イギリス紀行2015 その12~アビィ・ロード行ってみる?
ツワ~、いい天気だな~!
今日はロンドン滞在の最終日。
とにかくいい天気だ。
ココが毎回毎回、少なからず天気に悩まされてきたあのロンドンとは思えん!
その証拠にそこら中の家にブルー・プラークが付いている。
このブルー・プラークも非公式に勝手に作って建物にひっ付けている輩もあるので注意も必要だが、この辺のモノは間違いないだろう。もう街の佇まいが全然違う。田園調布とか豊中みたいな感じ?
それでもサウス・ケンジントンやスイス・コテージのような本当に高級住宅街というエリアにくらべればまだまだか?
例えばコレ。イギリスで最も有名な指揮者と言われているサー・トーマス・ビーチャムという人が住んでいた家。
ナントこの人、ロンドン・フィルハーモニックとロイヤル・フィルハーモニックの創始者。
しかも、この人の生家はビーチャム製薬を創業した大富豪。このビーチャム製薬というのは現在のグラクソ・スミスクライン…売上高世界第6位の総合製薬会社だ。ボルタレンやらコンタック売ってる会社ね。
そして、ココがどこかと問うならば、ジュビリー線のセント・ジョンズ・ウッド。
コレで有名なところね。
いつも思うんだけど、ココを通る車は気の毒だ。
イエロー・ライトつきのゼブラ・ゾーンだから、歩行者が渡っていなくても、人が横断歩道の傍らに立っているだけも一時停止しなければならない。
さもないと、見つかればガツンと罰金を取られてしまう。
実際、ホントにビタっと止まってくれる…てんで、ウチの家内も記念に逆行。
横断歩道の反対側、あるいはジャケ写と反対側の光景はこう。
この写真は、イアン・マクミランというカメラマンが上の写真の交差点に脚立を立ててその上からハッセルブラッドで撮った。イアンはヨーコの紹介でジョンと知り合い、このジャケットの撮影につながった。
写真は全部で6枚。絞りはf=22、シャッター速度は1/500秒だったという。
大分絞ったな…。
撮影の日時は1969年8月8日午前11時35分。真夏のロンドン。今日みたいないい天気で日差しがよっぽど強かったのだろう。このジョンの白いスーツはイヤだったろうな~。
この通りを写真の方向に行くとキルバーンに出る。キルバーンは近々Marshall Blogで紹介する予定だが、何しろこの通りは交通量が多い。
写真を6枚しか撮らなかったのは、「撮らなかった」のではなく、通行止めが厳しいので6枚しか「撮れなかった」のではないか?なんて思ったりする。
イヤだぜ~。
車を止めて、「早く、早く」と急き立てられ、しかも撮る相手は天下のビートルズ。ビビっただろうな~…なんて想像しながら写真を眺めると楽しい。
ビートル・マニアに言わせると全然違うのかもしれないけど…マァ、いいじゃない?
おなじみのアビィ・ロード・スタジオの外塀の落書き。
何か月かに一回かは白いペンキで上塗りされる。
当然ビートルズ関連の落書きやらメッセージばかりなんだけど、タマにはピンク・フロイドあたりの落書きがあってもよいと思うのだが…。
スタジオの入口。
ドアの左の緑色のプラークはエドワード・エルガーのもの。
何回かMarshall Blogに書いているが、このスタジオはフル・オーケストラがスッポリ入るイギリスで唯一のレコーディング・スタジオということで、こけら落としでエルガーが呼ばれて指揮棒を振った。オケはロンドン・シンフォニー、曲は当然「威風堂々」だったらしい。
ひと通りビートルズの最後期の世界を味わってセント・ジョンズ・ウッド駅へ戻る。
「味わう」ってったって、私、過去に6回ぐらい来ているんだけどね。
それなのに下の写真は初めて見る光景!
見て、この昇りのエスカレーターに乗ったオジちゃんの大群!
そういえば、駅前も大勢のオジちゃんでゴッタ返していた。
コレ、木曜日の朝9時ぐらいなのよ!通勤の人達ではない。
この後、Marshallのあるブレッチリーに行く時、ちょうどこの駅の前を通りかかったので運転するディアンにこのことを尋ねてみた。
答えはクリケット。
すぐ近くにクリケットのグラウンドがあって、みんな仕事を休んで試合を見に来るんだって!
みんなスキだねェ~!
