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2013年6月10日 (月)

イギリス紀行2012 秋の陣 その4~探せばまだあるロックネタ

2012年10月17日 初出

いつも観光客でゴッタ返しているコヴェント・ガーデンに近いホルボーン地区。大通りをちょっと入ると瀟洒な住宅街となる。といっても現在は多くが事務所などの商業設備として使用されているようだ。かつてはチャールズ・ディケンズがここに住み『オリバー・ツイスト』を書いたという。

この通りの左側にイギリスで一番小さな国立博物館、「サー・ジョン・ソーンズ博物館」がある。前回、訪れたが女王陛下の「Diamond Jubilee」の関係で臨時休業しており入れなかった。今回の訪問はリターン・マッチとなる。

ちょっ~と前まで晴れていたのにまた雨。

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博物館になっているのは真ん中の白い建物。何しろ元々はジョン・ソーン卿の個人宅なので小ぢんまりしている。もちろん個人宅にしてはアホほどの広さだが…。

それでも大勢の人が観て回るには狭すぎるので、入場制限はあるし、大きな荷物は一切持ち歩けず、預けなければならない。

赤い傘の下におじいちゃんが立ってるでしょ?他におばちゃんがいて、この方々は博物館の関係者なんだけど、モノスゴイ丁寧な話し方をされる。クイーンズ・イングリッシュのかたまりで、ゆっくりと歌うようにしゃべるさまには気品が満ちあふれている。これがあのVallyey Girlが使っている言語と同じものかと信じたくない。

若いころ、アメリカの英語がカッコいいとあこがれ、何とか身につけたいと思っていたけど、今はイギリス英語の方が全然カッコよく聞こえるな。語彙も豊富でおもしろい。ところがこの発音、まったくできない。

勝手な自己流の研究で言えば、「r」で舌を巻かず、とにかく子音、とくに「t」「k」「p」「b」といった破裂音をハッキリと発音し、反対に「th」のような摩擦音は弱くする。そしてアクセントを大げさに強めず、文尾を上げすぎずにツラっとしゃべりきれば何とかそれらしく聞こえなくもない。

ところが、長い間アメリカ英語にあこがれて練習してきた舌にはこれがなかなかできない!そして、何よりも一体誰の英語を手本にすればよいのかサッパリわからんのよ!イギリスでは村々で異なる英語を話すっていうからね。ま、いつかは体得したいものです。

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そんな美しい英語に惑わされて、つい小冊子を買わされてしまった!£2。ま、入館料は取られないので寄付かと思えばゼンゼンいいんだけど…ってアータ、ここ£2なんてこといってたらおつりが来すぎちゃって困るぐらいおもしろいのよ!ここも館内撮影禁止なのが残念なんだけど、小さいながら素晴らしいコレクション!

このジョン・ソーンというオッサンは建築家かつ教育家で有名ではあったが、それほど裕福ではなかった。奥さんの側の親族の遺産相続をしてからコレクションがスパークしたらしい。

コレクションの幅は恐ろしく広く、古代遺跡の破片やら絵画、彫刻などなど、マァ、そのコレクションをひと目見たら思うこと間違いない…「ああ、このオッサン、いっちゃってんな~」って。しかも、さすが建築家らしく家の構造が迷路のようで、こりゃ住んでいても迷ってしまうのではないか?という感じなのよ。

しかも、ここはソーンさんが亡くなった時の状態そのままになってるっていうのよ。法律でイジッちゃいけないことになってるらしい。ホントにこんなとこに住んでたんよ~。ソーンなの信じられないね~。

ここのコレクションの目玉である18世紀にウィリアム・ホガースとかいう画家の連作「放蕩者のなりゆき」というのはおもしろかったし、地下に展示されている「セフィ1世に石棺」というのはなかなかに見ごたえがあった。この石棺は出土したエジプトの国外にある石棺の中ではもっともクォリティが高いとされ、このソーンというオッサンはこれを手に入れた時、三日三晩祝宴をしたそうだ…やっぱりイッちゃってるでしょ?

蔵書なんかも荘厳で素晴らしい。是非、ロンドンに訪れた際には見学することをオススメします。見なきゃソーン損。。

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この博物館の向かいはリンカーン・イン・フィールドという公園になっている。ナントこの公園、ニューヨークのセントラル・パークのモデルになんだとさ。スッゲ~な、ロンドン。

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で、今回は考えてみると一度もジックリと歩いていないロンドン東部のシティ方面を散策することにした。

例によってもう足やら腰やら痛くて痛くて…。疲れがなかなか取れないのですよ。もちろん歳のせいなのはわかっているけど、よ~く考えてみると、コレ食事のせいだわ。毎日毎日、朝から晩までサンドイッチとカップヌードルにポテトチップ(クリスプ)、フライドチキンにフレンチフライポテト(チップス)でしょ、ちょっとした栄養失調ではないのかということに気付いた。栄養失調といってもカロリーは高め。米ですよ、米。もうかれこれ10日は米を一粒も食べていない。きっと身体が驚いちゃって、動かしにくくしていたに違いない。「おまえこれ以上米を食わずに動いたら死ぬぞ!休め休め、疲れを残して動けなくしてやる!」と身体が防衛本能を発揮しているんだ。あ~、納豆食べたい。

肩に食い込むカメラが一層重い…。兵隊さんは大変だったろうナァ~…とマジで思ったね。それでも野辺を歩き続ける悲しい兵隊ひとり…なのだ!(from 小室等)

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雨も降ってる、し前から入ってみたかった「ロンドン博物館」を訪ねる。これにはちょっとした思惑がありましてね…。ロックの本場、ロンドンの博物館なんだから、何がしかロックに関するアイテムがあるんじゃないかと思ったのですよ。V&Aみたいにね。

ここの博物館はスゴイ。ものすごく壮大なのよ。何しろ前人類史からロンドンの歴史をさかのぼっちゃう!いわゆる郷土資料館ですな。まあ、これゆっくり観てたら3日ぐらいかかっちゃう。で、思いっきりワープして1960年代へ!

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お!思った通りそれっぽいのが出て来たゼ!
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スウィンギン・ロンドンはやっぱハズせないでしょう。思い出すな~、郡山美術館。楽しかったナァ~。
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こんなワンピースを着たレディがレスタースクエアあたりを闊歩していたんでしょうナァ。
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キンクスの「Sunday Afternoon」のシングル盤他。
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マリー・クアントも欠かせません。スゲェつけまつ毛!細い針金でできてる?
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こちらはサイケですな。「カラフル・クリーム」が飾られてる。これの原題『Disraeli Gears』の意味は前のブログでいつかお話ししましたね?
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こんなものも飾ってある。本物です。
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もっとゆっくり見ていたいんだけど、何せもう足腰がシンドくて…。それに晴れている間に先に進まないとまたエライことになりますからね。ここはまたいつか見に来よう。
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さらに東へ進む。お、スゲエ、ローマ時代の遺跡がボコっと出て来る。これ大阪でいえば梅田阪急ビルと大阪第4ビルの間に弥生時代の遺跡が野ざらしになってるようなもんだからね。
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ギルドホール。1411年の建設だそう。1666年のロンドン大火の難からも逃れ、現在も使用され続けている。
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タイルが貼られた手前の広場も美しい。この辺りは新しい背の高いビルばかりなので、突然視界が開け、この荘厳な建物が目に入った瞬間にはちょっとした感動を覚えざるを得ない。
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モニュメント。ロンドンにはこうした記念碑が数多く存在しているが、これが一番立派なのかな?1666年に起こったロンドン大火(前出)の犠牲者を悼む記念碑だ。
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£3を払えば上に上がれるようになっている。天気がとてもよかったので上がって写真を撮りたい気持ちにもなったが、この足じゃな…。足が張って帰りに階段から転げ落ちてもタマランのであきらめることにした。
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ああいい天気だニャ~。今晩もサンドイッチか…トホホ。
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つづく

イギリス紀行2012 秋の陣 その3~『Let It Be』を観たよ

2012年10月16日 初出

貧乏旅行…私の場合、食費を削ることよりも、音楽グッズを買い控えたり、観劇をガマンしたりすることの方がツライ。お土産は別にして、洋服なんて自分にはTシャツ一枚買ったことすらない。

その代わりCDやら、本やら、大好きなミュージカルには惜しみなくお金を使う!…と行きたいところだが、当然そうもいかない。両替したポンド紙幣の減り具合を確認しながらおそるおそるCDや本を少しずつ買い込まざるを得ない。

CDや本はいつかまたどこかで再会できることが期待できるので(ま、私が欲しいモノなんて大したアイテムじゃないから…)、ちょっとした努力で買い控えることもできよう。

それでも、いつかオレゴンのベンドだかベントだか、ジェリー・ドナヒューのようなチョーキング名人が集まっていそうな町に行った時…小さな小さな町だったが、中古レコード屋を見つけた。すぐに店内に入りROCKの「Z」コーナーへ。当然何かFrank Zappaの珍しいものがないかとチェックしたワケだ。エサ箱に入っていたのは十把一絡げののありきたりのモノばかりだったが、最後に『Apostrophe(')』と『Over Nite Sensation』の4チャンネル盤というのを見つけた。$10チョット程度だったかな?

普段なら絶対「買い」なんだけど、こういう時は時差による疲れのせいか、思考が妙な具合にブレるようで、どうもいい結果を生み出すことがない。この時は、「欲しいナ、問答無用で買いだろ?」→「イヤ、待てよ、こんなもの持ち帰ってどうするんだよ?4チャンネルのステレオなんか持ってないじゃんか!」→「それに荷物になるゾ~。LPがどれだけ重いか、おまえならよ~くわかってるだろう?」→「それにこのLPをスーツケースの底に入れてだな、今はきれいなジャケットがだよ、持って帰った時、ヒン曲がっちゃって醜い姿になっていたら苦労して持って帰った甲斐がねーゾ!やめとけ!やめとけ!」と天使か悪魔かどちらともつかない声が聞こえる。

結果、「やめ」である。そのまた結果が「後悔」である。それらのアイテムに後日出会ったことがない。だから、ほんのちょっとの犠牲で済むのであれば、「欲」を貫いた方が後々楽である。これが私の「海外買い物人生訓」なのだ…ま、しょっちゅうブレてるけどね。

でだ!チョットどころの犠牲で済まなくても自分に「Goサイン」を出すべきは、ミュージカルやコンサートなどのエンターテインメントである。理由は単純。他の場所では経験できないからね。

私が考えるに、実は日本は驚異的なエンターテインメント後進国である。正確に言うと経済先進国の中にあっては、西洋エンターテインメントを国内で経験できない、その方面においては最も遅れた国だと思うのです。

言葉の問題もあるし、落語やその他のオリジナルの古典芸能も豊富にあるので、ミュージカルなんて観ちゃいられんよ…ということもあるのかもしれないが、まぁ、寂しいもんです。かといってお能観にいかないでしょ?!それもこれも「観劇」という習慣がないから仕方ないのでしょう。

その結果、現地で観るということが必須になってくる。これは現地で見逃すと他では経験できないことが多いので、もしくは「劇団○×」の焼き直しなど観たくはないので、多少の犠牲を払ってでも経験しておくようにしている。

例えね、大枚はたいて観たショウがその時少しぐらい気に入らなくても、後年、「お、オレ、それブロードウェイで観たよ。メチャよかったよ~!おまえも観た方がいいよ~。ま、オレはミンスコフ劇場で観たけどね…」とかいうことになるのよ。おのぼりさん根性と笑わば笑え。どうせショウ・ビジネスにおいては、日本人は絶対に永久に向こうの連中にはかなわないんだから…おのぼりさんで上等、上等!

さて、地下鉄の広告で見つけたのがビートルズのミュージカル『Let It Be』。これか~。日本でもテレビで盛んに宣伝してたな…。どうせ日本公演のキャストは2軍、3軍だろう。コイツぁ、本場で本物観てやろか。

と、財布の中身を確認しつつ、ハーフプライス・チケットのオフィスに行くが、9月下旬に始まったばかりの興業なので、この晩のチケットはソールドアウト。「クソ!もっと早くチケット買っておけばよかった!」と思いつつ、「フ~、金使わないで済んだ~」と安心したりして。

ボックスオフィスで興業日を確認すると、あくる日にマチネーがあることを発見。マチネーというのは昼間の興業のことね。補欠のキャストでシレっと興業をかけちゃう。

ここで、このあたりのシステムになじみのない方に簡単に説明しておくと、日本では「劇団ナントカが何年ぶりに『ドッグス』の公演をします!」とかにぎにぎしくやってるでしょ?期間を決めて興業しますよね?

ところが、NYCのブロードウェイとかロンドンのウエストエンドでは毎日興業がかけられているのね。ウエストエンドの場合は、日曜日には全興業がパタリとお休みになってしまうけど、その他の日は決まった劇場で毎日同じ出し物が上演されている。で、人気のあるショウは(ウエストエンドの場合)、木曜日と土曜日には昼間にも上演される。これがマチネー。(マティニーと発音する)ブロードウェイは月曜休みで、水&土曜日にマチネーだったかな?

公演当日の夕方近くになると、同じ公演をかけるのに席を余らせておいてもモッタイないから、一斉にチケットの安売りが始まる。これを待ってチケットをゲットしてもいいのだが、ソールドアウトと変な席しか残っていないという危険性があるワケ。合理的です。

これを20年とか続けるワケですよ。当然ヒット作ともなると延べ観客動員数は凄まじい数になる。もちろんこれはイギリスに住んでいる人だけが観てるワケではなく、大半が私のような海外からのおのぼりさんだ。そこへ行くと東京のショウは日本の人しか観ないからね、動員数がケタ違いに小さくなる。

さて、人気の興業も時間が経てば動員力が徐々に減って集客が鈍くなる。それでも終わらせるには惜しい。すると今度は、ウエストエンドの場合、キャパの小さい劇場に引っ越して行って、しまいにフェイドアウトする。私が10年ウエストエンドを見て来て、『レ・ミゼラブル』は2回引っ越してるハズ。今3か所目の劇場になるけどまだやってる。『オペラ』はいまだに「ハー・マジェスティ」で演ってる。それにいまだにハーフプライスが出ない。人気のほどがうかがえるというワケ。

だからね~、東京なんかはいかに海外からの観光客が少ないかって思うんですよね~。もっともっと海外の人が興味を持って来るような魅力的な街になってもらいたい。

今もね、年末にイギリスの友人が来るっていうんで観光のプランを練っているところなんだけど、観せるとこないよね~。二重橋?お台場?スカイツリー?そんなんでよろこぶかな?それよりあまりにも混沌とした渋谷の駅前とか歌舞伎町の方がよろこびそうだな…。

それと、東京の観光地ってそれぞれがエラク離れてるんだよね。世界一の大都市だから仕方ないんだけど、ロンドンとかニューヨークはせま~い中に見どころがギューギュー詰めになってる、博物館だとか美術館が充実しているので1週間いてもまだまだ見きれやしない。という地理的ハンディも東京にはあるのかもしれない。

話し戻って、チケットオフィスの人によれば翌日のマチネーのチケットはあるということで明日チケットを買うことにした。これが失敗だった…。

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マチネーは3時から。午前中に西ロンドンでマーシャル関連の取材を済ませ(これがまた面白かった!)、ウエストエンドに戻りマチネーのチケットを買おうとすると、ヤッチマッタ!昨日聞いた値段よりガバッと上がってやがる!ニューキャッスルからの電車の時にあれほど失敗したのに!というのはぎりぎりまで待てば安くなるかと期待していたのよ~!ああ、バカな私。

ま、それでも5,000円ぐらいで始まったばかりのショウが観れるなら…とチケット買った。
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これがプログラム。£4だったかな?こういうものはよほど高くない限り必ず買うことにしている。ま、思い出というよりも「観た」という証拠みたいなもんですな。
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これが、「Prince of Wales Theatre」。現在の建物は1937年に再建されたものだが、オープンは1884年という由緒ある劇場だ。
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ロンドンやニューヨークで観劇する際のもうひとつの楽しみは、劇場そのものを味わう…ということ。日本の劇場はジャンジャン壊してしまうので歴史も風情もすっ飛んでしまうが、こちらは長い間に上演された数々の名作のポスターや写真が飾ってあったりして実に味わい深い。

NYCのリンカーンセンターにあるエイヴリー・フィッシャー・ホールに飾ってあるボールペン画によるカラヤンやベームらの名指揮者たちのポートレイトなんて実に面白かった。

それと、その名館に入ったという満足感ね。ロイヤル・アルバートにもパレスシアターにも入ったことがない若輩が言うのもなんですが…。(オペラとかスカラとかとは別の次元で話してます。ロックですから、土台。)

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オワ~!ジミー・スチュアートが1975年にここの舞台に立っているのね!感激!! これは『Harvey』ですな。同名の幻の名ギターアンプもありましたが…。

1944年にブロードウェイで初演。1950年にはこの人が主演して映画化もされた。主人公にしか見えない大きなウサギの話し。ジェイムス・スチュアートはオスカーの主演男優賞にノミネートされた。
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こちらはメル・トーメ。「The Man with the "Velvet Fog Voice" from the U.S.A.」ってのがいい。2週間もここで歌ったんだネェ。聴きたかったナァ、若き日のメルの声!

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さて、肝心の『Let it Be』。どうもシックリ来なかったんだけど、道理で…日本で盛んに宣伝しているビートルズのショウは『Rain』っていうヤツなのね。日本に帰って来て気が付いた。まったくの勘違いだった!

ビートルズデビュー50周年ということで盛り上がってるんでしょう。それにしても2012年はイギリスにとって本当にスゴイ年回りだよね。私もそうなんだけど。

この作品は特にミュージカル仕立てでもなんでもなく、ビートルズの曲を演奏するごく普通のコンサートなの。ただ、デビュー当時から順に衣装を換えてその時代のレパートリーを演奏するので、無理して言えばチョットしたビートルズ物語にもなってる。それよりも、皆さんの前にビートルが再び現れたんですよ!50年前にロンドンで演奏した時と同じなんですよ!という疑似ビートルズ体験ができるというワケ。これには弱い!

「なんだよ、そんなら六本木でも観れるやんけ~」なんてことは思っては絶対にイケません。演奏がウマイとかヘタとか、似てるとか似てないとか、こんなことを考えるのもヤボです。何しろ、このロンドンで観ている!というロマン。そして大枚はたいているという意地があるからです!

でも本当に結構楽しめましたよ。

写真は撮れないので劇場の外観だけしか掲載できないのが残念。ステージ左右にはビデオスクリーンがはめ込まれた大きなクラシックなラジオの造作が設置され、「ビートルズ・クイズ」が放映されていて、上演を待つ観客のビートルズ度を鼓舞しようというたくらみ。みんなそれを読んじゃドヤ顔で小声で答えている。

BGMはニール・セダカやコニー・フランシスらのオールディーズがガンガンに流れていて、お客さんがもうしっかりとそれに合わせて歌っちゃってる。そう、かなり年齢層が高い。オイオイ、ヘタすると、私が一番若いんじゃねーの?ぐらい。もう完全に「あなたがた皆さん本物のビートルズを見てるんでしょ?疑似体験なんかする必要ないでしょーが!」という感じなの。

「She Loves You」でショウはスタートして「From Me to You」だの「Please Please Me」だの初期の定番が連なる。

曲間にはジョン役の人が「高い席のお客さんは宝石を鳴らしてください。安い席の方は拍手してください」だっけ?有名なMC。ああいうのを入れてあたかも本物が演奏しているような演出をするんですよ。

ところで、本当にこのジョンのMCを実感している日本人ってあんまりいないんじゃないか?って思った。イギリスは今でも差別社会といわれるが、この劇場の座席の別なんてまさにその表れで、実に細かく値段によって席が分かれている。舞台に一番近い、つまり高い席を「ストールズ」といい、2階席がドレス・サークルとかロイヤル・サークルとかいうエリア。社会の授業で習ったカーストでいえば、ここまでが「バラモン」。士農工商なら「士」だね。私なんかがいつも利用するのは一番安いバルコニーというエリア。4階席ですよ、4階席。カーストならスードラであり、「商」に属する。

安い分仕方ないんだけど、このバルコニーともなると、他のいい席の方々と出入口も異なるのですよ。ま、言いたかないけど、「貧乏人様はコチラへ」みたいな…。で、エレベーターなんかないのでエッチラオッチラ階段を上がって行くワケ。別に悔しくも何ともないんだけど、ジョンが言ってたのはこれか~、最初にロンドンでミュージカルを観た時思いましたよ。ブロードウェイは劇場がウエストエンドに比べて小さいせいかこういうのないようは気がするな…。

で、ショウはつづく。ナゼか「Day Tripper」で総立ち大合唱!でもすぐ座っちゃうよ~、ご年輩だから、手拍子も1&3拍。ああ落ち着くなァ~。

衣装替えの時にはステージ両側のビデオスクリーンに60年代のロンドンの風俗が映し出される。トゥイッギー、マリー・クアント、Vespaなどなど、みんな「なつかし~」とか「あった、あった」とか言ってる。

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第2部ではサージェント・ペパーズの衣装で登場。ドラムの人が「With a Little Help」を歌ったんだけど、これが何ともよくてね~。泣けたな~。最近ようやくビートルズの歌詞がダイレクトに頭に入って来るようになりましてね。やっぱスゴイです、ファブフォーは。一番泣くるのは「She's Leaving Home」なんです。

「With a Little」には会場も大合唱。隣の隣のおじさんも目頭を押さえてた。『サージェント』からは他に「When I'm Sixty-four」も演った。お客さんの平均年齢はどう見ても64歳以上なんですよ。みなさんの膝の上にヴィラだのチャックだのデイヴが乗ってるかはわからないけど、これも完全に大合唱。私も。『ガープ』すきだったからね~。ちょっとポール役の人が時々自分風にアレンジするところが気になるナァ~。

何しろお客さん全員が、全曲完璧に英語で歌えるところがスゴイ。案外感動モンですよ。海外へ来た感が横溢してる!

「A Day in the Life」とか「Love is All You Need」とかも披露。ポールは今でも自分のステージでビートルズのレパートリーを演奏しているけど、ジョンはもうできないからね。コピーだとはわかっていても、そういう意味ではすごく新鮮に感じる部分もあった。「Strawberry Fields」とか「Lucy in the Sky」とかヨカッタな。「♪Lucy in the sky with diamonds」の前のキメのところなんかお客さん全員膝叩いて合わせちゃうんだから。

考えてみると、となりにいたご夫婦ももう70歳近くにお見受けしたが、そういう年齢の方がビートルズの曲をソラで歌っちゃうんだよね、もちろん英語で。昔の曲ならわかるんだけど、ちゃんと『リボルバー』あたり以降の曲もちゃんとマスターしてる。本当にお茶の間にビートルズがいたんだなって感じがするワケですよね。日本だったらどうなんだろう?GSとかかな?この差はかなりデカイ。

アコースティック・セットでは3人が同時に「Blackbird」を弾いたりして…。「Here Comes the Sun」や「In my Life」と続く。ん~、ここは確かにお日様がありがたいところだからね~。この名曲もここでは余計に心にしみますよ。ジョージ関連で残念だったのは「While my Guitar gently Weeps」を勝手にアレンジ手演りやがんの。ソロは完全コピーだったけどね。ジョージの人スゲエギターうまかった。
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最終のセットは映画『レット・イット・ビー』のイメージだよね。最後にビートルズが演奏したアップルの社屋があるセヴィル・ロウはここから歩いて5分ぐらいのところなんだから臨場感が違う。『Abbey Road』のジャケットがバックドロップに映し出されるところがあるんだけど、これにしてもアビィ・ロード・スタジオがある「St. John's Wood」まで地下鉄ですぐだもんね。家で本物さんのCD聴いていてもいいんだけどね、でもせっかくロンドンにいるんだし…こうした何とも言えない本場感を味わうようなもんですよ。浅草のうまいもんみたいなものです。

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アンコールの最後に「Let it Be」を演奏。これで終わりかと思うとみんなが「Hey Jude!」とリクエストするの。私なんかは「Hey Bulldog」の方が好きだったりっするんだけど。この「Hey Jude」は今年のイギリスの大イベントたちのおかげでビートルズNo.1曲になった感じがするね。当然大合唱よ。手をつないでいっしょに歌っている老夫婦の姿なんか感動的だったよ。

客出しのBGMが「I Wanna Hold Your Hand」でさ、みんな大声で歌いながら帰ってった。音楽に国境はないとかナンダカンダ言っても、ビートルズはやっぱりこの国の人たちの誇りであり、この国の人たちのモノなんだなって思った。

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つづく

イギリス紀行2012 秋の陣 その2~Mr. Fish-eye Goes to London

2012年10月12日 初出

タイトルはもちろん、1941年(開戦の年!)日本公開のフランク・キャプラの代表作『スミス都へ行く(Mr. Simith Goes to Washington)』のパロディ。今日のシゲブログの内容はこの名作とは似ても似つかないタダの写真集。ま、タマにはこんなのもいいでしょう?

