昔はこれといっしょに軍隊が行進したワケでしょ?そりゃ、猛々しかったに違いない。ともすればギャグに使われるアイテムという印象があるバグパイプだけど、イヤイヤ、これはカッコいいものと今回断言しよう。
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エジンバラ城から街を見下ろす。
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しっかし、何てヒドイ天気なんだろう!他の観光客もまったく気の毒だ。
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ああ、晴れていたらナァ~。
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城内には多数の建物がありそれぞれが博物館になっている。6世紀に最初の砦が造られたそうだが、現存する最古の建物は12世紀のもの。
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王家の秘宝やら銃剣やら…でも、何といっても圧倒的物量を占めているのは戦争に関するアイテムなんだよね。古今の戦争に関する展示がやたら多い。ロンドンにもやたらと戦争に関する博物館がある。

そりゃイギリスが世界の常勝軍団ということはわかるけど、スゴイなぁ…とかいう感想よりも、つくづく戦争が好きな方々なんだナァ~という印象が強い。ま、戦争に勝つために文明が進歩したんだろうし、国を豊かにもしたんだろうけど、こういうのは日本では考えられないね。日本も家康以前は同じだったんだろうけど、武器が発達している分、血塗られてる感がより強いね。
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しかし、建物や内装は素晴らしいのひとこと。
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ひと通り見学してお城から出る。エスプラナード(Esplanade)と呼ばれる広場があり、ここで毎夏大きなイベントが開催される。

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もう足がガクガクだ~。その前にもうひと歩き。
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スコットランド博物館。とにかくスコットランドのものづくし!ナンカものすごいイングランドへのライバル心を感じてしまう。

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この後、スコティッシュ・ナショナル・ポートレイト博物館ってのに寄ってみた。スコットランド出身の著名人のポートレイトや写真が陳列してある。そうだ、ショーン・コネリーもスコティッシュだったっけ。館内は撮影厳禁だったので写真はなし。外観も素晴らしく美しい出で立ちだったのだが、もうスゴイ雨でカメラを取り出すのもイヤになってパス。疲れもたまってたのね。

でも、この博物館の展示を見て驚いた。キーツ、ドイル、スティーブンソン、ベル、ワット、あと誰だっけな…とにかくこの人たちみんなスコットランド出身なのよ。

もう欲張って歩き回る元気もなく、ヨチヨチとホテルの近くまで戻ると雰囲気よさそうなパブを発見。しかも「ビーフ・エール・パイ(エールで煮込んだビーフ・シチューがパイの中に収まっているヤツ。これがウマイ!)」他のフード・メニューが入口にかかっている。パブは食べ物を置いていないのが普通だ。でも、こりゃいいや!ここで夕食を済まそう…と思って入てみる。すぐにお目当てのパイをオーダーするとカウンターの中の頑丈そうなアンちゃんが「悪いね、ウチは食べ物はないんだ」と言うではないの!ガックシ!入口のメニューは上の階のレストランかなんかのモノだったのね。

仕方なしにエールをイッパイ。リュックのなかにあったWalkersのReady Salted味をアンちゃんに見つからないようにチビチビとくに運ぶ。エールはうまかったけど、ワビしいな…。

結局、近くのイタリア料理店でスパゲティ・ポモドーロを「take away(イギリスでは「to go」とは言わない)」して、グロッサリーストアで見たことない缶ビールを2本ほど選んで買ってホテルの部屋で食す。何のことはない、ウマい…。

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つづく

イギリス紀行2012 その7~エジンバラ

ニューキャッスルからエジンバラまでは電車で約1時間半の旅。「あ~、天気悪いナ~」と悲嘆にくれながらウトウトしていたらアッという間に着いちゃった。

イギリスの天気は分単位でコロコロ変わるから、少しは晴れてくれるかと期待もしたが、土砂降りよ、ドシャブリ!おまけにアホみたいに寒い!

傘なしじゃまったく外に出れないほどの豪雨なので駅のモールでユニオン・ジャック柄の小さな折り畳み傘を買う。普段なら黒い地味なヤツを選ぶところだけど、ま、持って帰って日本で使ってもいいか…と思って£6も出した。チャッチい傘だゼ~。アッという間に壊れやがんのよ!

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傘を買って外に出る、まずはホテルを探そうと雨の中を歩く。方向は間違えていたけど、少し晴れてきた!

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チョット待てよ、この街の美しさはイッタイナンダ?!
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まるで古い博物館の庭内を歩いているかのようだ。
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イヤイヤ、まずはホテル、ホテル。地図を何回もチェックしながら歩いてようやく見当がついてきた。雨だけじゃなくて風も強くてメッチャ寒い!チ、このガイドブックの地図、表記が逆さだよ。思いきり対角線上の方へ歩いちまった!寒いってんだヨ~…とあまりの天気の悪さにムカムカしてきた!
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ようやく見つけた今宵のホテル。これまた古い建物だ!ま、安いから…。内部の構造がすごいトリッキーなの。恐ろしく広くて部屋の数がハンパじゃない!ヘタをすると迷子になっちまう。
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道さえ間違えなければ「Edinburgh Waveley(エジンバラ・ウェイヴァリー)」駅から歩いてここまで10分はかからない。ホテルの前はこんな感じ。
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部屋はこう。普通のホテルの部屋だね。トイレもシャワーも着いてる。

雨は降ってるし、風は強いし、何よりメチャクチャ寒いし…一旦ベッドの上に転がるともう動くのがイヤになってきた。せっかくはじめのスコットランドだってのによ…。あんまりじゃねーか、この天気は…泣きたいよ。足は痛いし。カメラだって重いんだゾ。おまけに70-300mmの望遠レンズまで持って来ちまった。一体どこで使えってんだよ…。こんな天気じゃよ~。
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とクサッていたら何とか雨が上がってきた!晴れる気配はまったくないけど、少なくとも雨さえ降らなければ写真は撮れる…と気を取り直して外へ繰り出す。

さ、寒い!セーターもジャケットもアゴまでガッチリ閉めて突撃!

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ツワ~、どこを見ても絵になるような景色!
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右見て、左見て、後ろを振り返ってもう一回。ちょっと歩く間に何回もシャッターを切ってしまう。
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太陽が出てないから色が出ない!まるでユトリロの絵だよ!
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見て、この天気!こりゃ自分ひとりで来た罰かね?次回は必ず家内を連れて来いよ!ってことか…そしたら晴れてやるってか?雪降ったりして!でも見せてあげたいナァ~、この天気…ウソウソ!この絶景!

でも何となくだけど、晴れたエジンバラの写真って見たことないような印象があるな…。ま、典型的なエジンバラを見せてくれたということで…。

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この街は真ん中に東西に伸びる深い峡谷が横たわっている。それを挟んで北側が「オールド・タウン」と呼ばれ、南側が「ニュー・タウン」と呼ばれている。ニュー・タウンったってどっかの新興住宅地とはワケが違う。オールド・タウン同様歴史的な建造物が並ぶ美しい街並みで、このエジンバラは街全体が世界遺産に登録されている。

その「オールド」と「ニュー」を渡している橋のひとつがこのNorth Bridgeだ。
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この写真はひとつ西のウェイヴァリー橋から撮ったもの。向こうに見える橋がノース橋。すごい光景だ。

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そして、この写真はウェイヴァリー橋から右側(西側)を見たところ。こちらも絶景!切れていて写っていないが、写真のもっと右にエジンバラ城がある。
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ノース橋を渡ってオールド・タウンに向かう。
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イヤ~、何しろすごい景色でしてね…。
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ノース橋を渡りきったあたり。この重厚なゴシック風建造物が果てしなく続く。
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お土産はやっぱりタータン・チェックのスカートだよね~。街にはスカートをはいた男性をよく見かけるが、彼らのほとんどが観光客のようだ。
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こうして見るとなかなかにカッコいい。スコットランドでは男性もスカートでしょ?だからトイレにいくと男性用も女性用もドアにはスカートをはいた人のマークがついているのよ。最初はどっちに入ればよいのかサッパリわからなかった…というのはウッソで~す!
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オールド・タウンのメイン・ストリート「Royal Mile(ロイヤル・マイル)」。この先にあるエジンバラ城と後ろにあるホリールード宮殿を結ぶ街の目抜き通り。石造りの古い建物やお店がズラリと並ぶ。この石畳がまた実にいい雰囲気!
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こちら側のつきあたりには「ホリールード宮殿」。その後方は海。「Firth of Forth」という入り江で、その外海は北海だ。やや対岸にはゴルフで有名なセント・アンドリュースが位置している。ところで、「Firth of Forth」という名前、Genesisファンならピンと来るハズ!詳しくは「ロック名所めぐり」でね!
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ロイヤル・マイルを進む。
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もうどこもかしこも素晴らしい建物ばかりで写真を撮っているとなかなか前に進まない!
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特にこの様々な大きさの石をむき出しで組み上げている外装のビルが圧巻だ。
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ロイヤル・マイルの中ほどにある「聖ジャイルズ大聖堂(St. Giles' Cathedral)」はスコットランドの教会の中心地だそうだ。900年にわたりエジンバラの信教の中心として存在し続けている。
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大聖堂の前で道行く人々を睥睨しているのは『国富論』でおなじみのアダム・スミス。『国富論』は読んだことないし、これからも読まないであろう、私は。
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1120年に建立したが焼失。現在の建物は1385年に再建されたもの。それでもスゲエ古い!
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入館料は無料だが、写真を撮るには£2を払う必要がある。それを払うと「撮影OK」を意味するカメラマークのステッカーを渡してくれる。
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ムキ出しの石の壁が見事な内部。
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「大聖堂」とはいえ、カンタベリーやヨークに比べると小ぶりだが、なかなかの見ごたえ!
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しずか~にパイプオルガンの音色がたゆたっている。
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細密で美しいステンドグラスは19世紀にはめ込まれた。
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パイプ・オルガンは新しいもの。
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外は寒いし、風は強いし、しばらくゆっくりしてしまった。

出る時にさっきもらった「撮影OK」のステッカーを返却した。だって悪用できちゃうでしょ?そしたら係のおばあちゃん、目を白黒させて驚きながら「サンキュー」としきりに言ってた。こんなもんを返してくれるのは日本人ぐらいなんだろーね。
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つづく

2013年5月16日 (木)

驚愕のアイリッシュ・ダンス!

2012年8月7日初出

「歌え!」と言われればよろこんで歌いましょう。「ギター弾け!」と言われれば久しぶりにがんばって弾きましょう。

でもね、「踊れ!」って言われたら断るね。年甲斐もなくイッキで勘弁してもらいますよ。…罰ゲームの話し。

ダンスだけは絶対にダメ!だって、自分が踊っているところを想像したら…吹き出しちゃうどころか、不快感を周囲に与えるとまで思うんだよね。

だからこそ、ダンスには強い憧憬の念がありましてね。見るのは大好きなのよ。ミュージカルのダンス・シーケンスは大好き。特にタップ・ダンスが好きで生でサミー・デイヴィスJr.を観たこともあるし、セイビオン・グローヴァーの『Brigin' da Noise, Bringin da Funk』もブロードウェイへ観に行った。

社交ダンスも好き。だからリヴァプールの近くのサウス・ポートというところに行った時、遠くに見えるブラックプールに感激したりもした。

ある日…アメリカの人の友人からメールをもらった。「友人」などというのはいささかおこがましいが、私を「friend」と呼んでくれるので、ここはひとつ甘えて「友人」にならせてもらう。

この友人はラリー・モートン(Larry Morton)といって、北米地区のビートルズとディズニーの音楽作品の出版権を持つ全米最大の音楽出版社ハル・レナード(Hal Leonard Corporation)の社長さんだ。などと言うとさぞかし、恰幅のよい好々爺を連想するかもしれないが、ラリーは若々しく、いつもニコニコとしている絵にかいたような超ナイスガイだ。

ジャズが好きという共通点もあり、光栄にも、そして図々しくもラリーとは長いお付き合いをさせていただいていて、会うたびに、彼からはお嬢ちゃんの話しを聞かせてもらっていた。

お嬢ちゃんはローレンちゃん(Lauren)といって、アイリッシュダンスをやっていて世界コンテストにも出場しているんだ!とよくうれしそうに話していた。

ここでマメ知識…外国の人はよくDiminutiveといってRichardをRickとかDick、WillianをBill、AlexanderをAlexのように呼び名を使うでしょ。これに興味があって、名刺をもらった初対面の人に「これはReal nameですか?それともDiminutiveですか?」なんて訊いたりすることもあるのね。

ややこしいのは「ジョン系」。JoeはJacob、Jon(Jon LordとかJon Anderson)はJonathan、でJohnはJohnときてる。しかもJackはJohnにもJacobにも用いられる。

これらは呼びやすく、口にしやすくすることを目的としているんだろうけど、大学の時の英会話の先生でMalory(マロリー)という人がいて、「子供のころ自分の名前がすごくイヤだった」と言っていたのが印象に残っている。その先生によれば「友達はみんなDickとかBenとか一音節なのに自分の名前は『Malo-ly(マロとリー)』と二音節で長くカッコ悪い」というのだ。

「フーム、外国の人もそんなんあるんだ?」と当時は思ったが、今こうしてたくさんの外国人とお付き合いしているとなるほどと思う。でもMal Waldronというピアニストがいるぐらいだから「Mal」にしちゃえばいいと思うけどそうはいかないの。なぜならMalはMalcomのDiminutiveって決まってるからなのね。おもしろいね~。

で、ここまでは豆知識のイントロ(エ、まだ?!…的な)。

Larry(ラリー)というのはLawrence(ローレンス)のDiminutiveなのね。で、私の友人がお嬢ちゃんにつけた名前はLauren(ローレン)。そうなんです、Laurenというのは男性名のLawrenceの女性版なのだ。ようするにLarryは愛娘に自分と同じ名前をつけたというワケ。向こうの人は平気でこういうのやるよね。じいさんの名前そのまま付けちゃうとか…。コレ日本ではまずないでしょう?