それにしても、スゴイ勾配だ。
さて、ロンドン最終日ということで、残り少ない時間で家内に何を見せてあげようかとかなり悩んだ。
カムデンも行ってないし、大好きなV&Aだって見ていない。ロイヤル・アルバート・ホールだってまだだし、リッチモンドだって見せてあげたい。
それに、あんなに楽しみにしていたマーケットだってスピタルフィールズしか行かなかった。
本当はポートベローを見せながらノッティング・ヒル・ゲイトあたりをブラブラしたかったんだけど、日程が合わなかったのね。
シャフツベリーのミュージカルも見れなかった…。
結果…基本に立ち返って…バッキンガム宮殿の衛兵の交代の儀式だけは押さえておこうということにした。
で、ピカデリー・サーカスからリージェント・ストリートをテムズ川方面に向かって下る。
この通りがまたあまりにも立派なのね。
幅が広いうえに戦争の英雄だか何だか、デカい銅像がゾロゾロ並んでいる。
まるで屋外の美術館のようだ。
こんなの見っけ。
Marshal。Marshallじゃないよ。
Air Chief MarshalというのはRoyal Air Force、つまりイギリス空軍のメッチャ高いポジション。
このサー・キース・パークという人は第二次世界大戦のヨーロッパ戦線の英雄なんだと。
名前の下にあるGCB、KBE、BAR、DFC、DGLらはポスト・ノミナル・レターズといって、その人がゲットした勲章の名前。
Jim Marshall, OBEみたいなヤツね。
イギリスのこの褒章制度ってのもよくわからん。
その昔、ビートルズが、MBE勲章をゲットして大きな話題になったが、近年は大勢の芸能関係者が受賞している。Mr.ビーンのローワン・アトキンソンもゲットしているし、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、スティング。ケイト・ブッシュ、ロジャー・ダルトリー、レイ・デイヴィス、ジミー・ペイジ、ブライアン・メイ、マーク・ノップラー等の世界に名だたるミュージシャンたちは揃ってゲットしている。
要するにこのあたりの人たちは、「芸術」がどうのとかいうことではなくて、外貨を獲得して国庫を潤した功績で受賞しているんでしょう。それでもちろんいいんだけど、なんか軽い感じがするナァ。
日本人も結構受賞しているんだけどまったくニュースにならないのはナゼなんだろう?
The Mallはバッキンガム宮殿に続く参道。
「ザ・モール」ではなく「ザ・マル」と発音する。
2012年のエリザベス女王の在位60周年記念「シルバー・ジュビリー」の時にはここが人で埋め尽くされた…のをテレビで見た。ちょうどその時、私はロンドンにいた。
宮殿の前に設置されたステージにはポールやらエルトンやらが登場して女王を祝った。
ナマで観たくて忍び込めるところがないかと探したが、昼間からこの辺りはものすごい厳戒大勢でそれどころではないうえに、そこらじゅうの道が閉鎖されていてエラく不便だった。
ちなみに大英帝国史上、シルバー・ジュビリーを祝ったのは現エリザベス二世とヴィクトリア女王のふたりだけ。
そして、エリザベス女王はヴィクトリア女王の在位63年という不倒記録を破って現在に立っている。今年64年目。
バッキンガム宮殿に行く前に騎兵の交代式を見よう。
宮殿の前をパレードする騎兵はこのホースガードと呼ばれる施設から出てくるのを知ってんだ。
だからまずそちらに回った。
あまり人も多くなくていい感じ。
ここにはその騎兵の博物館があってLondon Passが使える。そこで、時間をつぶす。
もうひとつ、17世紀の建物がそのまま残っているという向かいにある「バンケット・ハウス」というのが見たかったのだが、忘れてしまった。
おお~出てきた出てきた!
遅番の黒い馬の舞台が先に外に出て整列し、早番の連中を迎える。
しばらくするとバッキンガム宮殿の方がパカパカという音が聞こえてきて、その姿を見せる。
早番の連中は白馬だ。
白い騎兵隊と黒い騎兵隊が向き合うだけでまんじりともしない。
この後、ようやく代表者がにじり寄って引き継ぎをするのだが、マァ、おそらく「今晩何喰う?」とか「今日のフィットボールはアーセナルが勝つかな?」なんて話しをしているのだろう。
そうこうしているうちにジャバジャバと景気のいい音がしたかと思うと馬の激放尿。
もちろん馬は衛兵の交代なんて知ったこっちゃない。
大でなくてヨカッタが、もちろんそういう時もしょっちゅうだろうね。
するとそれを始末する人もいるワケで…公務員だか厩務員だか知らないけど、それでも女王様にお仕えする高貴なお仕事とになる…かどうかは知らない。
実に美しい馬ばかりだし、兵隊さんはカッコいいしで見ごたえは十分。ただスゴイ砂ぼこり。
こんなこと毎日やってるんだもんナァ。優雅なもんだ。