この作品に出て来るスミスさんも弱いものの味方をするアメリカン・ヒーローの典型で、人気キャラのひとり。では、スーパーマンからランボーから、古今東西のアメリカ映画で一番人気のあるヒーローは誰とされているか知ってる?

答えは弁護士のアティカス・フィンチ。ちゃんとアメリカ映画を観て来ている人にはどの作品の主人公かすぐにわかるでしょう。

さて、ナゼ魚眼か?実は5月にイギリスに行った時、魚眼レンズを持っていかなかったのね。それであのエジンバラやらニューキャッスルの素晴らしい景色を目の当たりにして実に悔しい思いをしたのです。何で持って行かなかったのかって?…重いから!どちらかにしようと思って50mmの単焦点を持って行ったんですよ。そしたらほとんど使わなかった!

そんなバックグラウンドがあったので、今回は魚眼を使ってロンドン・タウンを激写してみた。私の目が魚みたいだからこのタイトルになったワケではありやせん。

「魚の目」といえば、手塚治虫の『どろろ』に「鯖目さま」という妖怪に憑依された悪役が出てきたでしょ?文字通り死んだ魚のような目をしてるの。「鯖目」って名前、カッコいいなって思ってた。

元より手塚治虫の作品は絵が可愛いだけじゃなくて、登場人物の名前がとてもイカしてた。アトムにウラン(これ今だったらとても使えない)。『リボンの騎士』なんかサファイヤにジュラルミン、チンク(これは亜鉛でしょ?)にナイロン…。そいえば白戸三平には「赤目」なんていうのも出てきたっけね。昔のマンガは本当に素敵だった。

ってなことは置いておいて、魚眼で街へゴーゴゴー!

トッテナム・コート・ロードのドミニオン劇場。この『We Will Rock You』とうとう10年目に入った!私が初めて見た時、イヤ、一回しか観てないけど、ちょうど2周年記念で本物のブライアン・メイが出てきた。

もう何回も書いてるけど、ギターを弾いているのは元ウィッシュボーン・アッシュのローリー・ワイズフィールドと元マーシャルのデモンストレーターのフィル・ヒルボーン。昨年の春、フィルと会った時に「イヤ~まだやってんだよ。もう9年だゼ~。」と言っていた。その時はローリーもまだ弾いていると言っていた。

まだ結構にぎわっていた。

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おなじみロンドンのお茶の水、デンマーク・ストリート。エルトン・ジョンがここで「Your Song」を書いたこともよく知られている。

ロンドンの古い建物はエアコンがついていないのが普通で、ここらの楽器屋にも冷房が効いていないところがたくさんある。いくら湿度が低くて夏も涼しいイギリスとはいえ、さすがにドアを〆切った(ショウウィンドウしか窓がなく、当然開けることはできない)楽器屋はもう完全にサウナ状態。汗ダクダクでみんな楽器をイジくってる。
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お、ローズ・モーリスのとなりが改装してる。そう、ここもね~店の入れ替わりがおっそろしく早いんですよ。

この積み上げている土の入った袋は「フレキシブル・コンテナー」という。略称「フレコン・パック」。セメントトならこれで1t入る。日本と同じなんだね~。
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チャリング・クロス・ロードから見たデンマーク・ストリート。
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これはチャリング・クロス・ロード。ロンドンの神保町だ。この通り大好き!

実はしばらくイギリスにいる間に途轍もなくショックな出来事があった。というのは、スティーヴ・イェルディングという元マーシャルの担当者が亡くなったというのだ。あまりのショックでこの話を聞いた時、気分が悪くなった。

スティーヴは私にとって初めて接したマーシャルの人間であり、初めてのイギリス人の友人であった。出会いはジムがまだゼンゼン元気なころで、TSLの発表会で来日した時だった。あれからしばらくしてマーシャルの仕事をするようになって、ずいぶんと色々なことを教わった。

それで、私が初めてミルトン・キーンズを訪れた最初の晩、わざわざB&Bを訪ねて来てくれて、再会をよろこび力強くハグハグしながらこう言ってくれた…「シゲ!やったな!とうとう来たじゃないか!とうとうマーシャルに来たんだゾ!」って。本当にうれしかったな。

「マーシャル祭り」もいっしょにやったし、フランクフルトでもドップリ付き合ったし、本当によく可愛がってもらった。スティーヴがマーシャルを離れる時には、送別会に招待されてわざわざイギリスまで飛んだ。

彼がマーシャルを離れた後は、お互い忙しくてスッカリ没交渉になってしまい、フランクフルトや楽器フェアで顔を合わせる程度になってしまったが、それほどの仲良しだった。ウィッシュボーン・アッシュが好きと言ってた。

このチャリング・クロス・ロードは初めてロンドンに来た時スティーヴといっしょに歩いた思い出の場所だ。ひと通り楽器屋さんを見て回った後、スティーヴは当時付き合っていた(現未亡人)レベッカを呼び寄せて3人でお茶を飲んだ。ベッキーはスラリと背の高いブロンドの美人で、スティーヴ自慢の彼女(当時)だった。

スティーヴはキャリアが長かったためイギリスの楽器業界では名の知れた存在でもあった。この写真、通りの向かいに白い看板の店がある。これはMacari'sという老舗の楽器屋さんで、確か親戚がやっているとスティーヴが言っていた。ここでのアルバイトが彼にとってのイギリスの楽器業界での最初の仕事だった。

そんな話しを聞いていたから、スティーヴがマーシャルを離れてからも、この店の前を通りかかるたびに「スティーヴどうしてるかな?」といつも考えたものだった。この時もそうだったが、次にここを通りかかる時にはきっと寂しい想いをすることだろう。でも、その時はこう思うことにしよう…「スティーヴはあっちで楽しくやってるんだろうな!」って。

この場をお借りして、スティーヴ・イェルディング氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。

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さて、魚眼散歩はまだまだ続く!

行くたびにどうしても写真に収めてしまうパレス・シアター。でも魚眼で撮るのははじめて。
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マチネーでもあったのかな?モノスゴイ数のおばあちゃん!やっぱ『雨に唄えば』ともなると客層はこうなるか…。
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引きではこうなる。
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イギリスは6月が一番日が長く、10時半とか111時近くでも明るい。でも9月ともなると、大分日は短くなってきていて、日が沈むとアッという間に暗くなる。

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前回も夜景を掲載したが、ロンドンの街はネオンサインが極端に少なく予想以上に暗い。だからこのくらいの時分が写真を撮るにはちょうどよい。
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ソーホーのようす。やってるやってる!パブに入りきれない人たちが表でエールを引っかけているのだ。
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夕暮れのロニー・スコッツ。今日の出番は誰かな?
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Prince of Wales Theatreではビートルズの出し物『let It Be』を上演中。これはこの後の回で詳しく紹介する。
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レスター・スクエア。
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見ての通り街灯がほとんどないので、こんな繁華な場所でも夜になると大分暗い。
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ピカデリー・サーカスの大道芸。ね?ネオンがあるとこんなにも明るい。マーシャルのサンチャゴも言っていたけど、東京の夜って相当明るいってことね。
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アクロバットを演っていた。
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リージェント・ストリート方面。ここはいつも素敵だナァ~。
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さ、そろそろ宿へ帰ろう…。なんか寂しくなっちゃったね…。
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つづく

 

 

 

イギリス紀行2012 秋の陣~Denbigh Road Walk Down

2012年10月11日 初出

またまた始まりました『イギリス紀行』!今回は9月22日に開催されたマーシャルの創立50周年記念コンサート『50 YEARS LOUD LIVE』前後に滞在したイギリスの模様をお送りします。

一部の方々にはすでにご覧いただいた写真も少々含まれておりますが、ガマンしてお付き合いくださいまし。

さて、今回はマーシャルの事務所に自分のオフィスを構えてもらって、一般社員の方々としばらくの間、時を同じくした。みんなとてもよくしてくれたし、まあ、いろいろな発見があって面白かったナ。

天候も前回の5~6月の時よりもおしなべて良好だったが、もう気候は完全に日本でいうところの冬。5月でもあれほど寒かったので、今回もバッチリ冬支度をして渡航したのであった。

ま、それでも朝からドップリと雨という日も当然あって、この通り、丸一日太陽が顔を出さない。北部の方では豪雨が続き、かなりの水害も出てしまった。とにかく世界中の天候がメタメタだね。

左の男性、こんなに寒いのに半袖!ちなみにこれを撮っている私は下着、シャツ。厚手のニット、薄手のジャンバーの4枚体制です。だってね、海外で風邪でも引いたら一巻の終わりだからね。この歳になるとそりゃ気を付けますわ。それでも晴れの日は湿度が低いせいか、そんな格好していて少し歩いたりするともうガンガンに熱くなって汗が出てきてしまうのね。これがコワイ。だから気温&体温に合わせてこまめに上着を着たり脱いだりしていた。

それと何と言っても海外でコワイのが歯痛だよね。今まで怪しかったことはあっても、幸いにガッツリ痛くなったことはない。海外へ行くととにかく甘いものは気をつけるようにしている。

ところで、左に見えるのはおなじみマーシャルの本社社屋。そして、その前のこの通りをDenbigh Road(デンビー・ロード)という。この道沿いにホテルがあり、毎日歩いてマーシャルに通ったというワケ。

今回のエピソードはその通勤途中に撮った写真で構成してみた。それで今日のサブタイトルを「Denbigh Road Walk Down」としてみた。これはソニー・ロリンズの『East Broadway Run Down』のパクリね。

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我がオフィスから見下ろすデンビー・ロード。風邪も結構強くて寒そうでしょう?
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しかし、晴れるとトコトン気持ちがいい。これは「ハルフォーズ」というカー用品店。いかにもイギリス的な名前じゃない?「ハルフォード」っていうから鉄鋼関係かと思ったでしょ?そうメタルね。
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前回も書いたけど、イギリスの空は低くて本当に美しい。
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夕方になるとこうした線状の雲が出てくる。
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飛行機が飛んでるワケでもないので、飛行機雲ではあるまい。日本ではあんまり見かけないよね?
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だいたいマーシャルの工場からホテルまで歩いて12~13分ぐらいかかるかな?こんなに空を見上げながら歩くなんて、子供の時以来のことだ。

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また雨が降り出しそう!でもこれぐらいじゃもう全くビビらんけんね!
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こうしてものすごく雲の厚いところと晴れてるところが平気で共存していて、そのコントラストが格段に美しい。
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夕焼けをジッと眺めるなんてもう長いことしていなかった。
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ホテルに帰る前にちょっと寄り道。ここはAylesbury Street(エイルズベリー・ストリート)という繁華街。イヤ、繁華はしてないか。パブとインド料理店が2軒ずつ、小さなスーパー(Marks & Spensor)、ピザ屋、中華料理、必ずどこにでもあるチキン屋。それに少々の商店が並んでいる程度。

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通りかかってビックリしたのがこのウェディング・ドレス屋。どれもデ、デカい!
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そして太い!ウチの家内が着ようものなら頭からつま先まで完全に入り込んでしまうようなサイズ。…と店名を見ると「Large & Lovely」という。なるほどね、日本でいえばライオン堂の花嫁さん向けみたいなものか…。
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そして、以前も紹介したフィッシュ&チップス屋。何回かお世話になった。
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定番のタラのフライ。揚げたてでおいしかった。実はこの味はおなじみで、マーシャルで会議があるとここから取り寄せてごちそうになるからだ。これはレギュラー・サイズ。マーシャルが出してくれるのは、ありゃラージサイズだな。
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このバレーボールをちょっとつぶしたぐらいの包みの中には…
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チキン&チップス。1/4ムネ肉のフライ。これが出てくるまで15分ぐらい待たされた。つまり、揚げ置きが底をついて、その場で揚げてくれたのね。これがまたベラボーにうまい!ま、揚げたてだからね。でもね、味付けもとてもよくてマジでおいしいです。ポテトはどうも最後まで食べきれん!

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パブにも入ってみた。「Bull & Butcher」という店。ドアの横の緑の看板に「Real Ales」ってあるでしょ?これに弱い。別にリアルでもなんでもないんだけどね。
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店内のようす。これは店の後ろの部分。表の通りの部分は典型的なイングリッシュ・パブのスタイルで、仕事帰りのおっちゃんでゴッタ返していたので、そそくさとこちらに移動。ん~、落ち着けていい感じ。あ~、エールがおいしい!

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ここのパブのお姉さんがやたらと愛想のいい人だったので、ちょっと訊いてみた。「あの壁のDISCOっていうのはここで踊るワケ?」するとお姉さんがノリノリで踊って見せながら答えてくれた。「そうよ~、♪フフフフン、ここと表の方の店で踊るのよん~、♪フフフフフン、楽しいわよ~、カラオケじゃないのよ~、♪ハハハハン、ブギーなのよ、ブギー!わかる?ブギー、ブギー知ってるの?ブギー、♪ホホホホン~、ハイ、エールいっちょお待ち!」なんて説明してくれた。

ディスコで踊ることをブギーっていうのかね?まさか、ステイタス・クォーのレコードに合わせて踊り狂うとか?

帰り際に、「♪ラララン、お出かけですか~(これはウソ)、ブギーで待ってるわよ、ブギーで!♪ルルルルン」とか言ってた。

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これでマーシャル工場近辺の散策レポはおしまい。次回からはロンドンで新展開!

(iPhoneにて撮影)

イギリス紀行2012 その19~ロンドン5 <さらばUK!>

2012年9月14日 初出

今日は広規さん達と分かれて別行動。天気予報によると久しぶりにいい天気なりそう!ということで、『ロック名所めぐり』取材がてら、まずは街中をブラブラすることに。

ここはチャリング・クロス・ロードからちょっと入った路地。

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セシル・コート(Cecil Court)といって古本、古地図、中古楽譜屋さんなんかが集まっている通り。東京でいう神保町だ。ゼンゼンこっちの方が小さいけどね。
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イギリスはウィリアム・シェイクスピアやアガサ・クリスティを生んだ日本に並ぶ読書大国。本の装丁にも並々ならぬ技術とこだわりを見せる。
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他にも専門書店が軒を連ねる。
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ここは音楽書を専門に取り扱っているお店。神保町にもあるよね。
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こっちもそう。クラッシック関連の書籍が多かった。
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ここは車やオートバイ関連書籍のお店。
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チャリング・クロス・ロードに戻る。もう数えれないくらい歩いているエリアだけど、こんな建物気がつかなかったな。抹茶テイストでおっしゃれ~!

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やっぱりロンドンの街並みはすこぶる美しい。イギリスの田舎の風景もこの世の物とは思えないくらい美しい光景が広がるが、多くの人が認めるように、私もこのロンドンの街並みが大好きだ。ヒトラーがぶっ壊さなかったらもっときれいだったのかな?

それでもイギリスの連中に言わせるとベルギーの方がもっときれいだって言うね。イヤ、アタシャ、イギリスで大満足です!
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ピカデリーをブラついていたら宗教系のデモに遭遇。
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何を訴えているのかはわからないが、何しろすさまじい熱気!
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リージェント・ストリートもユニオン・ジャック一色だ。
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しっかし、ようやく晴れたナァ~。
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せっかく晴れたので何かロンドンならではの美しい景色を撮りたいと思い立ち再度リッチモンドへ向かうことにした。
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やっぱり抜群にきれいだった。

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まるで絵画。というか、画家たちがこれを絵にしたのだから絵画的で当たり前なのだ!

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それしてもいい天気!今度は暑くてしょうがない!
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久しぶりに顔を出したお日様のもと、お母さんと戯れる少女。きゃわいーなー。鳥さんもいいけどお嬢ちゃん、フンに気をつけるんだゼ!
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河畔のホテルもこの通りの美しさ!
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曇天下の前回のレポートとはえらい違いでしょ?

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この光景がウエスト・エンドから20分ぐらいのロケーションに広がっているとはにわかには信じがたい。
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ま、せっかくここまで来たので有名なKew Gardenでも見てみようと、おとなりのキュー・ガーデン駅で下車。キュー・ガーデンまでは駅から歩いて10分かからないぐらい。自慢の美しい庭園をカメラに収めようと重い足を引きずって行ってみた。たけーの、入場料。やめた。
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で、ナニもしないで駅までもどってホームのベンチで電車が来るまでの間、この2週間のこをボ~~っと思い出していた。

明日は最後か…。ずいぶん色々あったな~。楽しかった。みんなにホント~に良くしてもらった。最高の友達たちだ。感謝感謝。彼らが東京へ来たらどうやってもてなしてやろうかな?楽しみだな~。

ジムを送り出す会、ヨーク、エジンバラ、ニューキャッスル、サウス・シールズ、ダイアモンド・ジュビリー、ポールの歌…。あまりの天気の悪さに寂寥感が芽生え、途中で帰りたくなっちゃったけど広規さん&くり子と合流して復活!やっぱりアッという間だった。

なんて感傷的になってロンドンの中心街へ戻って行った。
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そして次の日、私は機上の人となって、愛すべき祖国へ向かったのであった。

これにて『イギリス紀行2012』を脱稿させていただきます。広規さんシリーズも含め、23回にも渡ってご覧いただきましてどうもありがとうございました。

でもね、肝心なものはまだ出していないのです。それはこの旅でゲットした「ロック名所」ネタ。こちらも近日公開致しますので是非ご期待くださいませ!
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<おまけ>

ここ数年の円高は対ポンドにおいても猛威を振るっていて、観光には実にうれしい環境を作り出してくれている。10年ぐらい前には£5のCDを買うのに1,150円払っていたのを今では625円でゲットできる。実は私はロンドンで本はよく買うけど、イギリスでCD買ったことがほとんどなかった。

そんな円高を味方にCDをツラツラと見て回り、少し買いこんで来た。

このアリス・クーパーのライブ盤は見たことがなかった。£5だったので即ゲット。これは1975年、ロスアンゼルスでのライブ。名盤『Welcome to my Nightmare』の発売直後、つまり今でいうレコ発ライブだったのだろう、同アルバムから「The Awakening」を覗いて全曲演奏している。もちろん「I'm Eighteen」、「No More Mr Nice Guy」、「School's Out」、「Billion Doller Babies」等も演奏している。完全にショウ仕立てになっていて、71分の収録時間が短く感じる。音もよくて625円。
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大好きな大好きなセンセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド。1976年の『SAHB Stories』と1978年の『Rock Drill』の2 in 1。「好きな割には2 in 1かよ」と笑わば笑え。ゼンゼンへっちゃらよ。だってSAHBって中古でほとんど見かけないもん。(『Next』とか『The Impossible Dream』ばっかり) 体裁にこだわって聴けないよりも、早いとこ内容を楽しんだ方がいいでしょ?もう残された時間があまりないのだ!2 in 1といっても2枚組で£10。

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The Whoのメモラビリア。音源はナニも入っていないコレクターズ・アイテム。相当売れ残ったんだろうな?元の値段の半額以下で£15。契約書やらチケットの半券のレプリカがゴロゴロ入っていて楽しい。それにブックレットの写真がすこぶるカッコいい。The Whoなんて撮ってみたかったよな~。この4人のライブの写真すべてが私の教科書のうちのひとつなのです。(それとジム・マーシャルにセシル・ビートン)
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これは人気音楽誌「UNCUT」の別冊。UNCUTは1997年創刊の総合音楽雑誌で、本誌は新しいミュージシャンを中心に編まれている。ところが、そんな雑誌でもこうして過去のブリティッシュ・ロックの遺産に関する別冊を時折出すのだ。こういうところがエライ!読むのはかなり骨だが、写真も多く、ページをめくっていてワクワクしてくる。なによりもこうしたブリティッシュ・ロックに関するアイテムを本場イギリスで手に入れることに快感を覚えるってワケ。これ東京で見かけても高いし、絶対買わんよ。ジョン・レノンとフーは数年前に買ったもの。今回はツェッペリンの特集だったので迷わずゲット。£6.99。

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ヒッチコック大好き!作品をひとつひとつ解説した豪華本。£30が£8で売っていた。これも多数のメモラビラが収蔵されていてうれしいなったらうれしいな!
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極めつけはコレ!£19.95の定価でゲット。古今東西のミュージシャンの写真が雑多に掲載されている。そこには何のテーマも見受けられないが、ま、参考書的に持っておいてもよかろうという判断が働いた。それよりもこの表紙を見たら義務感が湧いてきて買わずにはいられなかった。
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完全にMG15DFXだもんね~。マーシャルの社長に見せたらなんじゃこりゃ的に「見たことないナ~」と驚いていた。それにしても、滅法重くてさ。ヒッチコックの本とこれだけでもう超へヴィ級。買って買いたい本は他にも山ほどあるんだけど、重量を考えるとイヤになっちゃうんだよね~。デザイン・ミュージアムで見つけたソール・バスの作品集も欲しかったんだけど、とても持って帰れる重さではなかった!

飛行機で預かってくれる荷物の重量は23kgまで。それを超えると4,000円ぐらいの超過料金を払わなければならない。ところがANAなんかは2個まで無料で預かってくれるので、この超過料金を払うより8,000円以下のバッグを買って荷物を分けた方が全然利口なの。ヴァージンは1個しか預かってくれないので注意ね。

この他。マイルス・デイヴィスの自伝のペイパーバックが£3だったので買ってみた。

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『イギリス紀行2012』これにてすべて終了!長い間お付き合いくださいましてありがとうございます。

Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 4 <バトラーズ・ワーフでシェー!>

2012年9月11日 初出

キングス・クロス駅(King's Cross)。こっちの人は「King's X」なんて書きますな…カッコいいね。

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『ロンドン紀行2012』のスコットランド行きのところで紹介した通り、この駅は北へ向かう路線のターミナル駅。東京でいえば上野ですな。いつもたくさんの昇降客でゴッタ返している。

今日も天気の悪さは絶好調で、日が経つにつれて回復してくれるどころか、日増しに悪くなってる感すらある!なので、先を急いでもどうせ雨に遭って足止めを食らうから、「焦らずゆっくり行こう!」ということになった。

そこで、くり子さんのリクエストにこたえて、キングス・クロス駅名物の「9と3/4番線ホーム」を見に行くことに…。Uk_IMG_8143

「きゅーとよんぶんのさん?ホントにそんなのあるんですか?」とくり子さんに訊きなおす。「あるわよ~!」とくり子さんは駅の案内係に突撃!