話しはもどって…前述の通り私は実際に踊るのはまっぴらゴメンだが、観る方は大好きなので、「いつかローレンちゃんのダンスを観てみたい!」と思っていた。

ラリーからのメールはローレンちゃんが所属する「トリニティ・アイリッシュ・ダンサー(Trinity Irish Dance、以下TID)」の日本公演のご招待だったのだ!

チャンス到来!もちろん大よろこびでご相伴にあずかることにし、公演日を待った。

そして、公演日当日…会場は渋谷のオーチャード・ホール。

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TIDは1979年にシカゴで創設。1987年にアイルランドで開催された世界アイリッシュ・ダンス・コンクールでアメリカのチームとして初めて優勝し、現在まで18回世界タイトルを獲得したアイリッシュ・ダンス・チームの世界最高峰なのだ。エキサイティングにしてチャーミングなショウは大人気を博し、世界各地の公演がソールドアウトとなってしまう。

そして、今回は4度目の来日で、札幌から福岡まで全13回の公演を実現させ、前回の来日時同様各地でソールドアウトとなったのだ。

観たかったんよ~、アイリッシュ・ダンス!

ロビーではアイリッシュ・ムードを盛り上げるバンド演奏が…。他にTIDのオリジナルグッズやアイリッシュ・グッズの即売所が設けられとてもにぎわっていた。
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そして、開演!

幻想的なオープニングからエキサイティングなパフォーマンスへ!

おわ~!カッコいいやら、可愛いやら!こりゃ一時も目が離せん!問答無用、想像以上の素晴らしさだぞ!

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可愛い衣装を身にまとい、驚異的な足さばきを見せる「ステップ・アバウト」という作品。愛らしい出で立ちとは対照的に、一糸乱れぬ完璧な動きで空を舞う長い足はあまりにも魅力的だ。そして、この笑顔!普通であれば、激しい運動による呼吸困難で断末魔の表情にもなろうかというところだが、ニコニコと表情ひとつ変えない様は実にカッコいい!

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男性陣のダンス・バトルもスリリングだった。写真中央がプリンシパルのタイラー・シュワルツ。全アイルランド選手権、北米選手権、全スコットランド選手権、イギリス選手権等々でタイトルを獲得した世界最高ランクのダンサーとして知られている人。「トリニティ史上最高のダンサー」と評されている。

バスラフ・ニジンスキーは一息で5mだか10mだか横へ飛んだとかいうが、おそらくタイラー君のようだったのだろう…と思わせるような軽快な動きは感動ものだ。足に羽がはえているのよ!

これぐらい踊れればダンスやってもいいな…ザケンなよ!ってな感じか?

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もちろん音楽もトリニティの重要な要素だ。演奏するはディファレント・ドラムス・オブ・アイルランド(Different Drums of Ireland)というカルテット。ギター&ボーカル、ドラムス、ハンド・ドラム、イリアン・パイプ&笛という楽器編成。時折打ち込み音源を交えながらケルト風味満点の完璧な演奏でダンサーをインスパイアする。アイルランドやアメリカの大統領に呼ばれて演奏したこともあったという。

こういう人たちの器楽演奏のテクニックってスゴイよね。我々の知っているところではシン・リジーの「ブラック・ローズ」のあの部分みたいのを平気で奏でてしまう。

ダンサーとの絡みも完璧で、おたがいにリスペクトし合い、この総合芸術を組み立てているのが観ていてよくわかる。

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ショウの間中ダンサーの後ろで演奏していたディファレント・ドラムス・オブ・アイルランドも最後は観客の歓声に応える。

約2時間、ラリーのおかげで最高に幸せな時間を過ごすことができた!

それにしても、このダンスだけは足の長い方が有利だな…。
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終演後に面会することができたローレンちゃん!もうニッコニコで大興奮!

「日本が好き!帰りたくない!」なんて言ってくれた。まだ、これほど暑くなかったからね、この時は…。

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モートン家はアイリッシュの血筋。ラリーの父方のおじいちゃんはアイリッシュ・フィドラーだった。さらに母方のおばあちゃんはアイリッシュ・ダンサーだったそうな。で、両親がローレンちゃんがまだほんの小さい時にTIDのショウに連れて行ったところ、力強く美しいダンサーたちは幼い彼女ちゃんをたちまちにウチに魅了してしまったそうだ。

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そして、ローレンちゃんはあこがれのTIDに入るために5歳の時からアイリッシュ・ダンスのレッスンに励んだ。

猛練習の結果、彼女は国内コンテスト(USA National Championship)のみならず、本場アイルランドで開催される世界大会(World Championships)でソロ、団体でともにメダルを獲得したのだ。
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そしてローレンちゃんは13歳の時にTIDのジュニア・チーム(Junior Touring Company)に入り、全国ネットのテレビショウ、全米各地やフランス、スペイン等などでパフォーマンスを披露、そして、とうとう念願のTIDのメンバーになったのであった!やったね、ローレンちゃん!

入ったはいいけど、さすがに世界一のチーム、その練習は生半可なものではないらしい。トップ・ダンサーたちは普段は週に10時間程度のトレーニングをしているが、こうしたツアーの前になると毎日10~12時間の練習をこなさなければならない。そうだろうなぁ~、いくら才能あふれる優秀なダンサーたちでも、あれだけのパフォーマンスを実現するには相当な練習量が必要なハズだ。
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そしてこの日、日本の観衆に目もくらむような素晴らしいダンスを披露してくれたのであった!

ホントに素晴らしいかった!また観たい!すぐ観たい!

Larry-san, Lauren-chan, domo arigatou!!

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最近、中学校かなんかのカリキュラムで「ダンス」という単元があるらしいが、アレ何をやってるんだろう?アイリッシュ・ダンスをやれ!なんていう気は毛頭ないけど、人形振りだらけの妙なあの踊りはやめてもらいたいナ~。ああいうのはパッと見はカッコいいかもしれないけど、美しくない。

門外漢なので多くは語れないが、ダンスも音楽や映画と同じ状況にあるようですな。フレッド・アステアやジーン・ケリー、シド・チャリシやジンジャー・ロジャースのダンスの方がはるかにカッコいいと思うんですけどね。少なくとも彼らのダンスは優雅で美しい。人形振りも結構だが、こうした素晴らしいものを勉強したうえで取り組んでもらいたいと願っている。ロボットはコロッケだけでもう結構。またオヤジのボヤキになっちゃった!

(敬称一部略 2012年7月16日撮影 ※ライブ写真提供協力:株式会社テンポプリモ

2013年5月13日 (月)

イギリス紀行2012 その6 ~北へ!<スコットランド前夜>

2012年7月3日 初出

B&Bにチェックインする前にスティーヴの家に寄ってご家族にご挨拶。スティーヴにはウチの下の子と同じ年の男の子とその妹がいて、みんな物静かで ニコニコと最高にナイスな家族。私の話しを聴いてケタケタ笑ってくれる。スティーヴのギター関連グッズ・コレクションも見せてもらった。何たって元ジ・アニマルズの一員として世界を回った人ですからね~。こちらは後日「ロック名所めぐり」で紹介しましょう。

今日のお宿。サウス・シールズのB&B。マーシャルのマークのおススメでここにした。「Annie's Guest House」ってぐらいだから明日(Tomorrow)の天気が楽しみだ!

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部屋の様子。エ、屋根裏部屋だって?まあね…トイレも風呂も共同。気にしない、気にしない!

一応説明しておくと、「B&B」のひとつめの「B」は「Bed」、ふたつめ「B」は「Breakfast」。つまり、寝れて朝ごはんが食べられる素泊まり寸前の簡易ホテル。夕食の出ない民宿ですな。トイレもお風呂も共同の場合が多いが、とにかく安い。朝ごはんにはフル・イングリッシュ・ブレック ファストがついて1泊£40を切るぐらい。ロンドンのホテルでフル・イングリッシュ・ブレックファストを食べるとそれだけで£10近くしたりするからね。

で、今回フト思った。以前、田舎で「ホテル」と称する宿に1泊したことがあった。近くにとてもおいしいエールを出すパブがあったので結果的には不満はなかった。でも、部屋はココと同様屋根裏風で、トイレと本当に簡単なシャワーこそ部屋にあったが、ちゃんとしたお風呂は共同だった。要するに設備は この「Annie」とほとんど変わらないのだが、その「ホテル」は夕食を扱っていた。

私はパブでエールを味わった後、近くにスーパーがあるのを知っていたので、ハムとパンとWalkersのポテチを買いこみ、部屋でそれらをJohn Smithで流し込んで夕食を済ませた。だからそのホテルがどんなディナーが用意しているのかはわからない。

しかし、そんな簡素なお宿がガンコに「ホテル!」と主張してはばからないのだ。でもB&Bとの差は夕食を出しているかどうか…しかないように思うんですよね。もしかしてこの定義が正しいのかしらん?でも、「ウチはB&Bではなくてホテルざますのよ~」ということなのかな…でもこのホテルのおばさんも滅法やさしい方だったけどね。料金はココより2割ぐらい高かった。ちょっとした「B&B考」でした。

さてAnnie、リンダという女性が応対をしてくれたのだが、ものすごい早口で、それを見たスティーヴが「オイオイ、そんなに早くジョーディ弁でまくしたてたらシゲが聴きとれないぞ!」なんて言ってくれて…確かにほとんどわからんワ イ!でも、とても親切なお姉ちゃんで楽しかった。

「ジョーディ」とはニューキャッスル生 まれの人の愛称。シカゴ生まれの「シカゴアン」みたいなもの。AC/DCのブライアン・ジョンソンが以前やっていたバンドが「ジョーディ」。そう彼はニューキャッスルの生まれなのだ。ニューキャッスルも大変魅力的な街だった。この後の回でゆっくり紹介させてチョ!
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部屋から見た風景。天気がよいと向こうに海が見えるそうだ。サウス・シールズは海辺の街。海と言っても太平洋でも大西洋でもない。「北海」だ。海の向こうはスウェーデン!おお~遠くまできたゼ~!
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明日はひとりでスコットランド入り!楽しみ!でも、スティーヴの奥さん、アネットの言葉が気にかかる…「アラ~、残念ね~。明日天気がよくないそうよ…」 頼む晴れてくれ!

この後、スティーヴとふたりでサウス・シールズの街へ繰り出した。スティーヴが来るまでの間、外へ出て待っていたんだけど、サウス・シールズの街のノイズはカモメの鳴き声、一色だった。第一印象では海辺の街という感じがあまりしないんだけどな…。

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ロンドン市内でも少し外れになると、道路が犬の糞だらけになっているエリアもあるが、ここは非常にクリーンだった。なるほどね。日本もコレやってんのかな? ウチは犬をを飼わないのでわからないな…。(ここからカメラ替わりま~す)

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まずはパブ。オオ~、雰囲気よさそう!しかもここはブリュワリーを持ってる。こりゃエールが楽しみだ!
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かなり年季の入った建物だゾ!
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この雰囲気がタマらない!キャッシュオンデリバリーで会計も明朗!

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さあ、今日はどれにしようかな?