そしてたどり着いたのがここ。なるほど、人だかりができてる!
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ホントだ!ホントにあるのね?で、これナニかと思ったら「ハリー・ポッター」に出てくるんですってね?くり子さんがポッタリアンだったとは知らなんだ。

私は原作を読んだこともないし、映画をほんのチラリとしか観たことがないのだが、そのチラリと観た瞬間にお隣のセント・パンクラス駅が登場していたのを見逃さなかった。
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その奥にはFuller's直営のダイニング・ルームができていた。Fuller'sは由緒正しいビールメーカーで、工場のひとつがハマースミスにある。以前はハマースミスのホテルを定宿にしていたので、工場の周りを散策したことがあったが、工場稼働時に近くに行くと何ともいえない、普段の東京の生活にはないにおいがあたりに充満していた。麦を加工する過程のにおいらしい。私は決していい香りだとは思わなかった。

このことをホテルの受付の若い女性に話すと、「アラ!いい香りじゃない?私は好きよ!このあたりの人はみんなあの香りが好きなのよ!」と言っていた。

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どこかのパブでもらって来たFuller'sが出している小冊子、「賢い飲み方ガイド」。中を見ると「賢い飲み方のコツ」が書いてある;

1.自分のペースで飲むこと

2.何かを食べながら飲むこと

3.ソフトドリンクといっしょに飲むこと

4.「Ikki」はしないこと

…ま、4はウソだけどね。

ひとつひとつ文句をつけるのであれば(別段文句をつける必要はないんだけど、がチョット言いたくなるようなコツなんだもん!)…

1.自分のペースで飲みたいけど、もしそうすれば、同席しているイギリスの人たちの5倍は飲んでしまうことになる。間違っても彼らみたいに1パイントのビールを飲むのに1時間もかけられない!こちとら江戸っ子だ!と思わずにはいられないイギリス人のスローペースなのだが、もちろん私なんてのは最もよくない飲み方で、そういう人に惑わされずゆっくり飲みましょう…ということ。

ホントに遅いから。チビチビチビチビチビチビチビチビ飲む。絶対にグッとはやらない。エールなんかはもともとあまり冷たくない状態で出されるが、アレだけ時間をかけて飲んだ日には、前日に煎じて置きっぱなしにしておいた漢方薬みたいになってしまう。

2.ロンドン等の都市部のパブでは料理を出さないのが普通。どうやって飲みながら食べるのよ?またポテチか?

3.ガイドには「例えば水」と書いてあるが、そんなことできないでしょ?ビール飲みながら水飲めます?んなバカな!だいだいパブでそんなことしてるヤツなんか見たことない。

そうそう、向こうの人がこっちへ来てイッパイやるでしょ?我々ってお酒を飲んでる時ってご飯(米)食べないじゃない?もしくはご飯(米)を食べてる時は飲まないよね?少なくとも私はそうなんだけど、向こうの人ってゼンゼン平気なんだよね~。〆のご飯とみそ汁に合わせてガンガンとビール飲んじゃうの。別に構わないんだけどサ…。

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いつまでもキングスクロスにいてもしょうがないので、先に進むことにした。今日も天気が悪いのは重々承知していたが、予定通りテムズ河畔をめぐることにした。

そしてTower Hill駅へ向かった。改札を出るとものすごい人!何だろうと思って外を見ると、ナント暴風雨!何だよ、もういい加減にしてくれよ!と怒鳴りたくなるほどのヒドさ…。しかも激寒!

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ほんの少し小降りになったのでロンドン塔(Tower of London)をバックにパチリ。くり子さんのこの格好!!完全防備!

あまりにも天気が悪いので近くのパブに入って少しでも天気が良くなるのを待とう…ということになって辺りをひと回りしたが、まだ時間が早くてさすがにどこも開いてない!Uk_IMG_8148

ま、雨もだいぶ収まってきたのでロンドン塔に戻ってきた。

後ろの壁はローマ時代のもの。切れちゃって見えないが、左にはジュリアス・シーザーの像がある。

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見て、この地面!雨の強さがわかるでしょ?
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現在、タワー・ブリッジ横断中!これ川上の景色。これをずっとさかのぼるとビッグ・ベンがあるウエストミンスターに行ける。
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もう晴れてなくても雨が上がっただけでも足取りが軽い!

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この日一番のリラキシン!なにしろ風が強くて!
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ブリッジのちょうど中間あたりからシティ方面を眺める。ドワー~!ロンドン塔、ものすごい行列!入場料タケェんだゼ~、これ。
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もうソロソロ渡りきってテムズ川南岸に着くよ。

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渡りきったところでちょうど石畳の工事をしていた。専用の広規、イヤ、工機でブロックを掘り起こしてブルで一気に取っ払う。
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この辺りがバトラーズ・ワーフ(Butlers Wharf)。「執事の波止場」か?19世紀の末期に建てられた倉庫が立ち並ぶエリアで、周辺はかつてロンドンの貧民窟の代表だった。サッチャーの時代に再開発が進み、現在ではブティックやレストランやこぎれいなフラットがたくさん集まるおしゃれスポットになっている。こっちでいうと横浜の赤レンガ倉庫みたいなもんだね。

この倉庫群がまたスゴイ。雰囲気満点!通りの左右を結ぶ無数の渡り廊下がまたステキ!ゆっくりと見て歩くと時間がアッという間に過ぎてしまう。
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記念に広規さんにポーズで取ってもらった…なんと!シェー!ひっさしぶりに見たナァ~、シェー。
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この通り、フラットもおしゃれに変身。飾ってあるユニオンジャックは「Diamond Junilee」を祝うもの。
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タワー・ブリッジをバックにリラキシン!

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モノスゴイ悪い天気だけどタワー・ブリッジは相変わらず美しい!
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ロンドン市庁舎。ヘンなの~。

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その前でもタワー・ブリッジをバックにリラキシン!

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対岸のロンドン塔。
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昨日から使っている教科書。ロンドンの名パブガイドだ。お昼をとっくに過ぎているし、お腹も空いてきた…ということでこのマップに出ているパブへ行くことにした。
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一軒は「The Ship」というモニュメントの近くの店。ウワッツ!こりゃなるほど素晴らしい!弾む気持ちで広規さんたちと中に入るとこれまたステキ極まりない!ところが、昼の日中からネクタイを締めたサラリーマンで立錐の余地なし!オマエら真昼間っからナニやってんだ~?!
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仕方ないので2軒目の名パブへ行くことに。途中で見つけたお店でくり子さんが友達へのおみやげを物色。フトそのお店の向かいには屋台のブリトー屋!いいニオイ!

ワシントンDCに住むアメリカ人の友達が遊びに来た時にウチの台所でブリトーを作ってくれた。これがメッチャおいしくて、それからブリトーのファンになった。

このブリトー、店員の女性が満面のドヤで出してくれるほどのサイズ。£5.50だったかな?ま、値段自体は決して安くはないけど、ボリュームを考えればゼンゼン合格!おいしかった!

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2軒目の名パブが見つからず、エールが我慢しきれなくなって普通のパブに入った。スポーツ系のパブだったな。ここは食べるものもあったが、前日の打ち合わせで、「明日、入ったパブに食べ物がなかったら大変だからスルメを持って行こう」ということになっていた。さっそく、ここで出してみて、さぁビックリ!

臭いのである。モノスゴイ強い匂いなのだ!「くり子さん!こりゃマズイマズイ!」とあわててしまうことに!

よく「成田空港に着くと醤油のニオイがするって外国人が言う」という話しがあるが、アレ納得だよね。何かニオイということよりも、そこの空気が激しく拒否反応を示している感じ。
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これはそのパブの前から撮った写真。セント・ポール大聖堂がすぐソコ。
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これなんというのかな?車両進入防止杭?なかなかおしゃれ。
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この時、風がすごくて!私ですらスっ飛ばされそうだった!例によってすぐケロっと収まっちゃうんだけどね。
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こっちが正面玄関。映画『メリー・ポピンズ』でハトにエサをやるところ。曲は「Feed the Birds」。メリー・ポピンズは「チムチム・チェリー」と「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」ばっかり有名だけど、佳曲満載の名作でしてね。その中でも「Feed the Birds」はイチニを争う名曲。

作曲はシャーマン兄弟。お兄ちゃんのロバートは惜しまれつつ今年3月に他界した。

さて、ここでセントポール大聖堂を見るか、ウェストミンスター寺院を見るか、どちらかを選ぼうということになり、ウエストミンスターが勝った。
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その前にトイレ。ミレニアム・ブリッジを渡ってテート・モダンのを借りることに。

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これがテート・モダン。かつてはゴミ焼却場だったが、改装しテート・ブリテンの姉妹美術館としてよみがえった。中がスンゴイ広いの。広規さんもビックリ。

用をたして館内のベンチに座ったらもう動けなくなっちゃって…。疲れた~。しばし休憩。

とてもウェストミンスターまで歩いて行く元気も体力もない。地下鉄か…。でもテムズ川の南岸には駅がほとんどない。ってんでもう一度ミレニアム・ブリッジを渡って、マンション・ハウス駅からディストリクト線に乗る。

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ウエストミンスター寺院もスゲエ人!
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ここは高いけど見応えは十分。久しぶりに入ろうかと思ったら、ナント時間切れ!閉まってやんの!
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結果的にセント・ポールもウエストミンスターも見れずじまいになってしまった。
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ウエストミンスター寺院の売店も「Diamond Jubilee」一色!
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「それじゃ、V&Aへ行ってピート・タウンゼンドがブッ壊したレス・ポール見に行きましょ!」V&Aは結構遅くまで開いてるからね。で、サウス・ケンジントンまで移動。

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行ってみると、こんなのやってた。「ロンドンの近代デザイン史」みたいの。おもしろそう!と入ろうと思ったが、入場料高くてやめた。今回ケチケチでホントお恥ずかしい…。
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ここね~、ヒドイんよ。知らなかったんだけど、夕方になると、まだ閉館時間まで大分あるのにあちこちを閉めて見学できるエリアをメッチャ縮めちゃうの!要注意です。だからピートのギター見れなかった!
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ここでも大休憩。も~動けん!

この後、ロンドン在住の広規さんのお友達と夕食をご一緒させていただいた。その方がロニー・スコッツの会員制クラブの会員になっていらしてご相伴にあずかることに。

アフリカ系っていうのかな?生バンドが入っていて信じられないぐらい演奏うまかったナ~。

これで広規さんとくり子さんとロンドンで過ごした4日間はおしまい。この次の日もお互いにロンドンにいたのだが別行動をすることに。

私はロック名所の取材に出かけた。広規さんはそのロンドン在住の方と過ごし、夜分にはカムデン・タウンのブルース系のライブハウスで1曲演奏されたそうです。リラキシン!

それにしても楽しかったナ~!!広規さん、くり子さん、私の拙いガイドにお付き合いくださいまして誠にありがとうございました。この場をお借りして深謝申し上げます。

伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規ホームページ
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『Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く』はこれにて終了させていただき、『ロンドン紀行2012』に戻ります。

Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 3 <ウォータールー・ブリッジにて>

2012年8月31日 初出

さあ、ドンドン高くなってきたよ~!ウォータールー橋があんなに下の方に見えてきた!一方、ゴンドラの中では…。

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子供の背中を押しながら「、アラ!ちょっと!Koki Itoじゃないの!いっしょに写真を撮ってもらいなさいよ!」と言っているかのように見えるお母さんとパチリ。
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ますます高くなる~!

写真右の真ん中に見えるはオリンピックのマラソン・コースで喧伝されたセント・ポール寺院。真下の緑の建物はロイヤル・フェスティバル・ホール。
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スゲェ~、ロンドン!際立って高い建物が全然ない!
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ここでも当然リラキシン!

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「このおじちゃん、一体ナニしてるんだろう??????」と思っているに違いない。これも仕事のうちなのよ~!ボウズも聴いてくれよ『Relaxin' at IWAKI ALIOS』!

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国会議事堂があんなに小さ~い!

しっかしスンゲェ雲だな。
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今、てっぺん!

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記念にくり子さん、パチリ!

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もう下がり始めちゃった。
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国会議事堂を眼下に記念撮影ね。
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くり子さんにプレゼントしてもらったロンドン・アイのお土産。360°パノラマの案内図。くり子さん、ありがとう!

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「あ~、絶景だった!」…と少々休憩。広規さんは即刻SNSで近況報告。
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何しろこのあたり、こうして座ってテムズ川を行きかう船や対岸の景色をボーっと見てるだけで本当にリッチな気分になれるのよ。

そう、今のふたりはまるでThe Kinksの「Waterloo Sunset」のテリーとジュリーなのだ…。
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…って放っておくと全然動きそうにないのでゆっくりと歩きだすことに…。

「ウェストミンスター橋のとなりはウォータールー橋。ここは映画『哀愁』の舞台になったところでしてね…」なんていつも通り下手なガイドをつけると広規さん、「ナニ!『哀愁』ってヴィヴィアン・リーの?!」と突然大興奮!

私も驚いて「そ、そうですよ。ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラー…原題は『Waterloo Bridge』ってぐらいですから…」、広規さん、「行こう、行こう、早く行こう!ヴィヴィアン・リー」…ヴィヴィアン・リーじゃなくてウォータールー・ブリッジなんですけど!

今までのお疲れムードはどこへやら、もはや競歩状態でパワー全開!なんでも広規さんはヴィヴィアン・リーの大ファンなのだそうだ。
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ウォータールー橋の上にて…
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広規さんの猛烈なセンチメンタル・ムードにくり子さんも私も近寄れず。ベース界のレッド・バトラーはヴィヴィアンへの叶わぬ恋を憂えているのだろうか…。
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映画『哀愁』の思い出を語る広規さん。でももう行かなきゃ!
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「ここを離れるのはツラい!」とダダをこねる広規さん!ホントにお好きなんですね!
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とにかく風も強くて寒い!
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と、橋の向こうに街の明かりが灯り出しているのを発見!一転してヴィヴィアン・モードからパブ・モードへ!

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もう夜の8時ぐらいだよ、コレ。今頃スッキリと晴れやがって…。

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「名パブガイド」にも出ている「The Wellington」でエールをいただきましょう。右下に広規さんがいるよ。

 

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もう9時を回っているのでそろそろ帰ろう。
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夜のコヴェント・ガーデン。

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今晩はスーパーで何か買って宿で食べよう!ということになり、コヴェント・ガーデンのMarks & Spencerで各自食べたいものゲット。

今日も楽しかった~!
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伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規ホームページ
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つづく

Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 2 <いつでもどこでもリラキシン!>

2012年8月24日 初出

ああ~昨日は楽しかったな!おいしいもの食べて、いっぱいおしゃべりして…。

一週間だけ公開されるという達郎さんのライブ映像映画でも大活躍の広規さんとのロンドンめぐり…今日もきっと楽しいゾ…と。

なんだよ!また天気悪いよ。ホントによ~、何とかしてくれよ~ろんどん~!

ここはオックスフォード・ストリート。ロンドンでもっともにぎやかな通りのひとつ。

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本家HMVの前でパチリ!これが『Relaxin' at IWAKI ALIOS』のゲリラ・プロモーション!残念ながらこのお店にはまだCDが置いてなかった。間に合わなかったんだな?

このHMVは立派な店舗だけど、特段HMV発祥の店とかそういうことではない。HMVの一号店はもっとこの写真で言うと左の方。スゴイ人が除幕式をやったんよ。それはまた『イギリス・ロック名所めぐり』でね。
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この後、トッテナム・コート・ロード(Tottenham Court Road)で今日一発目のパブ。スゴイ店だった。私が集めたホテルのお茶受けのクッキーでエールをグビリ。やっぱウマイ!でもさすがにクッキーはエールに合わないな…。明日は日本から持ってきたスルメを忘れないようにしよう。

今日は休憩が多くなりそうだナァ~。ノンビリいこう!

そして、大英博物館へ。

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もう私は何回も来ているので(回数は来ているが特にジックリ見ているというワケではない)、お二人と別れて手近な展示物をパチリ。
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これはロンドン・オリンピックの金メダル。この写真を撮ったのはオリンピックの2か月以上前のことだが、早くも公開されていた。
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チャリング・クロス・ロードのチョット裏で…。デカいビートルズの壁画!バンダナを巻いてる。
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「広規さん、バンダナ、バンダナ!」、「お、そうか!」とマーシャルの社長もお気に入りのオリジナル・チャリティ・バンダナを取り出す。
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お~!5人目のビートルズ!ポールに代わっていよいよ広規さんがベースを弾く番だな。
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ビートルズと記念撮影した後、また雨がジャンジャン降ってきやがってさ。お腹も空いたことだし小降りになるまでタイ料理店でカレーを食して待つことにする。どうせすぐ晴れるに決まってる。これがなかなかの美味!ホント今回はおいしいものが多いナ~。

食事の後、まだ雨は降っていたけど、チャリング・クロス・ロードをブラブラと歩いてトラファルガー広場へ。ナショナル・ギャラリーとナショナル・ポートレート・ギャラリーを観る。広規さん、ここでわれわれより一足先にビッグ・ベン!

とにかく疲れ頂点!博物館とか美術館とかってものすごく疲れるんだよね。立ちっぱなしで知らない間にエラク長い距離を歩いちゃう。

連続で3つも回れば疲れるに決まってるわナ。でも、雨ばっかりだからどうしても屋内にこもり気味になっちゃう。

それでも晴れてきたのでウエストミンスター向かった。

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これがホントのビッグベン。キョロキョロしてるとサササとこういう人たちが近寄ってくる。そして記念撮影。
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タダじゃないのよ!その気のない人たちはお気をつけあそばせ!

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この辺りはいつ来ても広々としていて気持ちがいい。
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旧市庁舎。
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当然ここでも『Relaxin' at IWAKI ALIOS』のプロモーション!
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もう今までに何枚撮ったかな~。それでもまた撮っちゃおう!
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ランベス橋方面。ずっと変わらないと思っていても結構新しいビルができてる。
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その反対、タワー・ブリッジ方面。

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ロンドン・アイをバックにウエストミンスター橋の上でリラキシン!
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ロンドン・アイ…乗ったことないのよ。
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「それじゃ!」とくり子さんのリードで乗ってみることに!何せいつもモノスゴイ行列でとても並ぶ気になんかならないもんね。でも、この日はガラガラ!

でも例えガラガラでもひとりだったら絶対乗らんけんね。くり子さんのおかげで初体験することに!
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夕暮れの国会議事堂を上から見下ろすとどうなるか?!なんだよ、結局うれしんじゃん!そうメッチャうれしい!くり子さん、ありがとう!
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旧ロンドン市庁舎。近くで見るとこうなる。メッチャかっこいい建物。今は水族館になってる。
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順番待ちなし!
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ゴンドラは20人ぐらい乗れるのかな?
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さっそく中で一枚パチリ。
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ドンドン高くなってきた!

次回はロンドン上空からお送りします!
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伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規ホームページ
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つづく

Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 1 <マーシャルとアビィ・ロード>

2012年8月23日 初出

♪ ひとりじゃないって~、素敵なことね~!

普段はひとりでいることがちっとも苦ではないし、どちらかといえば団体行動が苦手が私なのだが、この時は違った。疲れ、悪天候、一昨日のスパゲッティのマズさ…いろいろなことが重なって意気消沈していた。

そこへ現れてくれたのがこのおふたり。日本を代表するベーシスト、伊藤広規さんとパートナーのくり子さんだ。広規さんはすでにシゲブログに何回か登場していただいているが、くり子さんはまだお名前だけ。今回こうしておふたり揃ってシゲブログにご登場いただいたことは大変によろこばしい。

そこで今日から4回にわたり、広規さん、くり子さんと過ごしたロンドンの日々をレポートする。題して『Relaxin' in London 伊藤広規ロンドン・タウンを往く』!どうよ?カッコよくない?ま、実際はパブめぐりであったりもするんだけど…。

とにかく!このおふたりと合流して、今までの消沈ムードはどこへやら、大変に楽しい4日間を過ごしたのであった!

パリを発ったおふたりは昨日の夜8時ごろ我がB&Bに到着。St. Pancras駅からタクシーに乗ったはいいけど、知らない道はないことで有名なロンドン・タクシーが迷ってしまうというトラブルに見舞われた!そんなロケーションなのね、トッテナム・ヘイルは…。

到着後、ハイストリートまで繰り出して、くり子さん発見のイタリア料理店で邂逅を祝したのだが、このイタリア料理店が大ヒット!ヘタすりゃ、イヤ、ヘタをしなくても今までイギリスで食べたイタリア料理の中でダントツにナンバーワンだった!

帰り道にまだ開いていた東欧系の人が営むスーパーで買い物をした。もちろんB&Bへ帰ってもうイッパイやるためにね!すると、このおふたり、大のスーパー好きということで猛然と品揃えをチェック!広規さん、くり子さんと私の制止を振り切ってキテレツなカップ麺をいくつかゲット!そんなのおいしくないに決まってんだけどな~。第1日目の夜はそうして楽しく過ぎていったのであった。

翌朝…またしても天気悪し!寒い!くり子さんなんかダウンだもんね。これから3人で遠出をするのだ~。

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ところで、広規さんたちの渡英の目的は…半年以上に及んだ山下達郎さんのツアー『Performance 2011-2012』が無事終了し、その骨休め。お友達のいらっしゃるパリへ遊びにこられたのだ。そのついでに「ロンドンにも行っっちゃおう」となり、「アララ、ちょうどその時私、ロンドンにいますよ~!」となって、宿も同じくして合流に相成ったのですわ。

そして、もうひとつの目的は今年5月に発表したライブ盤『Relaxin' at IWAKI ALIOS』のプロモーションなのだ!

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…ということで、まずは遠出。行先はミルトン・キーンズ。おなじみ、マーシャルの工場へ行ったのよ。そう、広規さんは1992 SUPER BASSを愛する長年にわたるマーシャル・プレイヤーなのだ。達郎さんのコンサートでドラムの横にそびえ立つあのフル・スタックね。

ちょっと出発が遅れてLondon Euston発のVirginの電車に乗り遅れそうになったがなんとかセーフ!駅構内を全力疾走。くり子さんの足の速いこと!

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「天気いいじゃないの」って?ごめんなさいね~、このあたりの写真は1週間前に撮ったものなのでした。
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「50周年」の特大エンブレムが目を惹く。
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しっかし、この看板を始めて目の当たりにした時は興奮したっけナァ~。広規さんたちもエキサイトしてくれた。

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レセプションも50周年づくし!
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まずはレセプションで一枚パチリ。
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昼食は近くのパブへ。さっそくエールに舌鼓、いや「喉鼓」を打った広規さん。パブの前で記念撮影。向かって左はもうシゲブログではすっかりおなじみのマーシャル社社長のジョン・エラリー氏。左はマーシャルが買収したアメリカのベース・アンプ・ブランド、EDEN担当のルーク・グリーン氏。ふたりともデカイ!
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さぁて、イギリス初の「リラキシン」はミルトン・キーンズのパブ「Ye Olde Swan」の前で!あ!身長を調整してる~!

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広規さんとくり子さんは工場見学へ…。エラクおもしろかったもよう。その後、近くのDIYの店へ!さすがスーパーの達人、そちらも大いに楽しかったみたい。
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広規さんご持参のお土産のオリジナル・チャリティ・バンダナを手にして一枚。このショット、エラリー社長の発案。「ふたりで記念撮影をしよう」ということになって、いざシャッターを切ろうとしたら、「ちょっと待って!」と自分の事務室へ行ってわざわざバンダナを持って来てくれた。
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帰りは車。ラッシュアワーにさしかかっていたのでフリーウェイに乗らず、ロンドンに向けて田舎道をひたすら進んだ。ちょうど晴れてきたこともあり、あたりの景色は息をのむような美しさでおふたりもご満悦。本当にイギリスの田舎の風景は美しい。

運転手の機転のおかげもあり、予定より大分早くロンドンに到着。そこで宿には向かわずSt. Pancras駅前で降ろしてもらった。

閉館時間が迫っていたのでまずはBritish Libraryへビートルズ関連の展示品を見に行く。おっかしいナァ~、OKかと思っていたんだけど、ここ館内は写真撮影禁止なのね。なので写真はなし。

で、また駅に戻る。

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ここズッ~と工事をしていたんだけど、それもようやく終了して驚くほどきれいになった。以前はWaterloo駅から発着していたユーロスターがここに移転してきたのだ。オリジナルの部分と作りかえられたモダンな部分が実にうまく、そしてカッコよくコーディネイトされている。こういうところは実にうまいナァ。

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まずはパチリ。
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向かいのビルもなかなかにダイナミック!こういう感覚がスゴイ!
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もう何回ここで写真撮ったかナァ~。それでもこれほど巨大で美しいモノが目の前に広がるとどうしても何枚も撮らざるを得ない!今回はスーパー・ベーシスト入りだし!