左のラベルに「5.0%」って書いてあるでしょう。必ずエールのアルコール度数が書いてあるのだ。写真は撮らなかったが、左側の柱にはそれぞれのビールのアルコール度数を明記した一覧表が貼ってある。どこの店もそう。このアルコール度数の店内での表示義務は法律かナンカで決まってるのかな?5.0%は比較的度数が高い方。低いものでは3.8%ぐらいからある。

そんなもんだから、オーダーするときに「おススメをいただこうか…」なんていうとたいてい「Dark or light?」って訊いてくる。それでも「I'll Leave it up tp you」なんていうと、ま、平均的なものが出されるね。

後ろの右から2番目の樽にヒゲのおじいちゃんの絵が描いてあるでしょ。この人はBede(ビード)さんといって、7~8世紀の聖者、いわゆるSaint(セイント)。正式にはSaint Bede the Venerableという。僧であり、作家であり、人文学者であり、言語学者であり、翻訳家でもあった。秀才やね。このサウス・シールズから地下鉄で5つニューキャッスル寄りにジャロウ(Jarrow)という駅があるが、そのJarrowで亡くなった。そのひとつ手前の駅がズバリBedeだ。

こんなお坊さんの名前をそのまま駅名にするなんて!日本なら「蝉丸」とかか?で、このSaint(聖人)というのはお坊さんにされば誰でもそう呼ばれるのかと思っていたらトンデモナイ!

聖人を崇め奉る教派では、教会に公式に認定されなければ「聖人」とは認められないんだって。しかもですよ、一般に「聖人」として認めるための調査は、本人が死んでから長い時間をかけて行われるそうだ。早くても、死後数10年、場合によっては死後数百年にも及ぶ厳しい審査を経てようやく認められるんだそうだ。これじゃ審査する方も死んじゃうじゃんね。

例えばジャンヌ・ダルクが「聖人」として認められたのは本人の死んでから489年経ってからだったそうな。すると、生きている「Sanit」というのは存在しないことになる。聖闘士星矢ってのはどうなの?Uk_IMG_1081

で、おいしいおいしいエールを流し込みながらスティーヴとのおしゃべりを楽しんでいると、「さてお待たせしました~!」というアナウンス!今日は何曜日?木曜日。オオっと!ナント「クイズ」の日ではないですか!これ今回のシリーズの2回目でも書いたけど、イヤ~、前から気になってたんだよね~!

あらかじめクイズ大会に参加する人は申し込んでおいて参加料を払う。クイズに答えてその参加料を争奪するというシステムなのだ。スティーヴと私は参加していない。隣にはおばあさんが3人。どうだろう…お客さんは全部で20人はいないぐらいかなぁ?金曜日と土曜日の週末は放っておいてもお客さんはたくさん来るので、お店がヒマになってしまうウィークデイにこの手のイベントを開いて集客するワケ。何かの加減で参加するお客さんが多かったりすると、賞金も馬鹿にならないらしい。

解答用紙が配られて、MCの人が出す質問の答えをそれに書き込む。ま、友達同士相談してもいいようだけど、とにかくみんなマジ。質問は、政治経済、音楽、映画、スポーツと多岐にわたっている。

ひとつこういう質問があった。「古今東西、もっともカバーされているポピュラー・ソングは?」つい普通の声で「Yesterday!」と口に出してしまった!スティーヴが「シィィィィ!シゲ!口に出しちゃダメだよ!」と注意してくれる。その時はもう遅し、例の仲良しの3人のおばあちゃんは、3人揃って私の方を見、3人揃ってニコッと笑い、3人揃って解答用紙に何かを書いていた。

ヤベエ~、答え合ってたかな?たしか「Yesterday」だと思うんだよね。ちなみに世界でもっともオンエアされた曲は「青い影(A Whiter Shade of Pale)」と聞いた。みなさん、イギリスへ行って、木曜にパブへ行って、クイズに参加して、この質問が出たらそう答えてみてくださいな!

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このサウス・シールズという街はかつて炭鉱と造船でそれはそれはにぎやかな街だったそうだ。7つの海を征服した歴史を持つイギリスの造船業は世界一だった。それが日本に抜かれ、今は中国に覇権が奪われていったワケで、今、イギリスは国策としてまた海運流通産業に力を入れようとしているらしい。

そして、この街を完膚なきまでに斜陽にしてしまったのはマーガレット・サッチャーの政策だったとスティーヴが力説していた。もうクッソミソにサッチャーのことを非難していた。まぁ、ここは本当にチャーミングな街ではあるけど、確かにすさまじい斜陽感があることは否めない。そういう街が持つ独特などこかシラ~っとした雰囲気があるのだ。それもこれもすべてサッチャーひとりのせいと断言していた。

でもね、この街も金曜と土曜の夜には様子が一転するのよ。そちらは「ロック名所めぐり」の方で後日レポートするからね。

イヤイヤ、ここで言いたかったのは、偶然飛行機の中で見た映画の話し。

メリル・ストリープの『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(The Iron Lady)』を観たの。イヤ~、ヒドカッタ。これアメリカ映画か?と思ったらイギリス映画か…。何だってこんなに面白くなく作っちゃったんだろう?先に死んだ旦那がずっと出てくるなんてブルース・ウィリスか?メリル・ストリープがかわいそうだ。伏線の張り方がチャチというか、ドラマ性が低いというか、フラッシュバックのやり方が陳腐というか…脚本がひどすぎる!チョット前の『英国王のスピーチ』とかいうのもそう。まったく感動しない。フランク・キャプラやヒッチコックや黒澤でも観て勉強し直して欲しいな。その次に観た『ロボジー』の方が断然よかったよ。

サッチャーの映画を観て、スティーヴが彼女のことを話題にした偶然も驚いたが、映画がらみでもうひとつ。『ロボジー』の次にスピルバーグの『戦火の馬(War Horse)』を観た。これもまぁ薄っぺらだったナァ。先が読めちゃうんだよね。あんな作りだと、少年と馬との友情がそれほど深いものとは思えないのね。感情移入しにくい。まるで子供の観る映画だ。でも、少なくともサッチャーよりははるかにいい。

第一次大戦で徴用された名馬と飼い主の少年の交流、出会いと別れ、そして邂逅を描いた感動作ってことなんだけど、こういうシーンが途中にあった。そしてここに一番感動した!

それは…

戦場で有刺鉄線に絡まってもがき苦しんでいるその名馬を助けようと英独の兵士が敵味方なしに力を合わせる。その有刺鉄線をドイツ兵が用意したワイヤー・カッターでチョン切ろうとするんだけど、無事すべての鉄線を切り終わって馬を助ける。英独の兵士は互いにその名馬を引き取ろうとし、コイントスでイギリス兵が勝って馬を連れて帰ることになる。ドイツ兵は残念がるが、そのワイヤーカッターをイギリス兵に渡す…「持って行ってくれ」って。するとイギリス兵は「家の庭で使うよ!」ぐらいに返事をして刹那の友情を確認し合う。

実は、そのイギリス兵は「I'll bring this back and use at my house garden in South Shields!」みたいに言うのだ。字幕には出なかったが、「サウス・シールズの僕の家の庭で使わせてもらうよ!」…これはスゴイ偶然でしょ!で、今そのサウス・シールズにいるんだゼ!これがロンドンとかバーミンガムとかだったらまだ話しはわかる。でも、このイングランド最北部の小さな街の名前が出て来るんですゼ!偶然にもホドがあるってもんでしょう?このことをスティーヴに話したらうれしそうにして、他の人に教えてた。あの兵士の家はここから近いのかな?

ここ、サウス・シールズは他にスゴイ人を多数輩出しているなかなかにスゴイ町なのだ!どうスゴイかはおいおいね。

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この日、昼間から「夜、何食べる?」なんて2人で相談していた。「自慢のイタリアンとインディアンがある」とスティーヴが言う。いつもだったら間違いなくイタリアンなんだけど、またあのふかふかのソフト麺が出てきてもイヤなので、「インディアン行ってみようか?」ということになった。こっちの方が安いしね。

THE RAJ(ザ・ラジ)という店。
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本当にインド料理なんか普段行かないのね。だからスティーヴにすべてお任せ。カレーのチョイスだけは自分でさせてもらった。

インド料理ってさ、おいしいのは確かにおいしいんだけど、ちょっとハズすと臭くて食べられないのがあるからね。くわばら、くわばら(これは落雷を避けるための呪文だそうです)。ま、スティーヴがこれだけすすめるんだから信用しよう。何せ安いしね。

ビールと料理を3つほどオーダーしてくれた。ひとつめは、この軽いせんべいみたいなヤツをミント入りのヨーグルトにつけて食べるヤツ。うまい~。ソースにつけてもいいけど、アタシャ、どちらかといえば、プレーンの方がいいわ…。
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それにフライド・ポテト。ま、これはどこで食べてもおいしい。そもそもジャガイモの味が実によろしい。イギリスのじゃがいもは本当に「イッモ~」という感じがする。口に入れて噛んだときに鼻に抜けるジャガイモの香りがとても強くておいしい。ま、それでも料理の仕方といえば、揚げるか、炒めるか、茹でて潰すか…ぐらいなんだけどね。チップス(フライ)が一番おいしい。

我々って決してビール、もしくはアルコールをお米といっしょに飲まないじゃない?写真左側のスティーヴのグラスを見て!向こうの人って全然平気なんだよね。ご飯といっしょにグビグビとビール飲んじゃうの。スティーヴはラガー党だ。

ここのカレーのシステムは甘いの辛いの、10種類ぐらいルーの種類があって、それに好きな具を選んで入れてもらう。具はすべてのルーに共通のチョイス。ビーフだのベジタブルだの豆だの…もうこういう時は迷わずチキンね。胸肉。これをナンで食べるかお米で食べるかを選ぶ。ふたりともお米を選択。運ばれてきたのは写真の通り。

さて、肝心の味の方は…

これが、激ウマの3乗ぐらい!マジでものすごくおいしいのだ!これでルーだけなら500円ぐらい。具のチキンはデカくやわらかい。ん~、しかしうまい!カレーでこんなに興奮する自分もどうかと思うが、おいしいものはおいしい!こりゃもうひと皿いけるぞ。どうおいしいかというと…クセがなくてとてもお上品なお味!もう1回言っておこう。THE RAJのカレーは最高だ!

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スティーヴの食べ方はダイナミックで、ポテトを細かくして、ご飯の上にまぶしてからカレールーを一気にかける。ワンタッチやね。

私はまったくカレーマニアではない。よくいるじゃない、カレーさえあれば生きていける…みたいな人。そんなんでは全くないが、この写真を見ているだけでまた食べたくなってきたよ!

大満足でB&Bまでブラブラと歩いて帰ったのだった。

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翌朝…雨だよ、雨!せっかくスコットランドにはじめて行くのに太陽のカケラさえ見えやしネェ…。ああ、やっぱりアネットが言ってた通りだ…。

朝食はベーコン2枚にサニーサイドアップ2ケ…宿のおばさん「それだけでいいの?」って不思議そうにしていたけど、朝から焼いたトマトやフニャフニャのソーセージ、血の入ったソーセージは食べられないのよ、ゴメンね。それに薄いトーストがあればOK。パンはおいしいナァ。

スティーヴが前日に親切にもエジンバラ行の電車の時間を調べておいてくれて、朝、B&Bまで迎えに来てくれた。まずニューキャッスルまで地下鉄で行かなければならない。地下鉄に乗るまで見送ってくれるというのだ。大丈夫だっていうのに…本当に親切な人だ。

その前に一旦スティーヴの事務所にスーツケースを置きに行く。「電車まではまだ時間があるからちょっと見てよ」…とスティーヴが秘蔵の機材を引っ張り出して来る。見るとスティーヴはもう弾く気マンマン!アブネェ、アブネェ…こっちももちろんキライな方じゃないから、ここでギター弾き出したら間違いなく電車の時間に間に合わなくなる!

ということで早めにスティーヴの事務所を出る。サウス・シールズの駅へ行ってみると、ナント地下鉄が動いていない!全然大丈夫じゃなかった!とっさの判断でスティーヴがニューキャッスル駅まで車で送ってくれたので何とか事無きを得た。もし彼に送ってもらわなかったらまず電車に間に合わなかった。(ココでカメラ替わりま~す)
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ニューキャッスル駅の壁に付いていたプラーク。2000年に150歳を迎えているということは1850年の開業!日本は嘉永3年。シーボルトの弟子で蘭学者にして医者の高野長英が弾圧を受けて投獄され、脱獄後、数年にわたる逃亡の末に幕吏から撲殺された年だ。これは(得意の!)吉村昭先生の『長英逃亡(新潮文庫)』に詳しい。メッチャ面白いのでおススメです。ま、そんな時代からあった駅なのね。

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その下にあったプラーク。この駅舎はJohn Dobson(ジョン・ドブソン)という人によって設計されたが、その人の生誕200年を記念している。この人はアバディーン大学出身の建築家で、数々の教会やホールを設計したが、もっとも有名な仕事はこのニューキャッスル駅だそうだ。
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ポルティコというのはこの屋根付きの玄関のこと。これは駅開業の13年後にトーマス・プロッサーという人の手による…とある。
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さすが人口30万人を抱えるイングランド北部最大の都市の中央駅だけあって立派!見て、左下の青いのを着た人たち!冬でしょ?もう~、寒いんだってば!
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自動改札は日本と変わらない。

自動販売機で切符を買う。エジンバラまでの「Return」だ。イギリスの国鉄は往復か片道か、人数、乗る日や時間によって金額が大幅に異なる。「Return」は往復切符。片道は「Single」だ。
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構内に入ったところ。GREGGSがある。
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ホームと駐車場が繋がっちゃってる。向こうに見えるのはお城だね。日本ではこんな光景考えられない。京都駅から見える東寺ぐらいか? アレ、東寺って京都駅から見えたっけ?
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これが私の乗る列車。
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渡り廊下がしゃれてる!トイレは3番線ね。

今気がついた。あっちの大きな駅って、端から端まですべて屋根で覆われるんだな…。キングス・クロス駅も、ユーストン駅も、チャリング・クロス駅も、ヴィクトリア駅も、リバプール・ライムストリート駅も、ブライトン駅も、ターミナル駅はすべてそう。ここはターミナル駅ではないけれど全部のホームがひとつの屋根で覆われている。そして、普通はホームのどちらかの端に改札があって、改札を過ぎた後、目的のホームへ地面を歩いて行く。でも、ここニューキャッスル駅は駅舎の横に改札があるので、ホームを渡る時に高架の渡り廊下が必要なんだね。上のジョン・ドブソンのプラークの「train shed」という言葉で気がついた。
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ニューキャッスルはの正式名称は「ニューカッスル・アポン・タイン(Newcastle Upon Tyne)」という。タインは川の名前。地籍は「タイン・アンド・ウィア(Tyne and Wear)」という。

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駅の裏側はエラクさびれてる!まだ発車まで時間がある。お腹が空いてきたのでベンチに座って日本から持って行った「いかくん」と「柿ピー」をほおばる。ウメェ~!でも、匂うナァ~。
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イザ!エジンバラへ!約1時間半の旅。イングランドとはしばしのお別れだ!
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つづく

イギリス紀行2012 その5 ~ 北へ!<ヨーク:後編>

2012年7月2日初出

大聖堂から離れ、さらに街を行く。オ、城門が見えて来た!岸町か?!
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一部は途切れているものの、街の中心は城壁グルリとに囲まれている。

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こうして城門の外に出ると、街の中と外が城壁によってハッキリ分かれていることがわかる。守ってたんだネェ。ホントに戦の好きな人たちだ。
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これらの城壁は12~14世紀にかけて建造されたそうな。

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これは美術館。

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これはなんだろう?中まで入ったけどわからなかった。とにかく美しい建物が多い。
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何でも女優のジュディ・デンチ(Judi Dench)がヨークの出身だそう。オスカー作品『恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love:やや恥ずかしながらこれは好きな作品!)』にクイーン・エリザベス1世役でアカデミー助演女優賞を獲得した。彼女はデイムなんだね。
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このヨークという街はテューダー期に没落したが、ヘンリー8世から娘のエリザベス1世の時代に復興を遂げた。そのエリザベス1世役を演じてオスカーをゲットしたジュディはどんな気持ちだっただろうか?ちなみにエリザべス1世のお母さんはアン・ブーリン。ヘンリー8世の2番目の奥さん。シゲブログ的に言えば「B面の2曲目」ですな。
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上半身裸で職人さんもワイルドだゼ~。
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ここはミュージアム・ガーデン。敷地内にヨークシャー・ミュージアムがある。それの庭。もうみんな思い思いの格好で太陽の光を楽しんでいる。こういうのがまたよく似合うんだよね~、向こうの人って。
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こうして城の一部が平気で残っていたりする。それにしも暑い!歩いていると汗が噴き出してくる。でも、日陰に入ってジッとしていると涼しい感じ。湿気が明らかに日本と違う。
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国立鉄道博物館。入場料は無料。私はまったく鉄道マニアではないが、見てみたかった。地下鉄は好き。

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王室ご用達の汽車。
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王室用汽車には風呂や寝室用の車両が連結されていて実におもしろい。こうして機関室なんかも見れるようになっている。
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手紙の集配貨車(走りながら荷物を受け取れるよう網がついている)やら腐った魚を運ぶ貨車、もうありとあらゆる車両が飾ってあって大変に興味深い。さすが鉄道発祥の国だけのことはあると感心すると同時に、改めて日本って本当にイギリスに色々教わったんだナァ~と思わざるを得ない。
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なつかしい!私の世代の新幹線はやっぱコレだナァ~。

新幹線は英語で「Bullet Train(弾丸列車)」と言われているが、いつかテレビに出ていた通訳が「寝台車」と訳していたっけ。それは「Blue Train」じゃん!辛坊アナウンサーがその場で訂正されていましたが…。だいたい「寝台車」って「Blue Train」って言わないジャン?!
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British RailwaysのClass 9Fという規格の機関車「Ebening Star」。もっともパワフルな機関車だった。1960年の製造。何しろ蒸気機関車の実用化に成功したジョージ・スチーブンソンはイギリスの人。この他にもたくさんの名機関車がドヤ顔で展示されている。

上にも書いた通り私は鉄道には何の興味もないが、ひとつひとつ見て歩くとなかなか味わい深いものがある。何よりもカッコいいワイ。呆れるほどの力強さの中に美しさを見出すね。やっぱさすがトーマスの国の鉄道博物館だわ。須田町にあったヤツとは重みが違う。もっとジックリ見たかったナァ。
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ここは「シャンブルズ(Shambles)」と呼ばれる商店街。ここも上層階が飛び出ている建物(Over hanging timber-framed building…なるほど!ウマイこと言うわ)が多い。先に「肉を吊るしていた」と書いたが、1872年の調査ではこの短い通りに25軒もの肉屋さんがひしめいていたそうだ。今は1軒もない。
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ブライトンにも「ザ・レーン」と呼ばれる同様の商店街があったが、幅5mにも満たない通路を挟んで両側に小さなお見せが並んでいる(ザ・レーンの方が狭い)。洋服、貴金属、紅茶屋、靴屋と様々なお店が連なっているが、残念ながら中古レコード屋はない。ガックシ…。

Shamblesという通りはマンチェスターやセヴンオークス(ロトサウンド弦の工場があるところ…行ったナァ~)等にも存在している。ユニコーンにもそういうタイトルのアルバムがありましたな。「Shamble」というのは「ヨチヨチ歩き」という意味。
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ペンのお店。赤い外装がゴージャスでカッコいい!
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こちらは帽子屋さん。この深緑のペイントもステキだ。
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海外に出るとはじめのうちは食事のリズムもズタズタになってしまって、1食ぐらい抜いてもそう苦痛でなかったりする。この日も朝食を摂っておらず、それでもずっと平気だった。ところが3時近くになって急にハラが減ってきた。するとスティーヴがそれがわかっちゃったらしく、「シゲ、ハラ減ったんだろう?朝食べてないんだろ?」

そして、彼は「GREGGS」というパスティ屋に連れて行ってくれて「チーズ&オニオンがおすすめ」と教えてくれた。パスティというのは、ミスター・ドーナツにあるようなパイ生地を使ったパン。ペストリーっていうでしょ?ペストリーは生地のことで、そのペストリーを使って作られる具入りのパンがパスティ。チキンだのコンビーフだのバラエティに富んだ具材と香ばしい生地のハーモニーがたまらなくおいしい。それでいて1ケ 95ペンス。120円とちょっと。安くてウマイ!…のはいいんだけど、バターがふんだんに使われているので注意が必要!あ、写真とGREGGSは関係ありません。

今まで気にしていなかったからかもしれないけど、ロンドンでは見たことなかったな…と思ったら、このGREGGSはミューキャッスルが本拠地で北部に店舗が多く存在しているらしい。ま、この後、ロンドンにもチョコチョコあることを発見した…。
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この建物はかなり古くて、何と14世紀に建てられたものだとか…。それをこうして平気で使ってるからスゴイ。
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ピッタリ3時間で帰ってきた!見て、この空!たった3時間で天気がガラリと変わってしまった!この後、大雨。ダーラムに連れて行ってもらおうと思っていたんだけど、ものすごい雨だし、疲れて来たし…ということでリクエストしたのはこっちなのだが、失礼を承知でスキップさせてもらった。

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そして、スティーヴの地元、サウス・シールズへ直行した。もうこの後ずっと雨。泣きたいぐらい雨…。

つづく


2013年5月 3日 (金)

イギリス紀行2012 その4 ~ 北へ!<ヨーク:前編>

2012年6月29日初出

イギリスにはかなりの回数訪れてはいるものの、マーシャルのあるミルトン・キーンズとロンドンばっかりでしてね~。イヤ、それでも十分おもしろい。でも、せっかく行くんだから、色々見てみたいのが人情ってもんでさね。

他に行ったことがあるところといえば…プログレの聖地・カンタベリー、ベタにリバプール、その近くのサウス・ポート、ブラック・サバス・ファンではないけどバーミンガム、ゲイリー・ムーアやクイーンでおなじみのブライトン…こんなもんかな?

リバプールへ行った時にマン島が見えたのはうれしかったかな?マン島は、フランク・ザッパの曲で「マン島は女不足(Manx Needs Women)」というのがありましてね…。

こうしてみるとリバプールより北へ行ったことがない。スコットランド行ったことない。。金は無いけど時間はある。行ってみたい…ということで、ニューキャッスルの近くのサウス・シールズという街に住む、これまた大親友のスティーヴに頼んでマーシャルからの帰り道の車に便乗させてもらった!

行くぞ!北へ!

スティーヴのプジョーでフリーウェイを大激走だ!BGMはBTOか?!実はこの日のために国際免許も取ったんだけど、スティーヴの車の保険の関係で運転は控えることにした。ま、私も運転好きな方じゃないので助かった…。

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途中で出くわした発電所。このタン壺みたいなヤツはイッタイ…こんなん見ると、この時期つい神経質にもなってしまうよね?!
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これはヨークシャーにあるウェザビィ発電所(Wetherby Power Station)。火力発電所らしい。でも自然と異様な光景に映ってしまう。

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The Whoがらみで、まずリーズへ行ってみたかったのだが、街が新しくておもしろくないとスティーヴが言うのであきらめた。

そこでまず、ヨークへ寄ってもらった。なぜヨークへ行ってみたかったと言うと、かつてジム・マーシャルが「ヨークってのは美しいところじゃな…」と誰かに話されていたのを耳にしたことがあって、それがすごく印象に残っていた。で、いつか行ってみたいと思っていたのですね。

よくよく考えてみると、ヨークはサウス・シールズに行く途中にあるではないの!よくやった!欲張りな私はよーくスティーヴに説明してヨークに寄ってもらったのだ。

街の入り口がいきなりこれだもんね。こりゃ期待できそうだ!

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なんとここは駐車場。この城壁はクリフォーズ・タワーといってヨーク城の一部だった。

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駐車場のシステムをチェックするスティーヴ。面白いことにここは前金制。つまり、「○時間停めます」と先にその分だけの料金を機械に入れる。ドライバーはその時間を超過しないように駐車場にもどってこなければならない。オーバーするとどうなるかはわからないけど、これは観光地にあってはなかなかいいシステムかも。スティーヴと相談して3時間停めることにした。£6、800円チョットか…。東京よりははるかに安い。
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街をズズイと進む。
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イギリスはどこへ行っても教会をはじめ古い建物が並んでいて美しいが、なるほど、ここはひときわ美しい!