まだまだ明るいゾ!ってんでAbbey Roadへ行くことに…。
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着いた~。やぱりひっきりなしに観光客が来る。
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さっそく広規さんに渡ってもらう。やっぱりポール気分なのかな?後ろの人たちが「オ!Koki Itoだ!」と言って遠巻きにこちらを見てる(のかな?)。
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Abbey Road Studioの前でパチリ。次回作は是非ここで録音しましょう!

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疲れた~!と思ったらもうソロソロ8時!もちろん夜の8時。まだまだメッチャ明るいよ~!
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時間があるうちに!というより雨が降らないうちに!ということでPicadilly Circusへ移動。これじゃまるでジーン・ケリーの『踊る大紐育(On the Town)』だよ~!
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もうみんな疲れちゃってて、ちょっとよさそうなパブがあるとすぐ入りたくなっちゃう。ってんでSohoの真ん中のパブでエールをグビリ。ウマかった~。

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チャイナタウンでいつも私が行く店で夕食。まだチャイナタウンも「Diamond Jubilee」の飾り付けが残っている。

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飲み物は老酒。3人で1本ペロッと飲んでホロ酔い気分。ああ、ロンドン楽しいナ~って具合ですな。
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夜のロンドンは久しぶりだったので少し撮っておいた。Palace Theatreは現在『Singin' in the Rain』を上演中。今回、見よう見ようと思ったけど結局パス。だって…。
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Charring Crossのみやげ物屋さん。父の日が近く、お父さんへのプレゼントとして盛んにこれらのフィギュアをPRしていた。やっぱ向こうのお父さんも好きなのね~。
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Leicester Square(レスター・スクエア)あたり。もう11時ぐらいかな?
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案外暗めでしょう?
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建物への間接照明が通りをソフトに包む。日本みたいにギンギンのネオン・サインは少ない。ピカデリー・サーカスぐらい。こんな紫の照明なんて日本だったら間違いなくラブホテルに間違えられちゃうよね。
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広規さんもいい調子だゾ!
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見なれた光景でもこうして夜となるとまったく別の表情を見せてくれる。

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映画館もこの通り。

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お腹もイッパイになったし、「あ~、楽しかったね~!」
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雨が降るようすもなくよかった。でも寒い!
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街中に飾られたユニオン・ジャックが「祭りの後」感を醸し出していて何だかさびしいような気もする。

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そういえば、つまり「Diamond Jubilee」のすべてのイベントが終わった日の昨日、夜遅くエリザベス女王がBBCに出て来て挨拶した。深夜の放送だったのでもちろん録画だとは思うが、「今日、私のお祝いのイベントがすべて終了しました。みなさん祝ってくれてありがとう。みなさんのご協力に感謝します」みたいなご挨拶があったんですよ。驚いちゃった!こんなことをするところも英王室の人の源なんでしょうな。
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夜のピカデリー・サーカス。
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明日は晴れますように!
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つづく

イギリス紀行2012 その18~ロンドン4 <雨の彷徨>

2012年8月21日 初出

ああ、今朝も天気がよくない。でも、雨模様ではないし、薄曇りのような感じ。雨よりマシと思い、「美しい」と評判のRichmondへ出かけてみることにした。

リッチモンドはディストリクトと線の終着駅。ディストリクト線は、ウィンブルドン行き他、路線が妙に枝分かれしているので注意が必要だゾ。

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駅を出てしばし散策。
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ここはロンドンの中心から地下鉄で30分も離れていないが、高い建物が少なく、とてもノンビリした感じがする。
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素敵な建物がジャンジャン出て来る。これは古い時計屋さん。
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ここはテムズ川をちょいとさかのぼった街というだけで、ギンギンの観光地というワケではない。
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ところが、お目当てのテムズ川河畔に出てみるとこんな観光船が…。
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ガイドブックに出て来るリッチモンドの写真というとたいていこんなアングルか?
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上流側はこんな感じ。問答無用で美しいのだが、この天気じゃなァ~。

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問答無用に美しいのだが、この鳥の糞じゃなァ~!危なっかしくて景色なんか見ていられない!

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お!『四重人格』か?

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「Vestpa友の会」が開かれていたようだ。
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河畔のホテルも美しい。
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天気がよければたくさんのボートが出て、この美しい(であろう)景色に溶け込んでいくんだろうけどね…。

ここは近いし、もし晴れる日があったらまた訪れることにしよう。

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ロンドン中心街にもどる。
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ビートルズ関連の建物を訪れようとオックスフォード・ストリートから少し脇へ入る。
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何やら立派なビルディングにたくさんのブルー・プラークが付いている!どれも日本ではなじみのない人たちばかりだった。
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そして、コレに遭遇。そうだった!一度来ようと思っていたのだった、ウォレス・コレクション。国立美術館。無料。
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この建物は18世紀後半につくられた。フランス色が濃いのが特徴。

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階段で2階に上がると、まるでフランスの宮殿に来たかのような錯覚におちいる…あ、アタシャ、フランス行ったことないんだったっけ!
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コレ、家ですからね。といっても「タウン・ハウス」といって貴族が華やかなパーティを催す宴会場のようなものだった。

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絵画、家具、陶器、彫刻、ミニチュア絵画(メンコみたいに小さい絵画)、中世・ルネッサンス工芸、金工とコレクションは多岐にわたっている。
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そしてこれらのコレクションは寄贈された時の状態で保存、維持されるよう、一点の作品を追加したり、削除したりしないよう法律で定められているそうだ。
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そして、とりわけ目につくのはおびただしい数の甲冑や銃剣のコレクションだ。
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甲冑だけでもモノスゴイ数!時代ごとに変遷した鎧兜がゾロ~リと並んでいる。ピストルの展示も限りなく、そのどれもが美しい。日本刀もあったな。

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この兜、マヌケな顔してるナァ~。笑っちゃっってるじゃん!

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「Juice Point」と呼ばれる電気自動車の充電ポイント。£28(約3,500円)というのはどういう単位だろうか?ちなみにイギリスのがゾ凛は日本より一回り高い。現在の異常円高為替レートでそんな感覚だから、相当高いことになるハスだ。

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チョットまたジミヘンの家に行こうと思いブラブラとソーホー方面に歩く。これも素敵なホテルだナァ。もう何回も前を通っているけど…。

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改装中なんだ…最近は日本でもこういう養生シートを見かけるようになってきたね。
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サー・ジョン・ソーンズ美術館を見たくてホルボーンまで行く。屋根付きの歩道を歩いていると空に爆音!年配の女性が慌てて屋根のない場所まで移動している。「そうかッ!」…ハッと気が付いてその女性に倣った。すると、3機(4機だったかな?)のジェット戦闘機が色とりどりの煙を吐きながら音速で飛び去って行った!スンゴイ音だねアリャ。アッと言う間もないね。その女性と顔を見合わせてニッコリ!そう今日はダイアモンド・ジュビリー・ウィークエンドの最終日。街中を女王がパレードする日なのだ。

お目当ての美術館まで行ったったのだが、ダイアモンド・ジュビリー中は休みでやんの!また雨が強くなってきたよ。

少し歩いてコヴェント・ガーデン方面へ…。サー・ジョン・ソーンズ美術館を探すべく地図を見ていた時に「フリー・メイソン図書館」とかいうのを発見していた。何となくおもしろそうだから行ってみた!

これがそう。正確に言えばこの建物の一部がそうなのかな?閉まっているのか、やってないのか、特に何もなかったのでガッカリ。それでも、ものすごく立派なビルディングだ!
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建物に茶色のプラークを発見!ナニナニ、「1807年11月13日 世界で初めての『Geological Society(地質学会)』は『Freemason Tavern(フリーメイソン食堂)として知られるこの建物から産声を上げた』」とある。ロンドンの地質学会(Geographical Society of London)はここにあるように世界最古にしてヨーロッパ最大の地質学会で、イギリスの地質構造を調査するために創設された。

信じるも、信じないも、あなた次第です…。

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コヴェント・ガーデン近くで見つけた可愛い公衆電話、5連チャン!まるで空港で売っているお土産の缶入りクッキーみたいだ。昔のようすは知らないが、携帯電話の普及で、やっぱり今は公衆電話はあまり見かけないような気がするナァ。
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時々見かけるユニオン・ジャック・タクシー。

オリンピックの期間中、お客さんがいなくて大変だったんだってね。お気の毒に…。
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これは王立オペラハウス。
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その裏にある王立バレエ・スクール。バレエは観たことないな。いつか観てみたいな。

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ここは確か「劇場博物館」みたいなヤツだったんだけど、変わっちゃったな。

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変わって「ロンドンフィルム博物館」になってる。まだ新しい。無料だったので入ってみた。題材はほとんどハリウッド映画で、スチール写真の展示がたくさんあって、私にはとてもおもしろくて結構ジックリ見ちゃった。やっぱり映画も最近の方より、昔の作品の方が比べようもないくらい素晴らしい。完璧な脚本に才気あふれる演出、そして美しくゴージャスな出演者…音楽もそうだが、映画はずいぶんと退化してしまったよナァ。

ロックの衰退はブリティッシュ。私の立場的に言えば、イギリスからギターヒーローがいなくなってしまったのが痛い!そして、映画の衰退はハリウッド。皮肉なことにCGや3Dだの技術は進化したけど、人の心を揺さぶるプロットに沿ったいい脚本がもう書けなくなってしまった。リメイク、アニメ、ゲーム、それに火薬だけになっちゃった。

まるっきり音楽と同じだね。録音技術や音の流通経路、再生装置は驚くほど進化したけど、肝心の音楽自体が無味乾燥でがスッカスカになってしまった。まず、「楽曲」と「アーティスト」という言葉を廃すべきだ。「楽曲」は「曲」、多くの「アーティスト」は「歌手」とナゼ呼べない?

音楽と同じでサ、今映画を作っている若い人たちって、そうだナァ~、たとえばビリー・ワイルダーの「情婦」だとか、ジョン・ヒューストンの「黄金」だとかフランク・キャプラの「素晴らしき哉人生」なんて観てるのかな?

もし観ていない若い人たちが「映画人」を気取っているとしたら恐ろしいことだ。誰が部活を辞めたって関係ない。映画ももっともっと温故知新をするべきだ。

私は何とかして死ぬまでに観たい映画があるんですよ。これは「なんだ、まだ観てないのか?!」といまだにいつも父からからかわれるのだが、シドニー・ギリアットの『絶壁の彼方に(State Secret the Great Manhunt)』というイギリス映画。もう一生観れないかと思っていたらどうもDVDになったよう、すぐに観たいような、楽しみはとっておきたいような…。

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ちょうど見かけたので撮っておいた。ゼブラ・ゾーン。この道の両側に黄色いライトが付いている横断歩道では車はどんな時でも歩行者を優先させなければならない。これがまたビシッと守られている。もし見つかっちゃうと罰金だからね。

でも、我々の感覚からするとあまりにもこれがシビアで、うっかりこの黄色いライトのそばで立ち止まると、それだけで車が止まっちゃう!もちろん車だっていちいち止まるのは面倒だから、そんなヤツがいると実に不快な顔をしていますな…。

ちなみにEMIスタジオの前のアビィ・ロードの交差点もこのゼブラ・ゾーン。だから運転手はタマッタもんじゃない!

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コヴェント・ガーデンもこの通りユニオン・ジャックのオンパレード!
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これだけ集まると壮観だ!
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地下鉄に貼ってあった「ナショナル・ポートレイト・ギャラリー」の広告。「女王様展」をやってる。そう、このお二方は同一人物のエリザベス・アレクサンドラ・メアリー!
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大好きなロンドンだけど、何回も書いてきたように、あまりにもヒドイ天気と寒さで、今回はすっかり意気消沈してしまった。こんなヒドイ天候を私に用意したロンドンに裏切られたような気がしたのだ。

「もう帰りたい…」と思い出した頃、この方が現れたのだった!伊藤広規。

広規さんたちとの合流がどれほどうれしかったか!もうこうなりゃ雨が降ろうが、寒風が吹きすさぼうがヘッチャラ、ヘッチャラ!日本語話せるし!

…というワケで、次回から<新シリーズ>として、4回にわたって広規さんたちと過ごしたロンドンをレポートする。お楽しみに!
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<新シリーズ>につづく

イギリス紀行2012 その17~ロンドン3 <女王陛下のロンドン 後編>

2012年8月20日 初出

オリンピックは終わっちゃったけど、シゲブログはまだまだロンドン!

何でもオリンピック開催前にロンドンの行政サイドから「期間中市内が混みまくるから、ロンドンに来ないでチョーダイね~」とあんまり呼びかけたものだから、市内はまったく予想に反してスキスキだったとか…。それに引き換え…。

今日は「Diamond Jubilee Weekend」で盛り上がるSohoから。夕方になるとパブから道路まで人があふれ出すこのエリアだが、さすがに今日は一段と人が多い!

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ここは有名なMarqueeの2代目の店があった通り。何の人だかりかと思ったら…
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この通り!マッチョマンのコンテストで大いに盛り上がっている!
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パブの2階をステージに見立てている店も多い。まったく大したパフォーマンスでもないのだが、大勢の人が集まって盛り上がらざるを得ない雰囲気なのだ!

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この通り!
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ここはお姉さん3人のカラオケのパフォーマンス。
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隣のビルのオッサン見て!そこからは撮れないだろうに?! 夢中になって落っこちやしないかと期待していたが、チッ、無事だった!
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ここはヤケにダークなムードだな…。ね~、ガッチリとジャンパーを着ているヤツがいるかと思うと半ソデのヤツもいる。実際はかなり寒い。
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また晴れて来た。

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それにしてもこのユニオン・ジャックのトンネルは圧巻だ。東京で同じことを日の丸でやったら絶対に異様なムードになる。これが戦勝国との差なのか?

しかし、カッコいいよね、ユニオン・ジャック。ウェールズの人たちには気の毒だけど…。それにしてもロンドンでなくても最近のユニオン・ジャックの流行りはスゴイ!どこを見ても街中ユニオン・ジャックだよね。jこれが日の丸だったらただの赤い水玉になっちゃうゼェ。
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ピカデリー・サーカスなんかさぞかしスゴイことになっているだろうと期待して行ってみたが、意外にもいつもとまったく変わらなかった。
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さて、悪天候に悩まされ続けた「Diamond Jubilee Weekend」もあと2日。今晩はバッキンガム宮殿の前でコンサートが催される。明日の最終日はパレードだ。

60年に1回の大イベント、何かしらに参加した方がいいのはわかっているんだけど、こう人出が多いと億劫になってしまう。今日のコンサートは雨の心配もなさそうというので、チョコッと様子を見てみようかな…。もちろんチケットなんかとっくの昔にソールドアウトになってるから、バッキンガム宮殿の近くまで行って立ち聞きしようという魂胆だ。

バッキンガム宮殿って案外すぐ近くに地下鉄の駅がないんだよね。「二重橋前」みたいに。もう歩きたくないけど、ピカデリーを歩いて、グリーン・パークを横切ってバッキンガム宮殿に向かおう。

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「ニューキャッスル」の回でも触れたけど、ちょくちょく見かけるアーケードを覗くのは実に楽しい。オリンピックのマラソン・コースにも含まれていたアレだ。

どこも格調高く、ポッシュな雰囲気が自分にはピッタリだ(ウソばっか!)
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これは有名なBurlington Arcade(バーリントン・アーケード)。中に入ってみる。

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やっぱりいい感じ!
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オ!カッコいい靴!シャレっ構わない私ではあるけど、なんかイイなぁ。何やら女王に靴を献呈しているお店のようだ。高いんだろうナァ。欲しいナァ。でも、すぐにボロボロにしちゃうからナァ、オレ…。

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最高級ホテルThe Ritz(リッツ)。

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Ritzも女王陛下の在位60周年を祝っている。

この辺りからもうスゴイ人出で前に進むのも難儀になってくる。みんなバッキンガム宮殿に向かおうとしているのだ。そして、宮殿はRitzのとなりのGreen Parlを横切ればよいのだが、ナントGreen Parkが完全に立ち入り禁止になっている!入口という入り口、塀沿いにもたくさんの警備の警官が立っていて猫の子一匹入れないありさまだ。

それもあって辺りがゴッタ返しているのだ。クッソ~、それじゃ少し戻ってSt James Streetを通って宮殿方面に南下するか…もう足が痛くて痛くて一歩たりとも余分に歩きたくなのに!
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途中でカッコいい玄関を発見!

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ブルー・プラークが付いているゾ…ナニナニ…「ロバート・ウォルポールとその息子ホレス・ウォルポールここに住む」か…。

オヤジの方のロバートはイギリスの最初の総理大臣。その息子のホレスは鑑定家、にしてMan of Letters。コレ、郵便局でもやってたのかと思ったら、「Man of Letters」というのは「知識人」を意味するらしい。日本語の感覚で言うと「インテリ」みたいな感じか…。

道理で立派な家だと思ったよ。
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素敵な靴屋さん!ロンドンで見かける古いカバン屋、バッグ屋、文房具屋、傘屋の類は本当に素敵だ。

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やっぱり宮内庁…じゃない王室御用達!左の紋章はエジンバラ公の、右はウェールズ王子の、それぞれのブーツを作ることを任命されているというもの。
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St James's Palaceのすぐ近くだ。
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こちらは由緒正しい帽子屋さん。実は帰国後偶然にこのお店のドキュメンタリーをNHKで見た。昔ながらの製法で帽子をひとつひとつ手作りしている。ちょっと名前は忘れたが、典型的なイギリス紳士がかぶる黒い帽子は、お客さんの頭の形やサイズを測量して、うさぎの毛を使い、地方にある自前の工場で作られるそうだ。価格は5~6万円って言ってたかな?洋服で言えば「Bespoke(ビスポーク)」というヤツだ。
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このSt James's Palaceはあのヘンリー8世の命によって作られた、ロンドンでももっとも古い宮殿のひとつ。現在も王室のメンバーが住んでいる。

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この建物の向こう側はThe Mall(ザ・マル)。オリンピックのマラソンのコースになっていたところ。バッキンガム宮殿からトラファルガー広場方面に向かってまっすぐに進む参道(?)だ。ここにコンサートの観客が収容されると聞いたので少しでも近くへ行ってみようとした。

いつもならこのSt James's Palaceの横を抜けて行かれるのだが今日は厳戒態勢で一歩も足を踏み入れることはできない。
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疲れた~。骨折り損のくたびれもうけか…。コンサートは帰ってテレビで観ることにしよう。しかし、この辺駅がないんだよな~。雨がまた降って来た。足が痛いよ。
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何とかピカデリー・サーカス駅まで歩いてトットとトッテナム・ヘイルへと向かう。駅前で簡単な食べ物とビールを買って…と。後はゆっくりテレビでジュビリー・コンサートを鑑賞しよう。

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ちょっとここから長いけど、コンサートのようすを記しておいた。音楽好きの方には是非お読み頂きたいと思う。

コンサートはBBC 1が最初から最後の最後まで完全生放送。もちろんCMなし。日本ではこんなことできないだろうナァ。エリザベス女王というかロイヤル・ファミリーへの敬意や人気もスゴイが、生活の中での音楽の、特にブリティッシュ・ロックのポテンシャルが全然違うからね。何せビートルズに勲章を与える国なんだから!

冒頭にすべての出演者が紹介されたが、ポールへの歓声が案外大きくないことに驚いた。それに引き替えトム・ジョーンズへの歓声が大きいのなんのって!観客の年齢層が相当高いのかしらん?

テレビの映像はただただ映しっぱなし、流しっぱなしで、演奏する曲名はおろか出演者の名前すら画面に出てこない!トップはロビー・ウリアムス。こんなの人気あるのかね?後でマーシャルの社長に訊いたら上がったり下がったり…だって。

エリザベス女王は途中からの列席。ハー・マジェスティの耳にはしっかり栓がはめ込んであった!王室御用達の耳栓ってどんなのかな?よくできてるんだろうナァ~。

前半は各出演者とも1曲だけ演奏する。クリフ・リチャード、シャーリー・バッシー、トム・ジョーンズ(みなさん貴族でいらっしゃいます)あたりから複数の曲を演奏。

そしていよいよエルトン・ジョンの登場だ!
曲は;
1.?
2.Your song
3.Crocodile Rock
の3曲。声出ねー!何か見ていてレジはも楽しくなさそうだ。何とも仕方なしに演奏している感じ。

それにしてもイギリス王室の国民からの愛されようはスゴイ!また海外からもジャンジャン観光客が来ちゃうところが信じられんよね。日本の皇室も国内では人気あがるけど、何かのお祝いで隣国の観光客がワザワザ訪れるとは思えない。また、イギリス人という人種はこういう記念行事が好きなのね!

クリフ・リチャードがインタビューで、「50周年のお祝いコンサートの時、女王に『またできますかね?』と訊いたら『担当に聞いてください』と答えた」とか。こういうところが天然っぽいところがまた可愛くて人気があるようだ。退屈だったワケでもないんだろうけど、コンサート中、女王は微動だにしてなかったナァ。

続いてスティービー・ワンダー。セットリストは;
1.Sir. Duke
2.Isn’t she lovely
3.Happy Birthday
4.Superstition

一生懸命演ってたよ。すごくヨカッタ!

そして、トリはポール。ああ、見なきゃヨカッタ…声は出ないし、音程はシャパラパだし…。悔しいデス!
1.Magical Mystery Tour
2.All My Loving⇒ここで皇室総立ち!そして合唱!
3.Let it be
4.Live And Let Die
5.Ob-la-di, Ob-la-da

最後に「Ob-la-di, Ob-la-da」を演奏したのは、みんなで歌いやすいようにということもあろうけど、タイトルの意味である「Life Goes on」という意味を込めたのかもね。ようするに「Long Live Queen」だ。

すべての演目の後エリザベス女王がステージに登場。あいさつはチャールズ皇太子。何のことはない、女王が誰より人気あるやんけ!あいさつするチャールズのすぐ後ろにポールとレジが立っているというのもスゴイ図だった!

チャールズが挨拶の中で女王のことを「Her Majesty」とか「Queen」とか呼んでいたが、最後に「マミー」と呼んだのには大ウケ!チャールズの人気もマンザラでもないような。

もうひとつ大爆笑をゲットしたのは、「神様、天気をよくしてくれてありがとう!」だった!私も吹き出しちゃった!何しろチャールズ皇太子は、チョット前にテレビでお天気レポーターやったからね。それにしても前日はひどい天気だったからその効果は本当にあったのかもしれない!

今日はチャールズのダディ、フィリップ・エジンバラ公は入院のため欠席。すると「ダディが病院で聞いているかもしれないから皆さんで応援をお願いします!Hip! Hip!」と言うと70,000人の観衆が「Hurray!」と応える。

「Hip! Hip!」、「Hurray!」

これを3回。1対70,000で!日本でいうと万歳三唱みたいなもの。ようするにお父さんに送ったエールだ。「Hurray」というのは「フレー」。そう日本の運動会の時にやる「フレ~、フレ~、あ~か~ぐ~み」の「フレー」だ。

さすがに最後の「God Save the Queen」にはグッときたな。イギリスが過去に何をしたのかまったく知らないワケではないし、経済的には弱くはなったけど、世界中の人に尊敬されているのを感じるね。今回のオリンピックを見ていてもそう思う。日本もそんな国になってもらいたい。

こういう姿を見るとますますイギリスが好きになるのと同時に自分の祖国がますます愛おしくなる。日本人も島に住んで、皇室を有し、悠久の歴史を持っているのだから当然なのかもしれない…。日本だって政治さえしっかりしてればナァ…。アメリカの大統領候補に「我々は日本のようにはならない」なんて言われようないようにして欲しいよ。

まずは小学校で英語の授業を導入する前に、政治家はひとり残らずディベートできるレベルになるまで英語を死ぬ気で勉強するこった!国を代表する者が英語ぐらい自由に話せないから世界中からナメられるし、外国の要人とよいコミュニケーションが取れないのですよ。何をやったって外国人にいきなり「心」なんか通じないよ。「言葉」があるから「心」が通じるのですよ。連中がそういう文化なのだから、それに合わさなきゃしょうがないでしょ。国会議員の立候補の条件に「TOEIC900点以上」を加えればいい。スイマセン、つい熱くなってしまった!

コンサートの最後は盛大な花火(圧巻!)とエルガーの「祝典序曲」。コレばっか。でもおもしろかった~!

 

つづく

イギリス紀行2012 その16~ロンドン2 <女王陛下のロンドン 前編>

2012年8月10日 初出

昨日入った雨のロンドン。今日もまた天気が悪い…。こんな天気だからどうも動きも鈍くなる。寒いし…。テレビのオリンピックの中継を見てるとダウン・ジャケットを着てるレポーターがいるもんね。今、8月だぜ?! そんなんだもん、6月なんて寒いに決まってる…と言いたいところだけど、この時、1週間前まではメッチャ暑かったんだから!

時間もモッタイないので、とにかく重い腰を上げて市内をブラつくことにしよう。例の公園を通ってトッテナム・ヘイル駅へ向かう。

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この日まず訪れたのはテムズ川の南、ブリクストン(Brixton)という街。
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ここには有名なコンサート会場があって、それの取材で訪れたのだが、ここも黒人比率が大変に高い。
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住居エリアではあるが、住民の24%がアフリカン、カリビアンの人々で、ストリート・マーケットや小売店が立ち並ぶマルチ・エスニック・コミュニティだ。
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GREGGSを発見!

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美しい塔が立つ建物はタウン・ホール。

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他のロンドンの街同様に美しい建造物が立ち並ぶ。ところが、このブリクストンという街、ギャングの巣窟なのだそうだ。

…などということはツユ知らず街をブラついてみる。海外での「知らぬが仏」は下手をするとホンモノの「仏」にならないとも限らないので注意が必要だ。

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すると、こんな素敵な映画館に出くわした。1911年にオープンし、幾度となく名前を変え、現在は「Ritzy Cinema」と呼ばれている。750キャパの純粋な映画館だが、最近はライブも催されている。

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横の塀には往年のハリウッドのスターのポートレイトが飾ってある。シドニー・ポワチエの顔が見えるのは黒人比率の高い街だからか?ポワチエは黒人ではじめてアカデミー主演男優賞を獲った人。『野のユリ』だったかな?この人(写真右から3番目)、『手錠のままの脱獄』だとか『招かれざる客』だとか『夜の大捜査線』とか、黒人ということをフィーチュアしたジャンルが大きく異なる名作にたくさん出演しているんだよね。

中学生の時、何の予備知識もなく、今はなきテアトル銀座にフラッと入って観た『ケープタウン』っていう映画がヤケクソに面白くて、子供ながらに実に得した気分になったっけ!

もうひとつシドニー・ポワチエで思い出すのは『夜の大捜査線』。ヴァージル・ティップスっていう刑事役。殺人事件の捜査で南部にやって来て人種差別を受けながらも、捜査を進めるうちに地元のイジワル警官と友情が芽生えるみたいな話し。音楽はクインシー・ジョーンズ。主題歌を歌ったのはレイ・チャールズ。

で、あるアメリカのアコギ・メーカーの人と映画の話しになって、シドニー・ポワチエの話しになった。『夜の大捜査線』の話しをしたいんだけど、何しろ原題がわからない。内容を説明すると、相手もそれがポワチエの何かを即座に分かってくれたのだが、相手もタイトルを忘れてる。

本当に邦題ってのは迷惑だな~…と思ったね。その晩、家に帰ってから何かの拍子に思い出したこの作品の原題は、『In the Heat of the Night』という。これのどこが『夜の大捜査線』なのよ!「夜」だけじゃん、正確に訳されてんの!

翌朝、このおばさんと会って、指を差し合いながら目を合わせた瞬間に出た私と彼女のセリフは…「In the heat of the night!」だった。

ブリクストンは『イギリス・ロック名所めぐり』で後日再度取り上げる。
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その足でキルバーン(Kilburn)というところに来たよ。ここにも有名なコンサート会場がありましてね…。

急に晴れてきた。

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晴れりゃこんなにきれいなのにナァ~。

いつも通り低予算の旅でござんして、豪華な食事などは望めない。今回は特に切り詰めなきゃいけないんだけど、ま、少しならたまには食べたいものを食べてもいいでしょう?…というのは目の前においしそうな焼き餃子の看板が現れちゃったのですよ。これにビール…ク~、ガマンできん!

写真を撮ればよかったんだけど、雨が降ったりやんだりだったので面倒でスキップ。その看板には「Fast Noodleナントカ」って書いてあって、おいしそうなタンメンのようなものが見える。もーガマンできん!

餃子とワンタンメンとビールを頼む。まず餃子が出てきた。フム、優秀、優秀。ちょっと皮が厚手だか餃子飢饉の舌には十分すぎるぐらい「餃子」。酢は黒酢。ハフハフいいながらビールで流し込んで…と。

さあ、ワンタンメンが来るぞ~! ♪ワンタンメン!ワンタンメン!キタ~!

(間)

(さらに間)

何じゃコレは?麺がヤケに角ばってるじゃねーか?打ちたて信州そばってか?ま、ツベコベ言ってないで食べてみよう。

ドワ~!いくら「ファスト・ナントカ」だってこれはないだろう?オマエ、これカップヌードルの麺じゃねーかよー!コシのコの字もありゃしねぇ!フカフカじゃねーか!

それになんだ、このスープは?味ねーよ!味がしないっつってんの!「究極の湯麺」ってか?オイオイ、まさかお湯に麺を入れただけが湯麺だと思ってたら許さねーゾ!でも、ワンタンはエビが入っててウマいな。

上に乗ってんのはキャベツかと思ったら白菜だよ。ま、いいか。おい、チョット待て!食ってみたらコレ漬物じゃねーか!すっぺーよ!どこにラーメンに白菜漬け乗っけるヤツがいるよ?! 残してやったゼイ。

トホホ…損した。マックにしとけばよかった…。

店を出たら出たでまた雨が降って来やがった…。弱り目にたたり目だ。旅前半のウマイもの特集はどこへ行った?
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惜しかったね~!なでしこジャパン!普段はスポーツの試合なんか見ないけど、さすがに応援しちゃった!(というか朝目が覚めちゃうだけなんだけど…)

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ここが試合会場となったWenbley Arena。

「フットボールの聖地」としてテレビでさんざん解説していたので詳しい説明はここでは割愛する。ちょっとだけ記すと、さすがに90,000人もの観客を収容できる大スタジアムとだけあって、周辺にはジュビリー線とメトロポリタン線の「Wembley Park」、ベイカールー線と国鉄の「Wembley Central」と4つもの駅がある。水道橋よりよっぽど人のハケがよさそうだけど、あのなでしこの試合後に会場から出てくる観客の数を見てるとそうもいかなさそうだ。

下の写真は「Wembley Park」駅側からスタジアムを見たところ。

初めてウェンブリーに来たのはずいぶんと前のこと。「London Guitar Show」というフェアがあってそれに参加した時だ。あの時は楽しかったナ…。

それでもマーシャルの連中からはウェンブリーはあまり治安が良くないので気をつけて!なんて言われたのを覚えている。

ところで、突然クイズ!

毎年この時期に開催されるイギリスの大型ロックフェスのひとつ、グラストンベリーが今年は開催しないことになりました。2年前から始まったロンドンの「High Voltage Festival」も今年は開催せず。な~んでだ?

答えはね、オリンピックで使いすぎて、移動式トイレが足りなくなっちゃったからなんだって!ビックリだ~!
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右に見えるのは20,000人収容の「Wembley Arena」。バドミントンの会場になったところだ…というよりもシゲブログの読者の皆さんには9月22日に『マーシャル50周年記念コンサート』が開かれるところと言った方がシックリいくかもしれない。
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さて、ウェンブリーを後にしてブラついたのはセントラル線の「Queensway」から「Lancaster Gate」にかけて…。さっそくおもしろいものを発見!それはこの写真の茶色い建物。
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こんなプラークかかかっていた。「1940-1945年、チェコスロバキアの亡命政府はこの建物に設置された。1942年3月27日にプラハで実行されたナチスのリーダー、ラインハルト・ハイドリッヒの暗殺計画「アンスロポイド作戦、類人猿作戦(Operation Anthropoid)」は1941年10月、ここで立案された」とある。

このハイドリッヒというのはナチスでも相当な実力者で、ヒトラーの後任とまで言われていたらしい。とても残忍な性格で、ユダヤ人虐殺の首謀者のひとりでもあり、あだ名が「金髪の獣」とか「絞首刑人」というのだからおだやかではない。

しかも、占領したチェコスロバキアでは反体制派の中産階級のインテリはジャンジャン抹殺るす一方、労働者階級を手厚く保護しちゃうという「アメとムチ」政策をとったもんだから、チェコから反対分子がいなくなっちゃった。

これじゃマズイってんでチェコの亡命政府がイギリスと手を組んでこのハイドリッヒを暗殺しちゃったという話し。

ハイドリッヒは地元住民に対する自身の印象をよくしようとボディガードをあまりつけなかった。「みんなの友達よ~」と親しみやすい雰囲気を演出したのがマズかった。手りゅう弾を車に放り込まれて一巻のおわり。

ヒトラーはこの報復として1万3000人のチェコスロバキア人を虐殺した。これに起こったウィンストン・チャーチルは「ナチスが破壊したチェコの村ひとつにつき、ドイツの村を3つ破壊する」と提案したそうだ。

結果的にはこの作戦はナチスの要人暗殺計画で唯一成功したものとなった。

このビルでそんなことを計画したとはネェ。

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このあたりも素晴らしく豪奢な建物が並んでいる。
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何もこんなに大げさな標識を置かなくたってよさそうなもんだけど…。
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感じのよさそうなパブだ。しかし「Swan」って名前のパブって多いような気がするな…。

また雨が降ってきた!

そういえば、今回まったくロンドンの中心街へ行っていないことに気づき、「Diamond Jubilee」期間中、どうなっているか気になり出した。「ま、どうせいつもと同じだろう」と思っていたら…
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行ってみて驚いた!
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ここはOxford Circus。

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いつも人通りが多いところだけど、普段とは比べものにならないぐらいの人出だ~!

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それにこのユニオン・ジャックのオンパレード!スゴイ!
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街の売店もたくさんの人手を当て込んで飲み物をたっぷりと冷やしたんだけど、寒いからちっとも売れん!

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オックスフォード・ストリート。
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ちょっと大通りから小道に入るとこの通り。そこら中にテーブルを出してイッパイやってる!期間中、こうした場所が中心部に9,000か所設置されたらしい。
どっかで見たことあると思ったら、なんのことはない、三社祭と同じじゃん!

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ここはカラオケ大会みたいになって大盛り上がり!このおじさん、メチャクチャうたうまかった!
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ま、こうして全然静かなエリアもあるけどね…。
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つづく

イギリス紀行2012 その15~ロンドン <ロンドン、ロンドン、トホホのロンドン>

2012年7月27日 初出

いよいよ始まりますな~、ロンドン・オリンピック!こっちの今晩が開会式でしょ~。それに合わせてこの『イギリス紀行2012』もロンドンにやって来たゼ~!

テレビはどのチャンネルも「ロンドン、ロンドン」。いつもよりはるかに騒いでいるような気がしますな。アテネとかバルセロナとかアトランタの時、こんなに街の紹介なんかしなかったでしょ?ヒイキじゃない?ロンドンの人気が高いのか、誰かが操作しているのかしらないけど、そういう番組を見ては「ここ知ってる!」とか「行ったことある!」とか大騒ぎしている私なのであります。

やっぱり魅力的なんでしょうな、ロンドン。でも、今日のロンドンはトホホの話し。

Stradfordなんですってね、開閉会式会場…。何年も前の話しになりますが…Stradfordにはイヤな思い出があるのだ。

あの時、すごくお世話になった仲良しのマーシャルのベテラン社員が会社を辞めることになり、その送別会に招待されたのだ。

他に招待された海外の関係者はスペインとカナダだけだった。確か3泊5日のタフな旅程で、今にして思うとよく行ったよね。それでもせっかくご招待の栄誉にあずかったよろこびもあって行っちゃったんだよね。今よりはまだ若かったし?!

いつもはマーシャルからヒースロー空港に迎えの車を出してもらうのだが、この時はナゼか先にロンドンで一泊した。Finchley Roadのホテルに着くやいなや、レセプションの女性から伝言を聞かされた。「マーシャル・アンプリフィケーション様からの伝言です。明日朝8時、ストラッドフォード駅来てください」とのこと。つまりストラッドフォード駅で落ち合いましょう…という意味だ。

ストラッドフォードねぇ~。行ったことないし、当然ロケーションもわからない…。何でそんな所まで行かなきゃならないんだろう?するとその女性が地図を出して丁寧に行き方を説明してくれた。それほど遠いワケではないが、デカイ荷物もあるし、朝8時の待ち合わせとなると余裕を見て7時には出なきゃならないな…と心に決めて一日を終わらせた。

翌朝6時に起きて、簡単な朝食を済ませ、前日に教わった通りにストラッドフォードに向かった。ストラッドフォードはロンドンの北東に位置する国鉄の駅で、ラッシュ・アワーのさなかだったため、ドデカイ荷物をガラガラと引いて電車に乗る私は大勢の人の注目の的だった。

何とかストラッドフォード駅に着いたものの、一体どこで待っていればよいのやら…改札か?駅前のロータリーか?ま、車で来てくれるわけだから少なくとも外に出ていよう。

まだそれらしき車は来ていない。8時前に着いたので、それまでは待つよりしょうがないな…。

8時になった。でも誰も来ない。駅は通勤の会社員たちでゴッタ返している。

5分が過ぎ、10分が過ぎ…30分が過ぎても誰も来てくれない。もちろん不安もあるけど、伝言の英語はシッカリと聞き取ったし、ロンドンはアホみたいに渋滞するから30分ぐらいは仕方ないナ…と自分を納得させてもう少し待つことにした。

1時間以上経過…こりゃおかしすぎるゾ!と思い、駅の公衆電話からホテルに電話をしてみた。その時は携帯電話を持っていなかった。すると、電話に出た女性がモノスゴイ勢いで謝りまくるではないか!話しを聞いてみれば、実はその人の伝言の聞き違いで、どれだけ待ってもストラッドフォードには誰も行かないというのだ。正しい伝言は「明日の朝8時にストラッドフォード・カーズという会社の車が迎えに行くのでホテルで待っていてくれ」というものだった。

オイ!一体どういう伝言の聞き方をしてるんだよ!ホテルの女性も猛烈に謝っているので怒るワケにもいかない。「F%%#!」とか怒鳴る度胸もない。

彼女からストラッドフォード・カーズの電話番号をもらい状況を説明した。すると聞き覚えのある社長夫人の声が受話器から流れ出た。「チョット!シゲ!どこにいるの?ごめんなさい!」とこちらも大謝り大会。私は私であの車の会社が「ストラッドフォード・カーズ」という名前だったのをスッカリ忘れていたのだ。

結局、もう迎えには来てくれないので、重い荷物を抱えてロンドン・ユーストン駅まで移動して電車でブレッチリーまで赴いたのだった。

その晩、例の送別会でいっしょになったマーシャルの友達数人からこんなことを言われた…

「ヘイ、シゲ!今朝はストラッドフォードで何をしていたんだい?おまえ、テレビに映ってたんだゾ!」だって!何やら『ズームイン朝!』みたいなモーニング・ワイドショウで偶然写り込んでたらしい。全然うれしくなかった!

この時は帰る日に財布をスラれたりしてさんざんな旅だった。ストラッドフォードの思い出でした~。

それにしても、天気もいいみたいでうらやましいね!…ということで話しを戻そう。

あれほど好きだったロンドンなのに今回は行くのが億劫になってしまった。これはね、全部雨のせいなのですよ、雨のせい!何もここまで雨を降らさなくたっていいと思うけどね…。

昨日、スティーヴのパソコンでプリントアウトしてもらったeチケットをしっかりと持っていよいよ宿を出た。もう飛行機ではおなじみだが、電車のeチケットなんてのははじめてで、こんなパソコンから出て来た紙っきれで電車に乗れるんかね?と疑いたくもなる。

スティーヴが駅まで車で送ってくれて、電車に乗るところまで見届けてくれた。ここ数日天気はあまりにもヒドかったが、最高に楽しかった!すべてスティーヴのホスピタリティのおかげだ。ニューキャッスル行きの地下鉄が入線してきた。スティーヴとの別れを惜しみ電車に乗り込んだ。ちょっとグッときてしまった。歳を取って涙腺が緩んでる。

そんなロマンティックなムードを簡単にブチ壊したのは車内の猛烈な異臭!! クッセ~!と、激クサの元を探すべく車内を見まわすと、軽く10年は風呂に入っていないかのようなオッサンが車両の真ん中あたりのイスに座ってる。それに気付いた乗客はそそくさと隣の車両に移動!私も!

それでも、あのオッサン、Jethro Tullの 『Aqualung』のジャケに出ているキャラみたいでカッコよかったりして…。

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ニューキャッスルに到着。本当にあの紙っきれで電車に乗れるのかまだ心配。改札でプリントを見せたら難なく入れた。なんだ、これ便利だね。

ロンドン行きの電車は1時間に何本も運行している。ここからロンドン・キングス・クロスまで一直線。

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自分の電車の入線まで15分ぐらいある。寒風が吹きこんできて寒い!厚手のウールのカーディガンのファスナーを首まで上げて、その上に着ているジャケットのボタンをこれまた首までガッチリと閉める。それでも寒い!で、隣で同じく電車を待っている白人の家族を見ると、お父さんも子供も半ソデに短パンだ!DNAの違いを感じるね~。彼らじゃこの日本の夏を乗り切ることはできないだろうね~。

前から気になっていたんだけど、路線によって、つまり運行会社によって異なるが、こうした長距離列車の座席の背もたれには下の写真のような札がくっついている。

これは、この電車のどこからどこまではこの席を予約している人がいますよ…ということを知らせている。この写真のケースでは「ニューキャッスルからドンカスター」まで「ドンカスターからロンドン・キングス・クロス」まで予約されていますよ…となっている。つまり、座る人はドンカスターで代わるもののニューキャッスルから終点まで席は空いていませんよ~…ということ。「Face」は進行方向むきの座席。反対は当然「Back」だ。

これって、空いている時は勝手に座ってイイですよ~…という意味なのかな?

電車が入って来て乗り込み、自分の席へと向かう。混んでる!自分の席には若い女性が座っていた。「Excuse me」と言うだけですぐにどいてくれる。全席指定になっているのだが、この予約札も無視して、どうもみんな勝手に乗り込んで好きな席に座っちゃうようだ。駅に停まるたびに同様の光景が見られる。

見ていると不思議なことに勝手に座っている人の方が態度が大きく、正式な切符を持っている人の方が、頼んでどいてもらっている風なのだ。切符を持っている人が「Excuse me, I think this is my seat…」とかいいながらチケットを見せると、勝手に座っている方が謝るでもな、く「Mmmm」とか迷惑そうに無愛想な反応を示してどこかへ移動するのだ。これ反対でしょうが!

ヤバイ…ウスウスはわかっていたのだが、どうも私は違う電車に乗ってしまったようだ。そんなこともわからないのかって?だって自分が買った切符の電車が時間通りに入って来て時間通りに出発したら誰だって間違いないと思うじゃない?乗ってしばらくして社内のアナウンスで気が付いた・「40分も遅れてスミマセン」って言ってる!

ああ、さっきのおネエちゃんに悪いことしちゃったな。それに自分だってウカウカここに座ってられんぞ!ダーラムを過ぎ、ヨークを過ぎても誰も現れない。こりゃロンドンまでイケちゃうかな?と期待していたらとうとうやって来た。品のよさそうなお婆さんだ。

「ちょっと失礼…ここは私の席ではないかしら?」

こっちはもう自分の席ではないのがわかっているので立ち上がり席を譲りながら…「ハイ、私もこの席の切符を持っているんですが、残念ながら違う電車でして…」と言うと、

「あらそう…」とサッサと座ってしまった。その後私は向かいの席に座り直したのだが、このお婆さん、本を読みながら、ズイズイと平気で足を伸ばしてきやがって!全然感じ悪かったな。

約4時間の道中、私は本を読むでもなく、音楽を聴くでもなく、ボーっと窓の外を見て過ごしてしまった。疲れてたんだ。

そういえば、電車の中で、ある青年が一枚の紙を手に何か訴えるシーンに出くわした。よく聴いているとその紙を頭上に掲げながら、「みなさん!この鉄道会社はキングス・クロス駅にこのようなアンケートに協力するよう求めてきます。でもみなさん、これに応対するのをやめましょう!こんなに電車が遅れて迷惑をこうむっているのにこの会社に何かしてやる必要なまったくないのです!」ってな感じ。車内は拍手大喝采。彼は1つの車両につき3回。これを15輌はあろうかという全車両でやっているようだった。

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ロンドン・キングス・クロス駅。10年前に一度、ここからイングランドの中部の街へ出かけたことがあった。 6年前には多数の死傷者を出したテロが起きた場所のうちのひとつだ。こっちの人は「London Kings X」と書く。

以前とは異なり完全自動改札になっていて驚いた。この写真は晴れてるでしょ?別の日に撮ったもので、実際にロンドンに出てきた日はしっかりとした雨が降っていた。

今回のロンドンの宿は北東部のTottenham Haleというところ。ここキングス・クロス駅からヴィクトリア線で4つ目の駅。
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ここがトッテナム・ヘイル駅前。もちろんこの写真も別の日に撮ったもので、当日は冷たい冷たい雨がザンザン降っていた。

今回は滞在期間も長いので、格安のB&Bに泊まることにした。もう存知の通り、B&Bはベッドと朝食を供する宿という意味で、いわゆる日本でいう民宿みたいなもの。今回の宿が「格安」というのはその下を行く、つまり、朝食も出ないところを選んだ。だから「B&B」じゃなくてただの「B」だ。でもわざとそういうところを選んだの。なぜかというと、キッチンも洗濯機もあるいわゆるコンドミニアムみたいなところだから。

ヘンテコりんな料理に高い金を出して食べるより、自分でスーパーで買い物をして料理した方がいいからね。

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駅前にはちょっとしたショッピングセンターもあって取りあえずは問題なさそう。

この宿の持ち主は宿に常駐していないので、ヴィクトリア駅を出るときに電話をしてくれ、という。それで時間を見計らってトッテナム・ヘイルの駅まで迎えに来てくれるのだ。
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駅に着くと、ニコニコしたおじさんが近寄ってきて自己紹介してくれた。ムム?ロシア系か?一聴してイギリス英語のアクセントと異なるのがわかる。

「ワタシニツイテキテクダサイ」と宿まで誘導してくれる。それが、また複雑な道順で、迎えに来てくれなかったら絶対にたどり着かなかっただろう。

ところで、駅から歩いていると、黒人以外まったく見当たらない。ここもしかしてこのあたりはデンジャラスなエリアなんじゃないの?疲れていることもあって、トコトン不安になってしまった。というのは、駅から宿へ行くにはこの公園を通過しなければならず、夜ひとりでこんなとこトボトボと歩いていたら何が起きるかわかったもんじゃないでしょ?ビビったね。
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で、主人に訊いてみた。ここは「黒人が多いんスかね?」

「ハイ。ジュウニンノ70パーセントがコクジンデ~ス」 やっぱりそうか「治安は大丈夫なんですか?夜とか…」

「ハイ、ダイジョウブデ~ス!ナゼナラB&Bヲハジメテナンネンカタチマスガ、モンダイオコッタコトアリマッセ~ン!」だってよ。

トホホ、ヘンなとこ来ちゃったな…。それじゃ自分が被害者の第1号になるかも知れないってことか…。

雨は降るし、寒いし、疲れてるし、すっかり弱気。弱り目にたたり目、泣き面にハチとはこのことか…。トホホ、これからしばらくここで過ごすのかよ~

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「モウツクアルヨ~」、あ、別に中国系の方ではござらんね。東欧の人らしい。

ドワ~!全部同じ建物!
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白い部分がそのB&B。
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反対側もほぼおんなじ眺めだ。
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これが部屋。アレレ、清潔でゼ~ンゼン問題ないじゃん?
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荷物が汚くて失礼!テレビもあるし、クローゼットの中にはプライベート冷蔵庫もあるのだ!メッチャうれしい!
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これが共用のキッチン。調理道具も食器もすべて完備している。
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ガスコンロ。下にはオーヴンも付いている。

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オープンテラス。ずっと雨でここに出ることは結局なかったが、タバコを吸う人はここで吸える。
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さあ、買い物にいって料理しよう!と思いさっきの駅前のショッピング・センターに戻る。

アレレ~?どこも開いてない!そっか~、今日土曜日でどこも5時半で閉まるんだ~!トホホ、もう足が棒以下だよ~。でも我慢してこの街のハイロードまで傘をさしながら歩いて行く。

行ったところで大きなスーパーは開いていない。仕方なしに東欧系かイスラム系かわからない人がやってるスーパーに入る。

もうこういう時は、スパゲティに限るということで、パスタとソースを狙う。ビールとウインナーも買うぞ!