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遠足の小学生。こりゃいいトコのお坊ちゃん、お嬢ちゃんだね。
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観光客が相当多いらしく、かなり人出が多い。
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川に出た。世界4大文明もそうだけど、文明は川の傍らから広がるんでしょ?イギリスの都市も同じなんだって。ロンドンのテムズ川はその代表。シェークスピアの生まれた村、ストラットフォード・アポン・エイボンのエイボンも、ニューキャッスル・アポン・タインのタインも川の名前なのね。

そして、それらの川にかかる橋が例外なく美しい!テムズ川もニューキャッスルのタイン川もそう。今回特に橋で感動したのはニューキャッスルだった。
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鳥。

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ヨーク大聖堂へと続く参道。ここの建物の特徴は、階が上がるほど面積が大きくなる。これ変でしょ?1階より2階が、2階より3階の方が広いんだゼ。これ、昔この軒下に肉をブラ下げていたんだって!さぞかしスゴイ光景だったろうナァ。

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浅草の仲見世同様、いろんな店が並んでいて楽しい。
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オカルト用品の店とかもあったよ。
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ドーンと出ました!ヨーク大聖堂!デケ~!
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大聖堂ってそこかしこにあって、「カセドラル(カテドラル)」という名称が付いている。「カンタベリー・カセドラル」とかね。でも、このヨークの大聖堂は「ヨーク・ミンスター」っていうんだってさ。
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何回か作り直していて、今目の前にあるヤツは13世紀の初めにつくり始めたというからスゴイ。250年もかけて建立した。イギリス最大のゴシック建築の教会。それどころか、北ヨーロッパではケルン大聖堂に並ぶ最大級の聖堂建築物なのだそうだ。

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私、案外こういうの好きでしてね。神社仏閣とかいうことではなくて、人間が作った馬鹿デカイものに惹かれてしまうのだ。ダムとか橋とか、もちろんスカイツリーも好き。

ダムはいいナァ~。アーチ式の壮麗さ、重力式の力強さ、ロックフィルの美しさ…。ダムの現場ってダムそのものもそうだけど、取り付け道路やら生コンプラントやら、やることすべてスケールが大きくて気持ちがいい。

だから、カンタベリー大聖堂、リバプール大聖堂、もちろんウエストミンスター寺院等みんな感動した。今回もこのヨークの後はダーラムの大聖堂を楽しみにしていた。

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スティーヴは以前に見ているから外で待ってるって。そう、「一回入ったけど、つきあいでまた入るよ」なんて気軽に言える値段じゃないんだよね~。ウエストミンスターにしてもセント・ポールにしても、こういうところは高い!ここだって£14だもん!2,000円ぐらい。

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でも、せっかく来たので入るよね~。入った途端その荘厳さに値段のことは忘れるね。
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美しいパイプオルガン。
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これだけの天井の高さのハコで鳴らされた日にゃリバーブかかりまくっちゃって(これがホントの「カセドラル」)「はい、入信します」と言わざるを得なくなっちゃうんだろうね。

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ここにも…。
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ゴシック建築の大聖堂は壁をできる限り少なくし、ステンドグラスに彩られた光の空間を実現した…んだって。とにかく光と高さを求めて構造に変化を与えたんですな。この天井って以前は半円、つまり丸かったんだけど、一番高いところをとんがらせてみた。半円型だと片側から弧に沿って向こう側の壁につながって終結してしまう印象があった。ところがこうして弧の頂点をとんがらせるとあたかも壁の両側から限りなく天井へ向かう上昇感が出て来るらしい。なるほど…。

また、梁(斜めに入っている線ね)を入れることによって躯体を軽量化するとともに耐加重強度も増したという。つまりドンドン高くしちゃうけんね~ということ。欲がそうさせるのか知らんけど、昔の人はホントにスゴイ。
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「チャペル・ハウス」と呼ばれる別棟。ほとんど360°ステンド・グラスですさまじい美しさ!魚眼持って来ればよかった!
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天井がまた見事なのだ!
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ああ、心があらわれた。ダイエットしよう!
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しおりはこんな感じ。

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いかにも観光地らしく大聖堂の前にはこんなんも走っている。スティーヴ、お待ちどうさま!この暑いのに外で待たせてゴメンね!この頃は暑かったのだ…。

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<ヨーク:後編>につづく

イギリス紀行2012 その3~アドストック

2013年6月28日初出

ある日、ロランが「いいところがあるからご飯を食べに行こう!」と夕食に誘ってくれたのだ。ブレッチリーから車で20分ぐらいかしら?アドストックという村。スティーヴと3人で訪れた。

クッソ~!愛用のカメラにカード入れて来るの忘れた!仕方ない…持ち合わせのコンパクト・カメラで撮影だ!

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なるほど、これは美しい家並みだぞ!都会からちょっと離れると(ブレッチリーやミルトン・キーンズは都会ではないけど…)、こうして素敵な村がイギリスにはゴロゴロしてる。

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これがロランの言ってたパブ。かやぶき屋根である。わらぶきかな?合掌造りの家と同じように、イギリスでもこの手の屋根は何年だか何十年にふき替える必要があって、ものすごくお金がかかるらしい。で、ガンコにこうしてかやぶき(わらぶきかな?)屋根を貫き通しているのはリッチな証拠なんだと。

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パブの裏のオープン・テラス。ここで食事をした。
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今日はサーロイン・ステーキ。ゴチになりました。ステーキはおいしいですよ。みんなイギリス料理のことをさんざんに言うけど、ある程度ちゃんとしたお店であれば、ステーキであれば、そう問題はない。焼くだけだからね。ソースだって悪くはない。

それとステーキが一番無難ということもある。結構、こういうパブでもウサギとか出すところがあって、また、ラムをよく食べるんだよね。そういうのが揃っている時は迷わずビーフステーキ。醤油なんかなくたって全然平気。妙なものが出て来るより全然いい。アタシャ食べ物の冒険が苦手なんです。

このステーキはおいしかった。この上に乗っているミドリのヤツ、何て言うの?スゲエ、大地の味がした。とても食べられなかったナ。じゃがいもはおいしい。このトマトを炒めちゃうのはやめてもらいたいナ~。ま、まずくはないけどね。

食べ物の話しはまたおいおいおと…。

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食事を済ませて3人で村を見て歩くことに…。この家もかやぶきだ。わらぶきかな?
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ここにも…。
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どの建物も150年ぐらいは軽く経っているハズ。
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まるで真夏の空でしょ?例によってもう9時は回ってるかな?
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みんなお祝いしてるんですよ。というのも、この週の終わりぐらいから「ダイアモンド・ジュビリー」のイベント週間が始まるのです。これもまた何回か後で紹介するけど、とにかくみんな好きだゼ~、ロイヤル・ファミリー。日本人の皇室好きと同じ。こちらはナンカもっとブランド化しててアイドル係数が高いんだよね。それにRoyal HighnessとかHer Majestyとかカッコいいんだよな~。
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こんな家もゾロゾロ並んでる。
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この家も相当古い。
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どこの村にもきっとある古い教会。

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教会の裏が広場になっていて、夕陽の美しさにひかれてドンドン入って行く。

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すると後ろでスティーヴとロランが「シゲ~!シゲ~!」と大騒ぎしている。何かと思って彼らのところに戻ると、私がいたところはプライベート・スペースで関係者以外立ち入り禁止だった!道理で犬が飛びついてきてワンワンワンワン猛然と吼えるワケだわ(イヤ、ここはバウワウバウワウか)!てっきり人なつこい犬かと思ったら、私、不法侵入者だったのね!下の写真の中の犬。飼い主の女の子が助けてくれた。スミマセンでした。
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デケエにわとり!これはイギリスに限ったことではないんだけど、アメリカでもドイツでも、卵の味が日本より格段にいい感じがするんだよね。風味があるっていうのかな? おいしい。私はいつも朝食の時、卵はサニーサイドアップ、つまり片面の目玉焼きにしてもらうんだけど、白身も黄身もとても味が濃いように思うんですよ。油が違うのかな?うん、絶対おいしいと思う。いつか醤油をたらして、炊きたてのごはんにかけて食べてみたいものだ。
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可愛いおうちでしょう?ムーミンがでてきそう。でも実際住んでみりゃ水の出は悪いし、冬は寒いしで結構大変なんじゃないのかな?
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これも可愛いね。家がヅラをかぶってるみたい!

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この煙突!シャレてるね~!
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ひとしきり歩いた後は、またさっきのパブで軽く飲み直し。この「Leffe」っての飲んだんだけど、なんだよ、コレ後でしらべてみればベルギー・ビールじゃんか!道理で妙な味がすると思ったゼ。眼鏡のオジちゃんがロラン。タイカレーづくりが上手なのさ!
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あ~、今日も充実した1日だった!もう10時過ぎてんじゃん?
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つづく

イギリス紀行2012 その2~ブレッチリー 2

2012年6月27日初出

「ジム・マーシャルの生涯を祝う会」のスタートが午後3時だったので、「その前にランチをしよう!」とマーシャル社R&Dのロランが自宅に誘ってくれた。

ロランが腕によりをかけてお昼を作ってくれるというので、一体何をご馳走してくれるのか楽しみでもあり、不安でもあり…。
すると「メニューはタイカレーだよ!」と言う。
私はこういうエスニックな料理をほとんど口にしないが、カレーに当たりハズレは少かなかろうと安心した。
だって食べられないモノが出ちゃったら失礼でしょ。

でも、ハッと気が付いた…「ヤバイ!パクチー入ってんじゃん?」
昔、「パクチー」が英語で通じなくて「懲りあんだ~」。なんて中野のシゲさんの三重弁みたいな…。
そう、パクチーは英語で「コリアンダー」。(ここメモするところです)

で、パクチーは勘弁してもらった。これがそのロラン特製のタイカレー。チキンだのナスだの具だくさん。

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コレをですよ…ロランの家の裏庭でいただくワケですよ。
おいしいにキマってんじゃんねー。
いいよなぁ~、決して広いワケじゃないけど(ロラン、ゴメン!)、自宅の庭で、パラソルの下でランチですよ。天気もいいし、最高だ~!

真ん中に見える女の子はロランのお嬢ちゃん。まだ赤ちゃんの時にもロランの家にお邪魔したことがあって、あの時はひげヅラの私の顔を見て激泣きだったっけ。
それがもうすっかりお姉ちゃんになっちゃって!しっかりと弟くんの面倒をみていた。

一方、弟くんはま~ったく人見知りをしないフレンドリー派。
カメラのレンズを向けるとズイズイと寄って来ちゃう。元気がよくて可愛いんだ!

ところで、英語がわからない、あるいは聴きとれなくて冷や汗が出るシーンなんてのはしょっちゅうあるんだけど、もしかして一番わからない英語は経済の話題でも、政治の話題でもなくて、子供の英語かもしれんね。
なにしろ発音も不明瞭だし、だいたいナニを考えているのかサッパリわからないからね。
かといって無視するワケにもいかないし、見当違いなことを言えば寄ってこなくなるし…実に始末が悪い。

よく「肉屋で買い物ができれば英語はマスターしたも同然」なんてことが言われたようだが、イヤイヤ、何と言っても「こども英語」でしょう。
これがわかれば英語マスターになった証しだと思うけどね。
ちなみに「肉屋の英語」というのは言語そのものの理解だけではなくて、我々のそれとまったく異なる、肉が主食の彼らの文化を理解した…という意味でもあるんだろうね。

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ところで、ロランのカレー、メッチャおいしいでやんの!思わず作り方を訊いちゃった!エラク簡単なの。
日本に帰ったら家でさっそくやってみようと思ったんだけど、やっぱりこの長粒米じゃないとおいしくないよね?と思ってまだチャレンジしていない。
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お!熱かったのかな?!

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そういえば、ロランは何年か前に東京に来たことがあって、その時、奥さんにお土産で「着物を買いたい!」ということになった。で、浅草に行った時に 呉服屋に入って着物を買おうとした。すると、ロランは気がついた…買うのは一向に構わないんだけど、持って帰っても着方がわからないゾ…と。その旨店員さ んに通訳すると、「アラま~、んじゃ、アンタに着せてあげるから覚えて帰りなさいよ!」と、ロランは店頭で半裸になりつつ、真っ赤になりながら女物の着物を 着こんだのであった。まわりの人はみんなおもしろがっちゃって、写真撮られるわ、冷やかされるわで大騒ぎだった。

そして、先日ロランから聞いた話し…インドに行った時、奥 さんにお土産で「サリーを買いたい!」ということになった。で、お店に入ってサリーを買おうとした。すると、ロランは気がついた…買うの  は一向に構わないんだけど、持って帰っても着方がわからないゾ…と。これじゃ着物の二の舞だゾ…と。その旨店員さんに伝えると、「アラま~、んじゃアンタ に着せてあげるから覚えて帰ん  なさいよ!」と、ロランは店頭で半裸になりつつ、真っ赤になりながらサリーを着こんだのであった。まわりの人はみんなおもしろがっちゃって、写真撮ら  れるわ、冷やかされるわで大騒ぎだった…らしい。

ロランおいしいカレーと素敵なひとときをありがとう!