ところが!読めないのである!何が?って商品のパッケージの文字がまず見たことない形!アルファベットのものでも見たことない文字列!まあ、それでも何となくはわかるのでとにかく無難な方向へ舵を取り、何とか買い物をしてきた。

エ~。ギネス×2、ジョン・スミスのエール×1、パスタ・ソース×2、パスタ(1.7mm)×1、牛肉のウインナー×1、タバスコ×1、HEINZのミネストローネ×1、そしてパスタを茹でるときの塩、それにパン。これで約1,200円。ビールが3本入っていてこの値段なら安いでしょう。食材には消費税がかかってないからなんですよ、ノダサン!

これ、ウインナーを選ぶのがひと苦労だったの。ここのウインナーは宗教上の理由なんだろうけど、素材がエラク明確になっていて、牛、鶏、七面鳥とかパッケージに絵が描いてある。豚はなかったような気がするな…イスラムの戒律の関係かな?

ニューヨークのホットドッグがおいしいのはユダヤ人が食べるビーフのウインナーが挟まっているからだという話しを思い出して牛の絵のヤツを買い込んできた。

さあ~、お湯を沸かしてイギリスで一番アルデンテのスパゲティを作るぞ~!と豪雨の中足取りも軽く宿に戻ったのであった。

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さっそく湯を沸かす。火力が弱い!オイオイオイオイ、これじゃうまくパスタを茹でられん!あ~あ~あ~あ~、何がアルデンテだよ!小学校の給食もマッツァオの超ソフト麺になっちまったじゃねーかよー!ま、それでもタバスコかけて食べちゃおう!

と思ったら…ナンダこのソース?甘いじゃねーか!なんだってこんな味付けにするんだよ!ギャグなのか?それとも罰ゲームなのか?

泣いた。泣きましたよ。期待していた食べ物がここまでマズイってのはここまで悲しいことなのか?楽しみにしてたのに…。ウインナーだってよ、なんだってこんなに塩入れちゃうのよ?1本食べただけで舌がビリビリなのよ。こんなの何本も食べたら後でノドかわいちゃってどうにもならんよ!

結局、ビールとパンか…。

テレビで寒さに震えながらもテムズ川を下り、公務につとめるエリザベス女王のお姿を拝見しながらロンドン初日の夜を過ごしたのであった。

ロンドン、ロンドン、トホホのロンドン。

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つづけますよッ!

イギリス紀行2012 その14~サウス・シールズ3

2012年7月26日 初出

さあ、今日はロンドンに移動する日だ。昨晩荷物もしっかりと詰め込んだし…。ロンドン・キングス・クロスまで約400kmの電車の旅。まだ切符は買っていない。ニューキャッスルの窓口で片道切符を買えばいい。

このサウス・シールズという街がすっかり気入ってしまい、スティーヴと分かれ、移動するのがさびしくなってしまった。

一方ロンドンでは、いよいよこの週末からエリザベス女王在位60周年(Diamond Jubilee)のイベントが始まる。今日はダービー(Derby)で記念レースかなんかがあるはずだ。

以前にも書いたようにイギリスはいろいろな事情で電車の料金がコロッコロ変わるので注意が必要だが、前の日にスティーヴの家で調べた運賃も、同様にいつもより高めだった。£50ぐらいだった。

ま、急いでロンドンへ向かってもしょうがないので、ここサウス・シールズにあるイギリスで一番おいしいというフィッシュ&チップスを食べたり、ローマ人の遺跡を見てから離れよう…という計画だった。

そして、待ち合わせの時間が来て激ヘビーなスーツケースを持ってB&Bの玄関まで降りると、スティーヴが神妙な面持ちで迎えてくれた。

「おや?こりゃ何かあったな?」とすぐにイヤな予感が胸をよぎった。でもな~、もし日本で何か起こっていたとしてもスティーヴのところに連絡が行くワケないしな~。まさか吉野家の牛丼が値上がりしたとかかな?

「シゲ、悪い知らせがある…」とグッモーニンも言い終わらないうちにスティーヴ。

キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ~!おいでなすったよ~!何を言うのかと思ったら…

スティーヴが続ける…「女王のイベントのおかげで、今朝になって電車の料金がハネ上がっているんだ」

「いいよ、いいよ、少しぐらい。今日ロンドンへ行っちゃうよ。宿も予約してあることだし…で、いくらになってんの?」

「£150だ」とスティーヴ。

「あ、そう£150ね。 ……ってアータ、昨日は£50だったじゃないのよ!」

「そう、3倍になった。もしかしたら、ロンドンの宿代のキャンセル料を払って、今日ここにもう一泊してもそっちの方が安いかもしれない。とりあえずオレの事務所に行って予定を組みなおそう!」

トホホ、なんてこった。電車賃にプレミアが付くなんて一体どういうことだよ!とやや悔みながらスティーヴの事務所にお邪魔する。

さっそくPCとニラメっこ。確かにハネ上がってる。同じ条件なのに明日の運賃は約£50だ。これも昨日チェックした時は£37ぐらいだったのに値上がりしてる!一方では昨日泊まったSir. William Foxの空き状況を調べるとナント!大ディスカウントして£30以下になってる!や、安い!

明日は3000もの船がテムズ川を下るとかいうイベントだ。こりゃスティーヴが言う通り、高くならないうちに早いとこ明日の電車の切符を買っておいて、ロンドンの宿のキャンセル料を払って、サウス・シールズに延泊した方が安いわ!

普段だったらサ、あの大好きなロンドンに少しでも早く行きたいところなんだけど、このアホみたいな天気の悪さにもう元気を失っていましてね。真冬のように寒いし…。別に明日でもいいや~ってな気持ちになっちゃったんですな。

それと、この素敵なサウス・シールズをもうちょっと見てみたいというのもあった。

さらに、そろそろ洗濯の必要もあった。

そこで決心。まずインターネットで電車の切符を予約した。イギリスでは電車もeチケットになっていて、写真のようなプリントを改札で見せて電車に乗る…というのはわかるんだけど、何か不安…。

今晩の宿も取れたし、ロンドンの宿にも今日は到着しない旨の連絡もしたし、後はのんびりとこの田舎町を楽しもう!

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またしても雨がジャンジャン降っているので、スティーヴの事務所でひとしきりギターを弾きたおした後、まずは雨宿りがわりに博物館に入った。

雨が強かったので外観も撮影していない。

これはこの博物館の見どころのベスト10を紹介したしおり。こんな田舎の博物館に見ごたえのあるアイテムが10ケもあるんかいな…?。郷土資料館どまりじゃねーの?…と思っていたらナンノナンノ、この「South Shields Museum & Art Gallery」、なかなかに面白い
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やはり見どころはこの街が生んだ世界的な作家、キャサリン・クックソン(Catherine Cookson)に関する資料であろう。前回もちょっと触れたが、知ってる?キャサリン・クックソン。私は学校が文学部(半分は軽音楽部)で英米文学を専攻していたが、クックソンの名前は聞いたことがなかった。はいはい、もちろん勉強していなかったからなんですよ。ああ、これは本当に後悔しています。ホント、ギターなんか弾いてないでもっと勉強しとけばヨカッタ!

写真はクックソンにまつわるアイテムの展示だ。

Catherine Cookson DBE (DBEはDame Commander of the Most Excellent Ordwr of British Empireの略。OBEやMBEより上位の勲章)は1906年、ここサウス・シールズの生まれ。ナント、イギリスでもっともその作品が読まれている作家である。驚いたことに、作品が世界で1億部以上売れた作家の中に堂々とランクインしている。

だから昨日のThe Steamboatというパブの壁にもあんなプラークが付いてたワケ。

この前々日、スティーヴの家にお邪魔した時に、サウス・シールズ出身の有名人の話題になり、奥さんから「キャサリン・クックソンはご存知でしょ?」と尋ねられ、「いいえ」と答えた時に大層驚かれたっけ…。

このランク、1位はシェイクスピアとアガサ・クリスティで、日本からは赤川次郎、西村京太郎、司馬遼太郎、吉川英治、内田康夫、森村誠一の名が挙がっている。ランクインした作家の国籍をツラっと眺めると圧倒的にアメリカとイギリスが多いが、6/100だとしたら、日本もなかなかのもの。これは取りも直さず、日本国民が読書家であることを物語っていると思う。ま、これからは知らんよ…。

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これはクックソンが過ごした時代のサウス・シールズの一般的な住居を再現したもの。世界に並み居るベストセラー作家の中でもクックソンはもっとも貧しい家庭の出だったらしい。

そしてクックソンの著作の数々はこのサウス・シールズをはじめとしたタイン川南岸の街が舞台となっている。
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キッチンのようす。テーブルの向こうに立っている女の子がクックソンだ。この展示にはクックソンが実際に読み上げた当時の暮らしぶりのナレーションが流れている。

クックソンは訛りや方言が大変キツかったという。スティーヴの説明によれば、この地方の昔の方言で「my」を「me」と言っていたらしいが、クックソンはそういった変則的な表現をそのまま作品に用い自己表現した。

後期はクックソンが頭に浮かぶ創作を旦那さんが筆記していく形を取ったが、その創作のアイデアはまったく枯れることがなかったらしい。

当然、読みたくなりますよ。こんな話しを聞けば…。

この晩、さっそくインターネットでクックソンの翻訳作品を探してみた。ないのよ。見つからないの。これ、まったく日本に入って来てないんじゃないのかしらん?原文では読みたくないな…。国立国会図書館でも行ってみるか?
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こちらは昔グッズの展示コーナー。この透明のヤツなんだろう?スティーヴも見たことないって。絵を見るとお母さんが赤ちゃんに何かを与えてる。哺乳ビンでもないし…。「Feeder」って書いてある。離乳食でも与えるものかな?
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Jarrow Crusade(Jarrow March)。1936年、失業と極度の貧困の改善を訴え207人の労働者がサウス・シールズ近隣のジャロウという街からロンドンに向けて480kmにも及ぶ抗議デモを敢行した。何も希望はかなえられず、帰りの電車賃として参加者に1ポンドが与えられただけだったという。
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館内の売店と食堂。こんな売り子さんがこんな可愛い格好をしている。同じ格好をしたもうひとりの係はバアさんだった。
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19世紀につくられたステンドグラス。
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昔なつかしグッズ。イギリス版「三丁目の夕日」か。

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とまあ、ここに載せなかった展示も多数あり、この博物館は面白かった。もちろん無料!

外へ出ると雨は一応上がっていた。が、数分もすればまた降って来るだろう。

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後にスティーヴから面白い情報をもらった。

この博物館の前の通りは、いわばサウス・シールズのハイ・ストリート、つまり一番の繁華街だ。この旧役場から…

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このまま進めばサウス・シールズの地下鉄の駅だ。

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以前にもお見せしたこの通り。比較的何でもあるよ…なんてテキストを付した。ないのは人通りだけだ。何せ人がいない!
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それが…だ。この動画を見て欲しい。これは上の写真の通りの60年前のようすだ。街は造船と炭鉱で隆盛を極め、人であふれかえっている。以前の回で、得もいわれぬ斜陽感よいうか寂寥感に覆われている…と書いたが、まさかこれほどだったとは!自分も歩いた場所だけに大きなショックを受けた…。浅草と同じか…。

もう、今日ロンドンへ向かう必要はなくなったので、街をゆっくりと見て歩こう!それにしてもこの天気。

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ここはインド人の住居区。
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次にスティーヴが連れて行ってくれたのはココ。
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Arbeiaという紀元120年ごろローマ人によってつくられた砦。上はレプリカ。
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1870年代に発掘が開始され、1970年代には上に立っていた現代の建物をすべて取っ払っちゃったそうだ。

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博物館も併設されている。これらはすべて街で運営されている。

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これがArbeiaのしおり。
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風は強いし、もう激寒なんだけど、海岸へまわってみる。

ヨークを離れた後、毎日が悪天候でスティーヴと何回も天気の話しをした。何度も書くが、雨だけでなく、風も強く寒くてタマらないのだ。

「スティーヴ、イギリスが日本よりはるかに寒いことは知っているし、5~6月にイギリスに来たことは何回もあるんだけどサ…いつもこんなだっけ?」…と訊くと初めのうちは、

「イヤ、こんなもんだよ。典型的なイギリスの天気さ」と言っていた。

それが2日目になって同じ質門をして、「スティーヴ、これさ、日本では『冬』っていうんだよ」と付け加えるとスティーヴは、

「ガハハハ、日本の冬はこんなにあたたかいのかい?イギリスの冬はこんなもんじゃないさ!」とドヤ顔で答えていた。

そして、三日目、やはり天候が悪くメチャクチャ寒い。朝、会うなりスティーヴがこう言った…

「シゲ、これはイギリスでも『冬』だわ!」って。

それほど寒かったんですよ。
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あ~、晴れていればキレイだったろうにナァ~。
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これは公園の鉄柵の跡。以前はとても美しい鉄柵が施されていたが、第二次世界大戦の時に片っ端から切り取られ、軍に供出させられたのだそうだ。スティーヴが言うには、そんな時でもロンドンの街にあった鉄柵には手を付けなかったらしい。
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これ全部インド料理店!
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これがスティーヴおすすめのイギリスで一番おいしいフィッシュ&チップス屋さん。Colman'sという。
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やはりイギリスに行けばナンダカンダ言ってたいてい1回は口にするフィッシュ&チップス。はじめて食べたのはトッテナム・コート・ロードのお店だった。そこはもうないというか、有名なライブハウスThe Astoriaも含めて、その一角ごと再開発工事で何にもなくなっちゃった。その店は色んなシーフードをフライにしていたが、もの珍しさもあっておいしかったのを覚えている。やはりフィッシュ&チップスといったら、やっぱり鱈だね。Cod。

それ以来、色々な所で何回も食べてきたけど、デカすぎてちょっと飽きちゃうんだよね、味も塩か酢じゃん?カレーソースなんて付いているところもあるけど、ま、私はいつもフィッシュに酢、イモには塩なのね。最初は揚げたてのアツアツでおいしいことこの上ないんだけど、味が単調すぎて最後まで食べきれない時もある。ポテト・フライ(Chips)はどこで食べてもおいしいナァ。ただし、これも飽きるまではの話し!
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これがColman'sのフィッシュ&チップス。「ウワ~、見ただけで胃がモタれる~」なんて言うべからず。まずは食べてもらいたい。

店内の写真をパチパチ撮れればよかったんだけど、そんな雰囲気でもないので我慢!ウェイトレスがブルーのユニフォームに身を包みテキパキと店内を動き回る、みんな髪の毛をポニーテールに結ってあって、愛想もよくとても可愛い!また、店内には来店した有名人の写真がビッシリ飾ってあるんだけど、写真に写っている人物は、日本のラーメン屋で見かけるような漫才師とか漫画家とかではなくて、各国の政府の要人とかなの。ま、私としてはロバート・フリップとかピーター・ハミルあたりが移っていればメッチャ面白いとは思いますけどね。

昼時をとっくに過ぎているのに、とにかく店内は超満員!家族づれも多い。そして、目につくのは70歳は軽く超えているであろうお年寄りのお客さんの姿だ。こんな脂っこいものを食べられるのかいな?と実に興味がわく。
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それがですよ、この巨大な揚げ物、実にサッパリしているのだ。ぺロですよ。ペロッといけちゃう!これならお年寄りでもイケちゃうワケだわ!サラダは普通だった。

マジでうまい!今まで食べたフィッシュ&チップスの中では格が違うほどにウマイ!あんまりうまいから箸袋(実際にはフォークが入ってる)持って帰って来ちゃったよ!

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この料理、素材と油が新鮮でありさえすれば誰でもおいしく作れちゃうと思うでしょ。もちろんそれもあるけど、腕なんだって!揚げるコックさんのテクひとつでうまくもマズくもなっちゃうそうです。恐るべし、フィッシュ&チップス!

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あ~、おいしかった!今回の旅はいつになく「ウマイもの率」が高いぞ!
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サウス・マリン・パーク。さっきの鉄柵が切り取られていたのはノース・マリン・パークだ。ここサウス・シールズも他のイギリスの街と同じく公園が豊富だ。
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これは救命艇のレプリカ。先の博物館にも模型が飾ってあるのだが、救命ボートというのはサウス・シールズが発祥の地なのだ!
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メチャクチャ美しい園内。
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園内にはミニ蒸気機関車(これもイギリスが発祥だ)やちょっとしたアトラクションがあって、土曜日だけに子供連れの家族でにぎやかだった。こんな天気なのに…。それにしてもキレイな公園だ。
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浜辺へ出ててみる。Sandheavenというところ。「お砂天国」か…。いちいち名前がまたいいんだよな~!
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これも晴れてりゃきれいな写真になったろうにナァ。まだ6月のはじめだゼ!これじゃ晩秋だよ晩秋!よくて夏の終わり…。ああ、楽しげな声でにぎやかだった浜辺も、もう今では打ちては返す波の音だけ…ってまだ夏来てねーんだよ!

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この海は北海ね。海を渡ればスウェーデン!太平洋と日本海に囲まれて暮らしている我々にとっては、こういうことがすごく新鮮だ。

以前赴いた宮古島の展望台から見下ろした海が東シナ海と知って興奮したもんだ。
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このエリアの向かいにはバンガローがゾロリと並んでいて、真夏にはこの辺りは避暑やら海水浴やらでゴッタ返す。この円形劇場もそういう時に解放されコンサートが開かれる。スティーヴも出演したことがあるそうだ。
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イヤ~、途中でトイレ行きたくなっちゃってサ!シンドかった~!浜辺からこのタウン・ホール(Town Hall : Steve-san, thanks for your correction!)の近くにあるスティーヴの事務所まで死ぬ気で早歩きした!
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像はビクトリア女王。女王は在位が63年7カ月と歴代イギリス国王の中で最長である。それを祭った像なのだが、ご存知の通りエリザべスII世が在位60周年を迎えた。さあ、記録を塗り替えることができるか?!明日はいよいよその在位60周年のお祝いムードで沸きかえるロンドンへ向かう。
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スティーヴはこの後、親切にもまた夕食に誘ってくれたが、週末まで付き合わせてしまっては申し訳ないので、丁重にお断りした。それに、そろそろ洗濯もしないとね!でも洗剤買って来なきゃ!

ということでスティーヴと分かれて一旦B&Bに戻る。まだ時間が早かったので、しばらく休んでから、洗剤を買いにまたひとりで街へ繰り出してみた。

もう駅までの道はわかってる。でも間違えちゃった!初めそれを知らずにひたすら歩いていたらChichesterという駅に出くわした。こりゃ完全にヤバイかな?と思ったうえにトイレに行きたくなってきた。寒くて冷えちゃうんですよ!

こりゃ我慢できそうにないぞ!と危機を感じながらもうちょっと進むとKFCが見えてきた。コレ確かスティーブが「ケンタッキーが食べたかったらここにあるよ」とか言っていたことを思い出し、ロケーションが完全に理解できた。

が、トイレはどうにもならない!KFCのとなりのスーパーに入るがトイレがない!仕方ないのでチキンのひとつも買う覚悟でKFCに入る。でもうまい具合にカウンターからトイレが死角になっていたのでシレっと用を済まして出てきちゃった!

シゲさんぽを続ける。昨日スティーブと歩いていて発見して気になっていたレコード屋に入ってみた。するといきなり店主がスゴイ勢いで自己紹介してきた。「オレはスチュアート!君は?どっから来た?何しに来たんだい?どこにいるんだい?」と質問攻め!

「こりゃ何か買わないと帰れない」のパターンか?…と、ビビっていると、「何か探しているのはあるのか?」ときた。ホラ、おいでなすった!…こういう時は絶対に見つからないレア盤を告げるに限る…ということはわかっているので「Zappa in New Yorkのイギリスオリジナルプレス」と言うと猛然と探し出した。

奥さんまで「ざっぱ~、ざっぱ~」と探し出す始末!もちろん超レア盤なので見つかるワケはないのだが、今度は「お茶飲んでいけ」と執拗にすすめてくれる。「イエイエ、結構ですよ!」と断ると「ナニ?本当にお茶を飲んでいかなくていいのか?!」とこの世の終わりが近づいたぐらいの驚きようだ。奥さんも「飲んでいきなさいよ~」なんてすすめてくれる。

実に感じのいい夫婦で嫌な感じはまったくないのだが、疲れているし、ちょっと面倒なので最後まで断ると、「ザッパの他、何か探しているものはないか?キング・クリムゾンはどうだ?」とナゼかキング・クリムゾンをすすめてきた。「イエイエ、全部持ってますから…」と答えてしばしクリムゾン談義となった。それにしてもレコード屋さんに来てお茶をすすめられたのは生まれて初めてだったぜ。

「サウスシールズが気に入った!」と私が言うとスチュアートは「静かで美しく、人々もフレンドリーないい街だよ」というので「あなたみたいにね!」と言い返した。すると初対面にもかかわらず、ものすごく喜んでキツく私をハグハグした後、名刺を渡してくれた。またこの街にくる機会があったら真っ先にスチュアートに会いに行くことにしよう!

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夜は節約も兼ねてGREGGSのパスティを2つ。ビールで流し込んで終了。洗濯ものも部屋のスチームに引っかけておいたら案外乾いてるわい。

これでサウス・シールズともさよならか…楽しかったな。

つづく

イギリス紀行2012 その13~サウス・シールズ2

2012年7月23日 初出

サウス・シールズの駅周辺からサラッと街を見て歩いた後、スティーヴに今日の宿に送ってもらった。ここはWestoe(ウエストウ)というエリア。スティーヴの家まで歩いてすぐのところ。

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緑に囲まれたいかにも高級住宅街といった風情だ。こんなゴージャスな家も…。
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なんとも美しいエリアだ。

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今日のお宿はこの赤いドアのB&B。
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前々日に泊まったB&Bが満室だったのでスティーヴに探してもらいここに決めたのだった。

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この建物の場所は、ウィリアム・フォックス卿の生地だという。やっぱ高級住宅街って感じしたもんね。ウィリアム・フォックス卿はまだニュージーランドがイギリスの植民地だった時代1856年に2代目の総理大臣となり、1873年までの間に4回も同職を務めた人。イギリスからの独立を推進し、ニュージーランド大学の創設者でもあったそうな。

「Birthplace」とあるところを見ると、もう建物はオリジナルではないのだろう。しかし、中はものすごい広さで、リフォームも行き届いていた。

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さすが「フォックスさん」というだけあってノッカーもキツネ。到着時、ドアにはカギがかかっており、他に呼び鈴がなかったのでこのノッカーを使ってみた。やっぱりコンコンいってたね。
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スティーヴも付いて来てくれて中に入る。デカいホテルとは異なり、チェックインは簡単だ。出てきてくれた人がまた江戸っ子みたいなチャキチャキな人。その彼女がチラチラとスティーヴの方を盗み見る。お、スティーヴ、モテるのか?と思った矢先、彼女が「I think I know you!」ともう我慢しきれなくなった風情でスティーヴに話しかけた。

スティーヴはわからないようす。彼女が友人の名前を言ったり、昔の出来事を口にしたりしているウチに彼も何やら思いだしてきて「オー!」と大騒ぎ。もう40年ぐらい会っていない昔の知り合いだったのだ。ま、こう言っちゃなんだけど、頭髪やら下腹部やら、40年前の姿とはおそらく似ても似つかないスティーヴをよく識別できたものだ。スティーヴもかなり驚いていた。もっとも、スティーヴの家はここの目と鼻の先だから、いままで会わない方が変かもしれないんだけどね…。

今日のお部屋。ベッドだけで部屋は満杯だが、シャワーもトイレも完備していて快適。それだけにおとといのAnnie'sよりはチョイと高め。

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ロッカーに机、これで充分!
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部屋から見た外のようす。
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チョット休んでスティーヴと夕食を摂りに出かける。

表通りで見つけた掲示板、「Famous Villagers」としてWestoe Villageが輩出した有名人・文化人を説明している。

どれどれ…まずはさっきのSir. William Fox当然ですな。

Robert Ingham、最初のサウス・シールズ出身の英国会議員。このあたりではおなじみらしい「Ingham Infirmary」という病院はこの人にちなんで名づけられた。次、J.C. Stevenson。彼はInghamの後をついで議員を務め、地元の新聞を創刊した。他にElinor Brent-Dyerという作家、Dame Flora Robsonという女優、Miss Flaggというこの村とサウス・シールズの地史の編纂に取り組んだ歴史家など。残念ながら、日本人でよく知られているという人はいませんでした~。

どういう形にしても、こうして誰の目にもつくように歴史情報を残しておくというのは大変にいいことだと思いますね。最近はよく東京でも「街の旧名とその由来」を記した案内板を見かけることがあるけど、そんなのするぐらいなら、まず町名を変えるんじゃない!役所のやる改名は改悪に他ならないのだから!それでも、地元の情報はどんどん知らしめるといい。住人の愛情が増すし、もしかしたら観光に役立つかもしれない。「昭和●●年ごろ、ここに林家彦六(正蔵)が住んでいました」とかさ。

そして、このエリアの昔の写真が掲載されている。昔といっても100年チョット前ぐらい。これを含めて、実はイギリスの昔の街の写真ってあんまりおもしろくない。東京なんかだと、「エ~、これが渋谷~?」とか「日本橋ってこんなだったの?!」なんてことになるが、イギリスの場合、こうならない。何しろ100年ぐらいだと、街がまったく変わっていないのだ!100年前にそこにあった建物は今でもそこにあるのがごくごく普通だ。

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Westoe Roadをズンズン下るとCity Hall(市役所)にあたる。
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どこの町でもそうだが、イギリスのGuild HallとかCity Hallと呼ばれる官舎は例外なく古く威厳がある。左の道を進んで丘を越えるとすぐに海だ。
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このまま進むとサウス・シールズ駅。

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歯医者さんの看板。「新しい患者さん受け付けてま~す!」ってゴメンだぜ!

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その歯医者さんのとなりがコレ。そうTHE RAJ。例のインド料理屋だ。結局また来ちゃったので~す!だっておいしーんだもーん!今日もバカうまカレーいただくぜ!
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店内のようす。今日は金曜日とあってか、この後ジャンジャンお客さんが入ってきた。前回より辛いヤツ食べよーっと!
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これで9時ぐらいかな?さあ、ダウンタウンへ繰り出そう!…といってもダウンしかないけど…。
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このあたりはまだ静か…。
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酔っ払った若者の集団。私のカメラを見て「撮ってくれ~!撮ってくれ~」って大騒ぎ!

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こんなヤツも!「撮ってくれ~!」って大声で叫んでる!」バカでしょ~!
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今日は金曜日。ウィークデイの夜は猫の子1匹歩いていない街も金曜日と土曜日にはどこから集まってくるのか、やたらにぎやかになる。普段はおとなしくつつましやかな晩御飯を家で食べてすごし、金&土曜日の晩には外食をし、パブで友達と語らって日頃のウサをはらす。そして、日曜日はまた始まる忙しい1週間に備えてゆうくりと家族と過ごして体を休めるのだ。
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そして、驚くのは音楽の在り方だ。こんな小さな街でも金曜日と土曜日の晩にはどこのパブにもバンドが入りみんなでバンドといっしょに騒ぎまくる。そこで奏でられる音楽はイギリス人なら誰でも知っている、彼が誇りとする栄光のブリティッシュ・ロック。つまり彼ら作った彼らの音楽だ!いいナァ~。

私もスティーヴに連れられて一軒お邪魔させてバンドの連中とも少し話しをしてきた。この様子は『イギリス・ロック名所めぐり』で…ね!
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そして、ライブのパブへ行った後、もうイッパイ行こう!ということでWhetherspoonのお店でGuinessを飲んだ。驚くほど安いのよ!ああ、今日一日で何杯ビール飲んだかな…?もうお腹タプタプだ~!
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まだまだつづく

 

イギリス紀行2012 その12~サウス・シールズ

2012年7月19日 初出

ただいま~!帰ってきたよサウス・シールズ…って誰もいねぇ~!駅前通りなのよ、コレ!ま、空いてていいか!

左を見てください。Poundland。1ポンドショップね。Poundworldなんてのもある。今の為替レートだと130円均一ショップぐらいになるけど、おそらく日本のそれより割安だと思う。例えば固形石鹸(コレ好きなの)だと3ヶで£1とか…。エ、特段安くない?

その向こう隣は例のツーリストのお伴、WH Sminthね。

右はスティーヴの好物のソーセージサンドでおなじみのDicksons。他にGREGSもKFCもマックも何でもアリよ。

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どうでもいいけど、今頃晴れてきやがって…。夕方になるとこうだ。どうせ夕方晴れなきゃいけないなら朝から晴れやがれ!
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これは旧市庁舎。1941年の大空襲にも耐え抜いた。建設は1768年!1910年に現在の市庁舎ができるまで使用された。1977年にレストアされた。

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旧市庁舎から隣接するマーケット・プレイスを見下ろす。マーケット・プレイスというのはちょっとした街なら大抵持っている。今日は見る影もないが、週末にはここも賑わいを見せるハズだ。

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同じく旧市庁舎の階上から駅方面を見通す。これで6時ぐらいかな?

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やはり古い教会がある。
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ここサウス・シールズはタイン川の河口に位置する港町。すなわちニューキャッスルの河口を意味し、タイン川流域ではニューキャッスルに次いで2番目に大きい街だ。昔は造船と炭鉱で栄えた街であることは以前の回の中で述べたが、現在の人口は約83,000人。完全にニューキャッスルのベッドタウンと化している。

また、タイン川の南岸はSouth Tynesideと呼ばれており、対岸は当然North Tyneside。面積が広い分人口はNorthの方が多いが、Southの方が街としては断然魅力的のようだ。

このSouth Shieldsをホームタウンとしている著名人として人気映画監督のリドリー・スコット(Ridleu Scott)やナント!モンティ・パイソンのエリック・アイドル(Eric Idle)がいるのだ!それと元アニマルズ(The Animals)のギタリスト、我がよき友、スティーヴ・ドーソン(Steve Dawson)がいる!

イギリスに関するあまたのガイドブックのページを繰っても、おそらくサウス・シールズをそこに発見することはできないであろう。しかし、どこへ行っても長い歴史が転がっているこの国はそこに住む人々の普通の暮らしを見るだけでも存分に面白い。

古代ローマ人が外敵から守るために入植したこの街も例外ではなく、また、現地の方々の人なつっこさも大きな魅力と言えよう。
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これは1863~1864年にかけて建てられたという旧税関ビル。1865年にサウス・シールズは独立した貿易港となった。

ビルの後方部は大幅にリフォームされ、イベントができるホールとなっている。

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「マウントバッテン」…イギリス貴族というとこの名前が何となく頭に浮かんでくるのはナゼだろう。マウントバッテン…実に愉快な音列だ。マウントバッテン…実に仰々しいおなめではあるまいか…マウントバッテン。ん~貴族らしい!

で、この面白いお名前の初代ルイス・マウントバッテン伯爵は第二次世界大戦の戦功が評価され「ビルマのマウントバッテン」と呼ばれた。(会ったことないけど)ドイツのバッテンベルグ家の出身でヴィクトリア女王のヒマゴだってーんだから相当高い地位の人。

これは旧税関ビルにあった銅像。いかにも何かものすごい武勇伝がありそう!というのはこのサウス・シールズは世界で最初に救命ボートを発案し製作された街でもあるのだから。

この銅像は第二次世界大戦中にここサウス・シールズから出港して命を落とした数千人の商人を祀ったもの。1990年に先に述べたマウントバッテン伯爵夫人によって除幕された。

商人か…戦火をものともせず商売にチャレンジしたとは…戦時下特有の莫大な儲け話があったんだろうな…。
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今では客船が出入しての~んびりしているが、最盛期は、それはそれはにぎやかな港だったんだろうな~。
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夜の7時ぐらいかな?仕事の後の楽しみ?サッカーに興じる若者たち。
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さびれてていい感じでしょ?
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この石畳が港町らしくて素敵なのだ。
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これはなんと魅力的なパブ!え~、ここでイッパイやってくの?! ッシャー!
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入り口にプラークがかかってる。「Catherine Cookson COUNTRY」とある。「作家のキャサリン・クックソンはこのあたりを題材に『Colour Blind』を著しました」…ハイ、今、これを読んでいらっしゃる方でどれだけ「キャサリン・クックソン」の名前をご存知でしょう?私は知らなかった。恥ずかしながら大学では英米文学を専攻していたが、まったく聞いたことがない。クックソンについては次回もっと詳しくやります。
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もう外観だけでメロメロになっちゃうね。名前もいいね!「The Steamboat」港町らしい!
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さぁさ、今日3杯目のエール、エール!とエール(ale)にエール(yell)を送る。
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内装が予想通り素晴らしいときてる。しっかし、パブの中ってどこで撮ってもキンクスの『マスウェル・ヒルビリーズ』みたいになるね。
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鏡の上にズラリと飾ってあるのはエールの銘板。あれをビールサーバーにくっつけて、何の銘柄が入っているを示す。
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今日はこの4種類。

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まずはSPITFIREというヤツを………ん~、濃くも薄くもない。いいお味。これと遠くイングランド最北地から民生さんに敬意を表してUNICORNというのをいただいた。

そういえば、たいてい2杯ぐらいは飲んじゃうでしょ?ま、滅多に「同じの!」とはならずにほかのを試したくなるのが人情ってもんですよ。で、1杯目とは違う銘柄を頼む。すると必ず、その銘柄のロゴが入ったグラスにエールを入れてくれるの。日本みたいにキリンのコップにアサヒが入るなんてことはマズない。

あんまりジロジロとカウンターや店内を観察しているもんだから、お店のお姉さんが「こっちへ入ってきて写真撮ったら?!」なんて言ってくれた。当然、中に入らせてもらい、サーバーのシャフトを握っったところをスティーヴに撮影してもらった!うれしいなったらうれしいな!

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ドデカいイングランドの国旗を掲げているのはライブをやってるパブ。クラブか。その手前のグリーンの看板の店は楽器屋さんだったけど今はクローズ。
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ここもよさそうだナァ~。
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港町らしく倉庫がズラリと並んでいるが、もうその機能は果たしていない。これは木工のDIYのお店。
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サウス・シールズの産業が壁に描いてある。造船、鉄鋼、石炭産業がメインだ。しかし、今はもうここには何の産業も存在していない…。

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つづく

イギリス紀行2012 その11~ニューキャッスル2

2012年7月17日 初出

前回はタイン川にかかる名橋を紹介した。橋といえば藤沢周平の『橋ものがたり』を思い出す。井上ひさしがそれを読んで思わず「やられた!」と悔しがったらしい名短編集だ。その藤沢作品に出てくる橋は、大川(隅田川)にかかる木の橋で。勇猛とさえ思えるあの屈強なニューキャッスルの橋梁とは似ても似つかないものだ。それだからこそロマンが生まれるんだね。ロンドンのウォータールー橋も例の有名なロマンがあるね(後日ゲストを迎えてドラマチックに紹介します!)。橋は素晴らしい。信州の大岡村というところ(今は長野市に繰り入れられた)に朝治橋(あさじばし)という小さいながらも味わい深い(何の味わいだ?)橋がある。お近くにお寄りの際には、遭難に注意して是非探してみてください。

ちなみに、現在隅田川にかかる橋の一部は本来は軍艦になる予定だったのをご存知だろうか?

海外に行く時は、スーツケースを閉じる前にきっとポコッと入れてしまう藤沢作品。ああ、日本人でよかった…。

橋以外にもニューキャッスルの街並みはとても魅力的だ。

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市自体の人口は30万人だが、周辺のサンダーランド(Sunderland)やゲイツヘッド(Gateshead)などを含めると100万人のイングランド北部最大の都市になる。それだけに見ごたえのある建物が多い。

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ニューキャッスル一番の繁華街、グレイ・ストリート(Grey Street)。GREGGSもあるし、「ツーリストのお伴」のWH Smithも並んでいる。WH Smithというのはイギリス中どこへ行っても見かける本屋さん。大きな駅にはバカデカい店舗を構えていて、電車に乗る前にみんな本やら水やらちょっとしたお菓子を買い込んだりしている。だから「ツーリストのお伴」。私はWHSmithで『Classic Rock』という雑誌を買うのが大好きなの。今回は好きでないグループの特集だったので買わなかったけど…。

こうして当然街中にも出店している。ちょっと調べてみるとこれがスゴイ。1792年の創立で世界初のチェーンストアで、今、書籍販売業では不可欠の分類システムISBNの元、SBN(Standard Book Numbering)というものを開発したっだってさ~。

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Fenwickは1882年開業の老舗デパート。ロンドン、レスター、ヨーク、カンタベリーなどにも店舗を構えるが、ここニューキャッスルのお店が第1号だ。クリスマス・シーズンのウインドウ・ディスプレイが有名なのだそうだ。
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グレイ・ストリートを進む。しゃれた建物があちこちに確認できる。
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お、アーケードが出てきた。イギリスの「アーケード」は新小岩あたりの日本の駅前のそれとは著しく異なり、おしゃれでクラシカルで豪華なものばかりだ…ということで、さっそく入り込んでみる。
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こりゃ何やらスゴそうだ…。
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ドワ~!なんじゃこりゃ~!美しい!これがアーケードだからね~。

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1906年、 エドワード期に作られたもの。どんな事情があるのか知らんけど、こうした建築物を「これでもか!」とゴテゴテ装飾するこの感覚は我々にはないものだ。

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左側は楽器屋さん。クラシック系のポッシュなお店。

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天井から自然光が入ってきて、実際にコレ見るとあまりの壮麗さに腰抜かすよ!

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グレイ・ストリートの終点だか、起点だか…にある1838年つくられた高さ40mのモニュメント。先っちょに乗っかっているのは「グレイ伯爵」の彫像。だからグレイ・ストリートなのね?作者はロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン提督も手がけたエドワード・ホッジス・ベイリー(Edward Hodges Baily)とかいう人。 このモニュメントも「勝手に壊しちゃいけない建造物リスト(Listed Building)」の一番上のヤツ(Grade 1)。
以上はどうでもよかったりして。さて、このグレイ伯爵、英語でいうとEarl Grey。アール・グレイ!そう、紅茶だったんですよ、このお方!イギリスで飲む紅茶はおいしい。

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土曜日でマーケットも開かれエラクにぎやか!
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スティーヴに連れられて歩いていると、奇妙なものを発見。「ユー・ヌードル」っていうのかな?「U」は「湯」にひっかけてる。だからメニューには「麺湯」なんて書いてある。

みなさんマチマチだろうけど、海外に来て一番恋しくなる食べ物は何だろう?私の場合何と言っても麺類だ。海外でもスパゲティのようなものはあるが、チト違う。満足できない。どんなに好きなイギリスでも、イギリスのスパゲティは許せん!

で、ある時、「麺類が恋しい」というのは「ダシが恋しい」ということに他ならないことに気付いた。それも魚系、つまり、カツオダシとか昆布ダシとか。こういうものに飢えてしまうんだよね。ラーメンも含めてね。我々ってダシと生きてることを実感するワケ、海外に出ると。

さて、それで何年か前にブライトンに行った時に思いついてしまったのですよ。思わず叫んだ「フォー!」って。タイ・レストランの存在に気がついたの。タイ・レストランは比較的どこにでもあって、ダシのきいたスープに入った麺にありつける。この際、麺が小麦でできていようと米でできていようと問題にならない。とにかく重要なのはダシだし!

でも気を付けなければいけないのはスープに浸かった麺をおいていない店が結構あるの。甘いんだか辛いんだかわからない焼きそばみたいなヤツね。そういう時は、レッドだのグリーンだののカレー系に逃げる。

今、ロンドン・オリンピックに関する番組をしょっちゅうテレビで目にするが、日本人が現地で合宿をするところがLoughburgh(ラフバラ)と いうロンドンから1時間ぐらいのところ。そこで、日本の選手に心行くまで練習に専念してもらおうと様々な工夫が凝らされている…という番組を観た。

部屋の中で靴をはく習慣を持たない我々のためにスリッパを用意てくれたり、お茶や紅茶のサービスに加えて、インスタントみそ汁が用意されているらしい。我々、お茶や紅茶と同じようにみそ汁は飲まないんですけどネェ…。

また、コックさんは日本人のテイストを学ぶために日本へ留学したとか…。そこでそのコックさんが発見したのは、「日本人の食事に絶対に欠かせないのは米とだし」ということだったらしい。ね~?!

さて、今目の前にあるのは間違いなくスープ・ヌードルの店。昼の時間にはまだちょっと早いけど食べちゃおうかな…ダシ。と考えているとスティーヴが「食べたいのか?」と訊いてくる。ここは素直にYESと行こうではないか!どうせウマくはないだろうけど、熱いスープに入った麺が食べたいんだよ~!って。

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ま、この「麺湯」の表示からしてここはラーメン屋さんだと思うよね。ところが、入ってみるとさにあらず。入ってみると予想以上に複雑な状況になってることを知る。

下のメニューを見ると「1、2、3」とあるでしょ?このシステムは、まず「1」で麺の種類を選ぶ。選択肢は「ワンタン(麺じゃねー!)」、「ラーメン」、そしてなぜか「うどん」。

「2」はスープの味だね。一番辛いの(ホット)が「バンコク」。赤唐辛子、レモングラス、バジル、エシャロット…もうこの時点で完全にラーメンじゃねー!

ミディアムが「サイゴン」。ミント、クローヴ、ニンニク、トウガラシ(これがどうしてか「Tougarashi」という表記になってる)、またエシャロット。もうラーメンとは絶対いわせねー!

「ジャカルタ」もミディアム。これはココナッツ、コリアンダー(うわっ!パクチー!)、チリにライム・ジュース…てこれは罰ゲームなのか?

最後がマイルドなヤツで「トーキョー」。これはシーウィード(直訳すれば「海藻」だけど、昆布のことでしょう)、長ネギ、大豆。

そして、「3」は具ね。「ビーフ」はフクロ茸と長ネギ添え。「チキン」はモヤシ(海外のモヤシって絶対細いと思う)、コーン、長ネギといっしょ。「ポーク」はモヤシ、長ネギ、赤唐辛子との組み合わせ。最後に「野菜」。ニンジン、ブロッコリー、ベビーコーン、大豆。

さあ、あなたならどうする!

以前にも書いたように、食に冒険をしない私のチョイスはなるべくうどんかラーメンに近づけようとした。でもラーメン食べたいな…ってんで、「ラーメン」に「トーキョー」、定石通りに「チキン」でやってみた。これがオーダーする時になかなかに恥ずかしい…。「ラ、ラーメン、ト、トキオ、アンド、チッキン」となる。

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出てきたのがコレ。まず容器が紙ですよ。カマボコみたいなものも入ってる。麺は「マルちゃん正麺」みたいな…。なんか必要以上にモチモチしてるなぁ。スープの味はね、完全に味の素。グルタミン酸のかたまりのような…。

でもね、おいしいの。これは絶対に「海の家効果」ってヤツでね。海の家とかスキー場の食堂で食べるラーメンと同じ。特にこの日は寒かったので、熱くて身体があったまって…涙が出るほどおいしいの。ま、この店、荻窪あたりのラーメン激戦区にあったら3日目には潰れてるね。でもイングランド北部にあってはおいしいの!

ロンドンのオックスフォード・ストリートにも麺類の店があったけど、あれはズイマの極致だったナァ~(もう潰れてた)。それに比べれば味がついているだけ全然マシ。チェーン店かと思ったらまだミューキャッスルだけなんだって!ニューキャッスルに行ったら寄ってみて!でも、昨日東京でラーメン食べて来たばっかりっていう人はダメよ!

スティーヴはどうしていたかというと、お店の人に許可を取って何もオーダーせずに私が麺をすするのをニコニコしながら見てた。「ホントはさ、音を立てて食べたいんだよ!」と言うと彼は「やって、やって!」と言う。でも、「郷に入れば郷にしたがえ」にしたがって来ました。量は見た目以上に入ってます。
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スティーヴがなぜヌードルを食べなかったかというと…コレ。ディクソンズ(Dicksons)という肉屋さん。ここでソーセージ・サンドってのを売っていて、スティーヴの好物なの。

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それがコレ。スティーヴがあんまりおいしそうに食べるんでジッと見てたら「試してみる?」とソーセージを少し分けてくれた。思わず「コレ魚肉?」と訊いてしまった!ごめんねスティーヴ…。ポークだよね~!これで£2(300円弱)。どう?おいしそう?
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クラッシックな映画館。
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古い城壁が突然現れたりする。
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教会もアチコチに…。
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ここはグレンジャー・マーケット(Grainger Market)。ここも「勝手に壊しちゃいけない建造物リスト(Listed Building)」の一番上のヤツ(Grade 1)。設計したのはニューキャッスル駅を手掛けたジョン・ドブソン(John Dobson)。1835年のオープン。

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元々の設計はマーケットをふたつのパートに分け、東側を肉屋、西側を八百屋に区別したそうだ。なるほど、ある個所にはズラリと肉屋が並んでいた。それも本当に肉、肉、肉の肉の塊で、肉食人種の肉食の迫力を見た気がしたね。

これはどう?おいしそう?
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こっちは野菜の部。ズラリと八百屋と果物屋が並ぶ。

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ここは「Weigh House(ウェイ・ハウス)」という計量所。昔は肉も野菜もここで重量を計測し、値段を決めていた。今は看板はただの飾りで、普通の事務所として使われている。
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イギリスの街を歩けばたいてい出くわすのがMarks & Spencer(マークス&スペンサー)というスーパーというか、デパートというか…日本でいえばダイエーかイトーヨーカドーというところ…に出くわす。ロンドンに本社があるこのチェーンストアは700店以上を国内に、400店近くを40ヶ国に出店している。1884年にリーズで設立された。どこも立派な店構え(ビル)で、ここニューキャッスルにもバカデカい店がある。

そして、この巨大チェーンストアの中で一番小さいと言われているお店がこのグレンジャー・マーケットにある。それがコレ。マークス&スペンサー自体を知らない人にはピンとこないだろうが、これはかなりヘン。思わず同名異店かと思わざるを得ない。

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こんな可愛いお店も…。また向こうの小さい娘はこういう格好がバッチリなんだよね~。本当に人形みたいに可愛くなっちゃう。
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ニューキャッスルにはまだスゴイものがある。写真左上に赤い「E」のロゴが見えるでしょ?