さて、日にち変わって…。

この日、ホテルがいっしょだったスティーヴ(後出)の車に便乗させてもらおうとマーシャルの工場の駐車場に行くと、同じR&D所属のマイルスが自転車に空気を入れていた。自転車で通勤しているのだ。でも、完全にパンク。家まで5km以上あるのでマイルスは何とか直そうとしたんだけど完全にパンク。で、「渡りに船」ってんでスティーヴの車で家まで送ってあげることにした。

するとマイルスは家の近くに食事がおいしい、いいパブがあるよってんで教えてもらった。それがこれ。

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「The Barge Inn」という典型的な田舎のパブ。田舎のパブは運河のほとりにあることが多いようで、宿屋だったそうしたパブには「Inn」という言葉がついていることが多いと聞いた。

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このお店の名前も「The Barge Inn」ってぐらいだから。「Barge」というのは小型の荷物船という意味。各パブについているこの看板を見るのがまた楽しい。

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これでザッと築200年ぐらいにはなっているんじゃない?
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ね、入口には「VINTAGE INNS~PUBS OF DISTINCTION(ビンテージのイン~風格のパブ)」なんてプラークが付けられている。こうした古いパブを訪ねるのは最高におもしろい!

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「吼えて会話する4本足の友達用」…ここに犬をつないでおくワケだ。
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これがネェ~、いつも気になってたんだよね。「QUIZ」ナイト。田舎のパブではもれなくコレをやっている、そして、後日別のパブでとうとうこれを体験したのだ!

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一度、家に帰ったマイルスが合流しにきた!「ハ~イ、マイルス!」

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「ハ~イ、シゲ!」
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ああ、愛しのイングリッシュ・エール。今回の滞在で一体どれだけビールを飲んだかわからないけど、缶ビールを除いてすべてエールで通した。ここでは「DOOM BAR」というのと「UBU」というのを頂いた。1パイントでご覧の値段。1パイントは0.568リットル。でも、グラスの淵ギリギリまで注いでくれるので0.6リットルぐらいになるのかな?だから大瓶よりちょっと少ないぐらい。で、レートを135円/£とすれば、1杯460円ぐらい。これが10年ぐらい前だったら780円ぐらい。こういうところは円高サマサマなのだ。

でも、レートなんか関係なしに飲んじゃうよね~!だってこのイングリッシュ・エールは日本では味わえないし、とにかくおいしいんだも~ん!

向かって右側の木製の台に乗っているレバーがポンプになっていて、コキコキ向こう側へ倒してエールをくみ上げる。
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スティーヴと3人、音楽の話しでかなり盛り上がった!マイルスが日本のイングヴェイの女の子を教えてくれたりして…。
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マイルスは素敵だ。いつだってニコニコしている。「Myles Smiles」ね。こう見えてもノイズとかインダストリアル系の音楽をクリエイトしている。日本に来た時もレコーダーを肌身離さず持っていて、銀座線の音なんかを録音していた。私の誕生日にはいつもメールをくれる大親友のうちのひとり。

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暑くもなく、寒くもなく、やっぱり外でのんびりイッパイやるのは気持ちいい!
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ちょっと失礼してあたりを散策…。

コインを受けつけない公衆電話。変なの…でも、日本にもテレフォン・カード全盛期にはこういうのがあったか?
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「Bridleway」の「Bridle」というのは「馬勒(ばろく)」のこと。って知らないな~。バロク。バッハか?調べてみると、馬の頭にくっつけて馬を御する革ひももことだそうだ。つまりこれはお馬さんの道というワケ。普通の生活にこうして馬が存在しているということね。
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これはポスト…って見ればわかるけど、昔は日本もこういうポストだったよね。郵便はイギリスが発祥だったっけかな?「Royal Mail」。いかに明治日本がイギリスをお手本にしていたかがよくわかる。

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マイルスは家でごはんが用意してあるので先にバイバイ。残ったスティーヴとこのパブで食事をした。ちょっとゴメンナサイ、この写真、お腹が空いていたせいか思いっきりブレちゃった!
「チキンソテーのベーコン風味」みたいなヤツ。これがまたとても柔らかくてヤケクソにおいしかった!イギリスでもおいしいものはおいしいよ。でも、グリーンピースがな~。
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こっちはスティーヴのオーダーした魚。これもとてもおいしそうだった。ミドリのヤツはマッシュ・ピース。グリーンピースを漉したもの。マッシュポテトのグリーンピース版だ。

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「さあ、スティーヴ、もう夕方で日も暮れて来たし、お腹もイッパイになってきたからホテルへ帰ろう!」

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って、もうすっかり9時過ぎてるじゃんか~!
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つづく

イギリス紀行2012 その1~ブレッチリー

2012年6月26日初出

<はじめに>

先日レポートしたように光栄にも「ジム・マーシャルの生涯を祝う会」に招待され渡英してきた。
会社も辞めて時間もできたので、足腰がまだしっかりしているうちに大好きなイギリスをもっとゆっくり見て来ようと、その「祝う会」の後そのまましばらくの間滞在してきた。
決してただダラダラと観光するつもりで時間を割いたワケではなく、「ロック名所めぐり」を再開しようと思い、その取材を兼ねたのだ。
  
以前は「ロック名所」はいくつかの例外があったにせよ、ロンドンもしくはロンドン近郊という地域限定で展開してきたのはご存知の通り。
もちろんロンドンはブリティッシュ・ロックのメッカであり、その手の話題に事欠かないのだけれど、色々と現地の人々の話しを聴いていると、イギリスはある程度の都市であればロック文化が存外に深く根付いており、ロンドン以外の場所でも結構エピソードがあることを知った。
そこで、『ロンドン・ロック名所めぐり』をシゲ・ブログでは『イギリス・ロック名所めぐり』に拡大してお送りして行こうと思いついたのであった。で、ただ今、準備中。
(筆者註:この記事を書いた時、私はまだMarshallとの関連がなく、Marshall Blogで連載していた「名所めぐり」を自分のブログで展開しようとしていた)

『名所めぐり』では以前同様、今回取材した分も含めロック以外の話題には触れないようにするつもりでいる。ところが、今回のイギリス滞在はちょうどエリザベス女王の在位60周年記念のイベント週間にあたり、何やらロンドンはいつもと違う雰囲気。
こんな貴重な体験はレポートしなきゃ損!ってんで、今回の滞在中に見てきたこと、経験してきたこと、ロックとは関係ないことをまず書き連ねておきたいと思う。
友人のことや食べ物のこととかね!

かなり偏った内容になることは必至だが、一市井が見た真実のイギリス(と言ったらオーバーか?)を味わっていただけたらと思う。
この手のレポートはそこら中のブログで展開しているので珍しくも何ともないであろうが、ウンチクと自慢話でつないでお読みいただく皆様を何とか飽きさせないように書くつもりでありやす!

時系列に沿って順に書き連ねていくことにしよう。

今回渡英したのは5月の下旬から。東京はもう半ソデでまったく問題ない陽気。
この季節にイギリスに行ったことは過去に何回かあるので、例え東京は暑くても厚手のセーターやしっかりしたジャケットがないと現地で凍えることになるのは先刻承知。
何しろ真夏でも暖房を入れる土地柄だからね。セーターもジャケットもしっかりスーツケースに詰め込んだ。

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暑い…飛行機を降りた途端、予想に反して何やら真夏の陽気…。こりゃバカみたいにセーターやらジャケットを持ってきて損しちゃったかな?と後悔しつつ入国審査へ。

出たよ、ヒースロー名物のキュー地獄!キュー(Queue)とはイギリス英語で「列」という意味。
ヘンなつづりでしょ?
つまり、入国審査を受けるのに途方もない時間を要するのね。

列にはEUの国籍を持つ人たち向けと我々ノンEUの人たち向けの2種類があって、エライ待遇が違うんだよね~。
EUの人たちはサッサと入国しちゃう。
こっちはダラダラダラダラダラダラダラ、1時間待ちは全然当たり前。今回は「あ~、2時間かかるかな~」と12時間のフライトで疲れた体に容赦なくムチが入る!

また、今回は成田で荷物を預ける時に23kgをオーバーしてしまい、レンズ数本とカメラ本体を機内持ち込みのデイバッグに無理やり移しかえた。超過料金払いたくないからね…。
デイバッグにはすでにノートパソコンが入っていてかなり重い。
そこへアータ、重量物の代表みたいな立派な一眼レフカメラを入れたもんだから、重く重くて椎間板がハミ出しそう!
キューにいる間、当然下に降ろすでしょ?でも、キューはチビチビチビチビチビチビチビと30cm刻みで前へ進む。
都度、その激重のデイバッグを持ち上げるのが地獄の苦しみだったのよ。

そういえば、何回か前にイギリスに行った時、民主党の前原さんと同じ飛行機だったことがあった。
この時も入国審査には長いキューができた。
「この行列に前原さんも並ぶのかな…ヒヒヒ」なんて思っていたら大違い!
数人のSPと脇のゲートからシレっと出て行っちゃった。国会議員がこの列に並ぶワケないか…。

イギリスの空港は入国審査の際、キチンと質問をしてくることで知られている。
「何日滞在するか」、「渡航目的は何か」、「どこで過ごすのか」、「ラーメンはコッテリとアッサリのどっち好きか」とか。(コレはない…)

今回は滞在期間が長いせいか、やたら細かく質問を浴びせてくる。
で、「あなたの国の世界的な有名なギター・アンプのメーカーでマーシャルっていうのがあるのを知ってるか?」と訊くと「知ってる」というので全部説明してやった。
その創始者が4月5日に亡くなったこと、人生を祝う会が催されそれに出席すること、去年の末に会社を辞めて時間ができたので大好きなイギリスをゆっくり見て回ることができること、渡航費用を工面することが大変だったこと、等々。
これで一発OK!って全然一発じゃないか…。こんなことしてるから時間がかかるんだゼ~。

荷物を受け取って、ようやくゲートを出る。仲良しの運転手、スティーヴが待っていてくれた。ブレッチリーまで約1時間半。
1年以上会ってなかったので、車の中でその間に起こった色々な情報交換を交換する。楽しいな~。と、ちょっと待った!スティーヴに頼んで車を止めてもらう。

この季節、イギリスの郊外は黄色に染まる。菜の花だ。
彼らが花をおひたしにして鰹節をかけて食べているところは残念ながら見たことがない。油を採るんだね。道端にはこうしてかすみ草が生えていて彩りを添える。

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フト反対側をみるとこんな調子。ある種もう見慣れた景色ではあるのだが、やはりこの美しい光景を目にするとシャッターを切りたくなる。

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アットいう間にホテルに到着。
おっと、下の写真ホテルではござらんよ。
そんなことマーシャルの連中に言ったらヒックリ返って笑うわ!
これはホテルの前にある有名な「Pink Punter」というナイトクラブ。
ちょっと写真ではわかりにくいんだけど、虹色の看板には左から「LESBIAN」、「GAY」、「TRANSDUCER」と書いてある。
もうおわかりですね。
そういう所です。
「Transducer」というのは「性転換者」という意味。
自分の趣向に合わせてその門をくぐれば話しは早いというワケ。
残念ながらアタシの入り口はないナァ~。
「ZAPPA」っていうのがあれば入っちゃうけどね。

先に書いた通り、こっちはものすごい荷物でしょう。
ホテルに入る時、長身で金髪の美しい女性がドアを押さえていてくれたんですよ。
「Thank you!」と礼をいうと「You're welcome!」と愛想よく返事してくれるのはうれしいんだけど、その声が完全Dark Brown Voiceなのよ!もうまったくThe Kinksの「Lola」の世界!
こりゃいい旅になりそうだ!

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イギリスは6月の下旬に向けてジャンジャン日が長くなる。
これで夜の8時ちょっと前ぐらいかな?
6月になるとスゴイよ。10時半ぐらいでようやく夕方?みたいな。
一日が長いのなんのって!
パーティや会食も、そもそも始まるのが平気で8時とか8時半とかだし、10時を回って11時になろうして「さあ、そろそろお開きかぁ~?」と外を見るとまだ完全に夕方。
オイオイ、日本ならこれからイッパイって感じだゼイ!
こちとら疲れちゃってワイルドだなんて言ってらんねーゼイ。

ホテルの近くの運河。とにもかくにもこのイギリス国中に張り巡らされた運河網は魅力的だ。今でもギンギンに活用されている。

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運河が生活に密着している地区もある。

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ホラホラ、来たよ、ナロー・ボートが!