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それがEldon Square Shopping Centre(エルドン・スクエア・ショッピング・センター)の目印。John LewisやDebenhams等のデパートを含む150以上のお店が入ったショッピング・モール。エリザベス女王によってオープンされた1977年当時にはイギリスで一番大きいショッピングセンターだった。

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150店というとそれほど大きいような気がしないかもしれないが、日本のショッピング・モールと異なり、一軒毎の面積が大きいため、全体ではものすごい広さとなる。
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ま、取り立てて珍しいものがあるワケではないが、ブラリと見て歩くには十分すぎるボリュームではある。トイレが少ないのがタマにキズ。

スティーヴが「メチャクチャおいしいアイスクリームを食べよう!」と誘ってくれたが、歯の調子が怪しかったのでパスさせてもらった。海外で歯が痛くなったらタマッタもんじゃないからね。

イヤ、全然平気だとは思ったんだけど、甘いモノは今回極力避けた。スティーヴの家に行った時もおいしそうなクッキーをすすめられたが、丁重にお断りした。彼は「口をゆすげば大丈夫!」とか「痛くない方の歯で噛め」とか言ってくれたんだけど、怖いのでやめたの。
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前日、止まっていて乗れなかった地下鉄でスティーヴのホームタウン、サウス・シールズに向かう。写真はニューキャッスル駅の地下鉄の入り口。実際にはさっきのモニュメントのそばの駅から乗車した。
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これが切符。6.5cm×3cmの小さいもの。これが表かと思うとさにあらず。エスカレーターに乗る時は気をつけれ…と言ってるだけ。
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こっちが表。「310」というのは3ポンド10ペンスのこと。後は発券した日付と時間、大人と書いてあるだけ。乗る時には何のチェックもなし。終点のサウス・シールズにも改札なんてものはないのだが、電車が到着すると係員が4~5人出てきて切符の日付をチェックする。私はてっきり赤い方が表だと思っていたので、そっちを見せちゃった。
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つづく

イギリス紀行2012 その10~ニューキャッスル

2012年7月12日 初出

帰って来た~!ああ懐かしの我が家、イングランド。1時間半電車に揺られて着いたるは、我が友スティーヴ・ドーソン待つところのニューキャッスル・アポン・タイン。

はじめはね、エジンバラからグラスゴーへ行こうと思っていたのですよ、欲張って…。世界で3番目に古いという地下鉄を見てみたかったの。初のスコットランドだし、今度はいつ行かれるかわからないし、また行かれるかどうかだってわからない。欲張って当然でしょ?

で、まだ私が日本にいる時に送った旅程を見たスティーヴが「オイオイ、2日でエジンバラとグラスゴーを見ようってのかい?電車の待ち時間もあるし、それはあまりにも欲張りだと思うぞよ!だいだい、ニューキャッスルはどうするんだい?見なくていいのかい?」ときた。

そうか、ニューキャッスルを忘れていた!…ニューキャッスルでは絶対に行きたいところがあったんだ!と軌道修正し、グラスゴー行きは事前に取りやめた。

写真は<その6>で詳しく紹介したニューキャッスル駅。

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改札の向こうでスティーヴが「こっち、こっち!」と手を振ってくれている。ほんのちょっとひとりで外地に行って来ただけなんだけど、友の顔を見ると「あ~、帰って来たナァ~」と妙に感動してしまう。スティーヴに長いこと会っていないような…。

ところで、駅に着く直前に車窓からスゴイものを見てしまった…。これは後ほど。

スティーヴに連れられて外に出る。相変わらず天気は最悪だ。寒いったらありゃしない。

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駅から歩いて5分ぐらいのところにある聖ニコラス大聖堂(St. Nicholas' Cathedral)。もちろん中を見たい!さっそく入ってみた。すると、中では何やら盛んにやっていて(礼拝に決まってるか…)係の女性が「拝んで行け、拝んで行け」と誘ってくれる。するとスティーヴが「彼は東京から来たシゲ。中をちょっとのぞいてみただけだよ」と説明してくれる。こういう場面でもしっかり紹介しちゃうところが我々とは異なる文化だよね~。

この大聖堂の期限は900年も前だというが現在の建物は14~15世紀に建てられたものだそう。それでも軽く500年は経ってるからね。そうしたものが今でもごく日常的に利用されているとことがスゴイ。

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さすが、地元系の人、スティーヴ!路地を通り、スイスイと道を下って行く。
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お、変なもの発見!魔よけなんだろうかね?ずいぶんトボケた顔してら!
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いきなりボッコンと胸像が現れる。この人はトマス・ビウィック(Thomas Bewick)という版画家にして鳥類学者。貧しい家の出ながら幼くしてその才能を表し、『イギリスの鳥の歴史』という大著を上梓した。1790年頃、ここにその仕事場があったということ。
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大分下って来たぞ。
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そこかしこに橋が…。
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ニューキャッスルは川の(River Tyne)のほとりに位置しており(だから街の正式名称をNewcastle Upon Tyneという)、川を挟んだ両岸に街が広がっている。そのため、坂が非常に多く、エジンバラのようにこうした階段状の路地が多く存在している。エジンバラ式に言えば「Close」だ。

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これもかなり古い建物だ。このプラークに書いてあるのは、「1772年11月18日、ベッシー・サーティーズ(Bessy  Surtees)はこの上の窓から降りて来てジョン・スコット、後のエルドン伯爵ならびにイングランド政府高官と駆け落ちした」とある。ベッシー・サー ティーズというのはニューキャッスルの銀行家の娘。身分違いの禁じられた愛だったのね?

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ドワッ!これか!エジンバラに行く前にチラっと見かけて是非見たいと思っていた橋。Tyne Bridge。タイドアーチ式構造といい、色といい、隅田川にかかる厩橋のようだがゴツさがケタ違いだ。厩橋が女性に見える。もはや橋脚はブルックリン橋を連想させる。タイン川には名橋がズラリ…。
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1876年に完成したSwing Bridge。橋がグルリと回転し、船を通過させるしくみ。
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そして、最初の方に書いた「スゴイものを見た」というのがコレ。High Level Bridge。あまりにも名前に色気がない!

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この橋は上が鉄道、下が車道と二階建てになっている。1849年にオープンした世界最初のマルチ式の橋。

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橋脚にも橋梁にも何の飾りもない、角ばってばかりの無愛想なデザインだがモノスゴイ圧迫感!160年も前からこんなのあったんだゼ…ってコレばっかり。
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Tyne Bridgeの向こうにもうひとつ橋が見えるでしょ(写真中央左)。あれはGateshead Millenium Bridgeという歩行者と自転車用の橋。2002年にオープンした。この橋、ナント、橋自体が川上&川下方向に垂直に動いて大きな船を通過させる。残念ながら動いているところは見ることができなかった…。
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やはりこれだけの名橋。にらんだだけのことはあった。こうしてタイン川の(River Tyne)のシンボルに制定されていた。

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東京で対抗できるのは聖橋ぐらいかナァ?
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これは以前使われていたであろう係船柱。ムンクになってる!

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Tyne Bridgeの隣のギルドホール(Guildhall)。要するに町役場。ドアがおっしゃれ~!17世紀の建物。
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ニューキャッスルも昔から栄えた街だけあって豪奢で立派な建物が多い。ここは1階に楽器屋が入っていた。「名所めぐり」で紹介する。

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駅からほど近いオフィス街。人通りは少ない。日本から帰って来て偶然あるTV番組を見て知ったのだが、ニューキャッスルは国内でも失業率が高く、あるコミュニティに限っては、ナント34%にも上ると言うのである。ここはそのコミュニティとは関係ないが、オフィスのほとんどに共通の看板がかかっていた。「To Let」…つまり「入居者募集」。「この街はずいぶんトイレが多いナァ」なんて言わないの!
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そのオフィス街を過ぎて振り返る。左に見えるのがThe Royal Theatre Newcastle。

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1837年にオープンしたというThe Thatre Royal Newcastle(シアター・ロイヤル・ニューキャッスル)は今年で175歳にもなる!初演はシェイクスピアの『ベニスの商人』だった。

1989年、『マクベス』公演終了後、大火事が発生し、内装が大きなダメージを受けたが、1901年には再オープンした。現在はイギリス政府が定めるListed Building(勝手に壊してはいけない歴史的な建造物)のGrade1に定められている。Grade1に定められている他の代表的な建造物は、バッキンガム宮殿、ロイヤル・アルバート・ホール、ヨーク大聖堂などスゴイ顔ぶれ。イギリス人は本当にこういう古いものを大切にする。
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「Theatre Royal」というのはイギリス国内のあちこちに存在している。ロンドンのコヴェント・ガーデンにある「Theatre Royal Drury Lane」なんかもその内のひとつ。いずれも立派な劇場だ。

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ロビーの様子。中にも入ってみたいがNG。

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内装も素晴らしい。ロビーの天井。まるで浅草寺だ。
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7月14までは『Grease』がかかっている。19~28日までは『Julius Caesar』。やっぱりシェイクスピア。8月14日からこの案内の『Sister Act』がかかる。

ウーピー・ゴールドバーグのコメディ『天使にラブ・ソングを…(Sister Act、それにしてもヒドイ邦題!)』のミュージカル版だ。この映画の冒頭で「Heat Wave」、「My Man」、「I will Follow Him」をつなげた「The Lounge Medley」というのが出てくるんだけど、この演奏のベースが破天荒にカッコよくて、その昔ハコバンをやっていた時に採譜したことがある。結局演らずじまいだったな…。
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つづく

イギリス紀行2012 その9~エジンバラ3

2012年7月11日 初出

スコットランドで始めて過ごした夜の翌朝…。やっぱり曇ってる。一晩寝りゃ天気もよくなるかと期待していたが、ま~ったくダメ。それでも昨日よりはチョットはマシで、薄日がさしているような、さしていないような…。何しろ分単位で天気がコロコロ変わる土地柄だからね。ホテルは朝ごはんもついていないのでカメラをブラ下げて早々にホテルをチェックアウト。

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スティーヴが待つニューキャッスル行きの列車は10:30発。それまでの間、もう一度街を見ておこうというワケ。
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『オリバー!(Oliver!)』がかかっている劇場。『オリバー!』は1960年にロンドンのウエストエンドが初演。これはその何度目かのリバイバルだ。原作はディケンズの『オリバー・ツイスト』だね。

1968年にはマーク・レスター(Mark Lester)の主演で映画化もされた。ウチの下の子は小さい頃熱心に見てたけど、私はあんまり好みじゃなかったな…。

今の若い人は「マーク・レスター」といってもあんまりピンとは来ないだろうね。『小さな恋のメロディ(Melody)』のあの子ね。一時は日本でもモノスゴイ人気で森永のキャラメルだかチョコレートのCMに出てたでしょ。そういえば、外国人のアイドルっていなくなったな~。ハーフのアイドルは相変わらずだけど…。ルネとかいたじゃんね?ゴールデン・ハーフのエバってどうしてるかな?

映画版にはその名もズバリのオリバー・リード(Oliver Reed)が出ていた。この人はマッチョなタフガイを地で行く人で、『トミー(Tommy)』のロジャー・ダルトリーのお父さん役が印象的だった。それでも、あんまりなじみのある役者さんではないのでちょっと調べてみると、ナントこの人、73年には『スティング(The Sting)』、75年には『ジョーズ(Jaws)』の出演を断っているそうだ。前者ではドイル・ロネガンの役だろうね。後者ではクイント船長か市長(アミティとかいうんだよね)の役でしょう。オリバー・リードのクイント船長も見ものだったかも知れない。偶然かイヤミか、両方ともロバート・ショウ(Robert Shaw)が演じた。もうふたりともこの世にはいない。
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劇場のとなりにあるパブ。開演前には、これから見るショウへの期待を語りあい、終演後には今見て来たショウの感想を語り合うんだろうね。それが向こうの人たちの観劇の第2の楽しみなのだ。
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劇場の反対側のビルディング。こっちの人はこうしてウマ~イ具合に古い建物を利用しちゃう。「石の建物」だからできるんだね。
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少し陽がさしてきた!このまま晴れ切ってくれればいいいのに!
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でも、さすがに朝の光は柔らかすぎて色がヨワヨワしいな…。
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昨日は苦労して傘を脇の下に挟んで撮ったアングルに再挑戦!

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これは土産物屋ではなくてちゃんとした男性洋品店。やっぱりウインドウに飾るのはスカートだ。
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ニュータウンでことさら威容を示すバルモラル・ホテル(The Balmoral Hotel)。ドアボーイもフレンドリーで目が合うと話しかけてくれる。
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やっぱ曇りだわ!
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駅の看板。この日本の「やがすり」みたいなマークはイギリスの国鉄「National Rail」のロゴ。イギリスの国鉄は上下分割方式で、線路や管理を国が、列車やサービスは完全に民間企業が面倒を看ている。
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右は昨日訪れたエジンバラ城。

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ウェイヴァリー橋を渡ってノース橋をのぞむ。
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今日は少し坂道を行き来してみよう。

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この街を飛びきり美しくしている要因のひとつはこの急勾配の坂だろう。
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坂にものスゴイ角度がついているので、遠くからはより多くの建物が見渡せ、近くではより遠くの建物が目に入ってくるのだ。
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また、あまりにも勾配がきついため、どうしても道を蛇行して作らざるをさせざるを得ない。見通しが悪い半面、よけいにたくさんの建物が見えるというワケ…と見たがどうだろう?

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それとこの街の大きな特徴は、無数に「Close」と呼ばれる階段状の路地が存在していること。これがまたおもしろい!
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写真で見るとわかりづらいが、エジンバラという街は真ん中が峡谷になっていると先に書いたが、とくにこのオールド・タウンは谷の反対側も急勾配で下がっている。つまり、尾根の上に街があるような格好なのだ。
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だからこのオールド・タウンの真ん中を貫くロイヤル。マイルには左右の谷に下りるための階段、すなわちクローズが多数用意されているのだ。通勤時にはみんなエッチラオッチラと階段を上り下りしている。
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ここは酒屋さんかな?店の両脇にクローズが付いてる!
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少しエジンバラ城方面と反対に向かって歩いてみる。
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真ん中の白黒の家はジョン・ノックス(John Knox)が住んでいた家。って誰?16世紀のスコットランドの宗教改革者だそう。前々回に紹介した「聖ジャイルス大聖堂」で牧師を努めていたこともあった。近いので通勤に便利なロケーションだ。それにしてもこの建物、15世紀に建てられたっていうんだけど、ホントかね?500年以上前だゼ?!こういう話しを聴くとキマって思い出すのが「三匹のこぶた」だ。
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ニュー・タウン側を眺める。向かいはカールトン・ヒルと呼ばれている丘。
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クローズを使ってノース橋の下まで降りて来たよん。
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The Scotsmanというのは1817年創立のスコットランドの新聞社。発行部数は40,000弱…少ないな~。そんなんでやっていけるのかしらん?
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何の建物かは知らないが、これもスゴイ!
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クローズを歩いていて見つけた場所。石畳には文学作品からの引用が彫り込んである。
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何でもエジンバラ市民は世界でも有数の読書家なんだと。ま、天気は悪いし、冬は寒くて外に出られないから読書の習慣がつくんですよ。昔は信州もよくそう言われていた。でも、読書はいい。人間の厚みを増すのは読書が一番!とにかく読書!本を読んでいる人かどうかは文章を書かせれば一発でわかる。決まり文句で書かれる会社の書類でも一読すればわかる。エ?「お前もあんまり読んでないな!」って?! ヘヘヘ…。
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この建物もそう。古い教会なんだけど、入ってビックリ!中は近代的なインフォメーション・センターかなんかになってるの。
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写真は全然関係ないけど、地続きでもスコットランドはイングランドとは別の国。コインも紙幣も違うからね。もちろん供用だけど、一瞬「果たしてアッチで使えるのかいな?」と不安になる。
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くどいようだけど、聖ジャイルズ大聖堂。
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ひと通り歩いてウェイヴァリー駅へ戻る。朝をまだ食べていないので駅ビルのマックでソーセージ・エッグ・マフィンを食べる。ダブル・ソーセージかな?どうでもいいか…。

なんかイギリスのマックって日本のより油っ気が強いんだけど、ミズミズしい感じがするんだよね。明らかに卵はこっちの方がおいしい。それにここはニューヨークのマックなんかに比べて格段に店員がやさしいのもうれしい。ニューヨークのマックの店員こえーし…。

乗り遅れるとマズイので早めにホームに降りる。風が強く寒い!…けど、マントを羽織って昔ながらに電車の発着をさばく駅員さんの仕事ぶりを眺めていると楽しい。それにカッコいい!

これはNational Raiの切符。ニューキャッスル⇔エジンバラの「RTN(リターン)」。£47.60だから6,000円チョット。片道103kmで3,000円。高いか…。

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さあ、自分の列車も入線してきた。景色がいいのは進行方向左側と…。アリャリャ、背中向きのイスしか空いてないわ…。でも絶景には代えられないので我慢しよう。

以下は車窓から撮影したモノ。ガラスに色が入っているのでチョット色が素直じゃない。

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なんか天気が良くなって来たようでハラ立つなぁ。と思っているとまたすぐ雨!ハハハ、やっぱりね。もう諦めるよりしょうがない!
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この海は北海。もうそこら中、ヒツジやら牛やら馬やら…。
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あの橋を渡って来た!ココどこだか知らないけど、どんな街でも何かしら見どころがあるナァ。
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イングランドまではアっという間だ。
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つづく

2013年5月20日 (月)

イギリス紀行2012 その8~エジンバラ2

2012年7月8日 初出

聖ジャイルズ大聖堂を後にする。寒い!

そういえば、こっちの人って傘をささないんだよね。どんなに強い雨でも傘をささない。ビッチョビチョになってんだよ。一方、傘をさしているのは観光客ばかり。

確かにホントに降ったり止んだりが激しいのでいちいち傘の出し入れをするのは面倒くさい。私なんかすぐ出してさしちゃうもんね。風邪ひいたらヤダし、そもそもカメラが濡れちゃうし…。

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お定まりのバグ・パイパー(?)。デケエ音!何かで読んだけど、アコースティックで最も音のデカイ楽器はこのバグパイプだとか…。スコティッシュのステレオタイプとして時折ギャグとして使われるバグパイプだけど、やはりこの格好で、この地元でビャービャーやっていると最高にハマるね。

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この傘さしてる人、絶対観光客だよ。

後ろのピンク色の建物はスコッチ・ウイスキー・ヘリテージ・センターという博物館。結構混んでたな~。入ろうと思ったけどやめた…タッケェーんだもん!
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「ここだけは見ておこう」と心に決めていたエジンバラ城がいよいよ目の前に!ああ早く中に入って雨から逃れたい!

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入場券がコレ。£16だから2,000円とチョット。

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お、入るとちょうどセレモニーが始まろうとしているところ!3時すぎぐらいかな?
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寒風吹きすさぶ中、待つこと20分。
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ようやくナンカが始まった!
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フラム・ヘッドの音も小気味よく一斉にバグパイプが爆音を奏でる!ホント、大勢で一斉に吹くと結構爆音だゼ!
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おお~!こりゃカッコいいゾ!
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♪ビョエ~、ビョエ~!アッという間に通りすぎちゃったけど、ド迫力の生演奏はなかなかのものだった!

昔はこれといっしょに軍隊が行進したワケでしょ?そりゃ、猛々しかったに違いない。ともすればギャグに使われるアイテムという印象があるバグパイプだけど、イヤイヤ、これはカッコいいものと今回断言しよう。
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エジンバラ城から街を見下ろす。
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しっかし、何てヒドイ天気なんだろう!他の観光客もまったく気の毒だ。
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ああ、晴れていたらナァ~。
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城内には多数の建物がありそれぞれが博物館になっている。6世紀に最初の砦が造られたそうだが、現存する最古の建物は12世紀のもの。
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王家の秘宝やら銃剣やら…でも、何といっても圧倒的物量を占めているのは戦争に関するアイテムなんだよね。古今の戦争に関する展示がやたら多い。ロンドンにもやたらと戦争に関する博物館がある。

そりゃイギリスが世界の常勝軍団ということはわかるけど、スゴイなぁ…とかいう感想よりも、つくづく戦争が好きな方々なんだナァ~という印象が強い。ま、戦争に勝つために文明が進歩したんだろうし、国を豊かにもしたんだろうけど、こういうのは日本では考えられないね。日本も家康以前は同じだったんだろうけど、武器が発達している分、血塗られてる感がより強いね。
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しかし、建物や内装は素晴らしいのひとこと。
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ひと通り見学してお城から出る。エスプラナード(Esplanade)と呼ばれる広場があり、ここで毎夏大きなイベントが開催される。

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もう足がガクガクだ~。その前にもうひと歩き。
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スコットランド博物館。とにかくスコットランドのものづくし!ナンカものすごいイングランドへのライバル心を感じてしまう。

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この後、スコティッシュ・ナショナル・ポートレイト博物館ってのに寄ってみた。スコットランド出身の著名人のポートレイトや写真が陳列してある。そうだ、ショーン・コネリーもスコティッシュだったっけ。館内は撮影厳禁だったので写真はなし。外観も素晴らしく美しい出で立ちだったのだが、もうスゴイ雨でカメラを取り出すのもイヤになってパス。疲れもたまってたのね。

でも、この博物館の展示を見て驚いた。キーツ、ドイル、スティーブンソン、ベル、ワット、あと誰だっけな…とにかくこの人たちみんなスコットランド出身なのよ。

もう欲張って歩き回る元気もなく、ヨチヨチとホテルの近くまで戻ると雰囲気よさそうなパブを発見。しかも「ビーフ・エール・パイ(エールで煮込んだビーフ・シチューがパイの中に収まっているヤツ。これがウマイ!)」他のフード・メニューが入口にかかっている。パブは食べ物を置いていないのが普通だ。でも、こりゃいいや!ここで夕食を済まそう…と思って入てみる。すぐにお目当てのパイをオーダーするとカウンターの中の頑丈そうなアンちゃんが「悪いね、ウチは食べ物はないんだ」と言うではないの!ガックシ!入口のメニューは上の階のレストランかなんかのモノだったのね。

仕方なしにエールをイッパイ。リュックのなかにあったWalkersのReady Salted味をアンちゃんに見つからないようにチビチビとくに運ぶ。エールはうまかったけど、ワビしいな…。

結局、近くのイタリア料理店でスパゲティ・ポモドーロを「take away(イギリスでは「to go」とは言わない)」して、グロッサリーストアで見たことない缶ビールを2本ほど選んで買ってホテルの部屋で食す。何のことはない、ウマい…。

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つづく