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この青いボート、何しに来たのかと思っていると、ここでUターンしてんの。

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♪春のうららの隅田川…上り下りの船が行き交うよ。

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こっちの船頭さんは女性だ。
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「British Waterways」というのはイギリス政府が運営する運河を管理する機関。
イギリス全土全長3,541kmの面倒をみている。
水路橋やナローボートのエレベーターなんて施設もあって、興味津々。
もう退職してしまったがディックというマーシャルにいた友人が「Dragonfly」という名のナローボートを友達と共有しており、よくその写真を見せてくれた。
あ~あ、いつかこの船に乗ってイギリス全土を巡ってみたいナァ!

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テムズ川まで55マイル(88km)。テムズのどこまでなんだろう?
つまりこの運河は河口でテムズ川に合流しているということ。

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ここは「フェニー・ストラットフォード」という停泊場なのだ。
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ここに船をつないで停泊する。

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ナローボートは交通の手段でもあるが、多くの人が船に住んじゃってる。
これ住所はどうなってるんだろう?郵便物は普通に配達されるらしい。
住所がないとしたら税金は?
ヴァージン・グループの創始者、リチャード・ブランソンもかつてナローボートに住んでいたと自伝で語っていた。
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水位が高いので橋は邪魔になってしまう。
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ところが心配は無用。
ここは橋が旋回するようになっているのだ。

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さらにここは閘門(lock)の役割も果たしている。水門を開閉して内外の水位を調節する。
「ロック」とはロンドンの北にあるカムデン・ロックのロックだ。

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これは何でしょう?上空のヘリコプターを見上げる老人たち。イヤ、何となくUFOの『現象』を思い出してしまいましてね…撮っておいた。
わかる人には「Oh! My」でしょ?

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ホンモノはコレ。「飛行物体」、「青空」、「イギリス」というキーワードだけね。ヒプノシスの作品。

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フェニー・ストラットフォード・ロックの近くには線路が…。
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単線だねェ~。

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これが駅。ナンカおとぎ話にでてくるような風情でしょ?もちろん無人駅。
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その「フェニー・ストラットフォード」駅の入り口。
ロンドン・ユーストンからバーミンガム方面の路線の支線のひとつにある駅で、ブレッチリー駅が終点となる。
ブレッチリー駅というのはマーシャルの工場から歩いて20分ぐらいのところにある国鉄の駅。
このフェニー・ストラットフォード駅からマーシャルの工場までは歩いて10分ぐらい。路線を考えなければこの駅が工場に一番近い電車の駅になる。

この近くにおいしいサンドイッチ屋さんがありましてね。
おいしいんだけど、チョットしょっぱいんだよナァ~。
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運河の脇にある「The Bridge Inn」というレストラン。
「Inn」ということは宿屋でもある。なぜココをレストランとよんだかと言えば、実は思い出の会食をした場所なのだ。今はもうなくなっちゃった。

何年前になるかな?楽器屋さんの担当者をマーシャル工場のツアーにご招待したことがあって、その時のジム・マーシャルとの会食の会場がここだったのです。
ジムはあの時まだまったく元気で、コルクの手品をしてくれた。あの時は本当に楽しかった。

私はそれ以外にもここを訪れたことがあって、あの時はワールドカップかなんかだったのかな?
とにかくサッカーのテレビ中継をしていた。その時は他の国の人々との会食で一番大きな部屋を占有していた。
サッカーの試合が見れるテレビがその部屋にしかなくて、よそのグループが部屋の外から試合の成り行きを気にしている。
それじゃ、みんなで観戦しようよ!ってんでみず知らずの人も交えてみんなでイングランドを応援した。
アタシャ、サッカーにはなんの興味もないけど、これも楽しかったナ。
サッカーってこうやって観るもんなのか~…と驚きもした。
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つづく

TAIKO GATHERING vol.1 春~GOCOOの世界

2012年5月14日初出

Tiko gathering vol.1 Spring~The world accordimg to GOCOO

『オーケストラ・リハーサル(Prova d'orchestra)』というフェデリコ・フェリーニの1979年の作品がある。深夜のテレビで放映されたのを、たった一度眼をこすりながら観ただけなので細かい部分は一切覚えていない。元来、フェリーニだとか、ゴダールだとか、ワイダとか、評論家先生方が絶賛するこのあたりのヨーロッパ映画ってサッパリわからないのですよ。フェリーニも『甘い生活』だの、『8 1/2』だの、『アマルコルド』だの、『ジンジャーとフレッド』だのと、チョコチョコ観てはいるものの、どーもワカラン!

やっぱ映画はハリウッドよ!黒澤よ!…これが私の映画道なのです。歳をとってきているのでコムズカシイのはもう一切ダメね。子供の頃、お年寄りが時代劇ばかり観ているのを「一体ナニがおもしろいのやら?」と不思議に思ってたけど、いよいよ来たぜ!その良さがわかる歳が!

で、フェリーニは結局、小学生の時に観た『道』ぐらいしか印象に残っていなかった。ジュリエッタ・マシーナ演じるジェルソミーナが切なくて…子供ながらに「ずいぶんイヤな映画だ…」と思ったものだ。対するザンパノを演じるアンソニー・クイン。好きだな~。これも一度しか観たことがなくて、是非また観たいと思っている彼の主演作品で『25時』というのがあった。戦争に翻弄されるユダヤ人の話しで、とても切ない映画だった。『アラビアのロレンス』のハウェイタット族の首長もよかったし、『炎の人』のゴーギャン役もスゴかった。あ~また昔の映画観たくなってきたな…。

もうひとつ印象に残っているフェリーニ作品が『オーケストラ・リハーサル』というワケ。この映画の中でオーケストラの各パートの担当者が自分の楽器について色々とインタビューを受ける。ま、自分とは感覚の相違があれど、「こういう性格だからこういう楽器をやっている」というのが浮き彫りになってくるところがおもしろかった。

N響の方の主席オーボエ奏者の茂木大輔さんに『オーケストラ楽器別人間学』という著書もある。やっぱ音楽にたずさわる人はみんな興味のあるとこなのだろう。

さて、自分はどうか?

やっぱり、ギターなんだよね~。最近はもうすっかりイジる時間も少なくなってしまったけど、やっぱりギターが好き。正確にいうとギターを使った音楽が好きなのかも知れない。間口を広げてもせいぜい弦楽器。絶対打楽器人間じゃないと思う。

こういうのは、好みの音楽や家庭での環境など、かなり早い段階での刷り込みが影響しているんだと思うけど、楽器が違えばそれぞれが滅多に相容れようとしないし、奏でる人の性格も似通っているからスゴイ!生まれた時から「楽器をやるならこの楽器」って運命づけられているような気がする。

管楽器ばっかり好きな人もいれば、ベースのことしか頭にない人もいるもんね。

そして、今日は和太鼓の話題(コ。ここシャレになってます)。生まれながらにして和太鼓を叩くことが決められていた方々のライブのレポート!

弦楽器族の人間が打楽器族を撮影するとどうなるか?そこんところも含めてご覧あれ!

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この日は『TAIKOギャザリング vol.1 春』というタイトルのイベント。下谷さんのお祭りが昨日で終わって、今週末は三社さん。それに大分先駆けて開かれたのこのお祭り!

「♪何もすることがなくて、おろしたてのバラ色のシャツきて…」…おまつりっていいよね!

でもこちらは4人どころじゃなくてお客さんもゴッチャにまみれての太鼓の大宴会!楽しいよ~!

主宰は世界で活躍する和太鼓バンド、GOCOO(ゴクー)。そのGOCOOがプロデュース和太鼓グループTAWOO(タヲ)の演奏や、東京キネマ倶楽部で催された和太鼓のワークショップの第1回目の発表会も併演された。

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ワークショップの発表会。

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1か月程度のワークショップでアンサンブルに参加できるようになる。新しい趣味を見つけた人、ストレスを発散している人、エクササイズしてる人、そして和太鼓の魅力にとりつかれた人、みんな楽しそうだ!

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TAWOOの演奏。

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アタシだってね、パラディドルやフラマキューぐらいは知ってますけどね、このスティック…バチか…で延々と叩き続けるなってとてもできゃしませんね。すごいエネルギーだ!

TAWOOのメンバー、kaori。

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Keiko。

このポーズ!自分がやった時のカッコ悪さを想像するとタマランわ~。

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Akiko。

そもそも、このパターンというか曲が覚えられそうにないですわ!

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Chihiro。

また打楽器特有のダイナミクスを味わうのも楽しい。ピアノから…

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はじけるようなフォルテシシモまで!

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男性陣のソロ。

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このGOCOO一派は女性比率の高いパフォーマンス団体だ。その中で男性だけの演奏となるとまた雰囲気が変わっておもしろい。

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一糸乱れぬアンサンブル…

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キマッタ!
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イベント中ごろにはお客さんが参加しての体験コーナー。
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和太鼓といえば、子供のころキャラメル欲しさに山車に乗って叩いた「ドンドンカカカ」ぐらいだかんね~。
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ここでGOCOOの人気者、Nogzo(ノグゾー)さんの指導で会場が一体となる。

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音を出してみることから始まって、最後はみんなで大合奏。曲は「天才バカボン」だ!はじめのうちはホンノちょっと恥ずかしがっていたみなさんもNogzoの明るく楽しいリードで最後は「え~、もう終わり?」みたいな…こういうところが打楽器のいいところなんだよね。ギターではこれできないから。

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そしていよいよGOCOOのパフォーマンス!

GOCOOをご存知ないシゲブロ読者のためにプロフィールをば…淺野香(Kaoly)をリーダーとした1997年デビュー和太鼓バンド。メンバーの松崎太郎(Tarow)が制作したオリジナルの太鼓を含め、30台を越す和太鼓を使用している。。
活動は国立劇場「日本の太鼓」から「フジロック・フェスティバル」までと幅広く、海外でもヨーロッパのビッグフェスを中心に中南米やオセアニア、アフリカなど延べ28ヶ国174回(2012年1月時点)にのぼるライブを敢行している。

和太鼓の常識を大きく越えたサウンドが絶賛され、グローバル・ミュージックとしての和太鼓の在り方を打ち出しており、ド映画『マトリックス』のサウンド・トラックにも日本から唯一参加。2009年の7月には雑誌 『Newsweek』の「世界が尊敬する日本人100」にも選ばれている…のだ。

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GOCOOのリーダー、タヲ太鼓道場主宰のKaoly(カオリー)さん。

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あのね~、とにもかくにもカッコいいことこの上ないのよ、Kaokyさん!

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「ハッ!」と気合いを入れて打擲する瞬間、その場の空気が締まるのだ。

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そして、白鳥のように舞う姿は、打楽器奏者というよりバレリーナだ。
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しかもこのスタミナ!この日、ズッと出ずっぱだったのですよ。出ずっぱりでもボーっとステージに立っているワケではないからね。ずっと力イッパイ叩きっぱなし!まさに和太鼓のAavatarなのだ!

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これね~、みなさんね~、和太鼓のアンサンブルっていうとどういうサウンドをイメージしますか?

そうだな…和太鼓のオノマトペといったら…「ドンドコドンドコ」でしょ?私流の聴き方だけど、GOCOOのアンサンブルからはそれが聴こえてこない。

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そうした和太鼓のステレオタイプを粉々にしてしまったって感じね。だからといって奇をてらったワケのわからない演奏ではまったくない!伝統的な奏法を踏襲した上で、完全に自由な発想でアンサンブルを組み上げているというやり方だ。

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自分たちを「和太鼓バンド」と標榜しているが、そう、私にはね、キング・クリムゾンのイメージがメッチャ強いのです。私は先に触れたように自分を根っからのギター人間ではあると思ってはいるけど、打楽器も結構好きでござんしてね、GONGの『Expresso II』なんて愛聴盤だし、某音大の打楽器科の卒業記念コンサートに行ったこともあるんですよ、ハイ。

それでも退屈な演奏は退屈ですからね。正直、数年前に他の団体の和太鼓のリサイタルへ行ってシンドイ思いをしたこともある。

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でもね、このGOCOOは観てても、聴いてても飽きない。曲がいいんですよ。私にとっては、キング・クリムゾンであったり、マグマであったり、後期のゴングであったり、クセナキスであったり。

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何といおうか、打楽器のアンサンブルなのに、そこにメロデイが見えてくるんだよね。

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シンバルをかき鳴らすJera。

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長胴太鼓、シメ太鼓、桶胴太鼓、バンブー、銅鑼担当のTakema。

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ワークショップで会場を大いに盛り上げたNogzo。Takemaと同じく、長胴太鼓、シメ太鼓、桶胴太鼓、バンブー、さらにジャガラシンバル、ホーミーを担当している。

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女性比率の高いGOCOOの中でステージ中央、Kaolyの背後でガッチリとサウンドを引き締めるその姿は金と銀か…。男だからふたりとも金将だ。

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リーダーのKaolyはシメ太鼓、長シメ太鼓、桶胴太鼓、インディアンドラム、法螺貝、ボーカル、MCと八面六臂の活躍!

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シメ太鼓、桶胴太鼓、あたり鉦、バンブー担当のChiyo。
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Tarowもシメ太鼓、長シメ太鼓、桶胴太鼓、あたり鉦、スリットドラム、シンバル、銅鑼と担当楽器が多い傍らGOCOOが使用している桶太鼓を製作している。

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シメ太鼓、長胴太鼓、桶胴太鼓を担当するYoccy(ヨッシー)。

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Haruna。担当楽器はYoccyと同じだ。
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今、シゲブログではこうやってひとりひとりメンバーを紹介しているが、GOCOOってステージでダラダラとメンバー紹介をしないんだよね。これも好き!

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中には大所帯のバンドで、ひとりひとり紹介して、かつ1人ひとことなんてのもあったりするじゃない、20分ぐらいかけて…。大会社の歓送迎会じゃあるまいし…サラってやってもらいたいことがあるよね。

そういえば、「メンバーを紹介します!」っていうの、アレ昔はこんなにやらなかったもんですよ。

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ちなみに、記録に残っているもので一番カッコいいと私が思っているメンバー紹介はハービー・ハンコックの1976年の『V.S.O.P.』だな。「The Eye of the Hurricane」の前。ハービーの紹介でトニー~ロン~フレディ~ウェイン~ハービーの順で入っ来てテーマをプレイした瞬間に鳥肌の出ない音楽ファンはいないだろう。

ああいう風にやってくれるメンバー紹介なら大歓迎なんだけどね!

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GOCOOがそれをやらないのも、GOCOO自体がひとつの人格を持ったパフォーマーだという意識があるからなのかもしれない。ひとりならメンバー紹介する必要もないもんね、「GOCOO」なんだから。

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シメ太鼓、長胴太鼓、桶胴太鼓担当のYumi。
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GOCOOのフロント陣、シメ太鼓、長シメ太鼓、桶胴太鼓、長胴太鼓他を担当するKanae。

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同じくNori。
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恐らくはじめてGOCOOを観る時、この2人の動きに目を奪われる時間が少なくないであろう。

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ステージ上下でKaolyをはさんだその姿は将棋なら「飛車角」、『水戸黄門』なら「助さん角さん」、『ヤッターマン』なら「ボヤッキーとトンズラー」だ。(あ、もちろん「名コンビ」という例えね!)

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最初から最後まで全身の力を振り絞った演奏から目が離せないのだ!

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GOCOOはとにかく全員楽しそうだ。全員終始笑っている。だから観ている方も楽しい!

是非みなさんにもこのワン・アンド・オンリーのGOCOOの世界を味わっていただきたい。
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世界が舞台のGOCOO。この7月にもドイツ、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、フランス等7ヶ国15回公演のヨーロッパツアーが決定している。

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GOCOOの詳しい情報はコチラ⇒GOCOO公式ウェブサイト

今日冒頭にレポートした「和太鼓ワークショップ@東京キネマ倶楽部」の2ndクールがもうすぐ始まります!

詳しい情報はコチラ⇒和太鼓ワークショップ@東京キネマ倶楽部公式ウェブサイト

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(一部敬称略 2012年4月1日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

灼熱のへヴィ・メタル!~KRUBERABLINKA発進!!

2012年4月23日

先週の土曜日、とあるライブの撮影に行って来たんだけど、もう数えきれないくらいの方々から「ブログ再開おめでとう!」、「楽しみにします!」、「がんばって!」、「またアレが読めてうれしい!」ともう涙がジャージャー出るほどうれしいお言葉を頂戴しました。この場をお借りしまして、温かいご支援につき心から御礼申し上げますとともに、相変わらずのお引き立てを何卒よろしくお願い申し上げます。

おかげさまで開始早々アクセスも期待をはるかに上回る件数をマークし、今、燃えに燃えております!シゲちゃん、ワイルドだゼェ~?

前職を辞し、マーシャル・ブログを脱稿してホッとしていたのだが、このバンドの音を聴いて矢も楯もたまらなくなった!どうしてもまた書きたくなったのだ!また筆を握り(PCのキーボードだけどね)、いいバンドや音楽を少しでも世に広めたい!という欲望と義務感が爆発炎上したのだった。

スタート早々、涙系の記事が続いたシゲブログだが、今日からは元気イッパイみなさまにいい音楽の情報をお届けしていきたいと思う。マーシャル・ブログの続き、イ~ンヤ、それ以上と思ってお楽しみあれ!

さあ!KRUBERABLINKA(クルベラブリンカ)の登場だッ!

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元Terra Rosaのスーパー・ディーヴァ、赤尾和重が結成したKRUBERABLINKA(クルベラブリンカ)だ。大阪を拠点とし、同じく元Terra Rosaの鈴木広美をギターに迎えている。

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これが昨年11月にリリースされた5曲入りミニ・アルバム『KRUBERABLINKA』。 コレいいんだゼ~。歌詞もメロディもアレンジも演奏も、実に細かいところまでていねいに作り込まれていて、和重さんの気合いの入れようが充分に伝わってくる。

また、録音もいいね。最近の高域と低域しか聞こえてこない、誰が何をやってるんだかさっぱりわからないドンシャリ・レコーディングと違って、それぞれのメンバーのプレイが目前に飛び出してくる。何回聴いても疲れない。

最初、バンドの名前からするに、ロシア系の要素が入っている音楽を想像してしまったが全然違う。でも、考えてみるに古今東西、スラブ系の要素を盛り込んだロックって今までにないんじゃないかな?狙い目かもよ?!

アッレ~?!しかもレコーディング・メンバーを見るとベースがオガンちゃん(小笠原義弘)じゃん!「ワシ、へヴィ・メタル苦手やわ~」とか言っておきながら…盤石のプレイではないの~!

そして、このCDを聴けば聴くほど「ああ、ライブが見たい!」という欲望が募るのであった!

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そしてとうとうその日がやって来た。2012年2月25日、目黒の鹿鳴館での『Battle Hymns』というイベントにKRUBRABLINKAが登場したのだ!

ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのカッワーリーに導かれてメンバーが登場する。

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メンバーは、赤尾和重。

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ギターに鈴木広美。
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ベースは山崎いっつあん浩一。
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岡田英之のキーボード。
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そして、ドラムは泉谷賢だ。
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腕利きのメンツに囲まれて思う存分シャウトする和重さん!

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セットリストはミニアルバム+1曲と言う内容。オープニングはアルバム1曲目のキラー・チューン「Don' be so mad」だ。

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怒涛のごとく押し寄せる音の壁!これぞロック!
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アルバムと同じく、2曲目に「太陽」を持ってきた。これメッチャ好き!何なのよこのリフは? フツー、こんなん弾かないよ!

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この曲を聴いた時、35年くらい前に初めてジューダス・プリーストを聴いた時の戦慄をおぼえたね。「The Ripper」ね。「おんなディオ」なんてよく言われる和重さんだけど、私にとってKRUBERABLINKAはジューダスだ。ボーカリストだけは確かにロバート・ハルフォードではなくてロニーだけど…。

恥ずかしながら最近知ったのですが、「ジューダス・プリースト」って「ジーザス・クライスト」のモジリなんですってねェ~?

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3曲目はグッと落としてバラードの「砂山」。

このビミョーな和重さんのブルーノート感覚がタマランね。「ウォ!ソコそうやって歌っちゃう?!」みたいな…。やっぱりロックはどこかにブルースの要素が必要なんよ。

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舐めるようにジーックリと歌い込む和重さんに鈴木広美の泣きのギターがからむ!

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「♪さらさら崩される気など 砂山の心根にはありはしない…」なんてまるで石川啄木か島崎藤村のような詩もステキだ。

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1曲はさんで5曲目は「だれも」。これも好き!「♪だ~れも」のリフレインが印象的なミディアム・テンポのハードブギ!

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いつか令文さんもおっしゃっていたが、若い人は3連を演らないって(あ、これKRUBERABLINKAが若くないって意味ではないのよ!)。このドライブ感!カッコいい~っての!こうした、ノリのよいブギもハードなロックの大きな魅力ではなかったか?ザッコザッコと疾駆するサマはロックそのものだ

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レコーディングでもライブでも絶妙なバッキングでサウンドを分厚くする岡田英之のキーボード。「だれも」ではゴキゲンなオルガン・ソロが炸裂した!

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そう、リズム隊の力量も見逃しては絶対にならない!

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すさまじいパワーでフロント陣をプッシュしまくるこの律動感もKRUBERABLINKAの大きな魅力であり、心強い武器だ。
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1時間にも満たないステージ…アット言う間に最後の曲だ。
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締めくくりもアルバムと同様「業火(ごうか)」。業火とは、罪人を焼く地獄の火のこと。タイトルにはギョっとさせられるが、サウンドはソリッドでヘビィな正統派ハード・ロック。

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イントロのギターリフからして魅力的だ。この曲では鈴木広美のギターの魅力が最大限に発揮された。3/8+3/8+2/8パターンに乗って展開するギター・ソロが素晴らしい!

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それにしてもこの声!「声の壁」だ!最後まで全力で絞り切る歌唱はまるで業火にあぶられる罪人の断末魔の声!あ、スミマセン、これ全然ホメ言葉じゃないね!でも人並み外れた何かものスゴイものを感じさせてくれることは確かだ。

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ナゼこれほどまでにKRUBERABLINKAの音楽が魅力的でカッコよく、シックリくるのか?…理由は簡単!曲がいいとか演奏ウマイなんてのは当たりまえ。その理由は…ハードロックの魅力的な要素がパンパンに詰め込まれているからだ。

それは、まず①ボーカルの声がいわゆる「ロックの声」で、声量がある②ギターの低音弦で奏でるギター・リフがある③ギター・ソロやキーボード・ソロといった器楽演奏の見せ場がある④複雑なキメに対応できるしっかりした、それでいてドライブ感満点のリズム隊がいる⑤ステージマナーをわきまえている…だと思うのですよ。マーシャル・ブログ時代にもズ~ッと言ってきたことなんだけどね…。これがロック!少なくとも聴きたくなるロック!

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とにもかくにも自分の音楽を奏でることを最高に楽しむ和重さんを見るのが最高に楽しい夜なのであった!次回作、次回のライブ、両方実に楽しみだ!

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KRUBERABLINKAの試聴はコチラ⇒KRUBERABLINK My Space

KRUBERABLINKAの詳しい情報はコチラ⇒KRUBERABLINKA facebook

赤尾和重のブログはコチラ⇒赤尾和恵 official website

鈴木広美のブログはコチラ⇒Blue Symphony Official Web Site

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後日譚:和重さんに訊いてみた・「カッワーリー好きなんですか」って。ヌスラット大好きなんですって!趣味がいい!私も大好きなのだ!

(一部敬称略 2012年2月25日 目黒鹿鳴館にて撮影)

 

♪ シゲブログ、はじめました~

2012年4月17日

3年と9か月にわたり多くの皆さまに可愛がっていただいたマーシャル・ブログを脱稿して3か月と半月…もう書きたくて、書きたくて…。

毎日記事を書き連ねるのも、そりゃ死ぬほど大変でしたが、書けない方の苦しみの方が断然大きかったのです!知らない間に身体の一部になっていたんですね~。

加えて皆さまからのご支援!これはもう筆舌し難いほどのよろこびでした。相変わらずライブ会場をカメラ片手(最近は両手!)にウロチョロしている私ですが、その姿を見かけて声をかけてくださる方が多数いらっしゃいました。

「どうして止めちゃったですか?! もう復活しないんですか?!」

「またブログ始めてください!楽しみにしています!」

知り合いは言うに及ばず、お顔をまったく存知上げない方からも温かきお言葉をたくさん頂戴しました。

加えて、これまた多数のミュージシャンや音楽業界の方々からの応援も!

「またブログやってよ!いくらでも協力するよ!」

「やっぱり、アレがないとつまんないよ!」

こんなに皆さまから愛されていたなんて!

とうとう決心しました。

で、♪ シゲブログ、はじめました~

毎日の更新はかないませんが、いい音楽をご紹介するために、いいバンドをご紹介するために、色々な音楽や楽器にまつわる話題を以前のように写真テンコ盛りでお送りしていきたいと思います。

しばらくの間はお休みを頂戴していた間にホールドしていたライブやイベントのレポートを中心にお送りしたいと思います。

マーシャル・ブログの時と同様、皆さま方の末永いご厚情を賜り度く何卒よろしくお願い申し上げます。

記念すべきオープニングの写真は私の執務室を掲載させていただきました!

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